アルティメットスぺちゃん爆誕【実況プレイ風動画】 作:サイリウム(夕宙リウム)
ちょっとダイジェスト気味なのはご容赦を。
『さぁ、トゥインクルシリーズの大舞台、世界に誇る芝レース。2400という長くも、短くもある旅路がここ、フランスのロンシャン競バ場にて始まろうとしております。』
『今回の最有力ウマ娘、一番人気は欧州の覇者、ブロワイエ。欧州三冠をなしとげた彼女が二度目の制覇を狙っています。パドックでのパフォーマンスでもこのレースに対して非常に集中していた様子でした。』
『この競バ場に来ているほとんどの方が彼女の勝利を見に来た、といっても過言ではないでしょう。我々日本人サポーターからすれば完全なアウェイですね。』
『そうですね、そして二番人気に推されていますのは我らがゴールドシップ。ブロワイエ以外にも素晴らしい成績を残しているウマ娘はいるのですが、彼女の前では少しばかり霞んでしまう。彼女が出走しなければ我々わざわざフランスに来てまで実況できませんでしたし、ぜひ勝ってほしいですね。』
『レース前の意気込みでも普段彼女が言わないような『私の赤は日の丸の赤、みんなの思いを背負って走ります。』と発言していたぐらいですし、このレースに対して非常に強い思いを抱いて挑んでいると言えますね。なんでも聞くところによれば凱旋門のために真面目に練習していたとのこと。』
『それは……、次の日槍が降ってきても驚きませんね。と、言っても彼女の思い入れは私達にも解ります。いままでこの凱旋門にはスピードシンボリやメジロムサシ、シリウスシンボリなどの強者たちが挑みますが結果はよくありませんでした。今回こそ、今回こそ良い成績を掴み取って欲しいといったところですね。』
『現在、ゲートへの移動が始まったようです。』
『日本のサポーターからの声援が凄いですね、まぁゴルシちゃんですし納得です。私も解説の仕事がなかったらあそこにいましたし。』
『わかる。』
ーーーーーーーー
「頑張って~!」
「ゴルシ! ゴルシ!」
「お前ならいけるぞ~!」
パドックからゲートまでの移動、わざわざ日本からフランスに来てくれた奴らの声援にこたえるため軽く手を振る。まぁいつもならぎりぎりまで近づいて簡単なパフォーマンスぐらいはするんだが今日はなし。
ま、『調子乗んな』って言った手前ガチでやらんとな。
言わなくても本気でするつもりだったけど。
『さぁ、ゲートインが始まっております。』
誘導に従ってゲートインが始まる。前評判ではほとんどブロワイエの二連覇ムードだったが、ここに集まってる奴ら全員がそれを食い止めよう、食い破ろうとしている。
ゲートの雰囲気、張り詰める思い。
誰が発したのかはわからないがいくつものプレッシャーがゲートにまき散らされる。
へへ、燃えてきた。
やろうぜ、『世界』
ーーーーーーーー
レース展開としては序盤、中盤は特筆すべきものはなかった。
一番人気に押された欧州覇者、ブロワイエの作戦は差し、対抗ウマ娘として挙げられたゴールドシップの作戦は追込。両者ともに後半戦で勝負を仕掛けてくる作戦だ。
周りもそれを理解していたため逃げ、先行策を取った他のものもペースを落とし、最後のギリギリまで体力を残す方針で進んだ。
このレースにセイウンスカイのような策を巡らすタイプの逃げ策を扱うものがいれば展開も変わってきていたのかもしれないが、今年の出走者の中にはいなかった。
全員が自身の力量に誇りを持ち、全力で、最速でゴールを駆け抜けようとしていた。
レースが大きく動き出すのは1200m付近。
最後尾でこれでもかと体力を温存していた不沈艦が動き出す。
>【不沈艦、抜錨ォッ!】 Lv.6 を発動!
大地を踏み鳴らす、巨人がごとき足音と共に。
ーーーーーーーー
おっしゃイクゾー!
『来た来た来たぁ! 不沈艦抜錨! 最後尾ゴールドシップが折り返し地点を過ぎたあたりで大爆発! スパートを開始! いつもの大まくりだ!』
ありゃ? ありゃりゃ?
あ~、こいつはちょっと難しいか? 前言撤回しちゃいましょ。
こっちが速度上げた瞬間にブロワイエの奴も加速し始めてる。それにつられて全体のペースが上がりやがった。まったくいったいどんな察知能力してんだか。
これに出走してる全員がブロワイエの動向に注目している。逃げも、先行も、差しも、追込も。そのせいであいつがペースを上げれば周りも上げる。
あちらさんがこっちを見てくれてんのは光栄だがちっとばかしこのままペース上げられるとどうなる解らない。本当ならここらへんで全部抜き去って先頭に出たいところだが……、パスだな。
追いかける側の爆発力と、そもそもゴルシちゃんが追いかけられるのいやってことでここはまだキープ!
と、言うことでゴルシちゃんこれ以上スピード、あげません!
『おっと。ここでゴルシにつられたかブロワイエも加速開始! 先頭向かって発進です!』
ーーーーーーーー
……? 来ないな。
二番人気にも推され、わざわざ私に勝利宣言までしてきたのだ。
確か、ゴールドシップ。少しぐらいは気にしていたのだが……、まぁその程度だったか。
追い込みということで警戒はしていたのだが、仕掛けたであろう瞬間に合わせてこちらもペースを上げたのだが上がってくる気配がない。
作戦という可能性もあるが、まぁその時はその時だ。全力を持ってそれを叩き潰す。それだけのこと。
さぁ、万物よご覧あれ。これが私の走りだ。
『ブロワイエ速い! ブロワイエ速い! これが欧州覇者のスピードか! 前に位置していたすべてを抜き去りました! 先頭だ、先頭に躍り出た! ここで最終コーナー! 現在彼女の独擅場!』
よし、パターンが決まった。現在先頭で後続とのスピード差は大きい。
後はコーナーを曲がり切った後で、残りの直線を走り抜けるだけだ。
そんな時、先頭に立ち安心したせいで集中が少しとけてしまったからであろうか。
声が、聞こえた。
「こ、こ、だ!」
ーーーーーーーー
『レースは終盤最後の直線!』
『先頭はブロワイエ! すでに全部差し切って先頭! 欧州最強は伊達じゃない!』
『……あっと! ゴルシワープ! ゴルシワープだ! ぽっかり空いた穴に差し込んで二番手に躍り出た! そのままブロワイエを猛追!』
『並んだ! 並んだ! ゴールドシップ、ブロワイエ並んだ! 日欧最強決定戦!』
『どっちだ! どっちだ! どっちだ! 今並んだままゴールイン! 掲示板はまだか!』
『…………! 今出ました! ブロワイエ一着! ハナ差でゴールドシップ! ゴールドシップあと一歩のところですが届きませんでした!』
私はただ、掲示板を見上げていた。
危うかった。
油断していたのももちろんあるだろうが、このレースがもう少し長ければ。例えば3000ほどであれば私は完全に負けていたかもしれない。
そう思えるほどの追い上げだった。
しかしながら結果は結果、何とか勝てた。これを糧にして新しい一歩を進むとしよう。
さて、いい勝負ができた礼でも彼女に……
「うわぁぁぁぁぁぁぁん、ま”け”た”ま”け”た”、く”や”し”い”~~~~っ!」
…………えぇ、なにこれ。
いや、さっきまですごく真面目そうな顔で走ってたよね、君。
すっごく好戦的なお目々してたよね!
なんで芝の上の転がって暴れながら号泣してんの!
え、これ私だけ幻覚見てるとか……、あ、よかった周りも引いてる。
「…………ふぅ、スッとしたぜぇ。お、すまんなブロワイエ。ゴルシちゃんこうやって泣きわめくことで頭を冷静にすることにしてんだ。今決めたけど。」
「そ、そうか。それはなによりだ? ……私は君に謝らないといけない。正直に言ってしまうと君とここまでよい勝負ができると思っていなかった、侮っていたよ。」
「ん? あぁ、それぐらい別にいいぜ。あたしゃ挑戦者ですもんし仕方ねぇしな。それにいいレースできたからゴルシちゃん大満足。」
「そうか……、ありがとう。」
「それに私なんてまだまだ、日本にはもっと強い奴とかいるぜ。ルドルフ会長とか。」
「ふふ、私とギリギリの勝負をした君がそこまで言うとはよっぽどなんだな、君のおかげで日本について興味がわいてきたが、俄然そうなった。……まぁそれはさておき、いいレースだった、ありがとう。」
「おう! こちらこそだ! また走ろうぜ!」
日本、か。
……確か来月末にジャパンカップがあったな。
面白そうだ。
ーーーーーーーー
「………はい、そうですか。………いえ、わざわざありがとうございます。それでは。」
「会長、どなたからの電話でしたか?」
「あぁ、グルーヴ。URAからだよ。……あのブロワイエがジャパンカップに出走するらしい。わざわざそのことを連絡してくれたわけだ。」
「あのブロワイエが! ……今年のジャパンカップは大変なことになりそうですね。」
新旧無敗三冠に欧州三冠。
「ふふ、ふふふふふ。あぁ、本当に、本当に楽しみだよ。」
たぶん最後の会長、闘志燃やしすぎて固有スキルの雷が漏れ出てバチバチしてそう