アルティメットスぺちゃん爆誕【実況プレイ風動画】   作:サイリウム(夕宙リウム)

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大変申し訳ないのですが本編の方の作成が滞っており、書き上げれていません。
そのため、本作の過去編としてこちらを投稿させていただきます。PART71まで読んでいただけた方向けのものとなっているのでご注意ください。
一応こういうのが嫌い、本編以外読みたくない、という方のためにこっちを読んでないと本編の方で解らない事柄が出てくる、というのはないようにしています。

この章は本編が再開した時にページ上部に移動させますのでご注意を。

過去編で出来上がってるストックが三話分あるのでそれまでには本編を書き上げてきます。

また、今後はこのようなご報告を活動報告の方に上げていこうかと思うので、お手数ですが見て頂ければありがたいです。

長々と失礼しました。







過去編
二度目の同じ日


 

 

夜、誰もが寝静まった時間帯。

 

 

 

本来聞こえるはずのない音と、においで目が覚める。

 

 

 

人よりも優れた感覚器官のおかげか、それとも今暮らしている寮がボロ屋であったからか、自身のいる場所が燃えていることは解った。

 

 

 

今すぐここから逃げないといけない

 

 

 

 

そう思い、飛び起きようとしたのだが何故か体が動かない。

 

まるで何かが、"運命"が私を押さえつけているように、ここで私は死ぬべきだと言うように。

 

 

 

 

びくともしない自身の体に抗いながら、何とか隣に寝ている子の方を見れた。

 

 

 

 

 

 

見なければよかったかもしれない。

 

私も彼女もいっしょ。

 

 

 

 

 

"運命"からは逃れられない。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

朝日。

 

 

もう二度と見ることができなかった日の光が顔にかかり、目が覚める。

 

 

 

 

「朝、か……。」

 

 

 

 

隣を見れば同室のあの子がまだ寝ている。時計を見るに朝練をしない限り起きないような時間だ。まぁここにはそんなもの好きなんてほとんどいないのだけれども。

 

 

隣を起こさないようにゆっくりと行動を始め、幾分か小さくなった体に戸惑いながら今から2年後に習慣化するルーティーンを開始する。本来なら"この体"は覚えていないはずなのに、体が覚えていたかのようにスルスルとできた。この分ならレース時の技術関連もどうにかなるのかな?

 

 

 

「よし。」

 

 

 

軽く髪を整え、ジャージに身を包んだ。あとは靴をどこにやったか、なのだがあいにく入学したての頃の記憶なんてかなり薄れてきている。……たぶん下駄箱に放りこんでいるだろう。

 

 

ゆっくりと自室のドアを閉め、下駄箱まで移動する。自身の場所を確認すると案の定靴が二足。私がいらないと言ったのに「せっかくの入学式にスニーカーで行くのかい? こういう時は、お金のことは気にしないで素直に甘えればいいんだよ!」と笑いながら母に買ってもらった革靴と、スぺの落書きがある学校配布のトレーニングシューズ。

 

たしか見つけたときはつい怒りそうになったんだけど、スぺの「お姉ちゃんが早く走れるようにおまじないしといた!」なんて言われて逆に褒めちゃったんだっけ。

 

 

 

「……懐かしいなぁ。」

 

 

 

私の学年が上がるごとにスぺも大きくなっていって、買い替えるころにはもう恥ずかしがって書いてくれなくなったんだよね。もっと大事に使えばよかったってすごく後悔したのを覚えてる。

 

 

 

「今回はもっと大事に使わないと、だね。………よし!」

 

 

 

思いっきり顔を叩いて気合を入れなおす。次の最期がいつ来るのかわからない私にとって時間は金よりも貴重。今の体でどれだけできるのかを把握する必要もあるし、さっさと朝練を始めてしまおう。

 

出来るだけ丁寧に靴を履き替え、走り出す。

 

 

 

 

さぁ、二度目を始めようか!

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

と、意気込んでみたものの私は私。このトレーニング中に考え込んでしまう癖はやっぱりある。

 

まぁとりあえず自身の現状を確認しながらやっていきますかね。

 

 

 

 

私の名前はオースミキャンディ、家族構成は育ての母と妹のスペシャルウィーク。妹の出産時に他界してしまった生みの母の記憶は私が幼かったこともあり、そこまで残ってはいない。ただ、やさしい人であったことだけはぼんやりと覚えている。

 

現在通っている学園は門別トレセン、所謂地方トレセンだ。一応中央のトレセンも受験して受かったのは受かったんだが、妹のスぺが私と離れ離れになることを知って大泣き。私もわざわざ東京に出てまで勝負しに行きたい! って奴ではなかったため合格通知を破り捨て、そのまま地元のトレセンに入学することになった。

 

また、理由として学費などの問題があったことも挙げられる。やっぱり中央に進むには結構なお金が必要で、経済的に厳しい我が家にこれ以上負担を掛けるのを気にしたということもあった。

 

 

 

そういえば地方に進むにしてもどっちみち寮生活だからスぺが結局一緒じゃないことで大泣きしてたっけ。慰めるために毎週の休日に必ず帰ることを約束してたんだよね。

 

 

んでまぁなんやかんやあって、レースに負けたり勝ったりしながら中等部最高学年。スぺも来年からこっちに進学してくるなぁ、ってことで色々と張り切ってる時に私は死んだ。

 

 

 

あとから、というか死んでから聞いた話だが、住んでいた寮の電気系統が老朽化していたため発火、また建物自体が古く木造だったためすぐに火が広がり建物全体が全焼。火事が起きたのが深夜帯だったこともあり、住んでいた生徒全員が死亡。という事件だったらしい。

 

 

実際死んだ人の感想としては燃えてることには気が付けたんだが、何か不思議な力に押さえつけられているような感じで全く動けず、ただ終わりを待つしかない、っていう最悪なもんだったんですけどねぇ。

 

 

う~ん、思い出してたら気分悪なってきた。この話はここらへんでやめやめ。

 

 

 

 

んで、死んだあと私は全く気が付いてなかったんだけど地縛霊みたいなのになってたみたいで、このトレセンに憑りついてたみたい。そこを何故か女神に見つかってヘッドハンティングされましたのだ。

 

 

何でも妹のスペシャルウィークに付けるトレーナーを探してたんだけどいい奴がいない。んで血縁で色々探していた時にここで死んでる姉居るやん! せや、地縛霊になってるみたいだしトレーナーの知識ぶっこんでスペシャルウィーク専属トレーナーしちゃおう! というわけだそうだ。

 

 

正直に言う。

 

 

 

頭おかしいとちゃいますかね?

 

 

 

 

 

まぁ自慢の妹が三女神に見初められている、ってのはその時だけは正直嬉しかったし、スぺともう一度話せるかもしれないと思ってその話に乗った。即決っていうやつ。

 

 

あちらさんも神なので、こっちの返答が解っていたみたいでして、早速トレセンから見たことのない真っ白な空間に瞬間移動、そこで無理やりトレーナーに必要な知識を頭の中にぶち込まれるという拷問が始まった。

 

霊でも無理やり何かを押し込もうとすると激痛が走るということを知れたのは僥倖だった。二度としたくないが。

 

 

 

 

それで地獄のような研修が終わり、ようやくスぺと再会できる、ってなったときに問題というか女神側のうっかりがあったようで、スペがもうレースから引退を考えるようになる時期まで時間が経っていたらしい。

 

なんでも私の知識の吸い込みの様子が見てて面白かったので忘れてたらしい、サディストかよお前は。

 

 

それで時間が思いっきり過ぎちゃったことに対する対処法は、神サマらしいやり方で時間を巻き戻すというものだった。私としては引退したスぺでももう一度会わせてくれるのだったらそれでよかったんだが、何かあちらさんも目的があるらしくそれを実行したようである。

 

 

 

んで気が付いたら生前の私、私のトレセン入学直後まで時間が巻き戻ってました、ってことだ。

 

 

 

まぁ長々と考え込んでしまったのでまとめると

 

 

私、火事で死んだ!

 ↓

地縛霊になったら、三女神にトレーナーになれって言われたぞ!

 ↓

受け入れて、勉強してたら時間かかりすぎちゃった!

 ↓

女神たちが時間巻き戻したら、私の生前まで時間を引き戻しちゃったぞ!

 

 

ということだな。

 

 

まぁここら辺はさっき起きる前の夢の中で色々技の女神から説明を受けたんだが……

 

 

 

そういえば三女神についてまとめてなかったな、それもしておこう。

 

ウマ娘の神、三女神というのがいる。

個神名がそれぞれあるみたいだけど知らないのでとりあえず、力の女神、知の女神、技の女神がいるとだけ覚えておけばいはずだ。

 

力の女神は名の通りウマ娘の力を司る女神。レースの勝敗とかを見極める神でもあるらしいんだが、会ったことないからどんな奴なのかは知らない。

 

知の女神はサディスト野郎。私に知識ぶち込んで喜んでた奴。正直顔も見たくない。女神間の仲裁などもやってるらしいがあいつに任せてほんとにいいのか?

 

技の女神は私と接点が一番多い神。地縛霊になった私に初めて話しかけてきたのはこいつだし、女神関連の情報も教えてくれるのもこいつ。あと自分で遊戯の女神って名乗ってるのでそっちで呼ぶと喜ぶ。

 

という感じで女神サマが三人もいらっしゃるっていうわけだ。

 

 

 

んで、さっきまで色々と夢枕で私の現状を教えてくれてたのが技の女神っていうわけだ。

 

 

 

 

『ん~、ってなわけで時間巻き戻したのはいいけれど、世界自体に変な影響を与えちゃったみたいでね、戻りすぎちゃったみたい。時代的にはキャンディ君がトレセンに入学した直後くらいだねぇ。……まぁ君がもう一度死ぬことは確定してるんだけどこの世界自体に異変が起きている以上、そのタイミングが前回と同じとは限らない。まぁ君に依頼した妹ちゃんのトレーナー業のお仕事の契約はまだ残っているわけだし、色々とやってみればいいんじゃない? 君のお仕事が始まるのは君が死んで霊になってからだし、それまでに準備を整えるもヨシ、生前出来なかったことをするのもヨシ、家族との時間を楽しむのもヨシ。ま、ちょくちょく様子は見に来てあげるし、楽しく過ごせばいいんじゃないかな?』

 

 

 

 

 

まぁまとめると次、いつ死ぬのかは解らないが、それまで後悔のないように好きに生きろと言うことだ。

 

 

 

 

「ふぃ~、こんなもんか。にしてもやっぱり衰えてるなぁ……。いや、この場合は元に戻ってる、か。」

 

 

 

 

昔していたなじみのトレーニングを終え、体がまだ成長途中であることを実感しながら休憩に入る。

 

 

ま、どれだけ時間があるかはわからないんだ。

 

思い残すことがないように、好きなことをするに限るかね。

 

 

 

過去改変、って奴をさ。

 

 




あとがき


契約

神と人との契約は神優位である。
しかしながら、神は自身の神性を保つため、その契約を違えることはない。


また人が神に契約を求めるとき。
その求める結果は人によって成し遂げられないものである。


結果が大きく、もたらされるのは確定している。




そのため、人に課される試練は極めて困難である。

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