アルティメットスぺちゃん爆誕【実況プレイ風動画】 作:サイリウム(夕宙リウム)
朝起きたら同室の子が顔真っ赤にしながらベットに蹲ってた。
「何カッコつけてんだ私! 恥ずか死にそうッ!」
一体全体どういうことなの???
あ、どうも初めまして。キタノセイドリと申します。
門別トレセン中等部、一年生です。まぁ、昨日からなんですけど……。
何もかもが初めての学園生活、昨日初めて会った同室のオースミキャンディちゃんも良さそうな子だったし、これから楽しみだなぁ、と思っていたその翌日。
目覚ましを掛けていた30分ぐらい前に、誰かが叫んでるような声が聞こえたので目を覚ましてみればこの光景。
「何カッコつけて『過去改変、って奴をさ。』だ! もう厨二は過ぎてんだアタシは! ウガッ~~!!」
昨日まで普通そうな女の子だったキャンディちゃんが枕に顔を埋めて思いっきり叫んでる。
……私はどうすればいいんだ???
と、とりあえず……。
「あ、あの……、キャンディちゃん? お、おはようございます???」
「ッ!!!!!!」
う、うわ。すごい目で見られた。……これは治まるまで静かにしておいた方がよかったのかも。
「お、起きてたの?」
「あ、いや、うん。その、さっきの声で……。」
「………………ふぅ。いえ、本当にごめんなさい。つい叫んでしまって、起こしてしまったみたいで……。」
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ヤ、ヤッベ、やらかしたッ! ついあの例のクッソ恥ずかしい独白を思い返して憤死しそうだったのをドリちゃんに見られた! ついつい自室に戻ったことで気が緩んでいた!
私にとってはキタノセイドリちゃん、通称ドリちゃんは3年間一緒に過ごした同室の親友だけれども、今この現在においては昨日初めて会ったばかりの、ほぼ初対面!
お、終わった! 私の二度目の学園生活、完!!!!!
焦りすぎて逆に冷静になってきたぞ、こいつは! と、とにかく我が親友(予定)の下がりに下がり切った好感度をどうするか考えねばならない!!!
「あ、あはは……、た、確かに叫びたくなることもあるよね。……そ、そうだ! ジャージに着替えてるってことは朝から練習してたんだよね? 昨日はそんな感じじゃなかったけど努力家さんだったんだね、すごいなぁ。」
………ふぅ、天使か、こいつ? いや天使だったわ。
さ、さすが3年後には”気遣いの鬼”とも呼ばれるわが友ドリちゃん! このやさしさに、惚れてまうやろ!
「うん、いつもの癖で走ってきちゃった。……あの、ほんとに起こしちゃってごめんね。」
「ん? あぁ、いいのいいの。キャンディちゃんの意外な一面が見れてうれしかったし、早く起きられたから余裕をもって準備できるしね。ありがとう、キャンディちゃん。」
あっ(浄化)
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ふぃ~。このオースミキャンディ、一度死を体験していなければドリちゃんのやさしさに浄化され、また天に召されるところであったわ。うむ、首一枚つながらなかったな。
というわけでやさしさに包まれながら学園内にある食堂で朝食をとり、登校。教壇に立つ教師の話を聞き流しながら色々と考える。所謂板書は取るが、話は聞いていない状態だ。
フマジメな生徒であるが、さすがにこの時期の勉学程度で躓くほど勉強してなかったわけでもあるまいし、いいだろうと思いながら隠れてサボる。
「……というわけで国内には中央を除いて15か所、ローカルシリーズに参加するトレセンが……」
それにしても生き返ったというか遡ったことに対するうれしさというか、肉体の暖かさに再開できたことに対する喜びからかテンションが有頂天になってて、あれは恥ずかしかったなぁ……。
これは黒歴史ですな、うん。
ま、忘れたいことは脳内から消去しまして、今後のことを考えましょう。
とりあえず今の授業を聞き流しながら考えていた目標を並べていこうと思う。
まずは「自分以外の全員生存」。このトレセンで今後、全焼レベルの火事が起こるのは必須。たぶんだけどこれの原因を排除しても、同じことが起きると思う。つまり建物の老朽化を何らかの方法で防ぎ、火元となった電気系統を全部入れ替えたとしても、違う理由で発火し、結果は同じになると思う。
私は死んだとき、意識はしっかりしてたけど何かに押しつぶされるような、ここから絶対に抜け出させない、そんなものが感じられた。たぶんそういうものなんだろう。
私の死後はスぺの霊トレーナーという席が用意されてるが、他のみんなは違うだろう。女神サマにも聞いたが私以外は霊になっていなかったようだし、そのまま何もできず死んでしまうしか道はないのかもしれない。
元々の規模が小さいのもあるが、三年もここで過ごせば大体の子は顔見知りだし、仲がいい子も多かった。そんな子たちをただ死なせるのは正直言ってイヤだ。あの私たちを押さえつけていたものは何なのか、そしてそこから逃げ出すにはどうすればいいのか。女神サマにでも聞いて、色々準備していく必要があるだろう。取り合えずできることは火事が起きたときの対処法を正しく伝えていくことからかな。
二つ目としては「トレーナーの勉強」。忌まわしい知の女神のせいで無理やり詰め込まれたトレーナーをするために必要な知識は頭の中にある。しかしながらあのサディストのことだ、この知識が本当に使い物になるかわからないし、私が担当することになるのは自慢の妹であるスペシャルウィーク。些細な間違いが取り返しのつかない事件に繋がってしまうかもしれない。そのため、できるだけ新しく、正しい情報を手に入れて私が持たされた知識とすり合わせをしていく必要がある。
これをしていく方法としてはまずは校内にある図書館で色々調べながら勉強していく必要があるだろう。ここ自体古い学校だし、蔵書も新しいものは少ないかもしれないがないより別だ。新しい教本とかは今後、買うなり借りるなりしていこうと思う。
三つ目、今のところ最後だが「お金集め」だ。つまりできるだけ多くのレースに出走してその賞金をできるだけもらっていく。理由としてはスぺのためだ。死後、私がどのタイミングまでスぺのトレーナーとして存在できるかは女神サマたちの御気分次第。どうなるかは全く持ってわからない。
何らかの理由でスぺが働けなくなった時のことも考えてお金をためておく必要がある。一応実家も総資産だけ見れば結構あるはずなのだが、スぺというオオぐらいのせいで結構傾いているのでそこまで安心できない。まぁ言ってしまえば将来のスぺの食費を稼ごうとしている。………まぁ一応ウチは農場なので設備投資とかやりだすと金がいくらあっても足りない。そこらへんにうまく使ってもらえればいいなぁ、と思ってのこともある。
また、二つ目の理由でもあった知識のすり合わせのために必要な情報。これを入手するためにはやっぱり本やネットに頼らないといけない、そのためには色々と買いそろえる必要があるので金が要る。
ま、長々と考えたがたくさんレースに出て勝ちましょうというわけだ。
運よく、というべきか出走してくるライバルたちの作戦や癖は一度目に大体研究し終わっている。時間が経つごとに違いは出てくるだろうが最初の方は何とかなるだろう。また、多くのレースに出走するということは、そのための調整やトレーニングが必要になっていき、頭の中にある知識を、自分を実験台にすることで確かめていけるという利点もある。
と、まぁこんなところか。
纏めてみると「私以外生存ルート確立」「トレーナー勉強」「資金調達」と言ったところか。
並べてみると三つしかないが、どれも大変になりそうですなぁ。
ま、できるだけやってみましょうかね。
〇オースミキャンディ
栗毛のスレンダーボディ。本人よるとスズカよりはあるらしい、B71だが。
やらかしウマーマン。生身の体に戻れると思ってなかったので、普通に生き返れて精神がはるか彼方に行ってしまった。そのせいで羞恥心に悶えているところを発見されてしまう。目標に「自分以外の全員生存」「トレーナーの勉強」「スぺの未来の生活のためにお金集め」の三つを設定し頑張る様子。ちなみに結構なオタク趣味を持っている様子。まぁ死後に動画投稿し始める奴ですし……。特に80、90年代のロボット系が好きな模様。
〇キタノセイドリ(オリジナル)
葦毛のウマ娘。とある部分の成長の余地がないキャンディとは違いある方。
過去?未来?ではキャンディと親友だった様子。普通に性格のいい子なため、キャンディの奇行をスルーし、やさしさをプレゼントした。シンデレラグレイのベルノポジション。