PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-09 「捜索」

 「はあ、はあ.....ああ、ノア君!そっちの方は一人でも見つかったか?」

 

 「い、いえ!こっちの方もまだ見つけられてないですよ!」

 

 お互いに息絶え絶えに現状の報告をした。

 

 「畜生、相手はスラスターなんてもの艦内で使ってるってのに俺たちは自分の足で移動かよ....」

 

 バーンズさんは現場に急行してからずっとこんな調子で、今回はどうにも相手が悪かったみたいだ。僕も急行して来るまでの間に装甲車の無線で対象がどんなものなのかを聞いてはいたけれどこの間バーンズさんと一緒に交戦した相手の所属組織C.R.S.F、その組織に所属しているアークスが前回よりも更に計画的に事態を起こしているらしい。

 

 「しょうがないですよ....ここじゃ装甲車は足場が悪くて進めませんし、もし進めたとしてもあのスラスターの出力には勝てないですから。」

 

 ちなみに最初のうちは装甲車で追跡をしようしたけれど防衛兵器の残骸は勿論のこと、もはや原型を留めていないような瓦礫が路上に点在していて装甲車が通ることが出来なかったんだ。

 

 「確かにそうだがな...まあ、今は文句を並べているときじゃないか。」

 

 そう言うとバーンズさんは頭を掻くのを止めてしっかりと銃のグリップを握り直していた。

 

 「よし、後は俺がこの辺りを続けて警戒しておく。ノア君は隣の区画に行って対象の捜索、それと万が一にだが生存者が居た場合に連絡を送るように頼む。あっちの方は被害の程度が低いようだからあまり危険も無いはずだ。」

 

 バーンズさんは区画のある方を指で指しながら指示をしてくれた。確かにここから見える限りでは建物の損壊もそこまでは酷くなくて色々な意味で安全性は高そうだ。

 

 「....あの、指示に不満は無いですけど...僕が安全な方の区画で良いんでしょうか。」

 

 話を聞いているうちに気になったことを聞いてみた。指示の内容としてはおかしくはないけど...これだとバーンズさんが自ら危険な道を選んでいるようなものじゃないか。

 

 「良いのさ。ノア君にはこの間随分と仕事してもらったからな、その分のお礼だ。」

 

 「は、はあ....」

 

 けれどバーンズさんは意図的にその選択をしていたようで特に問題は無さそうだった。お礼とは言われたけどあの時はそんなに役に立てた気がしないんだけどな...

 

 「それでも危険なことには変わりはないからな、もう一度気を引き締めておいてくれ。それじゃあまた後で合流だ!」

 

 「分かりました!何かあれば連絡しますね!」

 

 こうして僕は再びバーンズさんと別れて捜索作業に戻った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「損害が少ないとはいえ酷い状況だな....煙も酷い。」

 

 隣の区画に移動した僕は指示通りに対象と生存者の捜索をしていた。だけど普通にとはいかなくて煙が区画一帯に立ち込めているからか時々むせながらの捜索だったけどね。

 

 「げほっ....流石に生存者、逃げ遅れた人は居ないよね。」

 

 しばらくの間辛抱強く探していたけれど考えた通り人影は一つも確認できなかった。そうして取りあえず現状をバーンズさんに連絡をしようと思って立ち止まれる場所を探しているとさっきまでの場所とは打って変わって煙があまり充満していない場所に出たんだ。

 

 「....ここは煙が少ないな。この区画の中でも特に被害が少なかったのか?」

 

 辺りを見渡しながら状況を見てみると瓦礫がほんの少し落ちているだけで装甲車でも問題なく走れそうなぐらいだ。

 

 「こういう場所ならさっきとは違って人が居てもおかしくは無さそうな気がする....もう少し探してみるかな。」

 

 それで、生存者の居る確率が上がったように感じた僕は連絡をせずに探索を続けていると不意に声をかけられた。

 

 「...おい!そこの歩いてるの!そう、お前だよ。悪いが少し確認したいことがある、良いな?」

 

 「?分かりました。」

 

 相手は僕とは違う部隊の所属のM.Sみたいだった。見てみると服装は同じだけど会ったことのない人、バーンズさんではない人だったから違う部隊の人なんだろうな。

 

 「お前はこの辺りを捜索してるようだが....もしかして俺たちと同じで対象の捜索か?」

 

 「はい、もう一人の方が隣の区画の捜索に当たっているので僕の方はこちらの方の捜索に当たっているところですよ。」

 

 そうして当たり障りないように質問に答えるとその人は少し短い時間渋い顔をした後、はっとしたような素振りを見せるとそれと同時に口を開いた。

 

 「い、いや、そうだったか。えっと、そうだな.....ああ、この辺りは既にうちの部隊の方が捜索を行ってあるからお前はもうここの区画を探さなくて良いぞ。捜索中のところ悪いがな。」

 

 何故だが慌てたような口調でそう伝えてきた。詳しくまで理由は分からないけど一体何が.....?

 

 「良くは分からないですけど....そちらが言うのなら分かりました。じゃあ、こちらの方ももう一人の方と合流することにしますね。」

 

 「.....ああ、そうするようにしてくれ。」

 

 こうしてきまりが悪そうに挨拶をしたのを最後に気が付いた時には急ぎ足でとっととその場を去ってしまっていた。本当に何だったんだろう....?

 

 「取りあえずバーンズさんに連絡をして現状の報告でもするか.....」

 

 それで僕は端末を開いて今あったことを報告しようとすると今まで見ることが出来なかったものをそこで見たんだ。

 

 「....?人影に見えるけどさっきの人じゃないな、服の色が何となく分かるけどM.Sの制服の色じゃないし。」

 

 一瞬さっきの人が居るのかと思ったけどその影は大人にしては小さすぎる形だった。だとしたら子供か?

 

 「大人じゃないとしたら.....まずいな、早く行かないと!」

 

 確認をするためにも僕はその影のある建物の軒下まで走っていった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「.....ふう、やっぱり小さい男の子じゃないか。道理で影が小さいと思ったら....」

 

 そうして短い間走って、その場所に着いた僕はあの影の正体を知ることが出来た。まあ、やっぱり小さい男の子だったんだけどね。

 

 「怪我はないみたいだけど気絶してるな。よっぽどでも強い衝撃を受けたのか?」

 

 男の子に怪我は無くて脈も正常、息もはっきりとしていた。本当に最初の時かそれ以外に何かの反動で頭に強い衝撃が加わったんだろう。

 

 「....?この辺りの道だけやけに擦り傷が多いな。こういう擦り傷は車両とかじゃ付かないはずなんだけどな....不思議だ。」

 

 確かに良く足元を見てみるとそこら中何か金属か何か硬いもので地面を擦ったような跡が付いていたんだ。しかも塗料?も一緒に剝がれていた。

 

 「他の道にある傷はどれも古い物だから大して目立たない程度になっているけど、この傷だけは何だか新しいな。」

 

 普通なら上から更に削れたりゴミが入り込んだりして案外道路の傷は古ければ古いほど目立たなくなるはずなんだけど....この傷だけはまだ最近できたばかり、ついさっき出来たばかりにも見える。

 

 「もしかしてキャストのスラスター移動の時に地面を擦ったのかな...?でも、スラスターを使うなら地面からはしっかりと離れるはずだし地面に当たるはずないか。」

 

 ちなみに傷は道に沿って続いていて何かを引きずったようになっていた。傷も次第に深くなっている?ようで奥に行けば行くほど傷跡が深くなっていっていた。

 

 「.....辿っていけば対象を見つけることが出来るかもしれないな、幸い傷は劣化していないし見つけるのも難しくないかも。」

 

 それで対象を発見することを優先することにした僕は男の子を一旦建物の路地に安置させて安全を確認してからその傷を追うことにした。

 

 「ごめんね、この後直ぐに迎えに来るから....って気絶している子に何言ってるんだ。」

 

 生存者を送り届けるのは重要だけれどもより安全に運び出すには対象を鎮圧する方が先になる。その方が被害も少なくなって人命も多く待ることが出来る...ってマニュアルに書いてあったけど確かに対象を片付けてからの方が良いのかもしれない。

 

 「良し、そうと決まったら早めに行動しなきゃな。男の子のことも心配だしな....」

 

 この後の行動を決めた僕は早速傷跡を頼りに道を進んでいくことにした。傷はさっき見た通り塗料が一緒に剥がれ落ちていることと傷が大きく深くなっていっているから追うのは簡単だった。

 

 「....最悪の時にはこの間みたいに戦闘になるんだよね。」

 

 傷跡を追いながらもその様なことが頭を過った。確かにこの傷を追っていけば対象に遭遇することが出来るかもしれない。けど、それはつまり相手が敵対しているということだから交戦になるのは間違いないか。

 

 「...はあ。大丈夫、大丈夫だ。僕にも銃はあるんだから落ち着いて冷静に対処すれば僕だってバーンズさんみたいに出来るはずだ。」

 

 あの時は慣れていなかったと言ってしまえばそれまでだけど冷静でなかったと見ると裏を返せば冷静に対処すれば僕にでもバーンズさんのようにやりようはあるってことだ。

 

 「まあ話し合いでどうにか出来るのなら良いんだけどね....」

 

 結局は思考が屁理屈に落ち着いてしまいながらも僕は引き続き傷跡を追い続けた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「何だかこの辺りは臭いが強いな....何だろうこれ?」

 

 あれから引き続けて傷を追っていた僕は臭いが強い場所に来た。炎の燃えた後のような、もしくはガスが燃えた後みたいな臭いがする。

 

 「げほっ、げほっ.....うう、折角煙からおさらば出来たと思っていたのに....」

 

 臭いの激しさからついむせてしまいながらも辺りを見渡して対象が潜伏していないかどうか確認しながら一歩一歩進んでいく。そうすると瓦礫の少ない道にそれなりに大きな黒い塊が見えた。

 

 「?この辺りは瓦礫が少ないはずだけどあの大きさで色も黒なんて言うのはまだ見てないな。」

 

 ここまで僕が歩きながら見ていた瓦礫や残骸は大抵塗装が剝がれてしまっていて中身が剝き出しな状態のせいで濃い色の瓦礫?が落ちているのは珍しかった。

 

 「黒色....もしかしてさっきまで傷に落ちていた黒色の塗装と同じ物かな?」

 

 道に落ちていた塗料と同じ色に見えたのでそう思ったんだ。だとしたらあれは武器か何か何だろうか。そうだとするなら中々に大きいサイズだな。ライフル...にしては大きすぎるしランチャーにしては小さすぎるか。

 

 「現場の物品は後で回収するんだし確認位はしておこうかな。」

 

 そうして確認をするために僕はその黒い塊に近づいていった、けれど。

 

 「.....?」

 

 けれどそれは武器なんかじゃなかったんだ。形状から見てそうだと分かるんだけれどどっちかって言えばキャストの人向けに作られているパーツにも見えなくはない。

 

 「一体これは何なんだ....」

 

 そうして気になった僕はそれを今まで見ていなかった逆側から見てみることにした。

 

 「....!これはただのパーツなんかじゃない、キャストの人じゃないか!」

 

 見てみるとそこには何と人の顔があったんだ。だけど目は閉じていて...この間バーンズさんに教えてもらったけどこれがキャストに備わっている緊急用の維持装置なのかな。

 

 「すみません大丈夫ですか!」

 

 早速僕はそのキャストの女の人の傍に座ると自分の出来る限りの応急処置を施すことにした。敵だとか味方だとか、今だけはそういうことは考えたくない。

 

 「維持装置って、ボディには首が繋がったままだから大丈夫か....他の部分は酷いな、原型なんてほとんどないぞ。」

 

 基本的にキャストの人はその硬い装甲板のお陰で滅多に怪我を負うことなんて無いはずなんだけど、この人は文字通り蜂の巣にされてしまっているような状況だった。

 

 「...この人が組織の人間だとするならこれをしたのは僕とバーンズさん以外のM.Sか。」

 

 ふとさっきすれ違ったM.Sの男性の姿が脳裏を過った。

 

 「僕も似たようなことをしてしまったから強く言い出すことは出来ないけど、ここまでやる必要は無いんじゃないか?武器も殺すことを目的に作られていないんだからせめて無力化程度が良いんじゃ....」

 

 彼女のパーツの欠損部分を携帯していた包帯で覆い隠しながらもそう思った。何処かの言葉で何かに対抗するためにはそれと同じものをぶつけなければ勝つことはできないと言われたようにあの組織(C.R.S.F)のように過激な思想を持っているところには同じように過激でなければ対抗することは出来ないんだろうか。

 

 「....よし、これぐらい覆っておけばこれ以上壊れることも無いだろ。取りあえず対象を見つけることもできたし生存者も一人、現状を報告しないとな。」

 

 そうして僕は端末を起動してバーンズさんに通信を飛ばした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 『ノア君、さっき連絡で話していた少年の方だが俺の方で保護しておいた。怪我についてだが外側から見る限りでは傷は無いが体の中までは分からん。取りあえず今からメディカルセンターまで届けてくるからよ今回の仕事から駐在所に戻るときにはコンベアを使って戻るようにしてくれ。費用は俺が押さえておくから気にしないでくれよ。』

 

 「分かりました、取りあえず駐在所まで戻りますね。」

 

 バーンズさんと連絡の取れた僕は先程発見した生存者と対象の内の一人をどうするべきかを話し合って、結果としては男の子をバーンズさんが受け持つことになって僕の方がこの対象、キャストの女の人を受け持つことになった。

 

 『そのキャストは万が一スリープから目覚めたとしても暴れることは勿論逃げることも出来ないとは思うがそれなりに計画性のあることをしでかしてくれた連中の一人だ。駐在所に運ぶ時にも到着してからも気を抜かないようにな。まあ到着してからそのキャストの対応については説明する、それじゃあまた後でな。』

 

 そこで電子音が短く鳴って通信は終了した。

 

 「.....よし、気を付けて戻ろう。」

 

 そうして僕は背中にキャストの人を背負う形で移動をして駐在所まで向かうことにした。

 

 

 

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