PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742 作:Begew Garand
「変だな、普通なら艦内の何処でも電源系統は生きてるはずなんだけど...」
入り込んだ先にあった通路で見つけた照明用のスイッチを指で弾いてみても一向に電気が入る様子が無い。もしかしてここの部分だけ主電源の供給が切られてるのか?そうだとするなら配電盤を見つけて切り替えできればいいんだけど....そんなに上手くいかないよね。
電気を点けることを諦めた僕は気持ちを切り替えてライトを通路の先に向け直した。複雑に曲がっている道が光で照らされる。
「げほっ....酷いな。」
狭い空間で床に蓄積されていた埃が舞ってむせてしまう。ライトの光のお陰で分かるけど凄い量の埃だな、僕の使ってる船の部屋よりも凄いぞ。
そうしてジャケットの素手で口と鼻を抑えながら通路を進んでいくと少しだけ開けた場所に出ることが出来た。
「ここには....駄目か、自動ドアは電源が入ってないしな。」
その場所にあった扉の内の1つに近づいてみても最初に居た場所にあった扉と同じくに何も反応が無い。普通なら、つまり電気が通っていれば鍵が掛かっていても色の付いたランプが点灯したり何かしらの警告が出たりする筈だけどこの扉からはその様なものが無い。
カードの読み取り口が大半付いているような扉の横側を見てもランプがあるような場所は点いていなくて埃で今にも埋め尽くされそうな勢いだ。やっぱり、必要が無くなった比較的新しい方の部屋かもっと昔にアークスの施設として使っていたところで再利用できなかったところなのかな。そう言う場所も少なくないってバーンズさんも言ってたし。
「....駄目だな、押しても開くような感じじゃないか。完璧に機械で圧力が入ってる。」
駄目だと分かっていながらも立て付けの悪い扉をこじ開ける要領で引手のくぼみに指を掛けてから精一杯引っ張ってみても音の1つも立たずに終わる。ここまでになってると閉まっているっていうよりかは癒着してるって言い方の方が合ってそうだな。やっぱり電気を通さないと駄目か。
それから繰り返し横の扉、横の扉と繰り返しながら通路を進み続けた。
「まさかとは思うけど完全に封鎖してる場所に落ちて来たんじゃ、壁なんかも塗り固められたりして.....?」
何時までも進む道が見つからない状況で行き詰ったような感覚からそんなような嫌な考えばかり浮かび始めた頃、1つだけ様子の違う扉が見えた。
暗くて遠目からだと良く見えなかったので僕は小走りでその扉に向かって行く。もしかして....
「やっぱりだ!ここだけ半開きになってる!」
その扉に向かってライトを当てるとわずかに通れるくらいの隙間から扉の向こう側に光が通っていく。ここからだと少ししか見えないけど向こう側にも開けた場所があるみたいだ。
試しに少しだけ覗き込みながら中を照らしてみると奥まった位置に曲がり角があってそこから開けた場所に出れるみたいだ。心なしか音を立てると広範囲に広がるような感覚で音が響く。この調子だと今居る通路よりも広いのか?
「それにしても半開きなんて....元々立て付けが悪かったのか?電気を完全に切る直前で誰も気が付かないままだったとか、ありそうだな。」
ともかく、まずは通り抜ける為に扉の隙間に足を延ばしてみて向こう側の空間に足を降ろす。....大丈夫そうだな。
続けて胴を通そうとするとジャケットのピストルベルトが扉に引っ掛かった。バックルの少しだけはみ出ている金具部分が当たる音が響く。流石にそこまで都合良くは開いてないか。
そこで一旦ジャケットのベルトを外すと扉の向こう側に投げ入れて、それから引っ掛かりが無いようにして半開きの扉を潜り抜けた。
「ここまで物を持ってると動き辛いな、やっぱりバーンズさんの言ってた通りもう少し携帯品を少なくした方が動きやすいか。」
外したベルトをもう一度締め直しながら少し前にバーンズさんに言われたことを思い出す。確かに普段からバーンズさんは現場に行くときは銃と端末ぐらいしか持って行ってないもんな。そう言うことってやっぱり経験から分かっていくことなのかもしれない。
「バーンズさんか....もう一度見ては見るけど、やっぱり繋がらないよな。」
考えの流れでバーンズさんが頭に浮かんだ僕は無駄だと思いながらも端末をジャケットから取り出して連絡が出来ないかどうか画面を見てみるもののやっぱり回線圏外の表示が出るだけだった。
普通なら艦内であれば閉鎖空間になっている場所でも何処かしらに補助アンテナが付いてる筈だから回線圏外になるなんて無いんだけどな....この場所が特殊な場所?だとするなら少し事情は変わるのかもしれないけど、回線が繋がらないってことはここからは一切の電気通信が出来ないってことだからな。今は使っていないとはいえ何だか怖いな。
「仕方ない、原因が分かっても意味が無いし。今まで通りに抜け道を探すしか無いか。」
そうして僕は今居る部屋から少し奥にある通路に進んで行った。
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「なんだろう、良く見るような形だけど....」
あれからまた少し奥の方へ進んでいくと今までとは違った様相の部屋に辿り着いた。ここにはかなりの数の備え付けの機械が残っていてさっきまでの場所とは雰囲気も全く違った。....埃が被ってるのは変わらないけど。
取り敢えず、僕は目の前にあったコンソール?のような物に近づいてみて少しだけ手で埃を払ってみた。
「んー....駐在所に置いてあった型よりも少し古いみたいだな。一応、物理モニターが付いてないからミィーンさんを見つけた場所にあったのと同じホログラムタイプなのかもしれないけど。」
まさかとは思いながらも電源のスイッチやいくつかのボタンを押してみる。....まあ、動くわけないよね。
「それにしてもこれだけの機械があるってことは何かの制御室なのかな。でも、電源が供給されていないなら艦内には影響の無いものなのか....?」
もう一度軽く部屋全体を見回してみるとそれなりの人数分の椅子がコンソール台に備え付けられるような形で置かれている。少し疲れていたから座ろうか、なんて思ったけどこれじゃあね....やめとこう。また咳が酷くなるや。
「....やっぱり何かおかしいよな。」
そうして部屋の中を一周見ることが出来て探すところも無くなった頃、僕は気になり始めていた壁をしっかりと凝視してみた。
この部分だけを見ればこういうデザインの物にも見えるには見えるんだけどこの部屋の構成から考えるとここだけこの素材って言うのもな。ここが制御室、ていうのはあくまでも僕の憶測に過ぎないから確かではないんだけど....そう言う部屋だったとしたら変な部分にこだわる必要あるのかな?
一応、確認しておこうと思って僕は壁に向かって指を伸ばして触ってみることにした。右手の人差し指をゆっくりと突き出していく。
「.....あれ、滑るな。」
出した指が壁のようなものに当たると壁の素材に指が当たって止まる...わけでもなく、指は滑らかな表面を滑るようにして反って行った。
どういうことなんだと思って突き出した指を戻して、それを目の前で見てみると煤のような状態の埃がへばりつくように指の表面に取り付いているのが分かる。
もしかして、そう思った僕はジャケットの袖を拭き布代わりに壁に押し付けるとそこに付いている埃を拭き取るように思い切り滑らせた。
「何だろう、奥に何かあるみたいだけど。」
拭き取った部分を袖に付いた埃を払いながら覗いてみると壁だと思っていたのはガラスだったようでそこからは薄暗い空間が見え隠れしている。まだ奥があったんだな。
...とにかく、ここから何が見えるのか気になった僕は引き続き外への道を探す目的でライトをそこから向こう側に通るように当ててみることにした。
「ん、見えにくいけど....ここが床で直ぐ横のこれが壁だよな。正面には扉があるのかな?」
手探りの状態で光を当てながら向こう側の部屋を観察して、空間の大体の大きさが掴めた僕は思ったように正面の方にライトを向けてみた。
....だけど、そこにあるものは僕の想像していた物とは全く違うものだったんだ。
「....何だろう、これ。」
それは大きな機械のようで、僕がここに吹き飛ばされる直前に見た