アルティメットスぺちゃん爆誕【実況プレイ風動画】 作:サイリウム(夕宙リウム)
いつも本当にありがとうございます。
同志諸君! こんなもの読んでる場合じゃないぞ!
はやくゴルシウィークを堪能しに行くのだ!
『トウカイテイオー! 見事な先行力! 年初めの勝利を大差勝ちで収めました!』
ふぃ~。ちゃんと勝ててよかった。
うん、やっぱりボク強い方だよね? ちゃんと強いよね?
スぺちゃんもそうだけどスピカは強いコばっかだしちょっと自信なくなっちゃうよね~。
勝てたのは良かった。でも、出走していたコには悪いけど勝てて当然だったレースでもある。
ボクたちの世代は色々とおかしい。
世代に一人だけだったら絶対的エースであっただろう人たちがいっぱいいる。
スペシャルウィーク、現在の世代最強。その実力は圧倒的だけど性格はいいこ、無邪気と言ってもいい。ボクたちに火をつけたあの発言も彼女にとっては本当に何でもないのだろう。ただ走ることを楽しんでいるだけだからたちが悪い。ま、そこがいいとこでもあるんだけどね。
エルコンドルパサー、世間では二番手の怪鳥さん。先行、差しもできてマイルから長距離までできるコ。自分の得意な位置を取るのがうまく、先行力に長けているといえる。ダートも出来るみたいだけど、出走してるレースが今のところ芝だけなので何とも言えない。
グラスワンダー、お淑やかだけど何か怖いものがあるコ。ダートができなくて先行よりも差しの方が得意なエルコンドルパサー、そう言える。けどその末脚は全然安心できない。スぺちゃんには及ばないけどもその爆発力、前に行こうとする執念は同じターフに居なくてもわかった。
キングヘイロー、ボクとマックイーンを負かした相手。夏の合宿で会ったおかげでこの世代はスぺちゃんだけじゃない、もっと他も知る必要がある。それを教えてくれた相手。彼女も差しで、末脚に気をつけないといけない。根拠はないけどそこまで長い距離は得意じゃないように感じる。ついているあのトレーナーさんも怖い。
セイウンスカイ、一番厄介かもしれないコ。逃げが得意で、自分でレースを組み立て周りを引っ掻き回すことができるコ。出走したレースを見たけど、元の能力が高い上に作戦もあったらどうなるのか、その結果を見せつけられた気がする。
メジロマックイーン、同じスピカでボクのライバル。ステイヤーだけど中距離でも強い。先行の方が得意みたいだけど逃げもできる。出走するレースは長距離に絞っていくみたいで重賞を走るのは秋からになるみたい。自分の目標が決まっていて時間もある。
他にもミホノブルボン、ライスシャワー、ナイスネイチャ。ボクが把握できてない強いコもいるかもしれない。
そんなエースになりうる人たちが出走していないレースで負けてたら……ね。
それに、今回のレースで何かつかめた気がする。
ほんとは一つしか使えないものを二つ使うような感じ。
体にすごい負担がかかりそうだから多用はできないけどこれを極めればいけるかもしれない。
とりあえず、直近の目標は見えた。
なら、後はどこまで仕上げられるか、だ。
【ナイスネイチャ視点】
私には才能がなかった。
この一年でどれだけそれを思い知らされたか。
新星と呼ばれるような人たちのメイクデビュー。
特にスペシャルウィークのメイクデビュー戦。
私はあんなことできない。どんなに頑張ってもそこに行きつくことができない。
単なる有象無象の一人。
ほ~んと、とんでもない時代に生まれちゃったよね。そう言って口で諦めるのは簡単だった。
そんなわけない。
どうしようもなく、くやしい。
有象無象の一人、そう見られるのがたまらなく悔しかった。
世間は私を見ない。次の時代を作る子たち、そこに私の名はない。
私はナイスネイチャ、それを証明してやりたい。
私のことを見向きもしなかった奴らを見返してやりたい。
この名を忘れられないようにしてやりたい。
いつの間にか、その思いに取りつかれた私はすぐに行動に移していた。
無理をした。トレーナーから提示されたメニューの倍をこなそうとした。
真似をした。食事を変え、無理やり多く食べるようにした。
観察をした。戦うことになりそうな人を徹底的に調べた。
研究をした。過去のレース、自身の糧になりそうなものは何でも見た。
まわりを見ていなかった。止めてくれる人もいたが私の目には入らなかった。
とにかく、前を見続けようと、進み続けようとした。
結果、私は壊れかけた。
その時はターボもいなくて、私とトレーナーだけの部室。
いつも通りのトレーニングを始めようとして、急に体から力が抜けた。
強く体を床に打ち付けてしまったようだが何も感じなかった。
気が付くと病室だった。
横には心配そうにこちらを見つめるトレーナー、見たことのない機械に、多分初めてされただろう点滴。
そうか、私は倒れたのか。倒れてから自身が無理をしていたことに気づいた。
泣きながらトレーナーに謝られた。
私の不調に気がつけなかったこと、私の気持ちを考えられなかったこと、自身がするべきことを私に任せるような形になってしまっていたことを気がつけなかったこと、他にもたくさん、たくさん。
全部私のせいなのに、ずっと謝られた。
ただ、申し訳なかった。
私が倒れたのは、過労と強いストレスによるものだったらしい。
そこまで長く入院することはなかったけど、いろんな人がお見舞いに来てくれた。
ターボもそうだった。
私のことを心配して止めてくれようとした相手、その時は名前すら気にしてなくて、前に進むのに邪魔だと思ってしまい、強く当たってしまった私なんかを心配して、一番早くお見舞いに来てくれた。
「ネイチャは強くなりたかっただけだろ、ならすごくいいことだ!」そう言って笑って許してくれた。その優しさに何も言えなくなって顔を伏せてしまったら、泣いてると思われて「ネイチャ大丈夫か!? どっか痛いのか!?」と心配されてしまった。やっぱりターボは凄いや。
彼女はそれまでは違うチームにお世話になろうとしてたみたいだけど、私のことが心配になってカノープスに入るって言ってくれた。
それから、退院してから私の生活は全部変わった。私とトレーナーだけだったチームにターボが増え、トレーニングもまるっきり変わった。他の人のレースや、過去のレースについても私が調べようとした時にはトレーナーが用意してくれていた。私がつらくなった時はターボが一緒にいてくれた。
全部、全部いい方に変わったんだ。
だからね、
面と向かっては、恥ずかしくて絶対言えないけど、二人にすごく感謝してるんだよ。
だから、私は二人のために走るんだ。
私のためにも、二人のためにも、絶対に負けられないんだ。
思いを背負った人はとっても強うと思うんだ。
ネイチャは新馬戦には勝てたけど、周りがあれ過ぎて見向きもされなかった。見返してやるぞ!って無理しすぎちゃって体壊しちゃったけど、ちゃんと間違いに気付けて、新しい仲間と共に頑張ろう! って感じですかね。
私が表現しきれてなかったら申し訳ございません。