PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-60 「不測」

 「....ここにはまだ来ていないみたいだな。」

 

 操作系統の画面を確認しながら今の自分の周囲の状況と照らし合わせていく。そうして特に気に掛けるほどの反応が確認できなかった時には前進する。....そんなような状態で進み続けていた。

 

 勿論、こうなっては全面的に攻撃を仕掛けて正面から抜けていきたいところだが今の所俺にはこの器用に動く重機(AIS)しかない。確かに装甲を考えれば少人数相手にならさっきと同じで無理矢理抜けるかと考えた時もあったが格納庫から出た後のことを視野に入れるとその方法はどうにも上手いやり方ではないということに落ち着いた。

 

 「見つかりやすい筈なんだが、こうも探し辛いとな。」

 

 そういったことからここを突破する為に活用できるような物としてAIS用の武装を探している俺は再び画面に向かって睨みを利かせていた。....まあ、だからと言って見つかる訳じゃないんだが。

 

 事前に貰っていた格納庫のデータに詳細な位置は記されているが迂回路を除くとかなりの距離になる物ばかりで中々目的地が見えてこない。正直な所、機体から降りて俺が直接持ってきたいところだがAISサイズの火器を1人で持ち運ぶのには無理があるしな.....諦めて搭乗した状態で動いている訳だ。とにかく有事の時には機体の装甲板があるからその点だけは困らないんだが。

 

 「.....」

 

 そうこうして通路を気を尖らせながら注意深く進んでいると不意に画面上にそれなりに大きな反応が出て、俺は意識を引き戻された。

 

 一度慌てかけた俺は瞬間的に高まった動機を無理矢理抑え込めると落ち着いて確認の為に機体を一度停止させ、それからより詳細なデータを得られるように機体の反応解析のレベルを静かに引き上げる。これで今反応が出たあれの正体が分かる筈だ。

 

 ....味方機か!

 

 画面の方を見直すとさっきまで不鮮明だった反応がよりはっきりと映りこんで味方の反応を示す。そのことを確認した俺はその反応以外に周囲に反応が無いことも確認すると機体のハッチを展開した状態で周囲を見渡して仲間の乗っている機体を探した。

 

 「あれか.....」

 

 通路に若干立ち込めている霧の中を分けるようにして機体を進めると自分の乗っている物とほとんど、というよりかは同型のAISのような物を見つけた。すかさず確認の為に応答用の信号を鳴らしてみる。.....良かった、中に誰か乗ってるみたいだな。

 

 俺は安全だと確信して機体を前進させるとそのAISの傍に更に近づいて状態を確認することにした。

 

 「操作ミス、なのか?」

 

 そうして霧の影響を受けない距離にまで近づくとその全貌が見える。どうやら相手は何処かで操作を誤ったのか自力で復帰できない状態で通路に機体を倒していた。この霧で見えなくなったか、何かに躓いたのか?

 

 とにかく、話が出来るかどうかは分からないが俺は交信をする為にAISのアームで相手側の機体を掴むような形で触れさせてローカル回線を接続させる。

 

 『おい!起こせないのか?』

 

 『あんた、何だ?』

 

 回線越しに呼び掛けると格納庫に入り込んだ時とは別の男の声が聞こえて来た。別行動の仲間の奴か。続けて俺は状況の説明をする。

 

 『同じ組織の人間としかな、とにかく補助してやるから待ってろ。』

 

 そうして俺は特に気にすることも無くペダルを踏みこむとグリップを上手く捻ってそいつの機体を両側から抱え上げるような体勢をAISに取らせた。

 

 この程度なら教習レベルの範疇だ.....そう思いながら出力を上げて行っていると回線越しにあの男の声で悲鳴のようにも聞こえる声が飛んできた。けれど、俺は作業中の駆動音に合わせて機体同士が触れる金属音でそんなこと聞けちゃいなかった。

 

 『ま、待て!今動かしたら....』

 

 そんな風な声が聞こえたかと思って、俺は傾げるような形で視線を下げると作業していた動きを止めて相手に確認を取ろうとする。....が、こちら側が何かしら声を出すよりも先に何かの音によってそれは妨害された。

 

 「何の音だ?」

 

 悠長にそんなことを言った瞬間、大きくひび割れるような音が断続的に通路内に響く。それに異常を感じた俺はここに居るといけないと思って機体を急速後退させた。だが、結果的にこの俺のとっさの判断の行動は事態を悪化させる要因の1つになったのは言うまでもない。

 

 「!」

 

 回避できたかと思っているのも束の間に後方へ着地した瞬間、音の原因にその行動が酷く干渉したのかその音のままに味方の乗っているAISの床部分が大きく沈み込んだ。その影響なのか一瞬格納庫内が大きく揺れる。

 

 「この....!」

 

 続けて俺は後追いで倒れないようにレッグをペダルで調整させて機体のバランス機能を全開にさせて倒れまいとした。....だが、俺もそこまでの熟練度がある訳じゃない。

 

 確かに、状況的にすべきことはしてはいたがその時の俺には焦りと言う不必要な物が胸の内にあった。それがミスを誘発させたのか、そこまでのことははっきりとは言えないが俺の操作が失敗したことは明らかなことだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「...うう、酷いな。」

 

 強い衝撃でバランスを崩してしまった僕は軽い脳震盪のような状態に陥っていた。ふらふらとして視界が上手く定まらないし耳からはノイズみたいな音がする。

 

 とにかく座り続けるのも出来ないと思って近くにあった壁を使って立ち上がることにした。

 

 「窓なんて全部割れちゃってるし、破片が飛んでこなかったのが幸いか...」

 

 少しずつ明瞭になっていく視界を頼りに今時分の居る部屋を再度確認すると辺り一面にガラスの破片が飛び散っていた。きっとさっきの衝撃で割れたんだろうな。

 

 ....でもまあ、良い意味で捉えるならこれで窓越しの部屋に行けるようにはなった訳か。あの後行き場も無かった訳だしここの関係者だった人には悪いけど嬉しい事故ってところかな。

 

 「危ないけど窓枠の縁に当たらないように....」

 

 床に広がる破片をあまり踏まないようにして窓の方にまで歩いて行くと安全に通れそうな場所を探してみる。残念ながら今の僕はグローブとか手を保護できるものが無いからね、通り抜ける時に破片を触ってしまわない場所の方が安全だ。

 

 それから特に危険度の少ないような場所を見つけられた僕は窓枠に手を触れないように注意しながら足だけを使って体を移動させる。既に向こう側は窓越しにでも見て理解してはいたから足の置き場には困らなかった。

 

 「....よし!上手く行けたぞ!」

 

 そうして時間は少し掛ったけれど僕は窓越しにあった別の部屋に侵入、もとい入り込むことが出来た。多分、窓枠が割れた時もそうだけど警報装置があるにしても電源が入ってないから作動しなかったんだろうな。今もこうして警報装置があってもおかしくない場所に居ても一向になったりしないし。...まあ、急いでここから出れる場所を見つけて早いところここから出よう。

 

 辺りを見回すためにしまったライトを取り出すと周囲が良く見えるように照らした。するとやはりでかでかと目に入って来るのはあの大きな機械だった。しかも、今は窓越しじゃなくて目の前にあるせいか迫力が違った。

 

 「確か、これがAIS?ってやつだとするとあの船に本来積んであるような物なのかな....でも、やっぱりぼろぼろだな。」

 

 ライトを当ててさっきまでよりも近くから観察して見るとその状態が分かるようだった。

 

 見てみて最初に気が付くのはその装甲板の少なさだった。...というよりも無いっていう方が正確なのかな。基本的に中の機械も配線も諸々出たままだし、本当にこれって動く状態の物なのかな?

 

 「...やっぱりさっき見たAISとは違うな。ヘッドの部分なんて形がそもそも違う系統だし。」

 

 上の方にライトを向けるとその例のヘッド()が明るく照らされる。確かにカメラの構造?が違うのか独特な形状だな。アンテナも中に埋め込み式じゃなくて外に取り付けられてるし、なんだかAISなんだろうけど違うものだっていう感覚が強いな。

 

 ....というか、別に乗る訳じゃないからこんなこと考えなくても良いのか。今は出口を探してるんだし。

 

 「はあ、早く出口を見つけないとな....?」

 

 そう呟きながらライトをAISのようなものから外して別の場所に向けた時、不意にライトの光を反射するものがあった。跳ね返って来た光が目に入って眩しい。

 

 さっきまでの段階で見つけていなかったもの、つまり出口に繋がるものかもしれないと思った僕はライトを下に下げるとその反射してきた方へ進んで行った。

 

 

 

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