斑鳩達と挨拶を済ませ霧夜も来て、揃ったところで霧夜はしんのすけに話を始めた。
「野原しんのすけ君…すまなかった、我々がもっと早く駆けつけていればキミのご両親は…」
「私がついていたのに、こんなことになっちゃってごめんねしんちゃん」
「だが安心してほしい、キミのご両親は必ず我々が救い出す」
「そうだぜしんのすけ!」
霧夜と飛鳥は頭を深く下げて謝罪してしんのすけを元気付け、葛城達も声を掛けて慰めた。しんのすけは顔を上げると霧夜に告げた。
「大丈夫だよ!父ちゃんと母ちゃんはオラがお救いするゾ!」
「し、しかし、キミでは…」
しんのすけの発言に霧夜だけで無く飛鳥達も驚いた。しかししんのすけは冗談で言っているわけでは無さそうだ。
「お救いするって…お前じゃ忍に太刀打ち出来ないだろ!」
「そうだよしんちゃん!ここは私達に任せて…」
「大丈夫!オラは強いんだゾ!」
飛鳥達は自分達に任せろと説得していたがしんのすけの決意は変わらなかった、その様子を見ていた霧夜は顎に手を当てるとしんのすけの目を見て頷いた。
「…わかった」
「霧夜先生⁉︎」
霧夜の判断に飛鳥達は一斉に振り向いた。
「彼の決意は本物の様だ、やらせてあげよう」
「ですが霧夜先生!しんのすけ君は悪忍に狙われているのですよ⁉︎危険過ぎます!」
「その通りだ、だがこの子は同時に悪忍が目をつける程の力の持ち主でもあると言うことも確かだ、ここは彼を信じてみようではないか。もちろん彼一人では戦わせない、我々も共に戦う」
飛鳥達は互いに顔を見合わせていたがとりあえず納得した。
「…わかりました」
「よし、ではしんのすけ君、さっき葛城が言った通り今のキミでは悪忍と戦うことは出来ない。そこでこれから忍の力を得る為に忍について少しお勉強しよう、力を得る為には何事もまずは勉強だ」
「お勉強…?おぉ!風間君が行ってる塾みたい!オラお勉強するゾ!」
「風間君…?お友達かな?では始めよう」
しんのすけは霧夜から忍についての勉強をすることにした。
場所を掘りこたつ席に移し、霧夜は教本を片手に黒板に書いて説明をし、しんのすけと飛鳥達は座って聞き、ひまわりは斑鳩が抱っこしておりシロは葛城が抱いていた。
「このように忍とは戦国時代から続く由緒あるーー」
「ねぇねぇ斑鳩ちゃん?納豆にはネギ入れるタイプ〜?」
「しんのすけ君、今は霧夜先生が説明してる最中ですよ?ちゃんと聞きましょうね?」
最初はしんのすけも話を聞いていたが相変わらずの飽きっぽい性格が災いしすぐに集中力を無くし斑鳩に話しかけていた。
「ちなみにアタイは入れるぜ?やっぱ入ってる方が美味いよなぁ!」
「ちょ!葛城さんまで!」
「うん!びばりも入れるよ!美味しいよね〜♪」
「オレはスルメも入れるぞ?あの食感が合わさってまたいい」
「おぉ!柳生ちゃん通ですな!」
「ちょ、ちょっと皆!静かにした方がいいよ!」
だんだん納豆トークで盛り上がっていくしんのすけ達に飛鳥は止めに入ったが、その様子に霧夜は溜め息を吐いた。
「…しんのすけ君?お勉強は嫌いかな?では、ここまで何か質問はあるかな?」
「おじさん…オラの父ちゃんと声似てるね?」
「おじ⁉︎…まぁ確かに年齢的におじさんだが、俺のことは先生と呼びなさい。ふむ、俺の声が…そうなのか飛鳥?」
「あっ、そういえば確かにしんちゃんのお父さんの声に似てますね」
「それにおじさんが言ってることぜんぜんわからないゾ、オラ早く姿を消したりいろんな術を使いたいゾ!」
「しかし、しんのすけ君?力を手にするにはまずは学ばなくては…」
飛鳥のメタっぽい答えに霧夜は納得しつつ、しんのすけに学ぶことの重要さを理解してもらおうと説明したが、葛城が提案してきた。
「そうだよ霧夜先生、こんな小さい子に忍の勉強なんて理解できないだろ。それよりアタイもさっさと忍転身のやり方を教えてやった方がいいと思うぜ?案外すぐに出来るかもしれないしな」
「かつ姉、いくらなんでもすぐに出来るかな?」
「てんしん…?木村?」
「何だか今日はいけそうな気がする〜…ってその天津じゃねぇよ!転身ってのは変身のことだよ!」
「おお!飛鳥ちゃんがやってたあの変身?オラやってみたい!」
葛城のノリツッコミ付きの提案にしんのすけはやりたがり、霧夜は少し考えたが、もしかしたらと思い頷いた。
「わかった、では試してみよう」
霧夜はスーツの懐から掌サイズの小さな巻き物を出し、しんのすけに渡した。
「ではしんのすけ君、キミにこれを授けよう」
「おお!巻き物〜!」
「これは秘伝忍法書だ、これを使って…「おおー!」…忍転身や…「何も書いてないよ?」…秘伝忍法などを…「おっとっとっと!おわー⁉︎」「あぁ⁉︎ちょっとしんちゃん⁉︎」…って!人の話を聞きなさい!しんのすけ君‼︎」
霧夜の説明中にしんのすけは秘伝忍法書を広げたり、口に咥えようとして床に落とし慌てて追いかけていた。
「えー、改めて秘伝忍法書とは自然の力を借りて己の限界を超えて忍術を発動させる物で、同じ物を飛鳥達も肌身離さず持ち歩いている。しんのすけ君も無くさないように」
説明が終わると葛城がスカートをひらつかせながら例を教えてきた。
「普段はアタイ達も隠し持ってるんだぜ?ちなみにアタイはスカートの中に隠してるぜ、飛鳥は?」
「えっ?私は胸…だけど?」
「ほぉ〜?胸に〜?本当に隠してるか確かめさせてもらうぜ〜〜♡ここか?ここに隠してるのかぁ〜?」
「きゃあ⁉︎ちょ、ちょっとかつ姉⁉︎やめてよ!しんちゃんの…男の子の前なんだよ⁉︎」
葛城は一瞬で飛鳥の背後に回り込むと飛鳥の胸の谷間に手を突っ込んだり両手で鷲掴みにして激しく揉みしだいた!その様子を斑鳩達はやれやれと見ており、しんのすけはと言うと…
「…何してるの葛城ちゃん?」
女の子同士のセクハラは見慣れなかったのか意外にも冷静にツッコミを入れていた。
「まったく…葛城さん?セクハラはそのくらいして今はしんのすけ君の…はぁん!??ちょ、ちょっとひまわりちゃん!?んん///」
「たあ?パイパイ!」
葛城を注意した斑鳩が突然喘ぎ声を上げた!見ると抱っこしていたひまわりが斑鳩の大きな胸を小さい手で揉む様に触っていた。
「んん♡ダ、ダメですよひまわりちゃん///そ、そんなに…あん♡」
頬を赤らめ官能的な声を上げ続ける斑鳩。
「お?ひまわりちゃん、アタイの真似をしてるのか?よし!アタイの弟子にしてやるぜ!」
「おお!流石はオラの妹〜!」
「か、感心しないでください!」
「…説明に戻ってもいいか?お前達?」
完全に蚊帳の外になっていた霧夜が呆れながら声をかけた。飛鳥達はハッとすると急いで姿勢を正して座った。
「先程も説明した通り秘伝忍法書とは自然の力を借り己の限界を超えて発動する忍の極意だ。ちなみに秘伝忍法書の他に超秘伝忍法書という物がある、超秘伝忍法書とはその名の通り秘伝忍法書を遥かに超える力を持つ忍法書だ。かつて我々はそれを巡って悪忍と死闘を繰り広げた」
「ほうほう、超秘伝忍法書?もしかしてあれのこと?」
「たたたたたた」
しんのすけが指差す先には頭の上に巻き物を乗せてハイハイしているひまわりがいたが、その巻き物には超秘伝忍法書と書かれていた!
「そうそう、あれが超秘伝忍法書…って何故ここにある!?」
「…あっ、さっきひばりが宝物庫の整理してた時にしまい忘れちゃった!てへ♪」
「雲雀…」
雲雀がテヘペロ顔で頬を掻いた。
「馬鹿者‼︎大切な超秘伝忍法書を忘れるやつがあるか‼︎」
「ひぃ〜ん!ごめんなさい〜〜!!」
「よしよし」
雲雀の頭を柳生が撫で、霧夜は雲雀を叱ると無理矢理作った笑顔でひまわりに近づいた。
「さぁひまわりちゃん?それはとっても大事な物なんだ、大人しく返そうね〜?」ニコォ〜
∑「た⁉︎たたたたたたたた!!」
「こ、こら‼︎待ちなさい!!」
霧夜の不気味すぎる笑顔にひまわりはギョッとすると超秘伝忍法書を頭に乗せたまま凄まじいスピードでハイハイして逃げ出し、霧夜は慌てて追い始めた!
「な、なんて速いハイハイ…」
「…あの子、忍に向いてんじゃねぇか?」
「確かにあの笑顔だと逃げるな…」
「うんうん、流石はオラの妹だゾ」
「関心してる場合じゃないでしょ」
数分後…
「ぜぇ!ぜぇ!」
「たぃ!たぃ!」
大汗を流し髪が乱れ肩で息をした霧夜と、同じく肩で息をしているひまわり。数分間の鬼ごっこの末、霧夜はようやくひまわりを捕まえた。
「…や、やっと捕まえた…確かにこの子は忍に向いているかもしれん」
ひまわりを下ろし超秘伝忍法書を宝物庫に厳重に保管してくると霧夜はしんのすけに忍転身の手順を説明し始めた。
「ではしんのすけ君、これからキミに忍転身のやり方を教えるが、まずは先にお手本を見せよう。斑鳩、しんのすけ君にやり方を見せてやれ」
「はい霧夜先生、それじゃしんのすけ君?しっかり見ててくださいね?」
斑鳩はひまわりを床に下ろすと立ち上がり、長い黒髪をパサっとするとしんのすけに向き直った。
「忍!転身‼︎」
掛け声と共に斑鳩の制服が消え全裸になると胸の谷間から現れた秘伝忍法書を取り展開した!
「うっほほーい♡飛鳥ちゃんより大きいお胸だゾ〜♡」
「あぁ、相変わらずいい乳だぜ斑鳩…ちなみにこの中ではアタイが一番大きいんだぜ?」
「…別に悔しくないのに何だろこの敗北感?」
転身より斑鳩の胸を見ていたしんのすけ、そうしてる間に斑鳩は白を基調とした軍服の様な服とミニスカート、黒いスパッツ、手に日本刀型の長刀飛燕を持った姿に変わった!
「おお〜!ブラジャー!ブラジャー!」
「それを言うならブラボーです」
「そうとも言う」
「お手本としてはこんな感じです、わかりましたかしんのすけ君?」
しんのすけは斑鳩の周りを回りながら拍手して感激し、霧夜は斑鳩に礼を言うと説明した。
「斑鳩、ご苦労だった。こんな風に忍転身とは想像力を駆使して力を使い装束…戦闘服を作る。複雑で無ければどんな姿でも可能だ、要はこうなりたいと想像することだ。ではやってみよう」
説明が終わるとしんのすけは手に持った秘伝忍法書を見て掛け声を上げて手を上げた。
「しのび!へん・しん‼︎」
「変身じゃなくて転身だって」
葛城がツッコミを入れたが秘伝忍法書は展開されしんのすけの服は消え全裸になった!
「いや〜〜ん♡」
「変な声出すんじゃねぇ!」
「ふむ、掛け声は違うが発動は成功だ、やはりこの子は確かな力の持ち主だ」
霧夜は顎に手を当てしんのすけの潜在能力に関心し頷いた。しんのすけの体は眩い光に包まれるとその姿が徐々に見えてきた。
「しんちゃんどんな姿になるんだろう?」
転身したしんのすけの姿を飛鳥はワクワクして待っていた、すると転身が完了したしんのすけが出てきた…が……その姿は、黒いハイレグに網タイツ、仮面の様な黒縁メガネに鞭を持った姿であった!いわゆる女王様の格好である。
「ハッ!女王様とお呼び!」
『だぁ!??!』
全員盛大にズッコケた!
「何だよしんのすけ!その姿は⁉︎」
「どう?似合う?一度こういうの着てみたかったんだゾー」
「まぁ、装束のスタイルに決まりは無いが…」
「霧夜先生‼︎」
葛城がツッコミ冷静な霧夜に斑鳩が怒った。霧夜は咳払いをするとしんのすけに軽く注意した。
「しんのすけ君、装束は戦闘服だ、その姿は動きやすいかもしれんが、俺も男としてどうかと思う。もう少しどうにかならないだろうか?」
「えー、せっかく似合ってるのにぃ〜…じゃ、もう一回!しのび!へんしん‼︎」
「だから転身だって…」
霧夜に言われ渋々もう一度転身を発動させたしんのすけ。再び光に包まれたしんのすけは、今度は青と緑のボディスーツに赤いパンツとブーツ、2本の青い角と赤い鶏冠が付いた、しんのすけの目が透けて見える黄色のパーツの青いヘルメットの子供なら誰でも知っているご当地ヒーローの姿になった!
「アクション仮面参上‼︎ワッハッハッハ!!」
アクション仮面の姿に転身したしんのすけはポーズを決めて笑っていた。
「ほう、アクション仮面か、中々いいじゃないか」
その姿に霧夜も笑みを浮かべて頷き、同時にここに嵐を呼ぶ子忍が誕生したのであった!
よく見るコスプレに思えますが、しんのすけの転身と言えばこれかな?と思い決めました。
次回予告
アクション仮面の姿に転身したしんのすけに霧夜は模擬戦を提案し、その相手を葛城が引き受けることにした!次回、予測不能の模擬戦⁉︎しんのすけvs葛城!お楽しみに。