広大な外宇宙では数多の惑星とそこに繁栄する生物が今日もまた力強い生きようとしている。
だが、そいつらはとある銀河の中にある有人惑星の全てを奪っていた。
「生きてる奴は1人たりとも逃がさず皆殺しだ!!」
灼熱の炎と建物が崩壊し瓦礫が散乱する街。まるで爆撃を受けたかのような散々たる状況。謎の大勢の男達がそこに住む種族を襲っていた。ある者は略奪、ある者は破壊に殺害、ある者は捕らえた女性を自分の性欲を満たす道具として使っていた。
「じじいっ、早く往生せんかい!!」
足の悪く、逃げ遅れた老人の頭を掴む否や地面に何度も、何度も叩きつける男。痙攣したかと思えばすぐにその老人はもはや動いていなく、それを確認するとまるでゴミのように投げ捨てた。
「けっ、やっぱ年寄りは殺しがいがないな。すぐに死んじまう」
中には、
「ひいいっ!!」
「おっとアマ、いい身体してんじゃねえか~~♪ぐふふっ……」
青色の皮膚が全身に染め、身体の全筋肉を浮き立たせた大男が逃げ回る一人の女性の髪の毛を乱暴に掴み、引っ張り、すぐ近くの家の中へ入っていき……。
「ヤアアァァーーっ!!」
中から聞こえてくる「ハッ、ハッ、ハっ」と興奮しているような断続的に息を吐く男の声、悲鳴から次第に淫らな喘ぎ声と泣き叫ぶ声の混じった女性の声……中では男が想像もしたくないコトに及ぶ光景が目に浮かぶ。
……途中から、『グキャッ』という首の骨へし折るような鈍い不快音が聞こえると同時にその女性の声が全く途絶えてしまった……。
その数分間、家から男だけが出て、疲れと満足感が混じったかのように大きく息を吐いた。
「いい女だ。『しまり』がよかったぜ。これでしばらくは持ちそうだな」
……他にも、ある男は小さな子供を燃え盛る火災が起こる家に無理矢理放り込んで丸焼きにしたり、ある男は舌を刃物で切り取って、血と吹き出しながらのたうち回る住人をいたぶり殺したりと……明らかに『人間性』が微塵も感じられない暴虐の限りを尽くしていた。
廃墟と化した街の中心には食糧や医療物質、金属、機械類、所謂戦利品が片っ端から集められて山のように積み重なっている。そんな中、一人の大男が先頭に立ち、並みいる荒くれ者を束ねて指示していた。
「よっしゃあもうすぐでこの星も制圧だ。終わったら早く酒でも飲もうぜ!」
男は高らかに声を張り上げると大勢が歓喜した。
「おおっリーダー!!」
リーダーと呼ばれた男は黒いタイツみたいな服に身を包み、その顔からは幾多の闘いを経験したかのような猛々しい表情をし、その真っ赤な瞳はまるで燃える野獣の瞳だった。
「おうユノン、まだ制圧してない所はどこだ?」
男は耳に装着している通信機と思われる小型機械に手をあてて喋りだした。
『120ギャロの075方位にまだ破壊されていない街があるわ。しかしそこの住民と思わしき反応は街の中心部から120メルト程の地下に密集してる……どうやら避難をしているようね』
通信機から透き通るようでありながら、どこか冷たい雰囲気を漂わす女性の声が流れ出る。その声を聞いた男はニィっと不敵な笑みを浮かべた。
「お前ら、今からまだ制圧していない街へ向かう、俺についてこい!」
男達はその男の言葉に従い、近くに停滞していた各飛行ユニットに乗り込み一斉に飛び始めた。
…そこから120キロの東南に位置する街、オーラル。その街の地下避難所では住民と思わしき人々が臆しながら身を隠していた。
「お母さん、こわいよぉ~」
「もうしばらくの辛抱よ。ここにいればなんともないわ」
ある母子の会話から恐怖というものがじわじわと伝わってくる。
「はあ……なんでこんなことに……」
「こんな辺境の惑星にまで奴等の手が……」
一人の男性がぼそっと口にした奴等とはあの男達のことだ。そう…奴等は有人惑星に突然押し入り、強奪等の悪事の限りを尽くす悪の組織なのである。
だがそれのつかの間、突然の爆発と共に、轟音を上げて地下避難所の天井が一気に崩れ始めた。
「うわあああっ、奴等がきたぁぁっ!」
「キャアアアッ!」
大勢が生き埋めになる中、ついに奴等は地下避難所にまで攻め入ってきた。
「ここにいたか。すまねえが全員くたばってもらうぜ、一人残らず皆殺しにしな!」
黒タイツの男はかろうじて生き埋めにならなかった住民達に指を指すと、男達は一斉に襲いかかる。
「助けてぇぇっ!!」
「ぐわぁぁっ!!」
住民の断末魔が辺りに響き渡る。しかし、男達の蛮行は止まることはない。
「いたぶるんじゃねえぞ、すぐ殺してやるのがせめてもののな情けだ」
男は左手を突きだすと、手首から計4門の銃口がついたギミックが飛び出した。
「クククッ、下手に逃げ回ると変なとこに当たって苦しむぜ」
逃げ回っている住民に狙いを定め、「ピィ!」と甲高い人口音と共にその銃口から放射された青白い光線が一瞬で住民の頭を貫通し、力なく倒れる。頭部にはピンポン玉ほどの穴が発生し、白い煙とともに脳が焼けた嫌な臭いが立ちこめた。
「いっちょあがりだ」
「リーダー、ガキがまだ生きていやしたぜ」
そんな中、部下の一人が生き残った子供を捕まえて男の元に差し出す。
「ぎゃあああっ!ぎゃあああっ!」
子供はあまりの恐怖のあまりなりふり構わず泣き喚いていた。
「このガキをどうします?」
すると男は平然とした態度でこう言い放った。
「わかってるじゃねえか?殺れ」
無慈悲な男の言葉に部下は躊躇し出すが、男は部下の肩に手をおいた。
「周りを見ろ。こいつ以外は全員死んでるぞ?考えてみな、親が目の前で死なれたままで生かせてみろよ、これほどかわいそうな話があるか?こいつの親を殺ったのも俺らだし、なら親子共あの世に送ってやるのがケジメってもんじゃねえか?」
「まっまあ……っ」
この発言に部下は納得しつつも妙に複雑な気分となっていた。
「それにこいつを生かしておいたら将来、俺らを憎み、敵討ちに人生をつかっちまうぞ。そんなの俺も嫌だし、こいつも惨めじゃねえか。ならいっそのこと今のうちに楽に殺してやったほうが幸せなんだよ」
「そ、そんなもんですかね……」
すると男は部下から子供を取り上げた。子供はさらに泣きわめく。
「無理なら俺にまかせとけって。心配すんな、一撃で仕留めてやるよ」
男は左手を握り込むと、その鋼鉄の手甲の先から爪のような鋭く伸びる金属の針が四本飛び出し、子供に向かってその爪を向けて構えだした。
「悪いなガキ。恨むなら好きなだけあの世から恨んでくれよな!」
男の瞬速の一閃が子供の首を横切った時、鈍い音と同時に子供の首が胴体から離れ、それは数メートル離れた場所に『ドチャ……』という生々しい音と共に落ち、一メートル程先まで転がった。
そして、はねた瞬間、この子の血液と思わしき濃い色をした液体が首のあった場所から噴水のように吹き上がり、男の顔に浴びせたのであった。
「………」
男は首がなくなった子供の胴体を離さなかった。その血液がポタポタ下へ滴り落ちて……男の足元に溜まりを作った。
「リーダー、どうするんで……」
すると男は子供の首が落ちた場所に移動し、胴体を首の横に添えた。
その子の顔の表情を見ると、涙を枯らして疲れはてて何も言わない、動かない、そう感じさせた。
男はそれを見て不敵な笑みを浮かべた。
「そのままゴミみてぇに捨てていくのも後味ワリぃし俺がやったことだ、俺自ら小僧を葬ってやらぁ」
男は左手を子供の死体に向かって突きだすと、さきほどの銃口のついたギミックを出して、狙いを定め、発射。光線が死体に直撃し瞬く間に子供の胴体と首は青白い炎に包まれる。そう、それは地球における火葬を思わせる弔い行為だった。
男はみるみる内に燃えていく子供を見て何を思ったのだろう。無言でただそれを見つめていた。男はそれに背を向け、部下の方に戻った。
「この星の制圧は完了した。戦利品を集めてエクセレクターに戻ろうぜ。今日は宴会だ、酔いつぶれんなよ!」
男は満面な笑顔で部下に伝えた。その笑顔で部下達は幾分救われたことか。
部下達はそのノリに乗って大声で歓喜の声を上げた。
馬鹿でかい声が辺りにこだまする。しばらくの間は男たちの声に埋め尽くされていた。
◆ ◆ ◆
一方。太陽系、第3惑星地球。多くの命が共存する緑の水の惑星が今日も新たな1日が始まろうとしていた。
--日本、東京都練馬区すすきが原の一角にある空き地で4人の子供達が何やら話をしていた。
「おおっ、これが宇宙旅行に行けるチケットか!スネ夫、これほんとか?」
スネ夫と呼ばれる少年は何やらチケットをペラペラはためかしている。
「まあね。うちのパパがNASAの所長と知り合いでさぁ。分けてくれたんだよなぁこれが」
一般人には滅多に手に入らない物を見せびらかして、自慢するのがこの少年の悪い癖だ。
「へえっ~、いいなぁ~」
「ほんとっ!」
そのチケットを見て、非常に羨ましがる三人。
「よかったらみんなにも分けてあげるよ。余ってるからね。まずは、はいジャイアン!」
「サンキュー!スネ夫!」
スネ夫はジャイアンと言う大柄な少年に一枚のチケットを渡す。
「はい、しずかちゃん!」
「うふっ、ありがとうスネ夫さん!」
もう一枚をとても清純で可愛らしい少女、しずかにチケットを渡す。
「今度は僕の番だ~っ」
メガネをかけた少年は手をコネコネしながら待ちわびている。が、
「はい、終わりっ!」
スネ夫は早々と切り上げ、少年は信じられない表情をしていた。
「すっスネ夫、僕のは……?」
少年の問いにスネ夫はまるで受け流すかのように軽く笑った。
「悪いなのび太、このチケット三枚しかないんだ。だからあと一枚は僕のだよ」
「……」
のび太と言う少年はそれを聞いてガクンと肩を落とす。
こういったことは一度ではないため、わかっていたことなのだが少し期待してしまうためやはり悔しい。
「ちぇっ、やっぱり僕一人だけダメなのかよ……いいよいいよ、僕なんかそんな宇宙旅行のチケットより今すぐにでも宇宙旅行にいってやる!!」
それを聞いたジャイアンとスネ夫はゲラゲラと笑い出した。
「わはははっ、どうせドラえもんに頼る気だろ?」
「いくらドラえもんでもそれは無理さ!!わはははっ!!」
しずか以外はのび太をバカにしている。ここまで言われると黙ってられないのがのび太の性分だ。
「今に見てろっ!!僕は宇宙旅行中に沢山の写真をとってきてやるからな!!銀河系の外の惑星をわんさか撮影してきてやる!!」
そう言い残すとのび太は三人から去っていった。
「あんなこといって絶対無理に決まってらぁ!さすがに銀河系外まではあまりにも遠すぎるからな」
そう言うスネ夫にジャイアンがこんなことをきいてきた。
「スネ夫、ところでこれいつ出発なんだよ?」
「えっとね、今から30年後かな?」
「はぁっ!?」
二人は耳を疑った。30年という気の長い年月まで待たないとダメなのかと。激昂したジャイアンはスネ夫の胸ぐらを掴み引き寄せた。
「おいスネ夫、30年後ってどーゆーことだよ!?今すぐじゃねーのか!?」
「いっ……今すぐとは言ってないじゃんっ!!しかも今の最先端科学技術でも宇宙旅行は無理なんだよぉ!」
「なんだとぉ!?オマエ、俺らを騙しやがったな!!」
……またいつもの喧嘩が始まった。全く二人は懲りてないのだろうか……。
「のび太さん……」
しずかただ一人が去っていったのび太を心配していた。
…その頃、のび太は家に向かって走っていた。
そして寄りすがるような気持ちを込めてこう叫んだ。
「ド~ラ~え~も~~ん!!」
物語はここから始まる……。