アルティメットスぺちゃん爆誕【実況プレイ風動画】   作:サイリウム(夕宙リウム)

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シンデレラグレイ、ようやく買えました。
続きが早く読みたい……


PART67

日本 トレセン学園 生徒会室

 

 

 

「すまないグルーヴ、少し一人にしてくれないか。」

 

 

 

書類を持ってきてくれたグルーヴに席を外してもらい、目の前に置かれている紙にもう一度目を通す。

 

 

 

来年度より開催される国内ドリームシリーズの知らせだ。

 

 

 

現在日本ではドリームシリーズは開催されていなかった。

 

私が生まれる前になるが、本来ならトゥインクルシリーズが始まったと同時に開催される予定だったドリームシリーズは、それまで行われていたレース関連の利権をまとめるために予算を使い切ってしまい、その開催は後送りとなってしまったという歴史がある。

 

その後、ジャパンカップなどの新規レースの開催や海外枠規制の緩和、クラシック登録におけるオグリキャップ騒動の解決などに手が追われていたらしいが、ついに開催できるようだ。

 

今までは国内のトゥインクルシリーズの登録を破棄し、海外のドリームレースに出走するか、登録を残したまま学園に居座るかのどちらかしかなかった。国外に出ず、学園の広告塔、もしくは学園の運営に携わるために残っている私やマルゼンには朗報ともいえるだろう。

 

 

初めての海外遠征でケガをし、そのまま国内に止まる道を選んだ私は、ケガが癒えた後も残っている。

 

日本の誇るスターを国内にとどめておきたいというURAの意向と学園をより良い物にしたいという私の思いが重なったゆえの決定だったが、シービーたちが海外に挑むのを見送るたび、もう一度挑戦したいという気持ちを抑えるので必死だった。

 

 

ドリームシリーズはトゥインクルシリーズと比べ海外ウマ娘に対する規制も甘く、様々な強者が集まってくるのは明白、今から競い合えるのが楽しみでならない。

 

 

 

 

 

 

 

そう、これだけならそうだった。

 

問題はもう一枚の紙。

 

 

 

「現在、トゥインクルシリーズに登録されている方々の中ではシニア級で一定以上の活躍をなされた方は自主的に出走を取りやめる、という風潮がありますが、今年及び来年のシニア級レースにおいてはそれを無視していただいても結構です。ドリームシリーズに上がってしまえばトゥインクルシリーズのレースに出走することはできませんのでよく考えて出走登録をよろしくお願いいたします。しかしながら優先権はシニア級三年目未満の方々にあるということをご留意ください。奮ってご参加ください。」

 

 

あぁ、なぜこんなことを書くのだろうか。

 

 

理由は解る、初めて開催されるドリームシリーズ。

どれほどまでに人気を集められるかわからない。

 

人気を集められなければ、いくら我々が求めたとしても資金面で限界が来てしまう。

 

 

 

それを回避するための策だ。トゥインクルシリーズで活躍したウマ娘をドリームシリーズに上げることでファンたちの興味を引かせる。そのための起爆剤。

 

 

 

本来なら私は出走しない。

 

権利はあってもほとんど引退したようなもの。

 

このまま生徒会長として年を越し、来年のドリームシリーズに備える。

 

それが"正しい"道なのだろう。

 

 

 

 

 

だが、頭にあの時の敗北が浮かんできて、さっきから何をしても離れようとしない。

 

 

クラシックの時、初めて負けたあの光景。シニア級でシービーと競い合っていた満たされる時間の中になぜかある不満。世界に出て肌で感じた壁の高さ。

 

 

そして

 

 

セクレタリアトとのあのレース。

 

 

 

あれからずっと心の火は燃え続けている。

 

 

 

ジャパンカップ、どうしようもなくレースに出たい。

 

 

 

 

今を走る子たちの場を奪ってしまう。

 

絶対に間違った選択、決して褒られることではない。

 

 

 

しかしながら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば私の手は電話に伸びており、URAに繋いでいた。

 

 

 

 

「はい、シンボリルドルフです。……はい、その件でして……。」

 

 

 

「今年のジャパンカップへの出走登録は可能でしょうか?」

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

えーと、セクさんと一緒に練習してるから一つ目の目標はいいとして、二つ目の目標の海外芝に慣れるってのはチームで練習するから問題なし。三つめは一応シービーさんとも会えたから大丈夫ってことにしておこう。

 

 

今のままが一番いいもん。わざわざ変えたくない。

 

せっかく手に入れたチャンス。自分から手放すなんてしないし、それ以前に一緒にいる時間が減るのは嫌。

 

負けてしまった時のことを考えてのことだろうけど、そもそも私にその後はない。考えてもいない。

 

私の大本、走る理由、レースに出る理由はその一つ。

 

 

 

 

「スぺちゃーん、ご飯行きましょう~。」

 

 

「は~い、今行きまーす!」

 

 

 

いや、終わってしまった時のことは考えても意味がないよね。

 

私達が一緒にいる限り負けることなんてありえないんだもん。

 

 

 

 

 

えぇ~と、あとの目標は太らないようにする、か。

 

 

……できるかな?

 

太ったらまた怒られちゃう。

 

と、とりあえずは今日のご飯は少なめに……

 

 

 

 

 

「今日のメニューには私のお気に入りの料理が出るらしいの。スぺちゃんも気に入ると思うわ。」

 

 

「ほんとですか! 楽しみだなぁ~。」

 




ルドルフ会長はジャパンカップにスぺちゃんが出走しようとしていることは知りません。
たぶん今シニア勢で頑張ってる子たちと海外からやってくるヤベー奴らが遊びに来るかなぁ、よっしゃ、トゥインクル最後やし海外のやべー奴討伐しに行くぞ、ついてこいブロリー! としか思ってません。

だって有馬にクラシック級の子たちが出てくるのは解るけどジャパンカップだよ? 海外のやべーのが遊びに来るんだぜ? んなもんクラシックの子たちが遊びに来るわけないじゃん。しかも3冠最後の菊花からそんなに時間空いてないし……。普通回避して有馬に向けて調整するよね? 大丈夫会長有馬には出ないから!

でもうちのルドルフ会長はジャパンカップで海外ウマ娘に勝つことにこだわってる感じなので知ってても出走してたかなぁ、って私思うの。

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