PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-56 「報告」

 「....ん。前回の作戦行動分の補給作業の方は滞り無いようだな。」

 

 提出された文書に目を通しながら現在の配備状況を確認する。どうやら今の段階では予定していたよりも早いペースで動けているようだ。

 

 今回の攻撃は今までにも無かったようなイレギュラーが故に対応にかなり遅れと問題が生じたからな....弾薬や消耗品類の消費が激しくなったことを鑑みれば同じような状況下に陥ったとしても最善が尽くせるよう原状復帰に加えて配備の強化は必然だろう。

 

 「そのようです。予定よりも効率良く作業が進んでいますから備えとしては十二分に耐えられる筈ですよ。」

 

 「なら良いんだがな.....フェルノートのこともある。気は緩められないぞ。」

 

 コンソールの画面上のレーダー図に映るフェルノートの停泊位置にある印を指で押さえながらそう言った。一応、フェルノート側と各農地ている物品、設備に関しては若干の違いがあるが艦の性能に加えて武器兵器の火力は同程度の物だ。

 

 ....だからこそ。同じような事象が起こり得た場合にこの艦が耐えられるかどうかの点で怪しいものがある。それだけが心残りだ。

 

 「フェルノートですか。上層部の判断では今どうなっているんです?」

 

 「...上の方からは未だ具体的な解決策が出されていないような状況だ。序盤での連絡系統が遅れたこと、想定の出来る範疇を大きく超えたことによる現場の一時的混乱が招いたな。」

 

 フェルノートの座標で発生した事象により周辺宙域に広範囲に影響を及ぼした被害から数日程度経過した現在だが未だ解決に至るような物は出ていない。こちら側からも早急な原因究明の為に応援部隊を送り出したが具体的な原因を知り得るまでにはか。今の所では無造作に被害を生み出してしまっただけだ。

 

 こんなところで申し開きをしたところで意味はないが...こんなことには何処でも短時間に早急に最善の行動をするということはかなりの難度だ。私も少し軽率だったのかもしれない、上の者達と同じように。

 

 「とは言え、私もかなりの被害を出してしまったからな....あれを出して艦のコントロールを安定させる必要が今はあるのかもしれない。これ以上は戦力と言う名目でなくモラルの観点で死人を増やす真似はな。」

 

 「主艦長システムの、ハイキャストですか?」

 

 その時一瞬だけ彼の顔が引き攣る。何だろうか?

 

 「そうだ。私よりも以前からの副艦長が続けて凍結させて来たようだが今こそは使うべきなのかもしれない。あれは500年前の実践データも保有しているものだからな。定期点検の方は怠らずにしているだろう?」

 

 「....」

 

 「?」

 

 「そ、それが....普段は点検時には凍結用のカプセルに対して外部からの接続を行ってシステム面での確認を行っていますがここの所ある問題がですか。」

 

 「それはどういうことだ。」

 

 それから彼は白状するようにして主艦長システム(ハイキャスト)の現状について話し始めた。

 

 「早急に使用を迫られる事態にはならないだろうという方針で許容をしていることでしたが今はですか....ともかく手短に話します。整備の人間からの説明ですが、どうやら外部からのアクセスが出来ないとのことです。」

 

 「それは物理的障害によるものか?」

 

 「いえ、内部プログラムのシステム障害です。ハイキャストのプログラムの方がこちら側の命令コードを拒否してくるというのか弾かれると言うか....そのような状況だと。」

 

 「....それで、復帰にはどの程度かかる見通しなんだ。」

 

 「良くて数日、悪くて数週間になります。...報告が遅れて申し訳ありません。」

 

 なるほどな....人材を集めて早急に対応をさせた方が早く収まるか。この後でも直ぐに掛け合ってみよう。

 

 「いや、報告が無いままよりかは遥かに良かった。確かに君にはそれなりに責任が課される訳だが....それは平時の場合に限る。今はただでさえ人材が不足しているんだ、そのまま役職の方は続けて務めて貰おう。処遇に関しては一連の事が収拾してからだ。」

 

 このようなことがあればその場で直ぐにでも取るべき対応をするところだが...出来る人材を今とりわけ程度の低い事柄で買えるような真似は今の所出来そうにない。

 

 こういった状況では経験のある人物を曲がりかなりにも頼らなければならないこともある。無造作に変えていては組織の自壊だな。

 

 「報告が以上ならそのまま持ち場に戻ってくれ。私も作業に戻る。」

 

 「分かりました。」

 

 そう自分が告げると彼は部屋の出入り口の方に向かって行った。

 

 「...あ、すみません。通りますね。」

 

 「今出るところですから先に良いですよ。」

 

 そうして自分の仕事に戻ろうとするとどうやら入れ替わりで別の担当の人間が来ていたのか扉が開くと向こう側にも人物がいた。彼は道を譲るとその人物が入ってきた後に退室した。

 

 「すれ違いになってすみません。報告に来ました。」

 

 「そうか、それで報告の方は何があった?」

 

 「それが....落ち着いて聞いて頂きたいのですが現在緊急作業中の格納庫の警備に当たっていたM.Sの1人から入った緊急連絡がM.Sの支部を仲介してこちら側に伝達されてですね。内容としては格納庫内にて身元不明の侵入者を、人数は不明なのですがまずはそれが。」

 

 「侵入者?それなりの人数を通用口に当たらせるように通達した筈だが、どういうことだ。」

 

 「その、格納庫の非常用ハッチから侵入した模様で通用ゲートからはですか。」

 

 「...それで対処の方は?」

 

 「.....その後に入った連絡によると侵入者は格納庫内部に管理されていたAISを奪取、追跡をして対処を行おうとした付近のM.S2名が被害を受けた模様です。」

 

 「AISを?...ともかく、様子を見るとしてM.Sから更に増援を送るように回答を。必要であればこちら側も応援部隊を編成する。」

 

 「分かりました、支部側に連絡します。失礼しました。」

 

 ...行動から見るにそれなりに組織性のあるような動きだな。今問題になっているようなC.R.S.Fでは無ければ良いのだが、ともかく早急に抑え込まなければならないな。

 

 彼が部屋から出て行ったタイミングで私の方も目線をコンソールの方に移した。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「.......あれ?」

 

 痛みが走る頭を抑えながら辺りを見回してみると何も見えない。どうやらここはかなり暗いみたいだ。

 

 「ライトは....良かった、ポケットに入ったままだ。」

 

 そうして僕は暗い中服のポケットを探ってそれを取り出した。特に壊れても無いみたいだな。

 

 ともかく、今居る場所が何処なのかを調べる為にライトを壁と思わしき場所に当ててみる。

 

 「何だろ、かなり古い通路?なのかな。」

 

 光が当たって見やすくなった壁を見てみると電源の入っていない照明器具と案内の文字が目に飛び込んできた。空気が冷たく感じるし、だとすると下に落ちたのか?

 

 「いて、そういえばフィリンさんは何処だろう。」

 

 足が痛いけれど堪えながら床から立ち上がると自分が倒れていた場所の付近に手当たり次第に光を当ててフィリンさんを探す。

 

 ....けれど、違う場所に居るのかそう言った気配も感じることが無かった。だとすると落ちたのは僕だけ?

 

 「参ったな....戻ろうにも落ちて来た穴は塞がってるし。この通路から上層に繋がる道に出るしかないか。...繋がっていればだけど。」

 

 ライトを穴の方から通路の方に向け直すと通路の全貌が良く見えた。見る限りだと元からここは使う機械の多い場所じゃ無い雰囲気だな、何人も通れるような大きさじゃないし開けている場所じゃ無いしね。

 

 「ん、ここから進めそうだな。場所は....文字が擦れて読めないな。」

 

 通路の中でも電源が入っていなくても通れる場所を見つけて、そこから内部の方に入り込んで行った。

 

 

 

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