アルティメットスぺちゃん爆誕【実況プレイ風動画】 作:サイリウム(夕宙リウム)
大変助かっております。
「どうだったテイオー、私のライバルは?」
うん、とっても速かった。
「だろう。ま、私を差し置いて最強呼ばわりされるのは癪だが、最速、という点ではあいつの方が上だろうな。」
エアグルーヴにそこまで言わせるなんて、やっぱりすごいんだね。
「あぁ! リギルに居たころは燻っていたが、元々奴はすごい奴だった。」
そっか、そうなんだね。 ……ねぇエアグルーヴ。ボクはどうすればいいのかな?
「……もう決めていることを私に聞くのか?」
え! なんでわかったの!
「顔を見ればすぐにわかる。ここに来る前は凄い顔をしていたが、今はずいぶんとましだぞ。」
……そんなにボクの顔ひどかった?
「ひどかったぞ。ひどすぎて会長が私に相談しに来るぐらいだ。帰ったら会長にお会いしに行くのだぞ。」
そっか、ありがと、エアグルーヴ。帰ったら会いに行くよ。
ボクが勝てないと思わせられた初めてのウマ娘、その子と会ったのはダンススタジオだった。
その時は忘れ物をしてしまって、放課後に取りに来たんだ。それで、スタジオに入ると、一人で練習している子がいた。その時はちょっと笑っちゃったよ、音楽からボクたちが初めに練習する簡単な曲なのはわかったんだけど、あまりにもヘタ過ぎたんだ。
それでちょっと見てられなかったから、色々と教えてあげた。その時に名前を聞いて、その子がスペシャルウィークっていうのを知った。
その時はただ、ダンスが苦手な子、というイメージしかなかった。
そのあと、チーム選びでいろんなところを見てきた帰りに、練習してるのを見た。
そこでは今日見に来ていたサイレンススズカさんとスペシャルウィークちゃんが併走していた。
目が離せなかった。単に強かった。
自分がその場にいると想像してみる、が、搔き消される。
二人のレベルが、いや、スペシャルウィーク、あの子の力が強すぎるんだ。
二人の練習が終わるまで、ずっと見ていた。自分があの子に勝つにはどうすればいいか考えながら見ていた。
思いつかなかった、思い浮かばなかった、考えられなかった。
ボクがあの子に勝つビジョンが。
ボクがどんな作戦をとったとしても、彼女がボクの前にいるのが見えた。
ボクがどんな技を使ったとしても、彼女が力技だけで勝つのが見えた。
ボクがどれだけ成長しても、彼女がボクよりも成長してくるのが見えた。
その後、自分がどうやって帰ってきたか覚えていない。
気が付いたら自室に戻っていた。
あれから、何も感じない日々が続いていたけど、今日、エアグルーヴに連れてきてもらって色が戻った。
レース場の熱狂した雰囲気、それがボクに熱を取り戻した。
あの時から格段に成長したといえるサイレンススズカを見て、自分がまだ成長できると感じた。
そして、あんなにキレイな勝ち方を見て、ボクもあの場に立ちたい、勝ちたいと思った。
「まぁ、大丈夫そうだし、安心したぞ。お前の顔を見たときは目を疑ったからな。」
あはは、ゴメンネ。
「そういえば、どこのチームに所属するのか決めたのか? お前のことだからもう決めてるのかもしれんが、もしリギルに入るのなら東条トレーナーに言付けしておくが。」
大丈夫! もう決めたから!
ボクが入りたいのはスピカ! あの練習を見たときからそこまで時間が経っていないのにあれだけ成長したサイレンススズカさんが証明してくれた。あのチームはボクを成長させてくれるって。
それに、ボクの一番のライバルになりそうなあの子もいることだしね!
近くで見て、色々と盗ませていただくことにしましょうか!
このあと、会長に会いに行ったときに教えてもらったんだけど、ボクのことを心配してマヤノが相談しに来て、ボクの変調を知ったんだってね。あとでマヤノにお礼しておこう!
そういえば、エアグルーヴにスピカに入るって言ったらすごい心配されたけどどうしてだろう?
短くてごめんね。
次回からはメイクデビュー編に入ると思います。