雪山山山さばいばぁ~   作:だら

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続いた。




たわけの奇行

一陣の風が我が身を震わせた。

それを追うように吹いた風が我が身をくすぐる。

更にそれを追い抜く勢いで吹いた風が我が身から温度を持って、逃げていく。

 

さて、一体何が始まったのでしょうか?

 

ヒントは……いや、そんなことしてる間に私が凍えて死んじゃう。

 

正直ヒントで焦らすことを惜しむ気持ちも強いが、もう言うしかない。言っちゃうしかない。だって、このままじゃ死ぬしかないじゃない!

 

そう。アレだ。吹雪だ。

 

轟々と、音がするぐらいに勢いよく風に乗って、こちらに雪がぶつかってくる。あまりにも悪質なタックル。

 

 

これは酷い。なんたることだ。

 

いくらインドア派(引き籠り)で、まだまだおねむな私でも目を開けざるを得ないじゃあないか。

 

「寒っ!寒いよ、寒すぎる!」

 

それにしたって、おかしなこともあったものだ。

 

なんで、こんなに吹雪いてるのだろう。

寝る前はあんなに真っ青な空だったのに。

 

眠りすぎだろうか?いや、それにしても限度があると思う。

雲は、そんなに急速に発達するものだとは思えないし、海のように雲の材料の水分を提供してくれる場所は近くに見えなかった。

 

 

そう、か。今度こそ、夢か。

 

夢なら仕方な

 

「……くないよねぇ!?

 私が、今、こうしてる間にも!

 雪が絶えずタックルしてきて、非常に耐えづらいのよ。」

 

あっ今、上手いこと言えた気がする。

絶えず、耐えづらい……ふふ。

 

違う違う、そうじゃない!

 

落ち着け。

 

いくら、下らないことで笑える才能を持つ私でも、流石に自重すべき場面だろうここは。

 

ただでさえ寒いのに、親父ギャグを言って、自分で精神的にも寒くなることして、どうすんのさ。この程度のギャグで起きた笑いなんて持って5秒でしょ。

 

 

5、4、3、2、1、0!

 

ほぉら、冷静になった。

 

「さ、さっきより心なしか風強い。……ホントに強くなってない?

 私の立ってる山まで、ギャグに白い目、向けてる気がするるる」

 

寒いのよ。すっごく。

私のギャグが、寒い。

 

後先考えない私のせいじゃん。あ~あ。

 

とりあえず下らないことは一旦、後にしようか私。

 

このまままともに風浴び続けてたら、冗談抜きで凍えて動けなくなる。

というか、すでにマズいことになっている。

 

寝て起きたら感覚戻るどころか、動こうとしたら痺れるというか、血が止まってるところに血が押し寄せようとしてて、なんかこう、動こうとしたら痺れる。

 

うん?おんなじこと言ってない?

 

まぁ、いい。

そんなこと考えてる場合じゃないし。

 

 

足の感覚は置いておいて。

 

まず、風をまともに受けない場所に移らなくちゃいけない。

 

「父親、ちょっと、いいとこないか見てきて~。」

 

……返事はない。

なぜ返事をしないのだろう?

 

いつも嫌そうな顔はしながらも、母以上に率先してパシられてくれる、あの頼もしい背中は一体どこにいってしまったというのか。

 

 

その時、私はあることを思い出した。

 

そうだった。よりにもよって。

 

「よりにもよって、ここ家じゃないじゃん!」

 

私はインドア派(引き籠り)。詰まるところ、家にいるのが当たり前。

 

=家こそが世界のすべて

 

そう言っても過言ではない。

そんな世界の外。

 

混沌とした宇宙において、私の、料理人兼、金蔓兼、パシリなど存在しない。

ここは地獄なのだろうか。いや、知ってる。地獄だ。

 

社会的地位もなく、親からも疎まれ、極めつけに人っ子一人視界に映らないような環境において、料理人も、金蔓も、パシリも、白馬に乗った金を持ってるオッサン様も、誰もここまで助けになんか来ない。来るはずがない。

 

この時、私は寝る前には目を逸らしていた厳しめの現実に直面した。

 

「うう……おかぁたん(金蔓兼専属料理人)おとぅたん(金蔓兼パシリ)……。」

 

 

だが、その時、私の脳に天才的な閃きが、舞い降りる。

 

思い出してみろ。逆説的にだ。家の中であれば私はどうだったのか、と。

 

「そうだ、家さえ作れれば……」

 

そう、家さえあれば、私には専属料理人も、金蔓も、パシリも、あのふかふかのオフトゥンと、ベッド、その他パソコンスマートフォンゲームワイファイ環境同人誌諸々も、全部あった。

ついでに、雨風も凌げるし、寒さもマシになってた。

 

家を作ろう。木があるけど、折れるの疲れるし、多分私の力だけじゃ無理。

じゃあどうする。雪がある。

 

頑張って太く広く、積み上げていこう。

少し小さく見える手を使って、必死に私は周りに雪を積み上げた。

 

だるいし、足を動かしたくないから、動かずに体を伸ばして届く範囲から。

 

雪を掻いて、くしゃみを落として。

 

雪を引き寄せ、鼻水を垂らし。

 

雪を積んで、体を震わせながら。

 

手は、珍しく止めなかった。

止まったら、寝る前と違って、私は今度こそ、戻れなくなる気がしたから。

 

 

「ってか、寝たら、体温ガクッと落ちて死ねるしね☆」

 

だから、眠いけど、寝落ちすることなく頑張るのだ。

星を付けたのには意味はない。

 

なんかそろそろふざけたくなったから。それだけ。

 

 

にしても、

 

死ねるしね……ふふ。

 

 

5、4、3、2、1、0!

 

あれ、なんか、また体が寒くなったような。

というか、体自体、全く動けなくなってるような。

 

ちょ、まずい、まずいまず……。

 

 

 

 

 

 

 

今度こそ、褒めてもらうんだ。

夢じゃなくて、多分本気で、吹雪の中で雪を積むという、重労働を頑張ったんだよって。

 

だから、まだ。そう、次起きた時本気出す。

行けるから。私、今無敵状態だから。

 

きっと、目を覚ませる。

次も。

 

(我ながら妙なことで頑張ろうとしたものだ。

 冷静に考えれば、家を作っても中身がないと意味なんて……)




たわけは雪を周りに積んだ。
(高さ、1cm)

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