アルティメットスぺちゃん爆誕【実況プレイ風動画】   作:サイリウム(夕宙リウム)

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既知のまだ見ぬ好敵手

「あねうえ! あねうえはちゅうおーというところにはいかないのですか?」

 

 

「えぇフロート。私はこの地に残って戦います。せっかく頂いた推薦ではありましたが、ね。私はこの地に残ることで目標を達成しようと思います。……まぁ近くのトレセンに進学し、そこで走るということですよ。」

 

 

 

 

中央からの推薦、それ自体はこの道を進む者からすれば喉から手が出るほど欲しい物であることは解っている。そして、それを断るというのがどれだけ失礼であるか、ということも。

 

しかしながら自身の力量を考えれば、このまま中央に進むことは何もなせずに埋もれてしまう可能性が非常に高い。親に頂いたこの体、健康な体に不満はないが、少しだけ早熟でありすぎたこの身を恨めしく思ってしまう。何故だかわかってしまったのだ、一度自身の体が大きく成長し、その力量も大きくなった時、もうこれ以後、このように大きく成長できることはない。一度限りの早熟、私の伸びしろがほとんど残されていないことを。

 

おそらく、中央に入学したとしてもあそこは魔境。通用するのも最初の一年。死に物狂いで努力したとしても二年目、クラシックの春ごろには埋もれてしまうだろう。

 

私の夢は寂れてしまったこの街に活気を戻し、豊かにすること。そして、もはや形すら残っていないツバキ家の流れを再興させること。そのためにはどうしても勝利が必要だ。

 

 

自身の成長型を考え、その勝利は中央の勝利とは比べ物にならないかもしれないが、私の夢を叶えられる道である地方に残ることにした。申し訳なさはあるが、後悔はみじんもない。

 

 

 

 

「じゃあフロートもいっしょにはしりたい!」

 

 

「あら、ありがとうフロート。でも私よりも速くなれるあなたはこんなところで小さく走っては駄目よ。もし私と同じ道に進みたいのであれば、もっと大きな目標を持たないとね。」

 

 

そう言いながらフロートの頭をやさしくなでる。

 

 

 

地方で名を挙げるには数多くの勝利が必要だ。

私が生まれ、育ててくれた街に活気を戻すためには中央の奴らに負けないくらい輝かしい成績を治めないといけない。誰もが忘れてしまったこの血筋に日を当てるためには、私達が優秀であることを示さないといけない。

 

幸い、私と違って妹は優秀だ。

私が同じくらいの年齢の時よりも体力があり、速度があり、気概がある。

 

フロートなら私が諦めるしかなかった中央での活躍も簡単なことだろう。

 

 

 

そのためにもまずは私が妹に恥じない走りをしなければならない。

 

 

 

 

 

さぁ、まだ見ぬ者たちよ。

 

 

蹂躙して差し上げましょう。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「んで、なんで夢枕に立たれておるので?」

 

 

『ん~~!! 厳しいお言葉! あ、キャンディ君、私ら神を敬う気ないデショ。私は別にタメでいいけど他の二人はもうちょっと気持ちを込めて話した方がいいよ。』

 

 

「それは憎しみとか怒りとかの感情でしょうか?」

 

 

『うむうむ、やっぱり君、知の奴嫌いだねぇ! そうじゃないと面白くないない。』

 

 

「それで? 今日は何のために来られたので? 正直夢枕に立たれると寝た気がしないので嫌なのですが。」

 

 

『正直でいいねぇ! ま、今回こっちに来たのはアニメ鑑賞会をしようと思っててね。ゴソゴソっと、ジャジャジャジャーン! ウマ箱全巻! 一期+OVA+ニ期の全部をこれから毎日一話ずつ見ていくよん!』

 

 

「これは……スぺ?」

 

 

『お、さすがお姉ちゃん! 成長した姿でも解るんだねぇ! こちらはなんと君が存在しなかった世界をアニメ化したものですねぇ! 一期は君の妹が主人公してるし、普通にアニメとしても面白いから楽しんでね!』

 

 

「いやまぁ私もオタク趣味なのでそれはいいんですけど……、まぁこういうのは見た方が早いか。」

 

 

『うんうん、そういう物わかりのいいとこは私好きだぞぉ。 あ、これ見終わったら【技の女神が教える史実の歴史!】講座もあるから早めに見終わった方がいいよ~。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝

 

 

 

「……どうしたのキャンディちゃん? 見るからに寝不足そうだけど……。」

 

 

「いや、寝たはずなんだけど寝た気がしなくて……。(あ~結局1期全部見てしまった。)」

 

 

「う~ん夢見が悪いのなら安眠効果があるアロマでも使ってみる?」

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

いや~、マジか。こことは違う世界みたいだけど私の自慢の妹はアニメになってるとは知らなんだ。あと普通にアニメとして面白かったし一気見してしまった。

 

 

あ、どうも。

 

 

私達のいる世界がアニメ化していることや、自分たちが住んでいるこの世界以外にも平行世界みたいな別世界があること、あと私たちの元が謎の4足歩行生物だったりと、色々なこの世界の真実を知らされてしまい、混乱しまくってるキャンディちゃんだぞ!

 

 

今も混乱しすぎて大体中学二年生ぐらいの子たちが発症する、自身の考えを読まれている前提で話し出すという頭おかしいことをしているぞ! 多分これも黒歴史行きだぞ!

 

やったねキャンディちゃん! 黒歴史が増えるよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

…………とまあ色々と変なこと考えたが収穫は二つ。

 

一つ目は例のアニメのおかげでスぺが通ることになる道をある程度知ることができたということ。おかげで色々と目標を設定しやすくなるし、スぺがどれくらいまで強くなれるのかの指標も得れた。……にしてもうちの妹がダービーウマ娘かぁ、ヤバいなぁ……。

 

これは「資金稼ぎ」程度に思っていたレースを、かなり真面目にやって成績残してないとスぺに合わす顔がなくなりそうですなぁ、頑張らねば。

 

 

二つ目は見せられたアニメとは関係ないけど、私のが死んだときに感じていた“押さえつけられている感触”。あれについて技の女神に調査を依頼することができた。あれが何だったのか、また何故私たちが死んだのか。その理由が解るかもしれない。

 

まぁ相手は女神だしちゃんと教えてもらえるかはわからんのであんまり期待しないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

と、それよりも今日は選抜レースがある日だった。これからのことを考えるのもいいけど、一応今を生きているウマ娘ですし、そこらへんもちゃんとしとかないといけませんねぇ!

 

 

 

……それに私のライバルだった"あいつ"との初顔合わせもこのレースだしね。

 

 

 

 

「キャンディちゃん~! そろそろ始まるらしいよ~!」

 

 

「は~い! 今行く~!」

 

 

 

 

さぁ、競い合おうか、ツバキプリンセス。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

選抜レース。中央でも地方でも開催される理由は同じであるが、その力の入れようは全く違う。

 

 

 

この選抜レースに限って言われてしまうことがある。

 

中央で行われるのがレースだとすれば、地方で行われるのはお遊戯だ。

 

 

特にこの門別トレセンでは地域のウマ娘の母数の減少により、生徒数が毎年減少。箱と教員はいるが、生徒がいないという状態に陥りかけている。ここで走る子たちにとってはどのような結果であってもトレーナーが付いてくれるという状態になっているため、気のゆるみが非常に大きい

 

 

史実とは違い、この世界で駆ける者たちはウマ娘。強く、気持ちの差が出てしまうのは仕方ないのかもしれない。

 

 

 

 

 

ただ、そこに中央で戦う者たちと同じほどの熱量を持ったウマ娘を二人。

 

 

 

一人は落ちぶれた姫。

 

人が少なくなり、活気がなくなってきたこの街を、この学園を、自身の走りによって盛り上げようと決意した者。

 

美しい青髪を靡かせながら、戦姫が今、ターフに降り立つ。

 

 

 

一人は亡者。

 

一度死に、蘇ったとしても終点が見えている者。終わりが見えているからこそ輝ける、出し切れる。

 

燃え尽きたはずの亡者が冥府より這い上がる。

 

 

 

 

こんな面白そうな二人を一つのレースに放りこんだらどうなると思う?

 

 

 

 




〇ツバキプリンセス(オリジナル)

青髪のウマ娘。胸部装甲ヨシ!

中央に推薦枠で合格するも、自身の早熟さと中央の厳しさを理解していたため断念。元々の目標であった地方を盛り上げる、という目標を”中央で活躍して”、から”地方で活躍して”に変更。自身が早熟であることは理解しているが、それが努力しない理由にはならないと言い張る強い子。実際地方では負けなしなのだが、戦法や癖が一度目の生で学習してきたキャンディにすべてバレている模様。今のところお嬢様キャラだが後々キャンディに文化侵食される予定がある。

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