大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦   作:はならむ

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Part.15 戦闘訓練①

ーーエクセレクターの司令室ではユノンがラクリーマに対して苦言を漏らしてる。

 

「やはりどう転んでも銀河連邦を避けるのは無理ね……」

 

「…………」

 

ラクリーマは腕組みをして椅子にもたれかかる。ため息をつき、目を閉じる彼に彼女はさらに追いうちをかける。

 

「……調査した結果、あの銀河系周辺にランクS級のエネルギー反応を確認したわ。それほどの質量を持つ反応はNPエネルギーを使用する銀河連邦の主力艦以外には考えられない。向こうも馬鹿ではないからこちらの行動をすでに逆探知しているハズよ」

 

「ということは……連邦は応援を呼び寄せて俺達がワープホール空間を抜け出した瞬間、艦隊ではさみうちするってワケか、クククッ」

 

明らかにアマリーリスにとっては望ましくないことに何故かラクリーマは笑っている。

 

「何が可笑しいの?ともかく……侵略するならまだしもリスクを負ってまで、ただあの子達を地球まで送るなんてあたしは反対だわ。こちらにはなんのメリットもない」

 

彼女が反対するのも当たり前だ。ランクS級は自分たちの母艦、エクセレクターと同等のエネルギー質量を持っている。

銀河連邦はさらに『ランクA』、『ランクB』級戦闘艦をほぼ無限に近いと言っていいほどの数を所有している。

 

そんな銀河連邦艦隊に包囲されれば、圧倒的にこちらが不利なのは彼本人でもわかっていた。

 

「こっちも対策を考えてある。それが通じるか通じないかは……五分五分だがな。だが通じれば両方とも後腐れがなく解決するだろう」

 

「……?」

 

彼はユノンにその対策方法について話す。

 

「……ねえ、もしそれが通じなければ?」

 

「……その時は強行突破だ」

 

その発言に逆撫でされてユノンは「バンッ!」と机を力いっぱい手を叩きつけてラクリーマにギラッとした目で睨み付ける。

 

「……あんたふざけてんの?そんな適当に考えて……もしエクセレクター……いいえアマリーリスに何かあったら責任とれるの?」

 

対しラクリーマは自信げに満ちた笑みで通している。

 

「へっ、俺達は今日死ぬか明日死ぬかの毎日だろうが。今さら危険なことをおかすことに躊躇しねえよ。あと、のび太達の約束を守るって言ってしまったしな、何回も言うが俺は嘘をつくのがキレェなんだよ」

 

彼女は頭を押さえてため息をついた。

 

「ハァ……あたしはあんたのそういうトコが嫌いよ。もう少し真面目に考えて……」

 

「ユノン、お前は肩に力入りすぎてんだよ。一度は気を楽にして考えろよ。そんなんじゃあ気が滅入って体壊すぞ?」

 

ラクリーマは彼女をなだめるようにいったが、それが彼女の神経を逆撫でし彼の胸ぐらを掴んで馬鹿でかい声で激怒した。

 

「あんたねえ!!他人事みたいに言ってェっっ!!」

 

彼女は怒りのあまり、彼をぐっと持ち上げる。

 

「……大体あんた、リーダーのくせにいつもいつも変なイタズラしたり、くだらないコトしか考えないから常にあたしが苦労してんでしょうが……わかってんの!?」

 

彼は怒らず無表情でこう答えた。

 

「ああっ、お前には何から何までいつも感謝してるよ。俺だっていつもヘンな事を考えてるわけじゃねえ、常にどうすれば最小限でかつ効率的に物事がうまくいくか考えてる。

 

……ひとつ言っておくが、俺は元々侵略や交戦の時は最前線に立って戦闘に参加しながら戦闘員に直接指揮する肉体労働的役目、お前は艦長として俺らをサポートしつつ、艦内の部下を指揮するいわば司令塔的役目。俺とお前は全く考えが別だし作戦練ってもその通りに上手くいかねえのがほとんどだから、そこはケース・バイ・ケースで今までもそうやってきたんだろうが。違うか?」

 

「…………」

 

ラクリーマは不敵な笑みを浮かべて、彼女にこう言いきった。

 

「のび太達を絶対地球へ送る。それは部下達も承知しているんだ、変更はしねえ。なんならここにあいつら全員かき集めて多数決を取ってみるか?それならお前も納得すんだろ?」

 

ユノンはそれを聞いて静かに胸ぐらを掴んだ手をゆっくりと放す。軽く息を吐き、いつもの冷静さを取り戻すと彼に背を向けた。

 

「……悪かったわ、ついカッとなって……。確かにあんたみたいに柔軟な思考をしないといけないのかもしれないわね。けどあたしはアマリーリスを壊滅させたくない気持ちでいっぱいなの。そのあたしの気持ちをわすれないでね……」

 

「ああっ、そこは同じ考えだ。俺だってあいつらが生き残る為に体張ってんだ。お前と俺でフォローしあえば充分いけるさ」

 

「フフっ……」

 

彼女は軽く笑うと、司令室から去っていった。ラクリーマは天井を見上げて鼻をほじりなから口笛を吹いている。

 

その数分後、彼は立ち上がり腕をブンブン振り回して歩き出した。

 

「さあて、今日は何人あいつらをしごいて泣かそうかなっ?ククク……っ」

 

ラクリーマは歯を剥き出しにして笑い、司令室を出ていく。『しごいて泣かす』……いったいどう言うことなのか?

 

◆ ◆ ◆

 

このアマリーリスはほぼ男性の数で割合を占めている。しかしユノンを初め、開発部門のサイサリスなど少なからず女性は在籍している。それもあり組織員の中にはその女性員とカップルになることが度々あり、休憩時間や非番時にプライベートを過ごすのだ。もちろん……彼も例外ではなかった。

 

「レクシーさんっ!」

 

艦内でぶらぶら散歩をしていたのび太としずかは休憩広場に立ち寄り、偶然そこにいたレクシーに話しかけた。

 

彼の横には一人の女性がレクシーと仲良く話をしている。

 

「よおお前ら。散歩か?」

 

「うん!」

 

軽く挨拶をしたあと、のび太達は彼の横にいる女性に目が止まった。

地球人にほとんど大差ない姿のユノンとは違い、その女性は猫をそのまま人間にしたような姿をしており、ドラえもんがこの場にいたら一瞬で惚れてしまいそうだ。そんな彼女ものび太達を興味津々に見つめている。

 

「へえ、あんた達が例の地球人ニャ?可愛い顔してんじゃないのぉ♪」

 

甘い声を発し、妖麗のような笑みを浮かべた彼女はのび太の方へに寄り添い顔を近づける。

 

「いいっ……」

 

「レクシーさん……この人は?」

 

レクシーは頭を押さえて、照れくさそうにこう答えた。

 

「こいつはジュネ。アマリーリスのオペレーター担当でその……」

 

「あたいのカレシだニャっ!」

 

「「ええっ!!」」

 

二人は大声を上げて驚く。

 

「ジュネっ!人前でそんなこと言いふらすんじゃねえっ!」

 

「なあに恥ずかしがってるんだい?あんたと付き合っているなんてここの全員知ってるのに別にこの子達に教えてもいいじゃニャいか?」

 

顔を真っ赤にし、ため息をつくレクシー。いつもは明るい彼だが恋愛に関してはどうやら奥手なようだ。

 

「レクシーさん……」

 

「ふふっ」

 

そんな彼を見て和む二人。すると彼女はのび太としずかの肩に手を伸ばしてぐっと引き寄せた。

 

「ちなみにあんた達二人を互いにどう思っているのかい?聞いてみたいニャ~あっ?」

 

その言葉に二人は一瞬で顔をレクシー以上に真っ赤にし、あたふたし始める。

 

「いっいやっ僕たちはぁ!!」

 

「そそっ、そんな関係じゃありませんっ!」

 

動揺している二人を可愛く思えたのか、ニヤッと笑う。

 

「そう?ちなみにあたい達くらいになるとプライベートタイムは激しいんだからぁ♪あんなことやこんなこと……ふふっ…っねえレクシぃ~♪」

 

「ばっバカ!子供にまだそんなこと言うなよ!」

 

まだ無知な二人は彼女の言っていることが理解できていないのが幸いだった。

 

「激しいって……どうゆうことだろ?」

 

「さあ……っ」

 

すると彼女は両腕を使い二人の肩に置きグッと引き付けて自分の顔へ近づけさせた。

 

「……あんた達はまだ知らなさそうだから今度あたいの部屋にきなさいなぁ。オトナの世界をたっぷり教えてアゲルからニャあ♪」

 

なんと彼女は二人を頬にキスをし出す。すると今度はジュネはのび太に抱きつき、彼の胸、股間をイヤらしい手つきでサワサワ触れまくる。

 

「ひいっ!」

 

「特にあんたは男だし経験を先に済ませるつもりであたいがイイ気持ちにさせてあげましょうか~~♪︎」

 

なんと大胆というか……うらやましいというか……ともかく、のび太をアブナい世界へ誘惑しようとする彼女に対してレクシーは、

 

「い、いい加減にしろっ!こいつらはお前の趣味に合わん!」

 

ジュネはのび太達を離して立ち上がると、レクシーに向かって皮肉まじりの笑顔を見せる。

 

「冗談冗談。けどあんただってあたしと二人っきりになったらケモノになるクセに、そうやって人前になったら急に恥ずかしがってシュンとなる性格をなんとかしたら?」

 

「…………」

 

何も反論できなくなるレクシー。そんな彼女も彼を見て溜め息をついた。

 

「……ちょっと言い過ぎたニャ。けどわかってちょうだい。あたいはそんなあんたのことを死ぬほど愛してるんニャからね♪」

 

「ジュ……ジュネ!」

 

彼らの前で、レクシーへの愛を恥ずかしげもなく宣言する彼女は本当に大したものだ。しかし彼もそこまでいってくれる彼女が好きで好きでたまらないのであった。

 

「よせやい……のび太達が聞いてるじゃないか……」

 

そんな二人を見てのび太達、特にしずかは憧れるかのように輝いた目で注目している。とても女の子らしい本能だ。

すると彼女は背を向け、ニコっと笑い、顔だけ彼らへ向いてこう言った。

 

「そろそろあたい、休憩終わるしブリッジに戻るわ。それとあんた達、レクシーをあんまり困らせるんじゃないよっ」

 

彼女はそう言うと彼らから去っていった。

 

「あいつ……本当にメンドくせえ女だぜ……」

 

そんなことを言ってるが彼自身はとても嬉しげな表情をしている。そして二人も顔を赤くしながら彼女の後ろ姿を見ていた。

 

「あの人……なんかいい人みたいだね……っ」

 

「ええっ……かなり大胆すぎる人だけど……」

 

そんな二人をレクシーが割り込み口を開いた。

 

「まあそんなとこだ。お前たちはこれからどうするんだ?今日は非番だしお前らに付き合うぜ?」

 

それを聞いた二人は大喜びする。

 

「本当ですかぁ!?」

 

「やったあ!」

 

レクシーはのび太達から気に入られてしまったようだ。すると、

 

『連絡します。非番以外の戦闘員はすぐに訓練エリアの模擬戦場に集合。リーダーがお待ちです』

 

突然の放送が流れ、その場にいた休憩中の戦闘員がその場で凍りついた。

 

「まさか……あの……」

 

「ひええっ!!いやだぁ!」

 

全員が謎の嘆きの声をかけてすぐにそこから走り去っていく。

それを見ていたのび太達は全く理解できずただ呆然と見ていた。

 

「どうしたのかなぁ。やけに嫌そうな顔だったけど……」

 

「今から訓練エリアのそこで何か始まるんじゃない?」

 

そんな中、レクシーはニンマリした笑顔で、

 

「よっしゃあっ!!今日は非番だったから良かったぜヒャっハァァっ!!」

 

その場に子供みたいにはしゃぎ回る彼に全く訳の分からないのか目が点になっているのび太達。

 

「レクシーさん……どうしたんですか……?」

 

彼はヒイヒイ笑いながら二人にこう告げた。

 

「ワリイワリイ♪そうだ、今から訓練エリアで見物しにいくか?超おもしれえものが見れるぜ!?」

 

「面白いもの?」

 

「何をするんですか?」

 

彼は自分の拳と拳をガツンと叩き合わせた。

 

「今からそこでリーダーの超絶鬼指導の戦闘訓練が始まるぜ。これがマジで死にそうになるんだよなっ!」

 

「ええっ!?」

 

「せっ……戦闘訓練っ……!!」

 

二人はまるで軍隊の訓練をするのかと思うと言葉を失う。『死にそうになる』と想像しただけでただ事じゃなさそうだからだ。

 

「いくか?」

 

レクシーが聞くと考えこむ二人。ちょって見てみたい気もするが、その過酷そうに思える訓練を見てドン引きしそうな予感がしていた。

 

しかし、二人はこうも思いっていた。あのラクリーマが直々に指導している姿を見てみたいと。

なので二人は互いを見つめ、頷きあうとレクシーに伝える。

 

「みっ見たいです!」

 

「ラクリーマさんがここの人達に教えてる所を!」

 

レクシーは嬉しげにくいくいと指で来いと合図する。

 

「なら行くぜ。訓練が始まる前に行くぞ!!」

 

そう言って三人は訓練エリアへ向かう途中、のび太は走りながらこう考えていた。

 

(ラクリーマって……いつも何してるんだろう……)

 

◆ ◆ ◆

 

……訓練エリア内の施設の一つ、模擬戦場。対局地戦、対多人数戦など、『戦闘シミュレーター』と呼ばれる機械を用いてありとあらゆる様々な戦闘を想定して訓練する場所である。ここはどちらかと言うと生身を駆使した格闘、銃器を使用した訓練が行われる。

 

三人が到着した模擬戦場は大きな街1つ分はある広さの空間の中には見学用の安全スペースがある以外は機械や機器が全く置いていない、本当の意味で地平線のように感じるほど広いと感じることができる場所である。

これは訓練中の障害及び、怪我の原因にならないようにしているためである。

その中心部でラクリーマが大勢の戦闘員にプロテクター付きのアーマーを装着させて何かを指示している。しかし戦闘員の方は非常に思い詰めた表情をしていた。

 

レクシーとのび太達はそこに移動するとそこに設置してあるイスに座る。

 

「あちらの内容はすべて前方に出てくる空間モニターで映るようになっているから遠く離れてもわかるようになっている」

 

「へえ、便利な機械だね」

 

「ねえのび太さん、ラクリーマさんがこっちに来るわ」

 

するとラクリーマはのび太達のいる所に走ってくる。すると三人に気づいたのか手を上げてニヤッと笑った。

 

「よお、お前らは見学か?」

 

「うん。こっちにきてどうしたの?」

 

「上着が邪魔になるから脱ぎに来ただけだ。ここに置いとくぜ?」

 

すると彼はとっさにタイツの上着を脱ぐと上半身が裸になる。

しかしそれをみた二人は……。

 

「うわあっ!!」

 

「信じられない……っ」

 

驚愕の声を彼に浴びせる。その鍛えぬかれた盛り上がった屈強な筋肉はもちろんであるが、その身体からは幾多の闘いを潜り抜けたことを物語るおびただしい傷痕が至るところに刻まれていた。そして二人が一番注目した所はその左腕全体である。

 

タイツからだと左手首までしか義手だとしか分からなかったが、上半身裸になり左腕がさらけ出されるとそれより上の肩、左胸部まで鈍い銀色の金属で作られた義手であった。そして左胸には巨大な青色のレンズを組み合わせた丸い機器が埋め込まれている。

彼はいわゆるサイボーグだと今初めて二人は知ったのだった。

 

「おい、そんなに人の身体をじろじろ見んなよ。ならいってくっぜ!」

 

そう言い、ラクリーマはすぐに戦闘員の元へ走っていった。

 

「ラクリーマってなんか……」

 

「ロボットみたい……」

 

唖然としている二人にレクシーは二人に説明する。

 

「驚いたか。無理もねえやな、俺も初めてみた時びっくりしたわ。ちなみにあれは『ブラティストーム』ってな、あの人の強さの秘密だ」

 

「ぶっ……ブラ…………っ?」

 

「ス……トーム……?」

 

聞き取れてなかったのか、上手く語呂を言えないのび太達に彼はゆっくり喋る。

 

「『ブラティストーム』だ。お前らも初めてリーダーと会った時にも使ったが、あの人の義手であり且つ強力な兵器でもあるんだ。まあっ……訓練始まったら今にわかるぜ」

 

「…………」

 

二人は気になっていた。このアマリーリスの総司令官たる男、ラクリーマはどれほどの強さを持っているのか。

訓練が始まるのを静かに待っていた。

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