PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-54 「仕掛」

 『試験用の装置の準備は最終段階に入りました。使用できるまで後数時間程度かと。』

 

 「そうか。ちなみに中身の安定度は運搬前と変わらないかい?」

 

 『今確認させます。おい....』

 

 回線越しにそう言い残すと相手側は通信機から口を話したのかぼそぼそと遠い場所から話声のようなものが聞こえる。

 

 ....今回のテストで重要なのは装置の効果の安定性、前回よりもこの部分に関してはしっかりと数値から確認しておきたいところだ。実地試験もそう何度も出来るものじゃないからね。今回でほぼ完成品に近づけるのが理想か。

 

 『...すみません遅れました。今確認させましたが装置内容物は運搬前と変わらずに正常値です。誤差も許容範囲内でしょう。』

 

 「ん、分かった。そのまま作業を続けてくれ。この数時間が勝負だ。」

 

 『分かりました。では作業に戻ります。』

 

 「そうしてくれ。」

 

 そこで僕は通信機の電源を切ってコンソールの前に置いた。

 

 ...取りあえず、現時点では目立った異常も無さそうだ。前回は設置の時点でかなりのばらつきがあったからね、起動時の多少のずれは同じだろうがここまで持っていければ問題はないだろうな。

 

 「後は彼らがどう動き始めるかどうかか....あくまでもこちら側が出来るのは只の予想でしかないしね。」

 

 そう言葉を漏らしながら僕はコンソール上に映るこれからの動きのおおよそのタイムチャートに目を向けていた。

 

 彼ら、つまるところ情報を流した彼らのことだが一応は格納庫内に入り込むところにまでは行けたようだ。現地に数人程度こちら側の人間を置いて定時報告させていたが、それらしい人影が動き始めている報告を受け取っていたからね。まあ、存分に暴れてくれれば良いさ。

 

 「脱出用の船の用意はここか.....ちょっと君、荷物の方を頼みたいんだが。」

 

 「荷物ですか?搬送先決まったんです?」

 

 「ああ、この場所に頼むよ。物は分かっているだろうから言いはしないけど厳重にね。」

 

 「はあ、分かりました。人数を確保して早急に。」

 

 「頼んだよ。」

 

 すると彼は直ぐに部屋から出て行った。仕事が早いのは良いことだね。

 

 「....さて、僕の方も準備をしないと。」

 

 そうして僕はコンソールの方に向き直った。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「....ふう、こんなもんだよな?」

 

 座席から顔を出して外を確認して見る。....うん、それなりに上手く出来てるな。

 

 俺はそのことを確認すると電源を準備状態に、それからベルトを外すと肩に銃を担ぎ直して機体から抜け出た。

 

 「後は布を被せて、その方が不自然じゃないものな。」

 

 車両の荷台から降りるとAISのあった場所に放置していたシートを取りに向かった。あれ、かなり重いんだよな....

 

 「よし、端の方を掴んで上手く....」

 

 そうして少し小さくしてからそれを運ぼうとした時だった。

 

 「端を掴んで、それでどうするつもり?」

 

 背後から女の声がした。そのことが突然のことで理解できずに少しの間固まっていた。

 

 そうして少しの間、数秒程度だったが思考を張り巡らせてある結論に行きつく。あの女キャストか!

 

 「今日はこの場所で作業は無い筈よ。どうして貴方のようなのがここに居るのかしらね?」

 

 「...あ、いや。急用でここで荷物を取ってこいなんて言われてですね。その。」

 

 あり合わせで作ったような嘘をついて誤魔化そうとしてみる。

 

 「そんな大層な銃を担いでじゃなきゃ出来ない仕事なの?その仕事って言うのは。」

 

 そう言うと女は俺の肩を指して来た。

 

 ...やらかしたな。これじゃ偽装の意味も無い。

 

 「....分かったよ。俺が悪かった、反省してるよ。」

 

 俺は両手を頭の後ろへやりながらありきたりな言葉を吐く。ここであまり刺激しない方が楽だからな。

 

 「そう、素直で良いことね。銃を床に捨てたらそのままうつ伏せになりなさい。」

 

 キャストの女は少し古い旧型のライフルを俺に向けながら言う。手慣れてるようだな、隙が無い。

 

 ....だが、俺は残念ながら大人しく従う奴じゃないんだな。悪いけど。

 

 「なあ、2人がかりでそんなに銃を向けないでくれよ。別に俺は何もしたりしないんだから.....良いだろ?」

 

 女キャストの後に追ってくるように来た奴、さっき通路で一発入れた男の方にも視線を送って訴えかける。やっぱり、あの時は適当に誤魔化してすれ違うだけの方が良かったかもしれないな。今何を言っても意味はないが。

 

 「無駄口言わないでさっさとした方が良いんじゃない?私気が短いのよ。」

 

 そう言うと銃口をさらに近づけてくる。....掛かったな。

 

 俺はその瞬間、頭の後ろにやっていた右手を外して勢い良く前に突き出して女の持っていたライフルを引っ掴む。

 

 「!」

 

 反応が遅れたのか今更になって女は引き金を引いたようで銃口からその瞬間閃光が飛ぶ。俺はその時を見計らって勢い良く女を蹴り飛ばした。

 

 「フィリンさん!この!」

 

 次に俺はもう一人の方の奴の攻撃を避けるために銃を構えたタイミングを見計らって横に、車両のある方に大きく飛び込んだ。まだ経験が浅いのならこの程度で良いだろ。

 

 「は、速い....」

 

 「違う、お前の経験不足だ。しっかり鍛えておくんだな。」

 

 俺のさっきまで居た場所に数発弾が飛んで来る。....上手くやれたな。

 

 そうして俺はそれを良いことに次の弾が来るよりも先にAISのハッチに急いだ。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「待て!止まれ!」

 

 銃を狙い構えながら言葉を開いて向かって飛ばす。...けれど、返答は返っては来なかった。

 

 相手は僕の声には耳もくれずに車両の方に走っていく。

 

 「...よし、まだ数発残ってるよな。」

 

 手に持っている銃のシリンダーを横から覗き込んで、それで実弾の位置を確認するとグリップのスイッチを入れて使う弾を変える。

 

 「車両で逃げられるくらいならせめて使えないように....」

 

 そう言葉を漏らしながら僕は銃の照準を車の前輪の部分に向けて狙いを定める。動いてない的なら、僕でもやれるはずだ。

 

 両手で発射の反動を抑えるようにしっかりと構えながら引き金に指を掛けて、それから僕は迷わずにそれを引き切った。

 

 ...次の瞬間、銃から火が飛んだかと思うとかなり大きい爆発音が格納庫に響いた。

 

 「あ、当たったのか?」

 

 大きい音で少し気が飛んでいた僕は急いで弾の飛んで行った方に視線を向ける。

 

 狙いを付けた車両の前輪は空気で張っていた張りが無くなってしぼみ切っていた。その影響なのか車両全体が前のめりになるような形になっている。後もう1か所やれば....

 

 「....?」

 

 そう考えながら車両の方を見ているとあることに気が付いて視線が男の人の方に向く。

 

 ...車に乗る訳じゃないのか?

 

 走って行ったその人を良く見てみると向かっているのは確かに車だったのだけれど運転席には向かっていなかった。本当に狙っていたのは...荷台?

 

 「...見てる場合じゃないな。取りあえず近づけさせないようにしないと。」

 

 僕はとにかくそれが何なのかを考えるよりも先に近づけさせないように射撃を加えた。銃口からは数発フォトン弾の光が飛んでいく。

 

 けれど、そんなことにはお構いなく男の人は荷台にある大型の機械に乗り込んでしまった。やっぱりこの距離じゃ精度が駄目か....

 

 「それにしてもあの大きさの機械って何処かで見たことがあるような....無いような?」

 

 既に乗り込み口?が閉じてしまった機械を遠くから眺めながら思考を張り巡らせていると何処かで見たことがあるような気がした。確かにあるにはあるんだけど名前が....

 

 「!」

 

 そうして考え事をしていると機械が動き始めたのか大きな駆動音がし始めた。立ち上がろうとしているのか上半身?の部分が起き上がって続けざまに腕がそれを支えている。

 

 「....そうだ、フィリンさんは?」

 

 特にできることが無くなった僕は男の人に押し飛ばされたフィリンさんのことが頭を過った。今まで焦ってて忘れていたけど大丈夫だろうか。

 

 僕は気になって一旦車の方から視線を外してフィリンさんの居る方に向かった。

 

 「フィリンさん!立てますか?」

 

 「....倒れ方が、悪いわね。手伝って貰える?」

 

 「掴まって下さい。」

 

 フィリンさんに向けて手を差し出すとそれを頼りにどうにか立ち上がれたようだった。かなり重いけど、今はそんなことは言ってられないな。

 

 「...ありがとう。あいつの方は?」

 

 「今機械の方に向かって行って動かしているみたいなんですけど、弾が効かなくって。」

 

 落とした銃を拾っているフィリンさんにそう話しながらも車の方に向かって指を指した。するとフィリンさんは言葉を飲み込むと焦ったようにして僕の手を掴んだ。

 

 一体何なんだと思いながらも手を引かれながら走っているとフィリンさんは事の重要性を話してくれた。

 

 「ど、どうしたんです?」

 

 「AISよ!見れば分かるでしょ?今の私達には無理よ!」

 

 そう言って指された方向、機械(AIS)の方を見てみるとその大きな立ち姿が目に入った。

 

 

 

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