イン・トゥ・ザ・ヴォイド   作:レイワト流行れ

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これで完結。
以降の話を書く予定は今のところありません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、エピローグです。


エピローグ

 どれくらいの間、夢を見ていたのだろうか。

 

 記憶も、意識も、あいまいな中で、ずっと夢を見ていたような気がする。

 

 とても刺激的で、幸福な探索生活。

 三人での冒険は、殆ど忘れていた私の、楽しむという心を蘇らせてくれたと、思う。

 

 口には出さなかったが、レジェンドの仲間たちと過ごす時間と同じくらい、大切な日々だった.

 

 

 夢を、見るのだ。

 それは、多くの、多くの可能性。

 

 私がハジメと出会うのが、もう少しだけ早ければ、ハジメは”化け物”にはならなかった。

 私がもう少しだけ、精神的に無防備だったなら、私の運命はハジメだった。

 私がもう少しだけ、武器に詳しければ、もっと楽に冒険ができていた。

 私とともに、ランパートが来ていれば、ハジメのMADさはとんでもないことになっていた。

 

 ありえないような可能性、ばかばかしい可能性、そして……目を覆いたくなるような、悲しい結末の可能性。

 

 いくつもの道と、結末があって。私たちは自分たちの進むべき道を見定めてきた。

 

 

 

 ああ、でも。これは、やはり夢だ。

 こんな道を歩みたかったとは、少しだけ思うものもあったけれど。

 私は私の道を行く。

 すべての私がそうであるように、私は私の次元を生きるのだ。

 

 

━━さぁ、目覚めの時よ。レイス/レネイ。

━━あなたが初めて。あるはずのない道を、こじ開けたのは。

━━だから、その道の先を、私たちにも見せてほしい。

 

 

 その声に導かれて、私の意識は白く染まっていく。

 

 ……道は絶たれた。そう思っていたのに。ここで目覚めに至れるなど、私は夢にも思わなかった。

 

 

 

 

「……ん。」

 

 

 目が覚めると、そこは偏執的なまでに寝心地のいいベッドだった。

 ドロップシップの兵舎にあるような安物とは、比べ物にならない没入感。私という存在をゆっくりと沈み込むように受け止めて、離さない。

 

 

 ………私は実験の後遺症で、あまり眠らない体質ではあるのだけれど、このベッドなら、いくらでも眠れてしまいそうだった。

 

 

 でも、そろそろ起きないと。状況はわからないが、おそらく助けられたのだろう。

 あの絶望的な状況で、どうやったのか見当もつかないが。

 動かすのも億劫な腕で、自分の体を押し上げて、起き上がる。

 

 

「音がしたと思ったら、ようやく目が覚めたみたいだな。」

 

 

 すると、その音に気が付いたのか、部屋の入り口から、ハジメが顔を出してきた。

 ………戦闘の後遺症なのか、左目に眼帯をしている。

 欠損は神水をもってしても戻らないと聞いた。恐らく、左目は持っていかれたのだろう。未だに傷がいえていないのか、ハジメの体のところどころに包帯がある。

 

 

「どうやら、また命を助けられたみたいね。」

「お互い様だ。あんたが時間を稼いでくれなきゃ、俺もユエも危なかった。……天井の亀裂、しっかり使わせてもらったぜ。」

「………そう。私の最後のあがきは、役に立ったみたいね。」

 

 

 あの時、私は最後のあがきにクナイを振るっていたのは、別にやみくもに当てようとしていたわけではなかった。

 最後の時間稼ぎにと、天井の岩盤を切り裂いて頭上に堕として、虚空までの時間を稼ごうとしていたのだ。

 ……最も、激痛と疲労で、狙いがうまく定まらなかったのだけれど。

 ハジメ曰く、錬成で私を地面に掘った穴に落とした後、私が作った亀裂にドンナーを打ち込んで崩壊させ、地面に埋めて身動き取れなくなっている間に、ユエが吸血による魔力供給を済ませて、最大威力の”蒼天”を叩き込んで決着をつけたのだという。

 

 

 しかし、よく、生存への道をつかみ取ってくれたものだ。本当に、良かった。

 

 

「……1週間も目を覚まさなかったんだ。正直、手の施しようがなかったんで、目覚めてくれてよかった。ユエもきっと喜ぶぞ。すごい心配してたからな。」

「そうね。彼女には助けられた。後でお礼をしてあげないと。」

「そうしてくれ。じゃないと俺もそろそろ限界だ。」

 

 

 ……何か含みを感じるような言い草に首をかしげたが、今は気にすることでもないだろう。

 今ユエは外に出てあの怪物、ヒュドラの解体作業中とのことだ。ハジメはその間、私の容体管理ついでに休息中。二交代制で、私を看病していたらしい。なんとも、苦労を掛けてしまったものだ。

 

 

 ハジメが言うには、ここは大迷宮地下最下層の反逆者……いや、話を聞く限りでは”解放者”の住処らしい。

 今はここに滞在し、ヒュドラの肉を消化しつつ、ハジメが得た大迷宮の報酬……”生成魔法”を使って、アーティファクトを生産していたようだ。

 

 

 生成魔法は、魔法を鉱物に付加し、特殊な素材を作りだせる魔法らしい。……話を聞く限りでは、錬成師であるハジメのためにあるような魔法だ。これを用いたハジメは今現在、ヒュドラ戦で失った多くの装備品の修復と、新たな装備品の製造を行っているという。

 

 

 ……私のボルトSMGとセンチネルSR以下、私が持ち込んだ多くの装備品やアイテムも、損傷がひどかったので、こちらも修復した、とのことだ。その際に、一度私の武器に対してある技能を使用したらしいのだが……

 

 

「……しかし、錬成の技能が上がったおかげで、お前の武器を複製錬成してみたんだが……流石SFだな。頭がおかしくなるかと思ったぞ。」

 

 

 曰く、複製する際に頭の中に流れ込んでくる途方もない情報量に、頭の中をシェイクされたらしい。だが、それと同時に錬成の技能も跳ね上がるように上がっていくので、吐き気を我慢して、私の装備品一式を解析したようだ。しかし、ハジメの解析をもってしても、構造はわかるが原理は百万分の一も理解できない、ということらしく、原理を理解しての新兵器作成は見送ったらしい。

 

 ……まあ、天才電気技師であるナタリー(ワットソン)以下、改造屋ランパート、生化学者コースティック、電子技師の能力を持つクリプト、時空間研究者のソマーズ博士(ホライゾン)、ドローン技師でもあるアジャイ(ライフライン)、そしてなぜかホログラム技師のウィット(ミラージュ)までもが寄ってたかって研究、改造したのだ。28世紀の科学でも、最先端を行く武装だろう。聞く限りではまだティーンエイジャーで、しかも700年前の住人ともなれば、歴史に残る大天才でも引っ張ってこなければ完全な理解は不可能だろう。

 

 

 まあ、ハジメもハジメなりの矜持でいくつか鉱石を見繕い、バレルやグリップなど、細やかな部分に関しては魔力による影響を極力排しつつ手を加えたとのことだが。

 

 

 というより、こうして考えるととんでもないものを試験していたのだと思う。あのレジェンドたちが手を組んで本気で競技用以外の兵器でも製造しようと思えば、戦争の一つや二つは軽く引き起こせるのではないだろうか。

 

 

 ………閑話休題(それはさておき)。

 

 

「……ハジメ、ご飯ができ……レネイ!」

 

 

 現況の把握のためにハジメと話し込んでいた私だったが、今日の分の運び込みが終わったと連絡をしに来たユエが、私のことを認めると、こちらに砲弾のように飛びこんできた。私の体に抱き着き、顔をうずめて甘えてくる。

 

 

「よかった……ぐすっ、ずっと目が覚めないかと、おもった……!」

 

 

 どうやら、かなりの心配をかけていたらしい。……私ももう、ユエはほとんど家族のような仲になってきたな、としみじみ思う。ナタリーが口癖のように言う”部隊は私の家族”という言葉が、今ここの状況にも当てはまる。

 

 

 ……このオルクス大迷宮を共に攻略した"私たち(パーティー)"は、家族だ。それだけの絆を、確かに私たちの中に感じる。

 

 

「……私たちも、こうしてみると、随分仲よくなったものね。」

「だな。俺も、奈落の底に落ちたときはこうなるとは思わなかった。」

「………ハジメとレネイが助けてくれた。私は、二人が好き。」

 

 

 そうして、しばらく語り合う。

 この反逆者の住処の構造のことについてだったり、私が起きるまでの間に起ったこと、やったことだったり、私が夢の中で見た道の話だったり。いろんな、話を。

 

 

 ユエが作ってくれた料理を食べながら、何気なく始まり、積もった話をしていく私たち。

 穏やかなひと時に、ようやく”冒険”が一つ終わったのだという実感を得る。

 

 

 そんな話をしていると、不意に、私に抱き着いたままだったユエが、フルフルと震えはじめた。

 

 

「……もう、限界。いい、よね?」

 

 

 しばらくユエを撫でながら甘えさせていたのだが、不意にそんなことを口走る。

 何が限界だったのだろうか。そういえば、ハジメも似たようなことを……

 

 

 そんな思案をしていたのもつかの間。

 私は、ユエに思いっきり首筋を噛みつかれて、吸血された。

 

 

「あっ……ぐぅっ?!ユエ、いきなり、それはっ……ハジメ、ちょっと手を貸して!」

 

 

 体を襲う甘美な刺激。強制的に”ある種”の感情を叩き起こされる感覚。しかも不意打ちだったために、感情の制御がうまくいかない。こうしているうちにも、思考がどんどんかき乱されていく。

 押しのけようとしても、予想以上に強いユエの力と、私自身の筋肉が、一週間もの間目覚めなかったことで、凝り固まって、満足に動けない。

 

 

 とっさにハジメに助けを求めるも、ハジメはもうそこには居なかった。

 部屋の扉が閉まる音がする。

 

 

「なっ……?!」

「……ハジメには、もう言った。私はもうハジメを何回か襲って、”食べた”。ハジメは、もう家族。だけど、レネイも。………だから今度は、貴方の番。」

「悪いな。……ユエの奴、不安で仕方がなくて、ストレスでいろいろずっとため込んでたんだ。今までは不肖この俺が相手をしていたんだが、今日は錬成で疲れてるからな。というわけで、あとは任せた!」

 

 

 とんでもない発言が、次から次へとハジメとユエの口から語られる。混乱が激しい。こんな、こんなことがあり得るなんて。声は何をしているのだろうか。この道が見えているのなら、もっと早く、なぜ言わなかった。

 

 

━━諦めなさい。それはもう、定められた道よ。

━━残念だけど、そういうこと。

 

 

「恨むわよ……ハジメに別次元の私(この裏切り者ども)めッ………!」

 

 

 どうあがいても、どうしようもなかった。

 もう体は、ユエによってほとんど支配されかけている。

 

 

「いただきます……♪」

 

 

 …………これ以降は、黙秘権を行使するのだけれど、これだけは言っておく。

 

 

 全部が終わった後で、私は腹いせに、ハジメをユエの居る浴室の中にポータルで投げ込んでおいた。

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 いろんなハプニングこそはあったが、そこそこに楽しめる共同生活を送る日々。

 解放者・オスカー=オルクスの住処での滞在は、優に二か月を超えていた。

 

 

 ハジメのアーティファクト製造を筆頭に、私の新武器のテストや、オルクスの住処にあった資料の読み込みなど、得られるものをできるだけ得るためである。

 

 

 ハジメはボルトやセンチネル以下、私の世界から持ち込んだ物品に関しては理論を解明することはかなわなかったが、知らないなら知らないで”動けば正義”を標榜し、動力部分とエネルギー放出部分だけを切り出し、別の兵器に転用することを試みた。結果は、見事に成功。涙ながらにガッツポーズを浮かべ、SF兵器制作の可能性に光明を見出したようだ。

 

 

 そうして完成した私の新しい武器は三つ。

 

 

 一つはブリッツHLG(ハンドレーザーガン)。自動拳銃タイプの見た目をした、セミオートの銃だ。

 単純にボルトから連射機構を抜いて小型化させたもので、性能も模写製品であるため、そこそこ。ただ、片手で抜き打ちができる、という点で重宝する。マガジンはなく、常に私がエネルギーを流し込んで使用する必要がある。

 ハジメはもっと改良したかったようだが、理論への理解が足りない現在では、ハンドガンはこれが限界とあきらめた。代わりといっては何だが、ブリッツは非常に消費エネルギーが少ない。小型化、性能のダウングレード化の賜物なのだが、本当に気軽に使えるのだ。取るに足らない相手と戦うのに、わざわざボルトを取り出す必要がなくなった。

 

 

 もう一つは、設置型のミニガンである”シュトロム”。私の話からハジメがランパートに興味を抱き、私の端末の記録映像から彼女の映像を見た結果、すさまじい速度で作り出したものだ。彼女のシーラがモデルになっていると思われる。

 

 

 次元エネルギーを使う関係上、無理やりな改造は返って危険と判断したハジメは、ボルトSMGの連射機構をそのまま大量に付け加えて回転させるだけ、というトンでも仕様のミニガンである。

 

 

 消費エネルギーは極めて激しく、とてもではないが実戦で使うのは不可能だろうとも思ったのだが、ハジメは私の持つエネルギーマガジンの機構を複製、巨大化させることでこれを解決し、暇なときに私がエネルギーをチャージしておくことで、このミニガン・シュトロムは起動する。

 

 

 現在、替えのマガジンは10個ほど存在しており、次元エネルギーの高密度利用による防御無視射撃をしないのであれば、私だけでなく、誰でも使える仕様になっている。

 

 

 シーラリスペクトなのか、折りたたんで持ち運びも可能だ。今の私のステータスなら苦にもならないだろう。

 

 

 こういった改造を行っていたからか、ハジメは[+複製錬成]の派生技能に、[+部分複製][+自動複製][+低コスト複製II][+解析複製]という、複製系の派生技能に大量に目覚めたらしく、素材さえあるならその場で触れたアーティファクトを複製するという、とんでもない化け物じみた技能に目覚めた。しかも、複製する際に必要な魔力は、普通に作るよりも鉱石も魔力も2割引きされるおまけつきだ。

 

 

 これにより、ハジメじゃオスカー・オルクスの持っていた指輪型アーティファクト、”宝物庫”の複製に成功し、ユエにもその宝物庫をプレゼントしたという。私もその場面に立ち会ったが、さながらプロポーズのようだった。ハジメは私にも指輪型としてプレゼントしたかったようだが、魔力の無い私はハジメのあらゆるアーティファクトの適性がないため、断念した。

 

 

 だが、ハジメ曰く、次元エネルギーで空間に対して干渉ができるのであれば、この宝物庫は私は自力で作ることができるかもしれないという。

 ………今のところはうまくいっていないが、いつかは何とかできるかもしれない。というより、私自身、動く時は身軽なほうがいいし、私もこれらの武器はあまり見られて目立ちたくもない。

 

 

 そして、三つ目の武器は剣だった。

 

 クナイだけでは刀身がどうしても足りず、いつもエネルギーを放出するように運用していたこともあってかクナイは燃費が悪かったが、ハジメは苦心しながらクナイの素材に”似た”素材を作り出すことに成功した。

 

 

 それも用いて作られたのが、ショートソード”ヴィント”だ。

 

 クナイほどの耐久性がないので、次元エネルギーの放出、充填を何度もやることはできないが、纏わせて斬るだけなら十分な性能を持つ。クナイの素材はボルトやセンチネルなど、私の世界のレアメタルですら作り出して見せたハジメをもってしても生み出すことができない素材であり、宇宙のどこかにある自分の知らない希少元素を持ってくる必要がある、とのことだった。このクナイ、ブランシウムででもできているのだろうか。

 

 なお、ハジメが自分用に作った兵器アーティファクトどもは軒並み化け物性能である。次元エネルギーによる防御無視攻撃がなければ、太刀打ちできないだろうと思われるものばかりだ。………秒間1万5000発も弾丸はぶっ放さなくてもいいし、ドンナーは一つでいいし、ロケットランチャーもその弾頭を偏執的なまでに大量に作らなくてもいい。………もう、彼一人で戦争ができるな、と遠い目で思った。

 

 

 私の端末をハジメが複製し、充電器を作ってくれたことで、端末のデータを気兼ねなく見ることができるようになった。端末同士での通信もできるようになり、超空間通信で確実に通話が可能だ。

 

 

 また、みんなで特訓もした。

 私が持つ戦闘技能を、ある程度ハジメに教えたり、大会動画を鑑賞して有効そうな戦術を考えたり、などなどだ。特に、バニーホップに関しては熱心に特訓をするハジメの姿があった。彼曰く、”気持ちの悪い”動きらしいが、敵をかく乱するにはこの上ない武器だと思って割り切ったのだろう。……私も通った道だ。

 

 

 

 

 

 今後の動向についても、語っておく必要があるだろう。

 

 

 この奈落から、私だけは別行動をとることになった。

 本来は全員でライセン大迷宮を攻略することになったのだが、残されていた資料から、ライセン大迷宮はハジメ個人にとっては相性がいい場所であることと、残っている資料だけでは、ほかの大迷宮の詳細な場所がわからなかったこと、加えて、私が魔力を持たないために大迷宮を攻略してもまったく意味がないことがあげられる。

 

 

 私の役目は、王都や帝国に赴き、残された大迷宮についての情報を探ることになる。

 

 

 シュトロムについては完全にハジメの趣味の産物だが、それ以外のものは目立たずに使用ができるだろう。

 大荷物になりそうだったが、シュトロムは意外に軽く、腰にぶら下げるようにつけていても負担にならなかった。……多分何らかの軽量化に関する工夫がランパートのミニガンにあったのだろう。ハジメは端末のデータから利用できそうな技術を学習しているため、そこから得た知識だと思われる。

 

 

 そのあたりのいろいろな事情もあってか、私は別行動をとることになったのだ。

 

 

 この世界に来て、魔物を倒し、食べて、そうして自分の実力を高めつつ、次元エネルギーの操作についてもうまくなっていく。……それはつまり、私が別世界へのポータルを開くことができる日が、来るかもしれないということだ。

 ハジメとは、別ルートの帰還方法の模索。

 私は、その役目を負っている。

 

 

 これはこの力を扱うものにしかわからない感覚だが、世界にほころびがある場所を見つけないと、次元を超えた移動は不可能だ。ローバから別次元でのアイテム探しを頼まれたときも、そのほころびから道をつないだ。大迷宮にそのほころびが存在することも可能性としてはあったが、この広い世界のどこかにそれがあるともわからない。情報探索ついでに、次元の流れを感じ取りながら私が単独で旅をした方が、効率が良かった。

 

 

「悪かったな。宝物庫、最後までどうにもできなくてさ。」

「構わないわ。ここにポータルの起点は残しておくし、荷物なんてあってないようなものよ。」

「レネイ……離れてても、頑張ろうね?」

「ええ。……ユエ、頑張ってね。」

 

 

 ハジメたちは外界へ通じる転移魔法陣の上にいる。

 ハジメたちはこの魔法陣で、ライセン大渓谷へ。

 私はこれから、自力でこの大迷宮を上り、王都へ。

 

 

 この大迷宮にもほころびがあるかもしれないことを確認しなければならない。むしろ、私が飛ばされたここにこそ、あってもおかしくはない。

 ほころびが見つかっても、ハジメたちがいる世界や私の居る世界を指定する方法がない以上、手詰まりなのだが、あるい私の操作技能が上がれば、その世界を見つけ出すことだってできるようになるのかもしれないのだ。

 

 

「レネイ。またな。」

「ええ。また。」

 

 

 またいつでも端末で連絡が取れるし、永遠の別れというわけでもない。

 私たちが頷き合うと、彼らは地上に転移していった。

 

 

 

 

 装備の点検を終えて、オスカーの住居を去る準備をする。ポータルの起点を置いているため、すぐに戻ってこられるが、万が一のこともある。準備は万全を期したかった。

 その最中に、ふと思う。

 

 この世界で一人になったのは、実に数か月振りであった。

 

 迷宮に転移し、戦い抜いて、ハジメに会うまでの数日。それ以降は、誰かしらと行動していた。

 こんな未来、当時の私には見えていなかっただろう。

 

 

 今まで、ずっと世界は見えている道で構成されるものだと思っていた。

 でも、彼らを見ていると、そんな考えがばかばかしくなるほどに、多くの道を、可能性を作り出していく。

 

 

 準備を終えて、オスカーの住居から足を踏み出す。

 

 感傷はここまでだ。ユエもハジメも、目的のために進み続ける。

 こんなところで立ち止まっていては、話にもならない。

 

 

 

  

 見えている道は、あくまで参考に過ぎない。

 学んだ大切なこと。それを胸に秘めて、私は進む。

 

 このありふれたファンタジーの世界で、私は虚空に道を紡ぎ続けるのだ。

 

 

 

 

 




・ユエ×レイス?

血を吸われただけ。やましいことをした世界線はあるかもしれないけど、この世界線ではレイスは何とか、瀬戸際で理性を保つことに成功した。

・ハジメの複製

スーパーSF技術で作られたそれの構造を理解するのはムリゲー。どうすればこうなるのかさっぱりわからない。
だが、ハジメは動けば正義を標榜した。プログラマーかな。

・平行次元のレイス

彼女たちも被害者。


・Apex技術者+@同盟

なぜこれだけの協力者がいるのかというと、テストが成功した場合、次にその武器を持つのが自分だからである。
自分が持つ武器や装備に万全を期し、ついでに要望もかなえたいと思うのはみんな同じ。
なお、コースティックとワットソンの仲は超険悪だけど、今回に件に関してはお互いの技術を認め合って協力している。

・女子力

本作のレイスは裁縫、料理共にそこそこ。経験があるため、ユエよりは上手。
裁縫はブラッドハウンドに(マフラーの手入れの方法を教えてもらうときに)、料理はミラージュやホライゾンに教えてもらった。

 

・別行動

もしも続きを書くならば、ここから先はオリジナル展開にしていきたい。
現在王国組の時系列的には、帝国に行って帰ってきたくらい。レイスがいたために発生した攻略速度の上昇と引き換えに、発明に時間をかけたので、原作時系列と+-0といったところ。

・ブリッツHLG

オリジナル武器。ボルトをダウングレードしたもの。
弾倉はなく、一発一発の出力も高くないが、雑魚相手にはこれでいいし、コスパが良い。
高密度の次元エネルギーを充填すれば、やはり防御無視の弾丸になる。

 

・シュトロム

オリジナル武器。シーラに感銘を受けたハジメの作品。
ランパートが視たときの反応が怖い。
ボルトの連射機構をとりあえず6つ筒になるようにつけて、大きめのマガジンに接続した、というだけのもの。
秒間100発、1マガジン1000発まで撃てる。
高密度エネルギー充填対応。防御無視なら秒間100発でも十分すぎるくらいだと、レイスは思っている。
代えのマガジンは10個あるが、一つに高密度次元エネルギーを充填するだけでエネルギーを使い切ってしまう。2分もあれば回復するとはいえ、戦闘中にやってられるものではない。

 

・ヴィント

オリジナル武器。ショートソード。
王都や帝国での活動を見越したもの。次元エネルギーを充填し、放出せずに振るうことで防御無視の斬撃を高効率で利用できる。はたから見てもあまり違和感がない。

 

・レイスの端末(その2)

ハジメによってこの端末だけは魔力駆動式(といっても魔力を電力に変換するアーティファクトを外付けした)に改造された。レイスは魔力がないので充電器(空気中から微量の魔力を集めるアーティファクト)を使って充電する必要がある。
 衛星を必要としない超空間通信機器であり、ハジメはとりあえず複製してユエと自分が持つことにした。これで別行動時にも連絡が取れるようにしている。
 試合映像をみたハジメが”SF系FPSの世界かぁ”と感慨深く漏らしたのは秘密。
 ハジメの一押しレジェンドは(レイスを除けば)レヴナント。あの次元エネルギーだろうが何だろうがとにかくスキルを封印する謎の玉と、死を超越する意味不明領域のアーティファクトを即座に作り出せる彼を見て、対抗心が湧いたとのこと。その他にもパスファインダーのグラップリングフック、ジブラルタルのドームシールドなど、ハジメの創作意欲を刺激するものが多く存在した。
 一方ユエはローバから大人の女性のたしなみというのを学ぼうとした。



・次元のほころび

オリジナル設定。
レイスはこのほころびを通らないと本来ほかの世界に行けないという設定。
この世界に来たときはそんな壁をぶち破ってきてしまったため、なおさら困惑している。
ちなみに、ローバから依頼を受けたときはその別次元がほとんど隣り合っており、ついでにパスファインダーが飛ばされたこともあってか、限定的に高精度で道をつなぐことができた。

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