BattleSpiritsーランチェスターー 作:あ ミロク
異界バトルのルールを説明する。
対戦相手が決まると、ある言葉を合図に自動的にバトルフィールドが展開される。異次元トンネルと呼ばれる空間を通って、両者は広大なバトルフィールドに降り立ち、対面する。自分専用のプレイシートがそこにあり、互いにデッキを置くことで試合が開始される。召喚/配置をすると、バトルフィールドに召喚/配置したスピリット、ネクサスが登場し、具現化されるのだ。基本的なルールは変わらない。
互いの死力を尽くして、ライフを削り合い、この場に最後まで残ったものが勝者となる。
余談であるが、バトルフィールドにも意志があり、実力者にはその人に合う、自分だけのバトルアーマーを装着することが可能である。
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第一ターン、初命。
『零華の姫君ミロスラーヴァ』を召喚。召喚時の効果でデッキから4枚オープン。その中の『零騎女王クイン・フローレンス』を手札に加え、白の転醒ネクサス『千年雪の裂け目』を配置する。
「『千年雪の裂け目』の自分のアタックステップ開始時効果により、系統:起幻を持つ白一色のスピリットにボイドからコア一つを置く。これにより、ミロスラーヴァはレベル2になる」
ミロスラーヴァは華やかにその場で舞うと、白いオーラを身に纏った。
「僕はこれでターンエンドだ」
白の転醒ネクサスをコストを支払わずに配置できるミロスラーヴァの効果で、本来ならば『白の世界』が良かったが、流石にそこまで上手くはいかなかった。だが、充分である。
初命は真剣な表情で前を見据える。
第二ターン、バアル。
バアルは堂々とした立ち姿でフィールドを冷静に見ていた。
「白の使いか。やはり、中に熱く滾るものを持っている。だからこそ、ポーカーフェイスができる。読みにくい相手は嫌いだ。……――スタートステップ!」
コアステップ、ドローステップと行い、バアルは自分の手札を確認するよう見た。そして、ニヤリと笑う。
「……何をしてくる……」
「メインステップだ。『聖龍帝の大創界石』を配置する」
バアルの背後に巨大な幾化学的な形をした石が現れる。その表面は青にも輝き、赤にも輝く。光沢に輝くそれは何かを封印しているようである。
バアルは続ける。
「さらに、赤の転醒ネクサス『赤の世界』を配置!」
その石のさらに後ろで噴火する火山のマグマが大地を削る、熱い世界が広がった。大地から湧き上がるマグマは光と等しいはずだのに、その背景は暗く、何か蠢く巣窟にも見えた。
「……コア5個全て使ってきたか」
「大創界石の効果により、系統:起幻を持つ赤と青のカードの軽減シンボルを二つ満たす効果がある。だから『赤の世界』の軽減をすべて満たして配置できた。そして、バーストをセット。ターンエンドだ」
初命はすぐさまバアルの余裕の顔を見て考えた。
(亮の手札は残り二枚。そしてバースト……。大会予選で分かったバーストは確か……『双翼乱舞』と『煌星銃ヴルムシューター』)
そう。そして亮のデッキの中には『超新星龍ジークヴルム・ノヴァ(Rv)』がいた。大会予選でも煌臨してきたスピリットで、ヴルムシューターとのブレイブでライフを削りに来たのを初命は思い出していた。
(もしかしたら、あの手札の中に……)、と初命は可能性を枝分かれさせて考えていた。
バアルは丁寧に落ち着いた様子で、
「ターンエンドだ」と、言う。
初命の手札を握る手が強くなる。恐怖と戦う勇気の現れであった。
初命、第三ターン。
「メインステップ……マジック! 『ホワイトフィールド』を使用」
その効果は、デッキから2枚オープンし、その中の系統:起幻を持つコスト5以下の白のスピリット1枚か、白のネクサスをコストを支払わずに召喚/配置できる。その後、フィールドに置き、お互いに創界神ネクサスのシンボルを0にする。この後の展開にも影響を及ぼす良カードだ。
そして、その中の1枚を見て、初命はよしっ、と笑った。
「『要塞都市ナウマンシティ』をコストを支払わずに配置する!」
初命の背後に、鬱屈した雰囲気の漂う機械溢れる都市が現れる。黒と白、モノクロなその佇まいに、中央に聳え立つは人型の、さらには歩行する要塞。その要塞はぴたりと止まると、胸元辺りの外装が引き扉みたく、ゆっくり開口する。
「配置時効果……自分の手札にある白のスピリット一枚をコストを支払わずに召喚できる。正し、召喚時効果は発揮しない」
「だが、召喚時効果のない強力な白のスピリットを召喚すれば、何のデメリットも無い」
バアルは分かっている。
初命がこれから出すであろう、キースピリットを!
ここで初命は止まるわけにはいかない。
「華麗なる聖女、白の世界を守護せし五英雄の一人――『五英雄 氷槍の聖女グラフィーラ』‼ 今、バトルフィールドに舞い踊り、僕に勝利を齎せ‼」
ナウマンシティに聳える要塞から何かが発射された。その正体は華麗なる白の聖女。要塞内のベルトコンベアが勢いよく回りだし、待機していた彼女を空へ飛ばすことに成功したのだ。彼女の持つ、身の丈ほどの槍と、煌びやかなドレスが彼女の全てを象徴している。
そして、自分の召喚に応じた主――初命に視線を向けながら、白の聖女はバトルフィールドに降り立ったのだ。
グラフィーラのレベルを2に上げると、このままアタックステップに移行した。
「アタックステップ‼ と、その開始時、『千年雪の裂け目』の効果により、ミロスラーヴァにボイドからコア一つを追加。…………いくぞ! 『五英雄 氷槍の聖女グラフィーラ』でアタックだ‼」
グラフィーラは主の命令に了承すると、槍を掲げて勢いよく飛び上がる。その矛先は、バアルのライフのみだ。
初命は続けた。
「グラフィーラのアタック時効果! このスピリット以外の系統:氷姫を持つスピリット一体につき、グラフィーラにシンボルを一つ追加! さらに、相手のバーストを破棄する‼」
グラフィーラが一度槍を振るうと、バアルの盤上にあるセットされたバーストが破棄される。そのカードは……『煌星銃ヴルムシューター』。
狙い通りだ、初命は小さく舌なめずりをする。これで、超新星龍ジークヴルム・ノヴァ(Rv)の煌臨は出来ない。ライフも回復されることも無い!
バアルはその変化を見逃さなかった。
「いいだろう、ライフだ!」
バアルの前にバリアが展開される。が、その防御壁を打ち破るグラフィーラの槍は二階も続いた。バリアが張られていたという、事実があった破片がバアルの横顔に傷をつける。
その余裕は変わらないバアル。
「続けてミロスラーヴァでアタック!……フラッシュタイミング! マジック『白晶防壁(RV)』を使用! グラフィーラを回復させる!」
ミロスラーヴァのアタックと、グラフィーラの再アタック。これでバアルのシンボルを全て削り切れる。これが初命の勝つための法則だった。
ミロスラーヴァはブーケを、まるでハンマー投げのように体を回転させ、飛ばした。加速していくブーケは氷の弾丸そのものだ。当たれば一溜りも無いだろう。
初命はぐっ、と目を鋭くさせる。
相手を殺す、威嚇の目。そう、般若のように怒りに支配されている。
バアルは感心する。
「やるな。先攻3ターンで決めきる威勢と、その運。俺ですら経緯を評してしまう」と、まるで計算済みだったような口振りで、「だが、少し甘かったな。勝負が早すぎた」、そう断言する。
「……⁉」、初命は訝しく表情を変える。
そして――。
「ライフだ‼」と、バアルは自信満々にそう言う。
「なに⁉」
バアルの前に展開されたバリアはミロスラーヴァのブーケが貫く。バリアの割れた破片は、バアルの頬に小さな傷をつけた。
その時、バアルの手札の一枚が光った。
「……!」
「俺は手札からマジック、『絶甲氷楯(Rv)』を発動する!」
「そのカードは⁉」
あのカードは大会では見ていない。だがその効果を、初命は重々承知である。
「このカードは自分のライフが減った時、コストを支払わずに発動できる! バトル終了時、お前のアタックステップを強制終了する‼」
バアルに攻撃をさせないよう、ひび割れた大地から氷山が飛び出した。そして、周囲は吹雪となった。グラフィーラの足が冷たい氷に覆われ、身動きが取れなくなった。
「ククク……、ハーッ、ハッハッハ‼ 愉快愉快。惜しかったな、俺のライフを全て砕くのにあと一歩足りなかったなぁ」
「……」
初命は顔色を変えないまま、自分の手札を見た。その中の一枚、相手のアタックステップを終了させる白のカード『アルテミックシールド』がある。次のターン、奴の手札に防御札があるとは思えない。ならば、今は宣言して、逆転の機会を伺うだけだ。
「ターンエンドだ」
初命の顔色が変わらないのを、バアルは心の底から喜ぶ。それを表情に見せないよう努力するが、思わず微笑んだ。
「貴様、俺を殺す気でいる。それでいい。それでこそ、俺は龍としての威厳を保てる。そして、勝つのはこの俺だ‼」
バアルは手振りを大きく使って、初命に宣言した。その顔に浮かべる不気味な笑みに、初命は思わずそれ同様の顔を見せつける。
「僕も負けるつもりはない。ここで君を倒して友人を取り戻す」
「では行くぞ‼ これが貴様のラストターンと知れ‼」
……黙示録の始まりだった。
どうもミロクです。
最近忙しくて書く時間がなく、中途半端に終わらせました。申し訳ございません。
ですがご安心を。
この戦いの結末とこれからはある程度頭の中に描いてはいます。
ただ、それを文にするのが難しいなぁとぼやきながら、次の話を書いています。
どうかマイペースでやらせてください。
ミラージュシステムや、新しい環境のバトスピが始まるというのに一年前の環境のバトルを書いている自分は正直何なんでしょうか、と私自身が思っています。
もう一度言いますが、マイペースで書かせていただきます。
どうか何卒ご了承くださいませ。
それでは次回の話で会いましょう。