アルティメットスぺちゃん爆誕【実況プレイ風動画】   作:サイリウム(夕宙リウム)

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PART83

 

【スペシャルウィーク】

 

>スピード:A

 スタミナ:A

 パワー :A+

 根性  :B+

 賢さ  :B

 

>スキル

 【シューティングスター】Lv.4

 【汝、皇帝の神威を見よ】Lv.4

 【空駆ける英雄】    Lv.3

 【不沈艦、抜錨ォッ!】 Lv.3

 

 【ゲートの支配者:改】

 【食いしん坊】

 【逢魔時】 

 【プレッシャー耐性〇】

 【全身全霊】

 【率いるもの】

 

 

 

 

アホーイ! 投稿者ですよ~! 今日も頑張っていきまショータイム!

 

さて、先ほど見ていただいたのはスぺちゃんの今現在のステータスです。時期としてはクラシック級。ジャパンカップ開けたのちの有馬記念に向けて最後の調整中と言ったところでしょうか。

 

ありがたいことにスぺちゃん最近調子がいいらしく、練習への頑張りがいい感じですねぇ!

ジャパンカップ後の変化といたしましてはまずは会長の固有スキルのレベルが上がったこと、それと【末脚】が【全身全霊】に、あと【率いるもの】が完全にアクティブ化したようです。

 

……なんか強くなりすぎてない? まぁいいことですけど。あとスピードも念願のAに今日の練習でなりましたしこれは安泰ですねぇ! 強くなりすぎて鼻水出ちゃう。

 

 

んで、スぺちゃん。さっきから勝負服に何してるの?

 

 

 

「ルドルフ会長からもらった勲章を付けてるの。ジャパンカップのライブ前にもらったんだ!」

 

 

 

ほへ~、そんなイベントあるんですねぇ。勝負服の胸のところに勲章が輝いてカッコいいですな。

テイオーちゃんにマントあげたみたいに、ジャパンカップで勝利したご褒美に勲章もらったみたいです。これが原因で会長の固有スキル上がったんですかねぇ?

 

ま、速くなるならなんでもいいタイ!

 

 

 

んじゃ、そろそろスぺちゃんの出走予定である有馬記念についてご説明していきましょう。

皆様ご存じの通りこの有馬記念、出走するにはファン投票である程度の成績を収めないといけないんですけど、こちらの方はもう大丈夫。あの魔境と化していたジャパンカップで勝てちゃいましたから人気投票えらいことなってます。二位の方と大きく差が開いて堂々一位での出走ができます。やったねスぺちゃん、有馬に出れるよ!

 

ま、出走できること自体は三冠取れた時点で確信していたのですが、出走表明をしている方々にちょっと問題があります。

 

先ほどスぺちゃんのパソコンを使って調べたのですがルドルフ会長をはじめとした警戒すべきシニア級の方々は出走表明をしていないんですよね。会長も「トゥインクルからはすでに引退したような身だ。あのジャパンカップは例外みたいなもの。」と発言してますし、なんか静かなんですよねぇ?

 

クラシック級の面々もテイオーちゃんがケガで無理。マックちゃんも他のレースに出るからパス。グラスちゃんもケガでエルちゃんも見送り。ってな感じで人少ないんですよね。出走するって言っているのがセイちゃんことセイウンスカイとキングちゃんことキングヘイローの二人ぐらい。

 

最近見なくなったネイチャやターボも出走しようとすればできそうですけどまだ公式に何も発表してないですし、ホントに人少ないんですよねぇ。

 

これがスぺちゃんに恐れをなしてネームド君たち情報収集のために避けた! ぐらいならいいんですけどクラシック級での勝負を捨ててシニア級で倒してやるぜ! とかされたら嫌なんで心配です。

 

 

まぁあんまり言いたかないんですけど、正直この時期のキングちゃんとセイちゃんはそこまで警戒しなくてもいい相手なんですよね。やってての感覚なのですがそのウマ娘のモチーフとなった史実馬の能力に彼女たちウマ娘も結構引っ張られているところがあるみたいで、その史実馬が活躍したレース、時期ではかなり強くなるけど、それが終わってしまえば成長率が下がると言いますか、まぁぶっちゃけ警戒度が下がります。

 

マックイーンやライスの天皇賞とかになると最大限の注意を払う必要が出てくるんですが、セイウンスカイの活躍した時期はもうそろそろ終わりを迎え始めますし、キングヘイローも距離という壁があります。

 

 

まぁてなわけで今回の有馬はそこまで気を張らなくてもいいレースになるかなぁ、と。

 

ま、ガバとか怖いですし、全力でやるのはやりますけどね。

 

 

 

「お姉ちゃ~ん、そろそろご飯食べてくるね~!」

 

 

あ、は~い。あんまり食べすぎるんじゃないよ~。

 

 

 

 

 

 

 

……ちょっと私情入れ過ぎて喋ってる気がするな、撮り直そ。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……クッ!!」

 

 

バランスを崩し、前に倒れ込んでしまう。

暑い体に冷たいターフが気持ちいいが休んでる場合じゃない。

 

 

「お嬢! 大丈夫か!」

 

 

トレーナーさんが走り寄ってくる。

急いで立ち上がらないと。

 

 

「ッ! ……えぇ、大丈夫ですとも。これぐらいで終わってしまうほど、やわでは、ありません。」

 

 

「もうオーバーワークなんか通り過ぎている! そろそろ休め、お嬢!」

 

 

「大、丈夫です。私の体のことは私が一番解ってます。まだ、行けます。」

 

 

 

 

そうだ、解っている。これが、最後だってこと。

 

スペシャルウィーク、グラスワンダー、エルコンドルパサー。

 

彼女たちに付いていけるのは、同じ距離で勝負できるのは今年が限界だって。

 

 

 

既に差は開ききっている。

あのジャパンカップで嫌というほど見せつけられた。

 

私にはどんな好条件がそろったとしても、どんなに調子がよかったとしても。

 

 

5着だったエルさんにすら、絶対追いつけない。

 

 

 

 

 

努力で才能は覆せる、なんて幻想だ。才能の持ち主も、私みたいな凡才も同じように努力するんだから。

そのくせ相手は凡才が必死に追いつこうとしているときに、私達よりも多く努力している。

 

スタート位置が同じでない上に進む速度すら違う。追いつけないのは道理だ。

 

 

だけど、諦めたくない。

 

私だって才能は有るはずだ、私だって死ぬほど努力したはずだ。

 

決して届かないとしても、こんなところで諦められるはずがない。

 

 

 

それに……

 

 

 

「最後、何でしょ。私の有馬記念。」

 

 

トレーナーさんの驚いた顔が目に入る。いつも厳格なあなたがそんな顔もできるんですね。

 

イヤでも解ってしまう。ここ最近、ずっと同じ資料を持っていれば。

マンツーマンで指導してもらっているのだ。その内容ぐらい目に入ってしまう。

 

私の、短距離への移行計画。トレーナーが『私にGⅠを勝利してほしい』その一心で考えてくれた計画。

 

 

 

トレーナーさんが席を外した時、今の現状を変えたかったのか、逃げ出したかったのか、見てはいけないと解っていながら手が伸びてしまった。綿密に描かれた計画。見た瞬間解ってしまった、私にはこれしかない、って。

 

元々解っていた。私に長い距離を走る才能なんかないことだって。

しかもマイルですら万全じゃない。短距離しか走れないのだって。

 

 

でも無理やり指導してもらった。私が私であるために。偉大な母の子であることを証明するためだけに。私に向いてないと知りながらも指導してくれた、中距離、長距離で食らいつけるようにしてくれた。

 

 

 

「自分でも、イヤなほど解っています。このまま続けても何も残せない、ただ置いて行かれるだけだってことは。…………だから、最後です。私が長い距離、短距離以外を走るのはこれが最後。」

 

 

 

 

「私の、最後の、有馬記念。」

 

 

 

「これが終われば、私は短距離に移行します。」

 

 

 

「だから、だから。」

 

 

 

 

 

 

「どうか、走らせて、もらえませんか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せめて、この一戦だけは。

 

 

私の、訣別のために。ただ、全力で。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「……………これもダメ。やり直し。」

 

 

 

 

ここのところ。セイウンスカイ、セイちゃんはずっとあの映像を見ている。

 

 

自身の実力を底上げするため、最大速度を上げるため、あのゴール板を最初に通過するための練習。その合間の休憩や移動中。暇があるときはずっとあの映像を見ている。

 

 

スペシャルウィークやシンボリルドルフ、ブロワイエなどが走ったあのジャパンカップ。

私もトレーナー業。いや彼女たちの世代を担当していなければ、新しい伝説が幕を開けたことを単純に喜べただろう。私達は歴史の生き証人になれるんだ、って。

 

 

 

セイちゃんはずっとあの瞬間。スペシャルウィークが最後の直線で差し返した時の映像を繰り返し見ている。

 

どこかに、突破口はないか。どこかに、彼女が勝てる道はないか。

 

 

私も、最初のころは必死になって探した。

セイちゃんが勝てる方法を模索した。

 

 

 

 

正直に言ってしまえば考えない方が幸せだったかもしれない。

 

結論として、不可能。

 

 

どう考えても、無理だった。

相手は走るたびにレコードを塗り替える化け物。

 

ただ、才能があるだけのウマ娘が勝てるわけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、セイちゃんは諦めてない。

 

私が半ばあきらめかけているのを知りながらも彼女はまだ方法を探している。

 

 

 

 

 

 

……指導する側が、先にあきらめちゃ、ダメだよね。

 

思いっきり顔を叩く、よし!

 

 

 

「私も頑張らないと、ね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これだけ…………かな? 成功率は限りなく0に近いし、スぺちゃんが使ってこないっていう希望的観測に基づいたものだけど、これならいけるかもしれない。」

 

 

 

 

 

 

「…………いや、やるんだ。」

 

 

 

 

 

 

選んだのは一番最初に考えていたプラン。

菊花賞で破綻したプラン。

 

 

 

 

まだ、空は青い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

夜、トレセン学園 食堂

 

 

練習終わりのウマ娘たちが集まるこの時間帯。騒がしいほどに活気があるこの場所。

 

スズカから頼まれてほぼ習慣となったスペシャルウィークとの食事。

何度も見たはずなのだが、やはりこいつの食事には慣れない。

 

 

既に皿が何枚も重ねられ、食堂の方がひっきりなしに新しい料理を運んできてくださる。

効率のためスペシャルウィークの隣にオグリキャップもいるせいで皿の山はどんどん積み上がる。

以前オグリのトレーナーが「二人そろってサイヤ人じゃん」などと言っていたがすでに笑えん。

 

 

「ふぃ~、やっぱりスぺちゃんもオグリちゃんもよく食べるねぇ。おかわりここに置いとくよ。」

 

 

「ふぁ、ふぁふぁがとうごふぁいまふ!」

 

「ふぁりがふぁう。」

 

 

「はぁ~、お前ら少しぐらいは飲み込んでから言え、口がハムスターだぞ。」

 

 

「い~え、いいのよ、これぐらい元気じゃないと。主任も燃えてたし私も頑張らないとねぇ。あ、これグルーヴちゃんのね。」

 

 

「す、すみませんわざわざ。」

 

 

「い~のい~の、二人のついでだからね~。」

 

 

 

そう言いながら職員の方が厨房に戻っていく。いつも、というかこいつらと食事してるとご厚意で私の分まで持ってきてくださるのはありがたいが、なんだか申し訳ない。

 

 

ふと前を見ると運ばれてきたはずの料理が4分の1ほど消失していた。お前らちゃんと噛んで食べてるのか?

 

 

「はぁ、それにしても片方が過去の会長と同着。もう片方が今の会長に勝利。まったくもってどうなってるんだ? 憧れの会長に勝った奴らが目の前でハムスターしてると……、ハァ。」

 

 

なんかもう、疲れた。

 

 

 んぐ。

 

「む、どうしたエアグルーヴ。ため息が出ると幸せが逃げてしまうらしいぞ?」

 

 ごっくん。

 

「あれ、どうかしましたか、グルーヴ先輩?」

 

 

 

「……いや、何でもない。あと自分から話す時は飲み込むのだな……。」

 

 

 

最近の会長は「目標ができた!」とウキウキしてらっしゃったし、オグリキャップはオグリキャップで「会長が頑張ってるから私もやる」といって頑張り食事量を爆増させ、スペシャルウィークはよいことでもあったのか最近ニコニコしながら食事量を上げた。

 

 

私はなんか、疲れたなぁ……。

 

 

「ハァ……、とりあえず私も食べるか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばオグリ先輩は有馬記念出ないんですか?」

 

 

「ん? あぁ、私は去年出たしな。ファン投票でかなりの人に入れてもらったが有馬記念には出ない。今はドリームシリーズに向けて調整中ということもあるが……どうしてだ?」

 

 

「いえ! 単に気になっただけです!」

 

 

「そうか。まぁスペがドリームに上がったときは勝負しよう。………この唐揚げおいしいな。」

 

 

「…………ですね!」

 

 

 





エンゲル係数爆上がり
いつかエアグルーヴに「たわけが!」とか言われながら蹴り飛ばされる気がする。

有馬記念出走者(ネームド)
 キングヘイロー
 セイウンスカイ


次回、有馬記念

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