本編の文章が難しすぎて思い付きで書きました。
「下田君何読んでるの?」
「ん? 西住か。今呪術廻戦読んでた」
「じゅじゅつかいせん? 面白いの?」
「めっちゃ面白い。西住も読むか? 俺単行本3巻ずつ持ってるし一冊ずつ貸すよ」
「ありがとう。今日読んでみるよ」
「おう。今度感想教えてくれよ」
Twitterを漁ってたら栃木県で離れた場所で呪術廻戦のイベントが明後日にあることを知った。丁度その日は祝日で予定もなかったので行くことにした。
イベントの公式サイトによると、呪術廻戦のイラスト大募集とのことだ。折角なのでデジタルイラストを仕上げてくるとしよう。趣味で時々イラストを描いてはネットにアップする俺だが、こうして現実で自分の絵を晒すのは初めてかもしれない。あとは……コスプレとかしていこうかな。サンダースの件で意外と悪くないことに気づいたのでやってみたくなった。こういうのは優花里にお願いするのがいいか。
「というわけだが」
「いいですよ。釘崎がいいですよね」
「なんでやねん。男でいいだろ」
「……それもそうですね。身長的にもおかしいですし。今何センチでしたっけ」
「最後に計った時は178とかだっけか。全体的にあの世界の人間の身長高すぎるよな」
「伏黒とかもいいと思いますがいっそのことナナミンにしてみませんか。見る側からすると違和感ないと思うんですけど」
「あーそうするか。てか優花里結構呪術廻戦詳しかったりするの?」
「本誌勢です」
「なるほど」
強い。
「でもあまり時間ないんだけど大丈夫か?」
「ナナミンの服装は普通の服装なので意外と手持ちで済むかもしれませんよ。下田殿の家で一回探してみてください。ヒョウ柄のネクタイはうちの親が持っているので大丈夫です」
「お、おう」
貸してくれる前提なんだ。
「本当は私もそのイベントに行きたいんですけどその日は丁度用事がありまして……」
「そりゃ残念。何かいい思い出あったら買ってくるよ」
「いいんですか? ありがとうございます」
「おう」
「因みにナナミンの声真似は出来ますか?」
「海馬社長と同じ声だろ。出来るぞ多分」
「何か台詞言ってみてください」
「んん……『労働はクソである!!』」
「おお! そのままじゃないですか」
「いけそうか?」
「いけますよ上々です」
「あのヘンテコ眼鏡は……別にいらないか」
「あ、それ私持ってますよ」
「え、どこで入手したの」
「自分で作りました」
「お前凄いな……」
「えへへ」
「じゃあそれ使わせてもらうわ。髪は……流石に染めるわけにはいかないしどうするか」
「うちの店でなんとかできると思いますよ。私から親に頼んでみます」
「そうか。床屋だったなお前の家」
「はい。鬘も店にあったやつでした。でもうちの学校は頭髪に関してそんなに厳しいわけじゃないんで染めるのも大丈夫だったはずです。どうせ今後の戦車道で女装するならイメチェンも兼ねて金髪にしてみては?」
「あー、どうしよう。今までこんなことなかったからなあ」
「私、下田殿の金髪ツインテール見てみたいです! それに結構早い内に色が落ちる染め方もあるのでそういうのをするのも良いと思います」
「でも、お高いんでしょう?」
「流石にただってわけにはいかないと思いますが私が父に頼んで安くします」
「んーそうだな」
迷う。でもコスプレでもしない限り俺髪染めるなんて体験しないだろうしな……。1度は経験してみたいとい願望はあった。
「じゃあお願いするわ」
「はい!」
「小僧は優花里の何だ」
「え、何だと言われてもただの友人関係としか」
「小僧は男女の友情はありえると思っているのか?」
「ありえるありえないも……俺学校で唯一の男子生徒なわけですし誰かと仲良くなったら必然的にそうなるしかないでしょう。別にそういう関係ではないですよ」
「娘に変なことをしたら今度この店に来た時にツインテールにしかならないような髪にしてやるからな」
秋山家は何故そこまでツインテールを推してくる。それに開幕から小僧って……。でも腕は確かなようで、口は悪いが感覚は心地いいまま散髪は進んでいる。そして本来であればもっと手をかけて色を定着させないといけないようだが、今回は長期間染められたままである必要はないので面倒な過程は省くことになった。
「ところで先ほど見せた画像は誰なんだ」
「今流行りの呪術廻戦って漫画のキャラクターです」
「かっこいいのか」
「はい」
「僕がこの格好をしてもか」
「いやそれは知らないですけど多分無理だと思いますよ」
「そうか……」
鏡に映る秋山さんの顔はとても残念そうだった。
「でもこの漫画には色んな登場人物がいますから探せば可能性があるのもいるかもしれません」
「本当か!? 優花里に聞けば分かるか?」
「恐らくは。それより出る前にこの髪型にセットするコツを教えてください」
「ああ、それは――――」
当日、電車とバスを乗り継いで会場についた俺はイベントの主催者らしき人を訪ねることにした。
「失礼します」
「ん? おお! ナナミンだー、じゃなくてどちら様ですか」
「ネットで連絡を取らせていただきましたはちみんです。描いてきたイラストのデータを持ってきました」
「ありがとうございます! ではこちらでプリントして、デジタルのイラストも展示しますね。前に申し上げた通り、このイベントが終わったら色々グッズを差し上げますのですぐに帰らないようにしてくださいね」
「分かりました」
「それにしても……本当に似てますね」
「そうですか。ありがとうございます」
「あ、これさっき買ってきたおにぎりですけどいりますか?」
「必要ありません」
「出たー! 本当にナナミンそっくりだ!」
言わせたかっただけかい。
「写真撮ってもいいですか?」
「構いませんよ」
「キャー!」
イベント開始して早3時間。写真を撮られた回数は数え切れなくなっていた。この会場にはコスプレしている人間は俺以外にもいる。五条先生をはじめにまさかの東堂(という名のただの筋肉)も存在していた。後にコスプレ参加者同士が集まってなんらかのイベントがあるようだが、その時に俺も写真撮ってもらおう。
「お、俺のイラスト展示してある。って周りレベル高いなおい」
いつの間にかきれいに印刷されていた俺のイラストが展示されていた。周りにある絵も公式のかと思うくらいクォリティが高いものばかりだ。なんだかそれと同列に並んでると嬉しいな。
イベント内ではグッズが多数販売されていたり屋台形式で料理も売られていた。
「丁度昼時だし食べるか。すみません」
「はい! おお! ドゥーチェ! ナナミンっすよナナミン」
「え? わー! 本当じゃないか……じゃなくて! ご注文はいかがなさいますか?」
「ではナポリタンで」
「かしこまりました!」
黒髪の女性店員が料理を作りながらドゥーチェと呼ばれた緑の髪の女性店員に叱られている。もう一人金髪の店員もいるようだが、全体的に明るくにぎやかな感じだ。
「はい! 出来上がりましたアンツィオ印のナポリタン!」
「ありがとうございます」
アンツィオってなんなんだろう。
とても美味しかった。
一通り回って疲れた俺はベンチに座ることにした。
「結構買っちまったなあ」
俺の推しキャラは東堂なのだが世間一般的な反応からして五条、伏黒辺りに人気が集中してるかと思ったら端にあった東堂のコーナーが予想外に人気出ててグッズを買うのに苦戦した。
「隣失礼します。人どんどん増えてきましたよね」
「ええ。貴方は開始時からいた方ですか?」
「そうです。ナナミンさん。一つお尋ねしてもいいですか」
「一応登録名ははちみんなのですが……まあ、構いませんよ」
俺の隣に座ってきた女性は立ち上がり、手を前に突き出し腰を下げて言った。
「どんな女がタイプだ!」
「はい?」
「気にしないでください。品定めみたいなものですから」
「はあ」
この人多分俺が東堂のグッズを買ってるのを見て東堂好きを察したんだろうな。綺麗な金髪のロングだ。染めたのだろうか? 俺も現在染められた状態ではあるが違いが一切分からない。それと、このお決まりのセリフにどう答えるべきか。「ケツとタッパがデカい女性」と答えるべきか、それとも本編でナナミンと良い感じだったパン屋の女性の特徴を言うべきかはたまた。
「あ、別に深く考えなくていいですよ。単純にはちみんさんの好みを聞いてみたいんです」
それはそれでいきなり詰め寄りすぎではと思ったがオタク同士の間にATフィールドはないのだ。詰め寄られたらこちらも詰め寄るのが鉄則。
「落ち着いた雰囲気で俺より身長が低い人が好みです」
「……どうやら私達は親友だったみたいだな……」
「どうしてですか」
「いやーここまでがセットみたいなとこ、ありません?」
「確かに。貴方も東堂、好きなんですね」
「はい。大好きですよ。あ、私はカルパッチョと言います。ここの近くに住んでいます。貴方はどこから来たんですか?」
「俺は茨城の大洗ってとこからですよ」
カルパッチョという名は流石に俺みたいに登録名なのだろう。
「大洗! 大洗学園にいるをやっているたかちゃん……鈴木貴子って知ってます?」
「知りません。すいません。俺も大洗学園に通っている身なのですが」
「そうですか……。今何やってるか知りたくて」
「幼馴染みたいなものですか?」
「そんな感じです。今度戦車道の全国大会があるんですけど、もしかしたら戦うかもしれないんです。私達と大洗学園は恐らく2回戦で」
「そちらの高校名はアンツィオですか?」
「はい」
「なるほど。でも大洗はまだ戦車も良いのは揃ってませんし経験も浅い。正直俺が言うのもなんですけど余裕だと思いますよ」
「どうでしょうか。噂によると聖グロリアーナとの殲滅戦で惜しいとこまでいったらしいですし」
「まあ、そんなこともありましたね。アンツィオはどんな戦車を使うんですか?」
「うーん、はちみんさんになら言ってもいいですけど……男性ですし」
「いえ、やっぱり聞かなかったことにしてください。ここでそういう話はしたくない」
「? ああ。今はイベント中ですもんね。今はこれを楽しみましょう」
この前は元々
「お、コスプレしてる人間に集合かかってる。行ってきます」
「頑張ってきてくださいね」
「いえ、そこそこで済むならそこそこで」
色々あったが、無事イベントは終了した。サプライズゲストにまさかのアニメ関係者が来たりと大盛り上がりだった。そして何故かコスプレ大会で優勝を果たした俺は作者のサイン入りの色紙と(作者曰く)これをモチーフとした物を本編の東堂が付けているらしきゴムを入手することができ、更にアニメの裏話も聞くことができた。ここまで素で楽しむことが出来たのはいつ以来だろう。
アンツィオ高校の人間ともよく話した。主にイタリア料理のコツや戦車道の観戦の楽しみ方を教えてもらったり、呪術廻戦の魅力を俺が話したりとアンツィオ高校の人間はノリが良いこともあり興味を持ってくれたようだった。それと勢いでアンチョビというアンチョビのリーダーと連絡先を交換することに成功。この人の名前安斎千代美って言うのか……。ドゥーチェやらアンチョビやら言われてるが本人がそう呼べと言っているのだろうか。
大洗は茨城にあるのだが、去年まで魅力が低い県ランキングで不動の1位だったのだが、なんと今年からは栃木が一位。今度また来ることがあれば栃木巡りをするのもいいかもしれない。本当に茨城に匹敵するのかこの目で確かめようではないか。その前に茨城をもっと知らなければならないが。
大洗に帰ってきた。帰りがけに西住一派と出くわす。疲れていたのでバレないようにして家に帰ろうと思ったのだが。
「え? ナナミン!?」
西住に見つかってしまった。優花里が「あちゃー」と言いたげなのが顔に出てる。元々友達がおらず、周りの目を気にしていた優花里のことだ。いち早く気づいていたのだろう。どうしようか。逃げるか?
「えっと、コスプレの方……ですよね」
「……そうですが」
「良かったら写真、一枚撮ってもらえませんか!」
「「「「!?!?!?」」」」
ええ!? あの恥ずかしがりの西住が初見の人間に写真を懇願!? 彼女を突き動かしたのは一体……。
「私、その。友達に最近呪術廻戦を勧められて、読んでみたら凄く面白くて。それでナナミンが一番好きで……。あ、その人は私の大事な友達で。いやいやそれは今関係ないか! 恥ずかしいなあ……」
「分かった。分かりました。えーと、じゃあここで撮りますか?」
「良いんですか!? 丁度その人は貴方と同じくらいの身長なんです。でもまだ一緒に写真撮ったことないんです」
「西住殿……」
優花里分かるぞ。どうにかして西住を止めようとしてくれているんだよな。ありがとう。でもどうすることもできないんだろう。武部に関してはいつも通りだ。すぐに恋愛に繋げている。そしてそのメモ帳はなんだ。
「ではそこの方にお願いしてもいいですか」
「あ、はい。分かりました。では撮りますよ。はい、チーズ」
パシャリ。
「あ、ああありがとうございます!!!」
「いえいえこのくらい」
俺はメガネを取り、髪型を崩した。優花里から西住のスマホを受け取ると。
パシャリ。
「えええ!? どうして!?」
「まだ、『俺』とは撮ってなかったろ。普段はあまり好まないんだけど今日は沢山写真を撮ったから抵抗感あんまりないんだ。撮るなら今かと思って。嫌だったか?」
「え、その声は……下田君?」
「ビンゴ。声戻したら案外すぐ分かるんだな」
「え、本当に下田君なの? え、えええ!?」
「そうだよ」
「本当にそうだ! でも何でその恰好をしているの?」
「イベントが栃木であったんだよ。あとは少し興味もあった。それより、ちゃんと読んでくれたんだな」
「うん! とっても面白かった!」
「そりゃ良かった」
結局正体を明かしたわけだが、これが正解だったのかは分からない。でも普段見せない西住の反応も見れたし、何より凄く楽しそうだったから良しとしよう。
「あのさ! 下田君は!」
武部が急に大きな声を出した。意識がそちらに向く。
「下田君、今凄く楽しそうだったし、みぽりんに積極的になってたんだけど……」
「確かに普段の下田さんからは考えられない感じでしたね」
「見た目が変わるとここまで性格も変わるのか」
俺はこいつらにどう思われていたんだ。でも一応彼女らの言い分は分かる。アンツィオの彼女らに影響を受けていたのかもしれない。割と中学までの俺っぽい立ち振る舞いだし変わりやすかったのだろう。
「一つだけ聞いてもいい?」
「ん? 構わんが」
武部は目を合わせるのが恥ずかしいのか、若干斜めに顔を逸らして言った。
「どんな顔の女がタイプなの?」
その意外過ぎる……いや、武部らしいといったらそうなのか。そんな質問に対して俺と優花里、西住は思わず笑ってしまう。
「な、なによ3人ともいきなり笑って!」
「ははは! いや、すまない。でもこれは不可抗力なんだ」
「いいから! 答えてよ」
すっかり顔を赤らめた武部に俺は髪をたくし上げ、ゴムで括り、膝を曲げ
「
某雪国の学園艦にて――――。
「クシュン!」
「どうしたの――。――が風邪をひくなんて珍しいわね」
「いいえ。風邪ではありませんよ。しかし何故でしょう。急に鼻が痒くなりまして」
「もしかしたら誰かが――の噂をしていたのかもね!」
「どうでしょうか。それより口に付いてますよ。少し動かないでください」
「ん……」
もしも私の噂を誰かがしているとしたら恐らく戦車道の、それも射撃のことだろう。私の二つ名はブリザード。狙った獲物は逃さない氷の女。
……この二つ名と周りと比べても高すぎる身長で近寄られにくいのが最近の悩みだ。
完全なギャグを組み込みたかったのですが技量不足により無理でした。すまねえ……。
でもこの作品は基本的にシリアス展開は訪れないと思うのでその辺は安心を……。多分。
最近呪術ロスすぎて辛い……。