PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742 作:Begew Garand
「ど、どうすれば良いんだ?相手と武器が釣り合わないし、火力がまるで違うじゃないか!」
「逃げても、結果は同じですよ....」
逃げ隠れた物陰に身を潜めながら相手と自分の力の差を再確認していた。
「銃は確かにあるけど....フォトン弾なんかであんな体に攻撃が通るのか?」
さっきバーンズさんが男のキャストに向かって一発撃ちこんでいたけど、跳ね返っていたことがもう一度頭を過る。
「....しょうがないですね、面倒ですから一気に行きましょうか。」
「?」
そうして短い間対抗策を物陰で練っていると女性の声がした。声が聞こえた時、同時に何かを構える金属の音が鳴る。
「弾が無駄になってしまいますが障壁を排除するにはやむを得ませんね。」
その言葉が出た次の瞬間、凄まじい速度で弾が射出される轟音とも取れるような連続した爆発音がし始めた。隠れるために使っていた残骸が弾丸によってみるみるうちに削られていく。
「ら、ライフルなんて全然違うじゃないか!どうすれば....どうすれば攻撃を加えられるんだ。」
残骸が削れていくなか、最後の気力で僕は対抗策を考えだそうとしていた。
「体には装甲があるわけで、武器も強力なわけで、火力も違うわけで.....」
色々と思考を足早に考えているといよいよ残骸が攻撃に耐えきれなくなったのか所々弾が貫通し始めた。時間が無い!
「こういうのも悪くないのかもしれませんね....ふふふ。」
「.....ど、どうにでもなれっ!」
「!」
結局、最適解が出なかった僕は勢いに任せて物陰から飛び出た。その瞬間に少しだけ相手が見えて、その表情は驚きを隠せていなかった。
「う、うわああああああああああああ!」
怖さから叫び声を出してしまいながらも僕は銃を構えて引ける限り銃の引き金を引いた、勿論狙いなんて適当だ。連発弾からしきりにフォトン弾が打ち出される音が響く。
「そんなっ....ああっ!!」
目を瞑ってしまって何も見えないけど僕の銃声に紛れて相手の声が聞こえた気がした。けれど僕は引き金を引く指を離さなかった、離せなかった。
「ひっ、ひっ、ひぃ...」
そうして自分でも訳の分からないほど混乱している状態だった僕は弾を撃ちきる音が聞こえてくるまで一心不乱だった。
「た、弾切れ、弾切れか.....」
弾が切れてからはそれを証明するかのように引き金を引いても金属音が鳴るだけだった。シリンダーは無いはずの弾を探そうとしては見つからず止まったり動いたりを繰り返していた。
「....そうだ!キャストの人は、キャストの人はどうなったんだ!」
それから少しした後、ようやくはっとして我に戻れた僕は当初の目的を思い出してさっきまで闇雲に撃ち尽くした場所に居た相手を確認する為に銃を下ろしてからその場所を確認した。
「何処だ....何処に行ったんだ?」
最初に油断していて後ろに回られたことから少し焦りながら探す。舞い上がった砂埃で上手く見えない。
「あれ、この装甲はもしかしてボディパーツの破片....だとしたらこの辺りにまだ居るのか?」
何とかボディのパーツの一部、僕が攻撃したときに壊れた部分が散乱しているのを発見してそれから少し歩いていると不意に足に何かが当たったんだ。
「なんだ...?」
それで、当然のことながら気になった僕は何かにぶつけた方の足の付近を振り返って、それを注意深く見てみるとそこには
「え?」
さっきまで戦っていた女性キャストの頭が無造作に転がっていた。
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「ノア君、そっちの方は大丈夫か?」
しばらくするとバーンズさんの声が聞こえてきた。今では誰も居なくなった大通りにはっきりと響いている。
「.....」
「?取りあえず確認の為にそっちに行くからな。そのまま待っていてくれ。」
けれど、そんな大きい声でも僕の中には全く届いてなんかいなかった。
「し、死んだのか....?それも僕が殺して、それで...」
人を殺めてしまったのかもしれない、その言葉だけが頭の中を永遠と巡っていた。
キャストであったからか転がっている頭からは血なんてものは一切流れていなくて、その断面には配線と細々としたパーツが垣間見えるだけだった。床にも擦れた後しかない。
「あ、ああ....」
ちなみに頭を発見した後そこから下の部分になるボディの部分は少し離れた場所に横たわっているのを見つけた。
「おいノア君、怪我は無かったか?かなり激しく撃ち合っていたみたいだが.....」
そうして僕が固まっているとバーンズさんがさっきの通り駆けつけてきた。
「片割れの方の女はどうなった....って、相当激しくやったんだな。首と体が綺麗に分離してるじゃないか....」
僕よりも落ち着いていたバーンズさんは特に動揺することも無くその僕が殺してしまったであろう相手の頭の部分にゆっくりと近づいて行って、その場でしゃがんだ。
「.....バーンズさん。僕、僕....殺してしまいました。」
ようやく口がまともに自分で動かせるようになった僕は消えるような小さい声でぼそぼそと言った。
「へ?殺した?何言ってるんだ、まだこういうのは生きてるさ。」
けれど、それを聞いたバーンズさんは呆気にとられたようにまだ生きていると僕に伝えた。まさかこれでまだ生きてるのか.....?
「これで生きてる.....?そんなことってあるんですか?」
少しだけ落ち着きを取り戻すことが出来た僕は一旦冷静になってバーンズさんに聞いてみることにした。
「ああ、キャストっていうのは脳の部分だけが生体部分。つまり生きている部分だろう?だから基本的には首が残っていれば回収して適当なボディなんかに接続してやれば直ぐに復旧するさ。ボディには生命維持装置....まあ俺らでいう心臓の代わりになる部分が基本備わっているから応急処置でその様に出来る。」
そう言うとバーンズさんはその女性の頭を丁寧に拾い上げた。
「首だけでも緊急用の維持装置が働くから問題は無い、まあだからこそさっきから何を言っても反応しないんだけどな。今は脳を保護する為に簡易的な睡眠状態になっているだけさ、それで死んだように見える。」
女性の目を手で流すように閉じさせながらそう教えてくれた。キャストにはそんな機能が備わっていたのか。
「じゃあ、僕は殺してはいないんですね....?」
まだ安心することが出来ていない僕は若干怯えながらバーンズさんに審議を聞いた。
「ああ、腐ってもこいつらはアークスだ。そんな簡単に死んだりはしないぜ。だからノア君も気にしなくとも大丈夫だからな。」
「は、はあ....良いんでしょうか。」
「良いに決まってるだろう?今回に至っては警告をしたのにも関わらず無視をして、更に攻撃まで加えてきたんだからな。これで死んでいたとしてもノア君が問われることは無いさ。」
確かにバーンズさんの言う通り相手は警告を無視した上で攻撃をしてきた。落ち着いて考えればこんなこと当たり前の処置だ。だけど、だけど同じ生き物同士で殺しあうのはどうしても受け入れ難かった。どんな人にでも大切な人が居るだろうから。
「....そうですか。」
「そうだ。まあ、これで仕事は終わりだ。奴らの持っていた物を回収してから後少ししたら来る応援車両にさっきの
こうしてバーンズさんと手分けをして装備品を回収し始めた。
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「....良し、この辺りまでで良いだろう。後の処理はここの区画の担当者が引き継ぐからな。」
あらかた回収をし終えたのかバーンズさんはそう呼び掛けてくれた。意外と時間が掛からないものなんだな。
「分かりました。後の物はそのままにしておきますね。」
「ああ、そうしておいてくれ。」
バーンズさんは一か所に物をまとめながらそう言った。ちなみにバーンズさんが相手した男のキャストは気絶させられているのか反応が無い状態でぐったりとしている。やはりバーンズさんの方が腕は上なんだな....
「お、そうこうしている内に車両が来たな。ノア君は積み込めるように準備しておいてくれよ?それが終わったらすぐに戻る。」
「分かりました。」
そう返事をした僕は女性のボディパーツ部分を抱きかかえて、その後すぐに到着した車両の座席に座らせた。頭は自分の手で持たせるような形で置いた。
「こんな感じで良いのかな....」
武器などの装備品は乗り物に積んであった容器に入れておいて分別?はそこでようやく終わった。
「良い感じだな。それじゃ、この仕事の報告書も作らなきゃいけねえし直ぐに戻るとするか。」
そうして僕とバーンズさんは行きにも乗ってきた装甲車に乗り込んで再びエンジンをかけなおした。
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「....そういえばバーンズさんってキャストに詳しいんですね。」
車で駐在所に戻る最中に僕はバーンズさんにそう聞いてみた。さっきのキャストの生命維持装置の話、キャストでしか知り得ないことだろうから気になってね、それで聞いてみたんだ。
「俺がキャストに詳しい?そんなことは無いとは思うがな......」
バーンズさんは少し笑ったような表情を浮かべながら半信半疑に返事を返してくれた。もしかしたら僕の認識がおかしいだけで常識なことなのかもしれないけどね。だけど、聞けることは聞いておきたいから....
「さっきの話を聞く限りでは僕はそう感じましたよ。そもそも
「うーむ.....まあ、俺がアークスだった時にキャストの奴と知り合いだったんだよ。そいつに色々なことを教えてもらって、それでそれなりにキャストについて知っているのかもしれないな。」
バーンズさんはハンドルを切りながらそう答えてくれた。そういえばバーンズさんは元アークスからのM.Sだったことを思い出した。
「そうでしたか....ごめんなさい、何だか深く聞いちゃって。」
「いやあ、別に気にすることじゃないさ。こうやってお互いに深く話をすることは大事なことだ。それは仕事においても日常においてもだからな。」
「そうなんですか?」
「ああ、これからも長い付き合いになりそうだしな。遠慮せずにそういう話はしてくれて構わないぜ。」
「わかりました。何か気になったら聞いてみますね。」
そうして話を終えた後、気が付いた時には既に車は駐在所に到着していた。
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『......プロテクトが解除されました。入力されたプログラムを実行します。』
機材の駆動音だけが響き渡る部屋に通るような声が響く。
『システムの再起動、エネルギー充填率47、69、75、81、97。再起動を行います。』
しばらくの間充填を行う低い金属音が響いたが一瞬のうちにそれは終わり次の動作に入り始めた。
『No.01、試験体の容態の確認.....許容範囲内の事象であるため許可。強制的にスリープを解除します。』
そのアナウンスが響くと何かが外れるような音が響き渡る。
『No.02、No.03の確認を行いま....行えません。重大な異常常z常が発生生生しています。現状の復帰を行ってください。繰り返します...』
「.......」
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「....出来ました!バーンズさん、報告書はこんな感じで大丈夫ですかね?」
「ん、少し待てよ今確認する。」
あれから駐在所に戻ってきた僕はバーンズさんと今当たったばかりの仕事の報告書を書いていた。
「....ここの文章は変えた方が良いかもしれないな。どれ、少しマニュアル出してみろ。」
「は、はあ....」
けれどこれが一番大変だった。この報告書っていうのは以前に貰ったマニュアルに記載されている通りの文章でないと承認がされないらしくて...それでバーンズさんに教えてもらいながら少しずつやっているところだ。
「僕、こういうの....こういう文章作成苦手なんですよ.....はあ。」
「こらっ、弱音を吐くんじゃないぞノア君。これだって重要な仕事なんだ、M.Sになったからにはこういうことも慣れてもらえないと俺も困るんだぞ?」
「それはそうですけどね....苦手なものは苦手なんですよ....」
ちなみに指定教育でも僕は文章関連の学習過程だけは飛びぬけて低かった。あの時にしっかりやっておけば良かったなあ....
「それは分からなくは無いんだがな....今回のものになると2人で分かれて対処に当たっただろう?だから各々が見たこと、起こったことはそれぞれにしか書けないんだ。つまり報告書を完成させるにはノア君の力も必要でな....」
「はあ....」
こんな形で僕はしばらくの間待機室のコンソールと睨みあっていた。まあ、コンソールが悪いわけじゃないんだけどね....
「....まあ、俺も嫌なことには変わりはないさ。こんなものを書いたところで上は何も見ていないからな。常に自分の保身のことだけさ....面倒事、厄介事には一切手を出さない。」
「?」
「ちなみにM.Sでこんなんだがアークスはもっと劣悪な環境にある。報告書なんてでたらめばかりが書き連ねられてるってな、俺が居た頃から噂になってたぜ。」
バーンズさんはため息交じりに話してくれた。
「全く、
僕も数回は遭遇したことがあるけれどアークスの暴走、最近では特に多くなってるって僕も噂に聞いたことがある。今のこの情勢が原因だってもっぱらの考察が多いけど、根本的から何か別のものが働いているようにも感じるんだけどなあ....
「....そうですね。」
そうこうしながらも僕はマニュアルに沿って文章の作成を続けた。