どうやら大洗の戦車に男がいるらしい   作:第六位

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期間が空いてすみません……。
サンダース戦は原作よりナオミが強くなってる設定上活躍のさせ方が難しかったです。説明不足な点が結構あるのでもしかしたら主人公以外の視点からの試合内容を書くかもしれません。


第10話 決着です!

 さてさて始まりました戦車道全国大会第一回戦。その相手は有名校であるサンダース大学付属高校。この高校の特徴はなんと言ってもスケールがデカいことだ。保有戦車両数は全国ナンバーワン。もちろん戦車道履修者数もたくさん。

 よく言うだろう。「量より質」と。なるほど確かにこの言葉は汎用性が高い。しかし、絶対ではないのは誰もが分かっていることだろう。

 例えば戦車道。戦車道で使える戦車はなんでもいいというわけじゃない。よって、使用される戦車の性能差も基本的には絶望的までには変わらないのだ。その性能差は使用する人間の技術だったり、体調の扱いだったり……。まあ、色々あるのだ。最も簡単なのは性能差を量で埋めることだ。

 サンダースが優れているのはそこだ。相手の戦車の性能が高くても、数ある戦車で突撃して少数の犠牲覚悟でいけば確実に戦力を削れる。

 では、大洗の話で考えてみよう。

 性能差、、、、負け。

 車両数、、、、大敗。

 経験、、、、、負け。

 

 ????????????? 

 

 よって、この勝負は危険な賭けをしなければ勝てないと踏んだ俺は作戦を立てた。簡単に言うと、100人を超えるメンバーから選抜された人間の出世欲による独断行動だ。

 もう一つの賭けがある。相手に有能な指揮官、それが隊長でもいいし、そうでなくてもいい、その指揮官がこちらの動きを超敏感に察知することだ。そんな人間に更なる読みで勝つなんて不可能に近いだろう。ならば相手に偽情報を掴ませる。いくらなんでもその人間が常に大洗の戦車を観測できる位置にいることはないだろうから、そこをつく。例えばこちらの指揮官を二人にし、それを明かさないままその二人を中心とした陣形を作ったり。どちらも独立した指揮だから先読みもかみ合わない部分が出てくるだろう。

 より自然な動きを味方にしてもらいたいので、アンコウチーム以外の人間にはこの作戦は伝えないでおいた。

 

 

 

「下田殿、さっき結構見られてましたね……」

「流石に身長を誤魔化しきれなかったか。出来るだけバレないように屈んでたんだがな」

「あはは……。それよりも、なんというか、下田君って結構何にでも似合うんだね」

「せめて女装以外で言ってほしかったよ」

 

 始まり前の挨拶が終わった後、用意された戦車に乗るために場所へ向かっていたのだが、その時西住達から何とも微妙な気持ちになる言葉を言われる。

 本日の恰好は金髪ツインテールwith大洗の女性用制服だ。ちらりと鏡を見たが、これまた何とも言えない。だがバレなければそれでよかろうなのだの気持ちでやっていこう。

 

 

 

 

 

 

 時は流れて試合中。俺は最初に決めておいたポイント、見晴らしのいい高台に岩で戦車を隠しながら待機していた。

 

 

「さっきから驚くほどこっちに向かう車両が見つからないな……。全部通り過ぎる。深読みかもしれないが、一応西住に退路としてこの道を使うことを伝えておくか?」

 

 位置を教えないために狙える位置にいる敵も攻撃しないでおく。俺の予想だと、今回のマップで一番の狙撃ポイントはあの高台だ。あの高台だったら、森から追い出したフラッグ車が通っていく平野を狙撃出来る。

 最終的に俺はそこにいる戦車を狙撃することになる。そう思ったのだが。

 

 ピロン♪

 

「え? 試合中に武部からメール?」

『今からみぽりんが伝える情報は全部嘘だから! 必要な情報は全部私が文章で送る!』

 

 どういうことだってばよ。

 

『相手が盗聴していたの。だから通信が全部聞こえてた』

 

「……まさかこんな感じで作戦が進んでいくとは。しかし、これはこれで不味くないか?」

 

 俺が事前に伝えていたせいで、ただでさえぐちゃぐちゃの指揮をしていたわけだ。相手も困惑しているだろうが、味方が立て直すのに時間がかかるはずだ。これは俺がナオミを相手する以前に時間稼ぎをするべきではないのか。

 

『俺は様子を見つつ倒せる敵いたらその都度倒していく。完全に建て直したらまた移動して狙撃のポイントにつくよ』

 

 しかし予想外なのは未だに大洗の車両が一つも撃破されてないことだ。俺の無線機には武部の指示と西住の指示のどちらも別に聞こえてくるため、状況整理が出来なかったが、いい感じに嚙み合ったのか。もしかしたら盗聴してた相手も俺みたいな感じに聞こえていたのだろうか。しかし、俺と違ってもっと上手く聴き分けれるんだろう。実際に支持を読み取り、先読み出来てないとそもそも西住達は気づかないわけだ。

 となると結局相手が機械に頼らなかった場合、俺達は反撃の手段が無かったわけだ。程度にもよるだろうが……。

 

 すぐに武部の声がなくなり、西住の(恐らくブラフ)の指示のみが聞こえてくるようになった。俺は武部が送ってくる情報を整理しながら、移動する位置を考える。

 

『上手くフラッグ車を罠にハメれた! 追いかける!』

『了解。先にいる敵倒しておく』

 

 なんというとんとん拍子。さて、では俺は俺の仕事をこなさなければ。

 第一目標はナオミ。ファイアフライに乗っていると思われる。見つけたら即対処だ。

 

「あれ? なんで戦車の集団が動かずにいるんだ?」

 

 移動した先に見えたのは留まったまま動かない戦車達。サンダースの一番の強みはその物量なはずだが……。

 

『車両数、釣り合って無くないか?』

『そうみたい。みぽりんも6両しか来てないことに不信がってた』

『こちらに残りがいる。念のために全員倒しておくぞ』

 

 動く気が無いのか、それとも動けないのか。よく分からないが一両倒して、他の戦車が散開しないのであれば一気に倒すことに越したことはないだろう。

 

 

 ……おお、1両くらい逃げられるかと思ったけど結構近づいたこともあって、全両射程距離内から抜け出す前に倒せたな。腕が滅茶苦茶痛い。取り合えず撤退をせねば――。

 

 ドゴォン!!

 

 !?!? 俺の真横の岩石が爆ぜた。危なかった。10秒判断が遅れていたら命中していた。しかも俺が全く気付かなかった位置からだ。それにこの位置は相手側からも見えにくい位置のはずだ。そんな中、ここまで正確に位置を補足し、弾を撃てるのは一人だけだろう。

 

「ナオミ……!」

 

 俺の戦いはここから始まるようだ。

 

 

 

 

『現状、そちらの被害はどうなってる?』

『ごめん! 忙しくて報告遅れた! 今はフラッグ車とアンコウ以外全員倒されてる……。多分相手はファイアフライだと思うってみぽりんが言ってる』

『え? ファイアフライならさっき俺を狙って……。今お前らはどこにいる?』

『今森から出て下田君のいる場所に向かってる!』

『方角は? 太陽はどっちの方向にある?』

『えーと、左手!』

『了解。だったら相手は移動しているってことか。フラッグ車は?』

『私達の前にいる!』

『了解』

 

 先ほどまで俺の方を見張ってた。そして他の戦車も撃破した。んで、今アンコウとフラッグ車を追ってるか。ここまで情報がそろえば嫌でも場所は浮き出てくる。

 俺は無線機を手に持ち、伝えた。

 

「今から私はフラッグ車を狙いにいく」

 

 

 

 

 

 

「もー! どうするのこれ~!」

「冷泉殿! 頑張ってください!」

「うるさい……」

「6両しか来なかったから心配だったけど残りを下田君が倒してくれたのは安心したけど、まさかここまで正確にファイアフライに狙われるなんて」

「やはり、黒森峰と比べても凄いんですか?」

「うん。誰も敵わないと思う。……下田君大丈夫かな」

 

 どうすればいいのだろう。ここから勝つにはファイアフライをどうにかしないと不可能。地形を利用する? どうにかフラッグ車を守る形で逃げていってるけどそれもいつまでもつか……。

 分からない。焦る。やっぱり私は隊長に向いてない。私のせいで負ける……。下田君の事前の作戦は上手くいった。流石に先読みの方法が盗聴とは分からなかったけど、きっと昨日の下田君の話が無かったらもっと状況は悪くなってただろうし、あのファイアフライならその隙を突いてフラッグ車を倒されてたかもしれない。多分このまま下田君の言ってた場所に誘導なんてできない。どうすれば――――。

 

「今から私はフラッグ車を狙いに行く」

「え!?」

 

 誰の声だろう、と思ったがこれは下田君の声だ。でもどういうつもりだろう。相手はまだ盗聴してるはず。

 ああ、そういうことか。そうだよね。最初から下田君はああ言ってたもんね。

 

「麻子さん。今からUターンしてフラッグ車を狙いに行ってください」

「でも!」

「大丈夫です沙織さん。ファイアフライなら問題ありません」

「……了解した」

「みほさんがそう言うのであれば、私は確実に仕留めてみせます」

「お願いします!」

 

 この試合、ここからだ。

 

 

 

 

「上手く伝わったかな……」

 

 俺が言ったのはブラフ。俺の目的は依然変わりなくファイアフライだ。今アンコウチームがやられてない理由は冷泉の技術のみによるものではない。優秀なスナイパーほど慎重だ。相手は俺がまだ生きているのを知っている。それに気を付けながら射撃しなきゃいけない。しかも今アンコウチーム達が向かっているのは俺がいた方向だ。普通に考えたら待ち伏せを警戒する。この地形は上の人間が圧倒的に有利だ。

 

「信じるしかない、よな」

 

 俺は一直線に森へ向かう。確実にナオミを仕留めるためだ。

 

 

 

 

 

「多分、この辺だな」

 

 一発

 姿は見えないが位置は大体あっているはずだ。すぐに後退する。俺の狙いはこれで相手に当てることではない。相手の警戒心を煽り、注意を完全にこちらに向けさせることこそ真の目的だ。

 間もなく先ほど俺がいた位置に弾が放たれる。いい感覚だ。音だけで完璧に方角と位置までほぼ理解している。

 こちらのハンデは何より俺がこの戦車の仕事を一人でこなしているということ。この差をどうやって埋めるか。

 

「そんなの決まってるだろ……!」

 

 俺は弾を装填した。

 右手を損傷した武士が相手に勝つ方法。もしも相手が小細工が通じないのであれば真っ向から斬りあうに他ない。それで相手に勝つにはどうするか。

 簡単だ。力まずに相手を斬る術を持っていればいい。手に力が入らないなら入らなくても斬れるのであれば関係ない。しかし、長い戦いになるとどうしても痛みは響くだろう。だからすぐに終わらせる。戦車も同じだ。機動力のハンデがあるのであればそれを技術で埋めるのだ。そして、2発もあれば決着はつく。相手も相当な技術を持っている。だが、まだ甘い。このティーガーは改造されており、正面からの耐久力が本来より若干落ちているとはいえ、いくらファイアフライであっても至近距離での攻撃でない限り、一発でやられることはない。それは事前にⅣ号戦車で試し、計算済みだ。

 つまり、相手の有効射程ギリギリでもない限り、こちらが撃ち勝つ。

 ……見つけた。ナオミは撃った場所から動いていない。確実に俺を仕留めようとしているらしい。また、俺にそんなに時間はかけてられないのだろう。俺が逃げればまだまだやりにくい状況が続くわけだし、さっさと倒しておきたいのだろう。

 上等だ。

 しかし、普通にここから顔を出せば撃たれてしまう。こちらが構えてないのに一方的に撃たれるのはまずい。ならばまずは。

 

「こういう時にも使えるんだな!」

 

 俺は発煙筒を取り出し、後ろに投げた。間もなく煙が立ち上がる。直後、俺はを弾が通る音を聞いた。

 飛びだした。そして、撃った。その先にあるのは戦車の砲身の付け根。

 直撃。だがしかし、白旗は上がらない。砲身にダメージが大きく加わったから上手く射撃することは不可能になったであろうが。

 俺はもう一発弾を装填する。その時だった。

 

 ドオン!!

 

「くっ……」

 

 車体が揺れる。しかし、こちらもまだ旗は上がってない。俺は少しだけ砲身の角度を変えると、もう一度放った。

 ……直撃! 旗が上がる。

 

「ファイアフライ撃破」

 

 煙が晴れる。相手戦車を確認した。やはり、そうだったか。

 ()()()()()()()()

 あの位置周辺には障害物が存在しない。そんな中で相手の狙撃手と戦うのは不利だ。だったら無理やり用意すればいい。ファイアフライはシャーマンを前にして、その隙間から弾を放ったのだ。一発目は外れた。その直後に俺の弾が前にしていたシャーマンの砲身の付け根に命中した。白旗は上がらずとも相手を撃破するのは難しいくらいのダメージは与えられている。そんなシャーマンの代わりに、弾を装填しなおしたファイアフライが弾を放つ。今度は命中したが、ティーガーは撃破されなかった。最後に俺はシャーマンの横にはみ出ていたファイアフライの側面に命中させた。

 俺がシャーマンを倒さなかったのはまぐれではない。戦車道のルールでは、倒した戦車は追激することが出来ないらしい。だが、倒さなくても攻撃力を減らすことは出来る。また、最初にファイアフライを狙わなかった理由は簡単で、ファイアフライは確実に倒す必要があったからだ。もしもシャーマンを倒してしまってたとしても、ファイアフライのみを狙うことは出来ると思う。しかし、不確実だ。今回だってもしかしたらシャーマンにも当たっていたかもしれない。反則負けは避けたかった。また、やはりしっかり視認しなければ正確に撃破することは出来なかっただろう。側面を撃ち、相手がその場から動けないだけで、砲撃は出来る状態になっていた場合、脅威は続く。

 

「あともう一仕事だ」

 

 俺はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

「華さん! 狙えるタイミングはありますか!?」

「すみません……! まだ停止射撃じゃないと……」

「無理だ。あのシャーマン追跡上手いぞ」

「そう言えば下田殿は大丈夫でしょうか……」

「だ、大丈夫だよ! あんなに自信あったんだもん! あとさっき分かれたカメさん達ももうあまりもたないかも!」

「うん……」

「西住! そこから相手フラッグ車までの距離は有効射程距離に入ってるか!?」

「下田君!? ……入ってるよ! でも、停止射撃じゃないと……」

「大丈夫だ! 次後ろのシャーマンが撃ったら停止して撃て!」

「……っ! 分かったよ! 華さん、麻子さん! 私が合図したら停止射撃お願いします!」

「「了解しました(わかった)」」

 

 

「HEY!HEY!HEY! フラッグ車に攻撃はさせないわよ! どんどんこっちは撃っちゃって!」

 

 ドオン!!

 

「外れた……。今です!」

 

 Ⅳ号が急停車する。しかし、その慣性はまだ残っている。完全な停止をし、射撃する間に比較的距離が近いシャーマンに撃たれる可能性が――

 

 ドオン!!

 

「その可能性は0だ」

 

 白旗が上がる。Ⅳ号を追跡していたシャーマンは撃破された

 

「What!?!?」

 

 やがて、Ⅳ号は無事停止射撃をし、

 

 ドオン!!

 

 相手フラッグ車を撃破した。

 

『大洗学園の勝利!』

 

「……疲れたぁ」

 

 急いでたし、相当距離も離れていて、角度もあったから不安だったが、上手くいって良かった。

 まずは一回戦勝利、おめでとう。




戦闘描写は苦手です。
継から暫く日常が入ると思います。
アンツィオは多分、主人公の能力の性質上あまり重要な試合じゃないので
……。(フラッグ車を連続で狙撃して終了のため)
カットはしないと思いますが、それを入れたとしてもプラウダ戦まで結構長いと思います。
ここから地獄(主に主人公とノンナ)が日常パートの後に続きます。
でもあまりシリアスな展開にはならないと思います。
あと、主人公一家と主人公についての秘密が徐々に明かされていきます。
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