少し短めなのですが、それには理由がありまして、アンケートを取らせていただきたいなと。
詳しくはあとがきにて
ピーンポーン。
「今出ます」
ガチャリ。
「久しぶりね! 下田君」
バタン。
「えーと、スマホスマホ」
「ちょっと待ちなさい!」
俺がポケットからスマホを取り出していると、勢いよくドアが再度開かれた。
「このドアそんなに強く設計されてないんですよ。あまり乱暴にしないでください」
「君がすぐにドア閉めるからでしょう!」
ごもっともである。
「久しぶりですね蝶野さん」
「ええ、久しぶり。握手でもしたい気分よ。……ちょっと待って。今スマホの画面に変なのが見えたのだけれど」
俺のスマホの画面には110の文字があった。
「前3回くらい家に乗り込んできたでしょ。次は先手を打とうと思って」
「通報は止めてちょうだい。一応私自衛官だから……」
「冗談です。で、何の用ですか」
「中で話をしたいのだけれど」
「……何もしませんか? 次俺のパソコン壊したら新しいの買ってくださいね」
「壊さないわよ。絶対に」
「分かりました。どうぞ」
「お邪魔します」
畳の上に置いてある小さい机のそばに蝶野さんを座らせると俺はお湯を沸かしに台所へ向かう。
「悪いわね。急に来ておきながらお茶まで用意してもらって」
「いえ、そもそも俺の連絡先持ってないでしょう?」
「持って……ないわよ」
「おい、何故そこで詰まる」
「んー! 緑茶のいい匂いがする!」
わかりやすく話題を逸らしたな。一体誰が俺なんかの連絡先を広めたんだよ。
「どうぞ」
「ありがとう。……やっぱり下田君の淹れるお茶は美味しいわね」
「ありがとうございます。それで、
「ん……。そうね。それじゃあ早速本題に入らせてもらうわ」
「はい」
「君、大洗高校のメンバーとして戦車道出てみない?」
「え、酔ってます? まあ、別に興味がないわけじゃないですけど」
「嫌とは言わないのね。少し驚いたわ。もしかして西住さんに影響受けたの?」
「まぁ、正解ですね。どうして分かったんですか」
「女の勘よ」
この人の場合マジで勘が鋭いからあながち馬鹿にできない。普通に考えて連続15両撃破なんてヤバすぎるし。何か本来の技術とは別に力を持ってるに違いない。
「でも俺が大洗チームに入るとして余りの戦車なんてないですよ」
「そうかしら。もしかしたら君の努力次第で戦車が
「増えるってどういうことですか」
「知ってるでしょう、大洗高校も昔は戦車道が盛んに行われていたことを」
「ええ、知ってます。でもその時の戦車のほとんどは売られて今使われているのはその売れ残りなんですね?」
「そう。でもね、君のお爺さんが言うには『大洗の学園艦には当時の主力級の戦車が一つだけ置いてある』だそうよ」
「『学園艦』ですか。学園内じゃなくて」
「そう。そして君にこれを渡そうと思って」
「……なんですかこれ」
蝶野さんは持っていたカバンからクリアファイルを取り出すと複数枚のカラー付きの用紙を渡した。一枚一枚内容を確認していく。
一枚目のプリントに写されていたのは夕焼けを背にしたベンチ。二枚目のプリントに写されていたのは「老舗のアンコウ料理店」と書かれた看板が端に見える路地裏のような場所。三枚目に写されていたのは……俺の住んでるアパートの誰も使っていなかった小さな駐車場。
「最後のこれって多分ここの駐車場の写真ですよね?」
「あら、そうなの? ああ、そう言えばこのアパートは自分で選んで部屋を借りたの?」
「いきなりですね。このアパートは父さんが選んだんですよ。……もしかして」
「その先の話は今は置いておきましょうお。この写真はすぐ近くの場所なのよね? 善は急げ。早速行ってみましょう!」
俺のアパートは3階建てだ。エレベーターはついてないので階段で下に降りることになる。その途中で蝶野さんに問いかけた。
「もしかして俺の家族に大洗で戦車道が始まったって伝えました?」
「いいえ。私からは何も言ってないわ」
そうなのか。でも爺さん達もまさか残った戦車が5両だけだったとは思ってなかっただろうな。
「着きました。やっぱり写真と一致してますね」
「よく見て、あの壁に取っ手があるでしょ」
「ありますね。それがどうかしたんですか?」
「下げてみましょう。そうしたら何か起こるかも」
「それも女の勘ってやつですか?」
「そうよ。分かってきたじゃない」
「蝶野さんのことだから分かるんですよ。他の女性の気持ちや考えなんててんでダメです」
「あら、そう言ってくれるなんて嬉しいわね。もしかして私に好意抱いてたりする?」
「俺は釣り合わない恋はしないタイプです」
「それはいったいどっちの意味なのかしらね……。それよりも、ちょっと力を貸してくれない?」
「分かりました」
俺と蝶野さんは二人で不自然に壁に取り付けられていた錆付きの取っ手を思いっきり下に押すとガコンという音と共に下に下がった。
「結構堅かったですね」
「そうね。それでこれからどうなるのでしょうか」
「何も起こらないじゃないですか……うわ!」
突如地面が二つに分かれたかと思うとそこからは階段が見えた。どれくらい使われていなかったのだろうか、しかし
さっきの取っ手よりかは古臭くないし、むしろ綺麗な方だ。
地下室に続くのか? ここの駐車場は俺が来てから一度も使われたのは見たことがなかったが誰かがこの仕掛けのために仕組んでたのだろうか。
「これは驚いたわね。とりあえず中に入ってみましょうか」
「明かりとかついてないのにどうするってんですか。ちょっと待ってください。部屋から色々持ってきますので」
「了解!」
俺は階段を一段飛ばしで駆け上がっていくと自分の部屋の鍵を開け、懐中電灯とゴキブリ対策のためのフローズンスプレーを取り出して蝶野さんの元へ戻ってきた。
「持ってきましたよー……って、蝶野さんどこ行った。もしかしなくてもこの中に入っていったのか。おーい、蝶野さん」
穴の中に向かって大声で名前を呼ぶと蝶野さんの返事が聞こえてきた。やっぱりこの人中に入っていったのか。少しくらい待ってよ。
「今入ります」
懐中電灯を使って周りを照らしながら地下室を歩いていく。少し歩くと蝶野さんが見えた。内装も意外と綺麗だな。地形が悪くなってるわけでもないし、照らしたところ汚れもあまり見えない。
「ちょっと待っててって言ったじゃないですか。蛇とかいたら危なかったですよ」
「まあまあ、結果的に何もなかったんだしOK! それよりも、前照らしてみてちょうだい」
「はあ、分かりました。……これは!」
照らした場所にあったのは大きな戦車の砲台だった。これは……。
「ティーガーですか。少し形が異なるようですけど」
「そのようね。でも砲台しかないわね」
「なんとなく察してしまった。あの爺さんならやりかねないことです」
「私も多分同じことを思ったわ。これから始まるようね『宝探し』が」
爺さんからもらった3枚の写真のうち、一つがこの戦車の砲台だ。多分他の写真の場所にも戦車の部品が置いてあるのだろう。それらを全て集めると、一つの戦車になる。俺はそう理解した。
「しかしこれどうやって運びだしましょうか。俺と蝶野さんだけじゃ無理ですよね」
「そんなことないわ。戦車道に使われる戦車は普通の戦車よりも軽く作られているから軍人の私と男の君がいればおそらく運び出せるわよ。前の学校で結構鍛えられてたんでしょう?」
「確かにそんな話聞いたことありますね。しかし、まさかこんなとこであのスパルタ教師による筋トレが役になってくるとは」
思い出すだけで身震いしてしまう。毎日地獄のような鍛錬、一度外したら腕立て30回。全部当てたら褒美に腹筋30回。毎日居残りでの雑巾がけ。
いい思い出が一つもない。先輩たちにもあまりよく思われていなかったし、俺にばっか構ってくる顧問に嫌気がさして辞めていった同期もいた。前の学校では俺は自分で言うのも何だがそこそこの人気者だったので、辞めていった友達ともその後遊んだり、他の人間を集めてパーティーを開いたりと楽しくやっていた。卒業するころには俺が中に入らずとも、そいつらは俺の多くの友達と仲良くなっていたので、きっと高校でも時々会ったりして遊んだりしているのだろう。
懐かしいな。夏休み辺りで一度実家に帰ってあいつらとまた遊んでみたいな。
「持てると言っても、結構……! 重いじゃないですか!」
「それはそうよ。そうじゃないと火力の高い銃弾を受けた時に中の選手がケガするじゃない」
「持てなくはないけど、絶対応援を呼んだ方が良かったと思いますよ……!」
「そうね、それじゃ次からは大洗の友達と協力して頑張りなさい。私が付き合える日は暫くないから」
「え?」
「グッドラックよ下田君!」
何とか地下室から運び出すと、砲台を地面に置く。そして再び蝶野さんと一緒に先ほど下げた錆付きの取っ手を上げると、開いてた地下室への扉がしまっていく。
「これから蝶野さんが手伝ってくれないってマジで言ってます?」
「そうね。ほら、私結構忙しいから」
「確かにそうなんだろうですけど……せめて力持ちの人間に手伝ってもらうことはできませんか」
「どちらにせよ大洗でチームの一員として戦うならコミュニケーションは必要でしょう。これもいい機会よ。戦車の取り付け方や調整方法は知ってる?」
「知りませんよ。でも大洗にはスーパーエリートの自動車部の人間がいるからそこら辺のことは何とかなると思います」
「それはいいわね! もしも、私としてはそうなってほしくないのだけれど、君がこの戦車に乗らないってなったらその人たちに乗ってもらうって選択しもあるかもしれないわね」
「それは割とアリな選択しかもしれません」
その後、砲台に「大洗高校関係者以外触れるの厳禁」の張り紙を貼って俺達はそこから立ち去るのであった。
「それじゃ、何か最後に聞きたいことある?」
「本当は操作とか色々教えてもらいたいんですけど、蝶野さんの教え方で俺が上手くできるようになるとは思えないのでいいです。代わりと言ってはなんですが、蝶野さんの連絡先を教えてもらってもいいですか」
「あはは……実は最近人にものを教えることが苦手だって気づきつつあるのよね……。連絡先ね、これよ」
蝶野さんの差し出したスマホから電話番号を見て、電話帳に登録した。
「またね! 何か連絡したいことがあったら電話して頂戴」
「ありがとうございます」
さて、どうしたものかね。
前書きにも書いた通り、アンケートを取りたいと思います。戦車の部品探しのメンバーの厳選です。
各学園の隊長+誰かでやりたいと思います。部品運びは自動車部に手伝ってもらうとして、一緒に探すメンバーです。
部品はあと二つなので2人募集したいと思います。
投票よろしくお願いいたします。
追記
誤字報告感謝します。感想や誤字報告が大変モチベになっております。