大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦   作:はならむ

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Part.14 行動開始

うす暗い留置所の中、ドラえもん、ジャイアン、そしてスネ夫の三人は悩んでいた。ミルフィの話を聞いて今の自分たちにとって、どうするべきなのかを。

 

「ドラえもん、やっぱりカーマイン提督にあって俺達も参加できるように頼んでみようぜ!ミルフィの話を聞いて黙っていられるかっ!?」

 

ドラえもんは腕を組んで悩んでいる。

 

「う~ん……と言ってもねえ。さっきも言ったけど、抜け出して万が一見つかったりでもしたらそれこそ……」

 

「そうだよそうだよ、無事に帰れるんならここで静かにしといたほうがいいんだよ!のび太達だってきっとここの人達が助けてくれるよォ!」

 

ドラえもんに賛同するスネ夫。確かにその方が安全かつ正論で現実主義者の彼らしい発言だ。

 

「スネ夫、お前裏切るつもりか!いつもなら嫌がるお前がついてきたのも俺達と同じ考えだったからだろ?

 

ここまで来たからには今さら後には引けないぜっ!」

 

するとジャイアンはその曇りなき眼で二人を見て、こう言った。

 

「……たとえ一人でも行ってくる。のび太達のこともあるけどエミリアさんの助けになりたい。俺は……そういう困っている人を見たら助けてやらないと気がすまないからな。ドラえもん、ここから抜け出す道具をだしてくれ!」

 

いつもは乱暴な少年だが、こういう事態になったら無謀だけど、直情的で人情味溢れる彼の良い性格面が顕れるのはたいしたものだ。

 

すると、

 

「……ジャイアンだけじゃ危険だ、なら僕も行く!」

 

「「ドラえもん!?」」

 

なんとさっきまで迷っていた彼自身がジャイアンに「協力する」と宣言したのであった。

 

「実は僕もミルフィちゃんの話を聞いてのび太君としずかちゃんはモチロン、エミリアさんの辛い思いから救ってあげたくなっちゃった。それにこっちはひみつ道具があるんだし何かあったらこれを使おう!」

 

それを聞いたジャイアンは大喜びし、ドラえもんの手を握った。

 

「おお~っ心の友よ~!」

 

「えへへっ、それにもし捕まっても一人より二人の方が気は楽だろ?」

 

「そうだな。で、スネ夫は?」

 

二人はスネ夫の方を見つめる。彼はキョロキョロ目を動かし、迷い抜いた末、

 

「わっ、わかったよっ、いけばいいんでしょ!?」

 

一人になるのが怖かったのか、仕方なくもドラえもん達と行動することを決めたようだ。

 

「なら決まりだな!!」

 

――こうして三人は力を合わせてここから抜け出しカーマインに会って説得するための作戦を考えはじめる。

 

ドラえもんはポケットを探りはじめる。

 

「『モーテン星』とか『石ころ帽子』は今ドラミに預けてあるから使えないけどあれなら……っ」

 

ポケットの中から取り出したのは何と、如何にもな形をした巨大な潜水艦だった。

 

「『潜地艦』、これに乗り込んで下から進もう」

 

「せっ潜水艦じゃないの…?」

 

「『地中に潜る』から潜地艦なの。そんなことより早く乗り込んでっ!」

 

……あまりパッとしないが、とりあえず艦の中に乗り込む三人。考えたらこの巨大な宇宙艦の中でまた小さな艦の中に入るのはおかしな話だ。

しかしそんなことを思っている暇などない、早く脱け出さないといつ警備員がここに来るかはわからない。

 

「じゃあ、行くよ。ちなみにこれはゼンマイ式駆動だから500メートルくらい進んだら地上に上がってまたネジを巻かないとダメだから二人とも、その時は協力をお願いね!」

 

「「はあっ?」」

 

二人は唖然する。いちいちそんな面倒臭いことをしないとダメなのかと思うのだった。

 

「もしネジを巻いてる時に見つかったらどうするんだよ!?」

 

「動かさなければネジは切れないんだから有効に動かせばいいんだよ。この双眼鏡から見れば地上を見れるし……さぁカーマイン提督のいた場所まで戻ろう!」」

 

「……そんなんで上手くいくかなぁ……?」

 

不安に思う二人をよそに、ドラえもんはボタンを押すと、潜地艦はまるで海の中へ潜るかのように地面へ沈んでいき、そしてその場から姿を消した。

 

「よし出発だ。幸いここから中央デッキまであまり遠くなさそうだから、時間がかかるけど急ごう!」

 

床下の謎の空間内では潜地艦が動き出し、留置場から脱出した。

果たしてこの三人は無事に彼の場所までたどりつけるであろうか……。

 

◆ ◆ ◆

 

一方、エミリアはやはり過去のことを忘れられないのか、彼女は何も言わず、ただ涙を流し続けている。そんなエミリアを黙って見つめるカーマインはついに口を開いた。

 

「やはりまだ立ち直りきれてなかったんだな……」

 

「……」

 

彼はため息をつき、腕組みをする。だがこればかりはしょうがない。いくらあれから数年経つとは言え故郷を滅ぼされ、自身も酷い目に遭わされた上に友人、ご両親、さらには自分の最愛の人まで失ったのだから心に深い傷として残るものだ。

しかも、それらが悪の組織『アマリーリス』の欲望の犠牲になったのだから奴らへの憎悪は計り知れない。

 

「……エミリア、なぜ私がお前を今作戦から外すと言ったか分かるか?」

 

彼女は顔を横に振ると、彼は持っていた護身用の拳銃を前のテーブルにそっと置いた。

 

「仮にだ。私がそのアマリーリスの人間だとしよう。目の前に仇がいる、お前の手の届く場所に銃が置いてある、お前ならどうする?」

 

「えっ……?」

 

「発砲はもってのほかだが持つのは自由だ。持ちたかったら持てばいい、銃口をこちらへ向けたければ向ければいい」

 

「あっ……あたしはっ……」

 

すると彼女は銃へ手を伸ばす。震える手で少しずつ近づいていく。ついに銃のグリップを掴み、そして彼女はさらにぶるぶる震えながらもカーマインの方へ銃口向け始めた。

 

「これだ、お前を作戦から外す理由は」

 

瞬時に彼女から銃を取り上げて元に場所に戻す。

 

「どうゆう……ことですか……?」

 

「確かにお前は普段は冷静で優秀なのだが、私情に駆られて独断専行的行動がよく見られる。あの子達をここに連れてきたのはまさにそれではないのか?」

 

「はっ……!」

 

確かに一度はあの三人の同行を拒否したものの、彼らの懸命な願いに心が揺れて結局は連れてきてしまった。思い直せば、あの時はアマリーリスに彼らの友達がいることを知って、つい私情も絡んでしまったのかもしれなかった。

 

「エミリアのような士官が情に振り回されて勝手な行動をするとどうなる?部下はお前についてくると思うか?」

 

「いっ、いいえ……」

 

「しかもな、あの子達を巻き込んで何かあったらどうするつもりだったのだ?その不思議な道具を持ち、協力しに来たと言われても保護対象の地球人でしかも、か弱い子供達とロボットだぞ」

 

色々指摘されて何も言い返せないエミリア。

さすがに言い過ぎたのか彼は口を出すを止め、立ち上がると彼女が座っているソファーの横に座る。

 

「最後にこの質問だけ答えてほしい。お前はもし奴らにくわしたら復讐したいと思うか?」

 

エミリアは彼の方を向いてコクッと頷く。

しかしこのあと彼から出た発言は思わぬ言葉だった。

 

「……そうか。ならなおさらこの作戦に出させるわけにはいかなくなったな」

 

「え……それはどういうことですか?」

 

「エミリア、『復讐するは我にあり』って言葉を知っているか?」

 

「……?」

 

『復讐するは我にあり』、新約聖書に登場する言葉で『悪を報いるは神であり、人間自らの手で報いてはならない』という意味である。それを法律的に今の置かれた状況で説明すると『アマリーリスは銀河連邦の法律で裁きを受けるべきで、復讐と言う名でエミリア自身が直接手を下してはいけない』という意味になる。

 

「敵討ちなどと自ら手を汚すように個人的な報復は間違っても考えてはいけない。あくまで我々は軍人であり警察だ。

アマリーリスという組織を組んで侵略や虐殺などの悪の道へ突き進むのを止めて、彼らを正しい道へ導くのが銀河連邦の本来の在り方だと私はそう思う」

 

彼の考えは最もだと思う。が疑問を抱く彼女は口を開く。

 

「……奴らには更正するという考えがあるんでしょうか?

私はそう思えませんが?」

 

「なら時間をかける。時間をかけてかけて少しでも変われるようにこちらが努力すればいい。人間の可能性を信じることだ」

 

『罪を憎んで人を憎まず』を信念としている彼らしい考えだ。

 

「ですが……あたしのこの気持ちをどこにぶつけたら……っ」

 

彼女は忘れようとしていたアマリーリスのことを思い出してあの惨劇の記憶が完全に甦ってしまっている。エミリアの一番の弱点はここだ。

 

元々彼女は感情の起伏が激しく感受性の強い、いわゆるセンチメンタルな性格である。

気になることがあると頭に残りやすく考え込んでしまい、それが元で熱が入りやすくなかなか冷めず、しかし落ち込むときは一気に落ち込むという不安定な精神の持ち主で、これは軍人という立場から見たら非常に危険な性格なのである。

 

しかも数年経ってるとはいえ、あの事件で心に深い傷を負った彼女のアマリーリスへの憎しみは倍増していると思われる。よって彼らを目にしたら、感情が高ぶり彼らの命を平然と奪いかねない。

 

確かに「悪人に対して慈悲などない」と言う声もかなりある。しかし、感情のままに殺していては報復どころかそれはただの『獣』であり最悪の場合、銀河連邦の誇りやモラルを放棄した『ただの人殺し』のレッテルを貼られることとなる。

 

エミリアの事情を一番知る彼からしてみれば彼女にはそんなものを一生背負ってこれ以上惨めにさせたくない。

 

これがエミリアを作戦から外す本当の理由である。

 

「気持ちは分かるが奴らがどんなに悪であろうと命は命だ、殺すことは私が許さん。ただ奴らはこちらに向かってきているのは幸いだ。私達が必ず奴らを逮捕するから安心しなさい」

 

するとエミリアはうつむいた状態で彼にこう聞いた。

 

「あの子たちは?」

 

「記憶操作でここの事や私達のことなどの記憶を全て消して、無事に地球へ帰す。彼らのその友達もまだ生きてるのであれば必ず保護して地球へ送り帰すつもりだ」

 

「……ありがとうございます。あたしが軽卒なばかりにこんなことになってしまって……誠に申し訳ありませんでした」

 

「……」

 

深々と謝礼する彼女の姿を哀しげ目に見つめる。

本当は彼女に言いたくないが、規律に違反した以上は上官直々として言わざるをえなかった。

 

 

だがその時「ビィ―っ!!ビィ―ィ!!」と艦内に警報が響きわたる。カーマインはすぐに自分の持っていた通信デバイスを開くと、その場で部下の映像が浮かびあがった。

 

「何事だ!」

 

『提督、留置場へ入れられていたはずの地球人の子供達とロボットが突然姿を消しました。脱走です!』

 

「なっ!?全エリア区域内を検索、彼らの居場所を逆探知し、通路を封鎖しろ!」

 

彼はデバイスを閉じると、すぐにエミリアの自室から出ていこうとするが、

 

「てっ……提督……っ!!」

 

エミリアは彼を呼び止め、震えるような声でこう言った。

 

「……同行させてください。こんなことになったのも全て私の責任です。なので私自ら出向いてあの子達を……」

 

彼女の必死な願いにも提督は『それを否定するかのように』首を横に振る。

 

「お前も行って事を大きくするんじゃない。それにお前は今は自室謹慎中の身だ。これ以上違反して罪を重くするんじゃない……ここに残りなさい」

 

そう言うと彼は部屋から出ていった。しかし彼女はそれで治まるような人物ではなかった。

 

「やっぱりあたしが行かなきゃっ……」

 

彼女なりの罪滅ぼしと考えたのだろう、今のエミリアの頭の中にはそれしかなく、しばらくして彼女もまた自室から彼らを探しに出ていってしまった。

 

◆ ◆ ◆

 

一方、ドラえもん達三人は床下から中央デッキに向けて進んでいた。しかし双眼鏡でしか確認出来ないためか、上では何が起きているのか分からなかった。しかも、周りを見渡しても誰もいないので不思議に感じていた。

 

「おかしい……急に人がいなくなったけど……」

 

「一回、地上へ上がってみようぜ!」

 

ドラえもんは正面の赤いボタンを押すと、艦は浮上し始める。

上がるとどうやら通路のようだ。

三人は外に出て周りを確認すると、前にはさっきまでなかったはずの分厚い金属壁が先の通路を塞いでいる。

 

後ろを見ても同じく金属壁で塞がれている。

 

「どうなってんのこりゃあ?」

 

「まるで閉じ込められたみたいだな」

 

「閉じ込められた」というジャイアンの言葉にドラえもんはあることに気づいた。

 

「まっ…まさか……ヤバいっ、早く乗り込んで二人とも!」

 

彼は急いで中に入るように促し、二人をすぐに潜地艦へ乗り込んだ。

 

「ドラえもんどうしたんだ!?」

 

ドラえもんはすぐにすぐ横の青いボタンを押し、沈ませる。

 

「僕らの脱走がバレたんだ。だから通路を塞いで僕らを行き道をなくしたんだと思う」

 

「なにっ、もうバレたのか!?」

 

「これでもしさっきの僕達が浮上していた時に探知されてたら完全に僕らの負けだ!!」

 

「ええっ!?どうして!?」

 

スネ夫が聞くと彼の額から汗が流れ出た。

 

「探知されてたらあの人達が駆け付けてその周辺を監視されるかもしれない。そうなったら浮き上がったところを発見されてしまう。しかも……」

 

「「しかも?」」

 

するとドラえもんは前の操作盤にあるメーターを指す。たぶん燃料に位置するネジの残量を表したものだろう。それを見ると、もう針が『E』の部分に近づいていた。

 

「見ての通りもうネジがない。少し進んでもまたゼンマイを巻きに上がらなければいけない。けどその時にもう待ち構えてかもしれないし、されてなくてもその間に探知される可能性は非常に高い!」

 

「「…………」」

 

どの方向にも少ししか進めない状況でどっちに転んでも絶望的。もはや覚悟するしかないのか……。

 

一方、カーマインは中央デッキに戻り、オペレーターとモニタリングしていた。

 

「エリア5行き通路に謎の小型艦と地球人の子供達を確認、そのあとまた艦に乗り込んで床に沈んでいきました……。これは一体……」

 

……やはり三人は探知されていた。

 

「各員に次ぐ、エリア5通路からその周辺に集合し待機、発見次第すぐに捕縛せよ。

なお、エミリアの話によると彼らの中に何やら未来から来たロボットがその時代の道具を所持、使用している模様。決して油断するな!」

 

艦内に命令を流し、大勢の隊員が銃を構えてそこに移動する。

 

「私も出向いてあの子達に直接説教を……オペレーターは引き続き捜索を続行し、情報を送るように」

 

「了解!」

 

彼もまた中央デッキから去っていった。そしてドラえもん達は床下に停滞している艦内で暗い顔で話し合っていた。

 

「だから僕らはあの場所で静かにしとくべきだったんだよ。記憶を消されても助かるならそれでよかったんじゃないか!」

 

「うるせぇ、もうここまできたんならしょうがないだろうが!」

 

二人は言い争っているなか、ドラえもんは考えた末、こう練り出した。

 

「こうなったら最後の賭けだ。わざと発見されて捕獲されたら多分、提督と会うだろうから、その時に説得するしかもうチャンスはないと思う」

 

「……俺もドラえもんに賛成だぜ。スネ夫は?」

 

「…………」

 

スネ夫は黙り込んでしまう。元々あまり乗り気じゃなかった彼だ。賛同しにくいのは無理もない。

するとジャイアンはスネ夫を見つめて右肩に手を置いてこう言った。

 

「考えたら俺が無理やりお前を誘ったんだからな、それは謝る。けどな、お前だってのび太達を助けるためやエミリアさんやミルフィの力になるために嫌々ながらもここまでついてきたんだろう?男なら潔く決めてくれ。俺だって怖い、お前一人だけじゃないんだからな」

 

「ジャイアン……」

 

やたらカッコいい台詞でスネ夫を説得する。

その言葉に感化されたのか、数秒間間を置いた後、スネ夫は何回も頷く。

 

「わかったよ。僕も協力するよ」

 

やっとスネ夫もその気になり、三人の心は一つになった。

 

「じゃあドラえもん、上がろうぜ!!」

 

「うん!!」

 

ドラえもんは浮上ボタンを押し、艦は上に浮かび上がる。

 

しかしその瞬間、そこにはたくさんの隊員が手持ちの銃を構えて周りに待ち構えていた。

 

「抵抗しなければ何もしないからすぐに出てきなさい!」

 

警告を前に三人はこそこそ中から出てくる。隊員達はすぐに三人の体を調べあげている間、やはりドラえもん達は恐怖で震えていた。

 

あのジャイアンも子供なのだから怖いのは当たり前だ。

 

すると三人の前にカーマインが駆けつけてくる。しかし彼の表情は苦渋だった。

 

「なぜ脱走ということを考えた?答えなさい……!」

 

彼の並みならぬ威圧が三人へかけてくるのであった。

 

するとジャイアンは突然、頭を下げて大きな声で彼にこう言った。

 

「おっお願いがあります。どうか俺たちをそのアマリーリスとか言う組織にいる友達を救うために協力させて下さい!!」

 

その事実を聞いたその場にいた兵士全員が耳を疑い、ざわめき始めた。さらにあとに続いてスネ夫、ドラえもんも頭を下げる。

 

「お願いです!絶対にあなた方の役に立てるように必死に頑張りますから!」

 

「お願いします!」

 

しかしカーマインはそれを無表情で首を横に振った。

 

「断る。君達はなんとかなるだろうと思っているのか?遊びじゃない、生死に関わることだ。あまりにも危険すぎる」

 

しかし三人は引き下がろうとしない。なぜならもう三人の決意は固かったからだ。

 

「どうかお願いします、友達を助けたいだけじゃなくてエミリアさんの辛い思いから救ってあげたくて脱走したんです!」

 

「な!?」

 

その言葉にカーマインは無表情から一転して焦りの表情へ変わった。

 

「も、もしかして彼女の過去を知っているのか……?」

 

「……」

 

すると、

 

「ドラちゃん!!スネ夫くん!!タケシ君!!」

 

なんとミルフィもここに急いで駆けつけてきた。走ってきたのかなり息を切らしている。

 

「ミルフィちゃん!やっぱり僕ら、エミリアさんの助けになるよっ!」

 

「そうだぜっ!ミルフィが全て話してくれたおかげでこっちもやる気が出てきた、ありがとな!」

 

その発言を耳にしたカーマインはミルフィにグッと睨み付ける。

 

「ミルフィっ!お前まさかこの子達にエミリアのことを!?」

 

「も、申し訳ありません……どうせ記憶を消されると思ってつい……しかしまさか脱走するとは!?」

 

「つい、じゃない!どうして軽々と彼女の事情をばらしたのだ!?この馬鹿者!」

 

「ぴいっ!!」

 

ひどくしかりつけ、完全にミルフィは萎縮してしまっている。

そして彼はドラえもん達の方を見て、こう言いはなった。

 

「知ってしまった以上はもうしょうがない。だかなエミリアはもうこの作戦に参加させないと決めたんだ。第一彼女はもう……」

 

しかし突然、

 

「お待ちください提督!!」

 

「なっ!?」

 

全員が振り返るとそこにはあのエミリアがここに歩いてきていた。その時の彼女は思い詰めた表情をしていた。

 

「自室謹慎と言ったハズだ!破ってさらに罪を重くするつもりか!?」

 

しかし彼女はその言葉を無視して彼にこう言った。

 

「……この子達と話をさせて下さい。あたし自ら言い聞かせます!」

 

「………っ!」

 

そのまま彼女は三人の方へ向かうと彼らを見つめた。しかし、徐々に眉間にシワを寄せ始める。

 

「えっ……エミリアさん……」

 

「ああっ……っ」

 

すると、

 

「「「あてっ!」」」

 

なんと彼女は右手で三人の頭をペシ、ペシ、ペシと軽く叩いた。

 

「脱走なんかバカなことをして何かあったらどうするのよ!?場所と立場をわきまえなさい!」

 

彼女は三人をひどく叱った。しかしそれで反省するような彼らではなかった。

 

「俺たちはエミリアさんの助けになりたくて提督に頼み込んだんだ!なあ二人とも!!」

 

「「うんっ!!」」

 

その力強い声からは意志が強いことがはっきりわかる。

 

「あっあたしの……?」

 

驚く彼女にミルフィがこう伝える。

 

「実はアタシ……留置場でエミリアの事情を話しちゃって……その、本当にごめんなさい……」

 

「なっ……なんですって…っ!?じゃあ……っ」

 

すると今度はドラえもんが彼女にこう言う。

 

「うん。僕たちはミルフィちゃんから全てを聞いてあなたの助けになれたらなと思ってつい……僕たちそういう人を見かけたら助けずにいられないタチだから」

 

「……」

 

彼女の瞳から一筋の雫が流れる。

 

……それは涙だ。

 

彼女は涙を拭くと、提督の向かってお辞儀をした。

 

「謹慎中の身でありながら、無断に出てきてまことに申し訳ありません。ですがお願いがあります、彼らをここで許してもらえないでしょうか?この通り悪気があって行ったのではありません。どうかお願いします」

 

「エミリアさん!?僕達が勝手に脱走したのにあなたが謝る必要ないよ!」

 

「そうだよ!僕達はただ協力できればいいなと思って言いにきたのに!」

 

彼らはエミリアを弁護するが、彼女はニコッと笑って顔を横に振った。

 

「ありがとう。私のためにここまで考えてくれるなんて……その気持ちだけで充分嬉しいわ。けど私はもう違反した以上、もうどうすることもできないのよ。本当にごめんなさい」

 

「エミリアさん……っ」

 

三人はもちろん、周りにいる全員が言葉を失った。

三人のその強い意志と優しさはここにいる兵士達に強く突き刺さっていた。それはカーマインにさえ同じだ。

しかし違犯は違犯、それはどうあれ変えることはできない運命であった。

 

「……………」

 

するとカーマインは被っていた帽子のズレをしっかり直して彼女の肩に手を置いた。

 

「……落ち込んでる暇はない。お前には今作戦で頑張ってもらわないといけないからな」

 

「……えっ?」

 

その言葉に全員が耳を疑った。すると彼は彼女に背を向けた後、こう言った。

 

「お前に特別任務を与える。その地球人の子供達と協力して今作戦時、アマリーリスにいると思われる彼らの友達を救出、保護する任務を附与する。もちろん、パートナーのミルフィもだ!」

 

それを聞いたエミリアとミルフィ、三人は顔を輝かせて彼にこう聞いた。

 

「そっ……それじゃあ……あたしは……!?」

 

カーマインはエミリアの方を向いて普段と同じ、優しい顔で返す。

 

「この子達はお前に全てを託す。君達もエミリア大尉の指示をちゃんと聞くんだぞ、わかったな?」

 

そう言うと彼はその場から去っていった。

 

それから少し沈黙した後……。

 

「やったああああっ!!」

 

「エミリアさんよかったなぁ!!」

 

その場にいた隊員が一気に大歓声を上げた。そしてエミリアとミルフィ、そしてドラえもん達三人はあまりの吉報に体を震わせていた。

 

「信じられない……まさか……こんな……っ」

 

ミルフィはすぐにエミリアへ飛び込んだ。

 

「エミリアよかったヨぉ!!提督は許してくれたんだぁ!!」

 

ミルフィは嬉し涙を流して顔を擦り付ける。

 

「ミルフィ……」

 

彼女も涙を流して二人で喜びを分かち合う。

 

一方、三人は安心したのか一気に体が崩れその場に座り込んだ。

 

「よっよかったぁ……」

 

「ホントに一時はどうなるかと思ったよ……」

 

「けど俺たちが必死に頼みこんだおかげだな」

 

そう言っている三人に元にエミリアとミルフィが笑顔で手を差し伸べた。

 

「あなた達地球人は本当に不思議ね。けど本当に感謝してるわ。ありがとう!」

 

「私たちより地球人の方が数段たくましいんじゃないかしらぁ♪」

 

二人の感謝と誉め言葉にデレデレになるドラえもん達。

 

「いやぁ……」

 

「えへへっ……」

 

そしてエミリアは張り切って彼らにこう言う。

 

「提督から指示を受けた通り作戦時、あなた達はあたしの指示に従って行動すること、決して自分勝手な行動はしないこと。わかったわね?」

 

「あとここではアタシはともかくここの人たちの言うことは絶対に従うことヨ。軍隊なんだからネ?」

 

凛々しい口調で言われ、ドラえもん達もビシッとする。

 

「「「はっ、はいっ!!」」」

 

それを見た彼女はクスッと笑った。かくして三人の純粋で懸命な思いがここの雰囲気をグンと変えるという偉業を達成したのだった。

 

一方、中央デッキでは。

 

「エミリア大尉を許したのですか!?」

 

異例の措置にデッキ内の部下達は驚きの声をあげる。

 

「ああ、あの子達の行動や姿を見てると昔の私を思い出してな。あの頃はただひたすらに正義感溢れていたな……。今は立場上そんなことも忘れて法律だの規則だのを気にするようになっていたようだ。エミリアの可能性を含めて信じてみようと思う」

 

彼の表情は非常に清々しかった。

 

「しかし違犯は……」

 

「実際あれは本隊に伝える気はないよ。あの叱咤はエミリアを反省させる意味で言ったのだからな。実際に私もあの法には理不尽な部分を感じるしな」

 

それを聞いた部下達は脱力しため息をついた。

 

「なんだ……心配しすぎて損した。あれは嘘だったのかぁ……」

 

「ゴホン……っ」

 

少し皮肉の混じった小声が聞こえ、咳き込むカーマイン。しかしすぐに真面目な表情へ変える。

 

「問題はここからだ。あのアマリーリスがこちらに向かっているということに注目しなければならん……」

 

「そうですね。作戦会議はいつになさいますか?」

 

「……今から8時間後だ。あとあの子達の部屋を手配してくれ。彼らはこれからエミリアと共に行動させる」

 

「了解」

 

◆ ◆ ◆

 

あのあと三人はエミリア達からここの基本的な規律や行動などを全て聞かされた後、各部屋へ案内された。

エミリアは作戦会議に出向いている間、彼らは疲れたのか部屋のベッドで寝ていたのだった。

 

ジャイアンは完全に爆睡、スネ夫は地球にいる母親に思いを馳せ、ドラえもんは……。

 

「のび太君、しずかちゃん……大丈夫かなぁ……?」

 

やはりドラえもんは二人が心配で眠れなかった。ちゃんと生きてるのだろうか?生きているにしても酷い目に遭っていないだろうか。ただ不安が募るばかりであった。

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