アルティメットスぺちゃん爆誕【実況プレイ風動画】   作:サイリウム(夕宙リウム)

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誤字報告いつも感謝感激雨霰です。

<ちょこっとだけネタバレ>
スぺちゃんはプレイヤーのことを認識しています。
解りやすく言ってしまうと彼女の周りに守護霊みたいなのがついてる
そう思っていただければ


PART41

【ハルウララ視点】

 

 

「え~と、お洋服は入れたし、歯ブラシも入れた! 持っていくものはこれで全部だっけ?」

 

 

「ただいま戻りました。あら、ウララさんどうしたんですか?」

 

 

「お帰りなさい、遅くまでお疲れ様! 明日からウララ、えんせい? ていうので高知に行くんだ!」

 

 

「なるほど、地方遠征ですね。何か忘れ物があれば大変でしょうし、お手伝いしましょう。」

 

 

「やっぱりキングちゃんはやさしいね~。」

 

 

そうやってキングちゃんが私の荷物を一緒に用意してくれたんだ!

やっぱり私、忘れ物してたみたいでキングちゃんにちょっぴり怒られちゃったけど、二人で旅行の用意をするみたいでとってもたのしかった! 最近元気なさそうだったキングちゃんも元気になったみたいでとっても良かった!

 

そうだ! あしたは朝早くに出発するから早く寝ないとね!

おやすみなさ~い!

 

 

 

【キングヘイロー視点】

 

練習終わりの帰り道、門限まで余裕がないので早く帰らないといけないが、足が重い。

 

 

トレーナーさんから渡されたメニューを淡々とこなす。自身の実力が上がっていることは理解できるが、彼女の走りを見せられたあの時からずっと私の不安は消えない。

 

このままで本当に大丈夫なのだろうか? 私の担当になってくださった赤田先生はこの学園の中でトップのトレーナー、その指導に間違いはない。そのはずなのに不安になる、本当に私は勝てるのだろうか。先生の汚点になってしまわないのだろうか。私に彼女に勝てる力はもともとあるんだろうか。

 

そんな思いがじわじわと心に溜まる、気分が沈む。

練習終わりの疲れもあるが、気分が落ち込んでるのもあるのだろう。

 

 

何とか門限までに寮にたどり着いた。寮に入ってしまえばどこに誰の目があるかわからない、いつもの私らしく”キング”でないといけない。気を引き締め寮に入る。

 

運よく今日は自分の部屋まで誰とも会わなかった。結果的に無駄に力んでしまった自分を笑う。結果論だが、誰にも会わないのに自分のちっぽけな意地を保とうとしていたことが非常に滑稽だった。

 

 

自室のドアノブに手をかけ、思いとどまる。同室のウララさんはどこか抜けている方だが、よく物事を見ている。こんな気が抜けた状態で彼女の前に出てしまえば、すぐに不調を見抜かれ、心配されるだろう。

 

彼女を心配させないためにも気を引き締め直し、ドアを開ける。

 

 

「ただいま戻りました。あら、ウララさんどうしたんですか?」

 

 

「お帰りなさい、遅くまでお疲れ様! 明日からウララ、えんせい? ていうので高知に行くんだ!」

 

 

いつも通りの挨拶、いつも練習で遅くなってしまう私を気遣ってくれるやさしい言葉。話しぶりから気づかれてはいないようだ。少しだけ安心する。

 

 

彼女は自身の持ち物すべてを自身のベッドの上に放り出し、半ばその中に埋もれながら荷造りをしていた。あまり整理が得意でなく、私物も多いため整理するために並べようとしたが途中で目的が二転三転しながら用意したのだろう。明らかに必要なさそうなものが彼女のカバンからはみ出ている。これは手伝う必要がありそうだ。

 

 

「なるほど、地方遠征ですね。何か忘れ物があれば大変でしょうし、お手伝いしましょう。」

 

 

「やっぱりキングちゃんはやさしいね~。」

 

 

彼女のトレーナーもうまく用意できないことを危惧したのか、彼女がうまく用意できるようにカラフルな配色とイラストが描かれた旅のしおりのようなものを用意してくれたおかげで荷造りは比較的早く終わった。

 

いつの間にか彼女のカバンに入っていたぬいぐるみなどを二人で笑いながら除いたり、レースをしに行くはずなのにシューズを忘れていたウララさんを叱ったりとそんな他愛もなく、楽しい時間を過ごしているうちに私の心にあったものはなくなっていた。

 

明日、早くから出発するらしいウララさんに合わせて、私も早めに就寝する。

いつもは疲れに任せて無理やり寝ていたような感じだったが、今日は気持ちよく寝れそうな気がする。

 

 

 

 

夜が明け彼女のトレーナーと一緒に旅立ったウララさんを見送った後に、私のトレーナー、赤田先生から食事のお誘いを受けた。どうやら私の不調はバレバレだったらしい。

 

昨日、ウララさんのおかげでリフレッシュできたこともすぐに見抜かれてしまったが、笑って食事に連れて行ってくださった。やはり私は恵まれている、これからも頑張ろう。

 

 

 

 

【シンボリルドルフ視点】

 

 

最近私に新しい趣味が増えた。そう、シルクスクリーンだ。ブライアンに貸してもらった立川で救世主二人が生活する漫画の中で、主人公がしているのを見て気が付いてしまったのだ!

 

私のジョークをこのように服に描いて、その服を着ればとても面白いということを!

 

 

思いついてしまったからにはすぐに行動しなければ気が収まらない。借りていた漫画をブライアンに返し、私に新しい道を教えてくれた聖書をネットで全巻購入した。

 

過去最速で生徒会の業務を終わらせた私は、早まる足を抑えながら近場のショッピングモールに移動し、シルクスクリーン一式と大量の生地が厚めの白地Tシャツを買い求めた。

 

 

その後、買い求めた品を持ちながら自室までつい走ってしまったが、その速度はシービーと競い合ったあの有馬の時よりも速度が出ていたかもしれない。次回の練習時に取り入れることができるようにメモをしておく。

 

 

 

自室に着いた瞬間、私は自身の机の引き出しの中からネタ帳を引っ張り出し、ネットでシルクスクリーンの行い方を検索し、研究し、実践した。

 

 

作業中、思いついたジョークの冴えも抜群に切れていて、思いついたらシャツに書き出し、思いついたら書き出しを繰り返した。かなりの数があったTシャツのすべてに文字を書き入れた時、気がつけば夜が明け、朝日が昇っていた。徹夜してしまったようだ。しかし私の脳は冴えており、目も閉じることを知らない、絶好調だ。

 

 

全てのTシャツに書き入れ終わった達成感と数々の素晴らしいジョークを生み出すことができた幸福感に包まれながら朝日を浴びる。

 

 

そうだ! 今日は早朝から生徒会の会議があったはずだ! 朝早くから集まってくれる彼女たちのためにもここは笑いを届けないといけない!

 

そう思った私は身だしなみを整えながらすべてのTシャツを確認し、面白く、朝というタイミングに合っているものを制服の上から着用した。

 

今日一日はこれで過ごすとしよう。

  『朝食抜かれて超ショック!』だ!

 

 

 

 

 

 

その後、彼女は意気揚々と生徒会室に向かったが、運よく誰とも出会わなかった。

生徒会室に先に来ていたエアグルーヴだけがその姿を見たらしい。

 

その日からエアグルーヴの引き出しには胃薬が常備されるようになった。

スピカの新年会よりも少し前の話である。




会長は深夜テンションでちょっとだけおかしくなってます。

エアグルーヴは泣いていい。



今更だけどキングお誕生日おめでとう。
不屈の王の生誕を祝おう。

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