大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦   作:はならむ

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Part.22 三つの心を一つにして

ラクリーマはブリッジに到着し、すぐにオペレーターの元へ状況を確認する。

 

「どうした!?」

 

「敵です。ワープホールから抜け出した瞬間、攻撃されました。どうやら、ワープを感知して待ち伏せしていたようです!」

 

モニターには、エクセレクターの前方軌道上から右舷方向にかけて、数千キロ……いや、数万キロ以上ある宙域に、まるでアリの大行列のように、おびただしいほどの赤い物体が蠢いているのが確認できる。

 

「敵はエクセレクター直線上から右舷方向かけて距離80000!データにないアンノウン……どうやら巨大なバクテリア生命体群のようです。中央に存在する本体と思われるポイントから多大なエネルギー反応確認。質量は……ランクA以上!?」

 

「ほう、敵さんもなかなかのモンを持ってんな。被害状況は?」

 

「艦首及び、前右舷部、底に奴らが数万匹へばりついています!!」

 

「……さっきの衝撃もこいつらがぶつかってきたせいか……。てことは、奴らはエクセレクターの装甲を喰い破る気だな」

 

ラクリーマはモニターを見ると、全長3、40メートルはある、蛭とは似て非なる異形な姿をした赤く身が軟体そうな生物どもが至るところにざわざわ蠢いている。

どうやら持ち前の牙、体内で形成される強力な溶解液を駆使して、艦の頑丈な装甲を破壊しようとしているようだ。

 

「アンノウン、徐々に艦の甲板を破壊しつつあります!」

 

「対艦レーザー砲、大型光子ミサイル、全砲門一斉発射しろ!」

 

エクセレクターの両舷、下方に搭載されている砲門を一気に開門、100発以上の青白く眩い光を放つ極太の光線、そして直径10km以上あろう巨大なミサイル…いや、光弾が一斉に発射され、へばりついていた生物体も巻き添えを食らい消滅。

 

光弾は遥か先にいるアンノウンの大群へ伸びるように行き、着弾。

 

「光子ミサイル、目標に着弾ーー!」

 

『ボボボ………っ!』と光弾はまるで球体のように膨張し、それが広範囲を包むように広がった。その生物達と巻き添えにして。その光景はまるで太陽のように強烈に輝いている。

 

「一気に反応が消滅しましたが、数が多すぎてあまり効果がありません!しかもまだ装甲にへばりついている反応も多数……ああっ!」

 

「どうした?」

 

オペレーター達はモニターとセンサーの反応に驚きふためいている。

 

「消えたはずの反応がさらに、本体を中心に数万単位で増加しました!」

 

「なんだと?じゃああの本体が産み出しているということか?」

 

「間違いありません」

 

「やっぱ光子ミサイルとレーザーだけじゃ無理みたいだな。こうなったら、リバエス砲発射用意。直接本体に撃ち込んでやる!」

 

「了解、NPエネルギーを全反応炉から主砲内増幅炉に送入。エネルギーチャージ開始します!」

 

エクセレクターの特徴である美しい女性の顔を象った艦首部が一気に真っ二つに割れて開門。その中から口径あるのかと思うほどの、長方形状の超巨大な砲身がゆっくりと姿を現した。

 

「セーフティ解除。出力は……」

 

「最大出力だ。奴らに目にものを見せてやる!」

 

ラクリーマはとっさに司令塔に移動し、中央部に行くと、淡い青色の光を放つレンズが垂直に出現していた。そのレンズに手をおいて、巨大な3Dモニターを確認する。

 

「ターゲットロック。目標、アンノウンの本体及び、リバエス砲射線上の大群!」

 

モニターには、正面からアリの行列のようにこちらに向かってきている。あと20キロほどでエクセレクターに到着しそうだ。

 

「リーダー、アンノウンの大群がこちらに向かってきています!!」

 

「まかせろ、本体ごと消し飛ばしてやる!」

 

砲門内にはまるで虹色のような鮮やかな光が収束し、いまにも暴発しそうだ。

 

「艦内に告ぐ。対閃光防御、対衝撃態勢に移行せよ、繰り返す!」

 

「NPチャンバー内正常加圧中、出力、70、80、90、100、130%ーー!」

 

ラクリーマは全力でレンズを垂直に下へ押した。

 

「リバエス砲、行くぜ!」

 

 

ーーーーーーだが、

 

 

『ーーリバエス砲、操作ミスにより発射中止します』

 

と気の抜けた音声が流れて全員がその場でずっこけた。シリアスな雰囲気が一気に崩壊してしまった。

 

「誰だぁ、操作ミスった奴はぁ!?」

 

すると一人の男性オペレーターが手を上げた。

 

「へへっ、すんません。手を滑らせて中止ボタン押しちゃいました……」

 

「バカヤロー、こんな時にボケかましてんじゃねえ!お前、あとで俺と二時間くらい組手な?」

 

「ええっ!?」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」

 

ーー気を取り直して。

 

「出力、100%」

 

「リバエス砲、発射!」

 

 

《ド ギ ャ ア ア ァ ッ ッ オ オ ッ ! !》

 

 

砲門から一直線状の高密度の光輝く微粒子が、拡散するかの如く宙域を包み、襲う。それは1光年先からでも肉眼でも捉えられるほど。例えると地球から見る流星のよう――。

 

「目標到達まで、あと数十秒――」

 

射線上のアンノウンもその粒子の前には跡形もなく消滅、このままいけば、敵の本体に直撃だ。しかし、

 

「リーダー、本体の前方にまた破格の数の反応が出現。100万は裕に越えます!!」

 

「なにぃ!?」

 

モニターには、まるでサザエのような巻き貝で全長、数百Kmを誇る本体から、一秒間に何千、何万という数の『子』が吐き出され、周辺に集まっていくーー。まるで城を防護する砦壁のように。

 

「こ、これは……」

 

直撃した。確かに一瞬で多大の反応は消滅したが、壁の厚さの方が勝ち、本体の直撃にはならなかった。

 

「主砲、残念ながら本体には届きませんでした」

 

「あいつら……とんだ食わせモノだ。惑星の半分以上を消し飛ばしちまうリバエス砲が効かねえなんて。おもしれぇ……っ」

 

「リーダー、何笑ってるんスか!」

 

――そんな中、レクシーの恋人ジュネが彼にこう伝えた。

 

「あと数分後に、へばりついている大量のアンノウンが艦内へ侵入しますがどうします?戦闘員達にスレイヴ、ツェディックに搭乗、待機させていますが出撃させて駆逐させますニャ?」

 

「……無理だな。ざっと見た限りあいつらは一個体につき40メルト以上はある。もしへばりつかれたら約半分程度しかない大きさの二機では間違いなく捕食されてしまう。といっても、このままでは――。」

 

「リーダー、副リーダーが到着しました」

 

そんな中、ユノンも先ほど到着し、司令塔へ向かう。こんな危機的状況にも関わらず、全くと平然な態度をしている。

 

「よう。お前、来てくれて助かったぜ!困ったことあんだけどな――」

 

「…………」

 

しかしユノンはラクリーマを全く見ようとせず、モニターを確認する。いつも同じ態度だが、明らかに様子がおかしい。

 

「……お前、まさか風呂場の件で怒ってる?」

 

「…………」

 

しかし、彼女は全く無反応だ。ラクリーマはそんな彼女を見て、ムスッとなった。

 

「けっ、そうですかぁ?リーダーの問いかけにも無反応ですかぁ?勝手にしやがれ!!」

 

そうやって私情を持ち込まれるほどの余裕はないのに何をやっているのか……。ともかく、このままではエクセレクターは危険だ。

 

「解決策は直接、本体に攻撃する以外他ないわね……しかも近距離で……」

 

「近距離で本体に……っ」

 

彼女が発した言葉がラクリーマはある方法を思い浮かぶキーワードとなった。

 

「……そうか。あれを使えってことだな!」

 

彼は艦内放送用のレンズのような機器に手を置く。

 

「艦内にいる者につぐ。衝撃体勢をとれ。本艦はこれより――」

 

内容を聞いた艦内全員が、すぐさま衝撃に備え始める。

 

オペレーションセンターでは、各員がそれぞれ作戦に対応した行動を始めた。

 

「リーダー、編成はどうするんですか?」

 

「本形態は俺が操縦する。第2形態はユノン、第3形態は……ジュネ、やってみるか?」

 

ジュネはメロメロとしたような態度をとった。

 

「ウワァオ♪リーダー直々のご指名とあ・ら・ばっ♪」

 

「よっしゃあ。久々に大暴れしてやるか!」

 

……そして三人は指令塔に集まり三角形上に配置された水晶のような平べったいレンズが3枚、それぞれ表面に手を置いた。

 

「まずはジュネ、お前がへばりついてる奴と向かって来ている奴を全員蹴散らせ。そのあとユノン、どうするか分かってるだろ?」

 

「………」

 

「ちっ……作戦確認までシカトかよ。まあいい、お前は言わなくても分かるだろうからな。じゃあ作戦開始だ!」

 

三人は息ピッタリにレンズを同時に押し込んだ。すると、三人の周りがNPエネルギーの素粒子の包まれていく――。

 

「――それぞれ、配置したか?行くぜ!」

 

「…………」

 

「いつでもいいニャ♪」

 

三人はそれぞれ別の場所に移転する。

 

それぞれ共通しているのは、三人の周りに見えるのは手前に各一人ずつのレンズのついた台……操縦幹の役割を果たすデバイスがあるだけで、果てしない宇宙空間が広がり、周りにあのアンノウンの姿が視界の至るところに映っている。

ジュネはさっそくデバイスのレンズ上に手を置き、遊ぶようかのにウキウキした態度でこう叫んだ。

 

「エクセレクターチェンジ、タイプ3。行くわよぉ♪」

 

――なんと言うことだろう。エクセレクターの前部、中央部、後部が均等に切り下がれたように三頭分に分離を開始したのだった。同時にくっついていたアンノウンも切り離しと同時に無理矢理剥がす。

 

瞬時に、各分離部の先がアニメーションさながらのモーフィングで別形態へ変形、

さらに後部、が一番前に先行し、続いて前部、後部とまた直列に並びーーなんと三機合体。

 

くっついていたアンノウンの大半は、サンドイッチのように挟まれ、無惨に潰れまくる。

 

ホントに……常軌を逸脱したアクションである。前部と後部がそせぞれ前後にお折り畳み、前頭部に最初と打って変わって、今度は怒りに狂った顔をした男の顔を露呈し、変形と言う過程が終了する。

 

「ふふっ、ごめんあそばせ……っ」

 

その姿は例えるなら巨大な亀。どこから攻撃しても死角のない難攻不落な要塞を思い浮かべる。

 

ここまで至るまでにかかった時間は約数分。この全長を考えるとあり得ないほどの速さである。

 

「エクセレクター、全方位空間上のアンノウンをターゲットロック!」

 

艦の全装甲のありとあらゆる場所から砲門らしきを穴が一気に展開した。

 

「反撃開始ぃ♪」

 

彼女の声に反応して全ての砲門からNPエネルギーの粒子ビームを発射。本艦を取り巻く広範囲の宙域を光線の嵐で埋め尽くした。

 

「うふ~いい気分ニャァ♪虫けらを一掃するって!」

 

この一撃で周辺と向かってきていたアンノウンが一気に消滅した。

 

『よっしゃあ、次はユノン。お前だ!』

 

「…………」

 

ユノンはあいからわず無口で忽然とした態度をとり。レンズをぐっと掴み、ゆっくり目を閉じる。そして重い口を開いた。

 

「エクセレクター、タイプ2へと移行する。各員衝撃に備えよ」

 

先ほどと同じように分離、合体へ移行を開始。元形態の後部が最前に移動し、また直列に並んだ。

 

「……」

 

ーー合体変形に成功。瞬間、真空状態である宇宙空間が震えている。それはエクセレクターに秘めている膨大なエネルギーが放散しているのである。そのエネルギー量は、惑星どころか太陽系を消し飛ばすほどの――。

 

「タイプ2変形成功ーーーー」

 

前方に丸い砲門、両舷には空間をも切断しそうな巨大な羽翼を誇る怪鳥の姿だった。

 

「これより、アンノウン本体に突撃する。全エネルギーを前方に収束――」

 

エクセレクターはついに前方へ発進す。その推進力、加速度、最大速度は普段の形態と比べると格段に向上していた。

 

「本体を倒せばもう子供は産み出せない。守っている子供ごと全て潰す……」

 

前方の砲門からエクセレクターを包むようにエネルギー状の青い幕を展開、さらに加速を増した。一方、本体の子供は危険を察知し、一気に集まり、自分の周りを取り囲み始める。どうやらあの生物は攻撃本能だけでなく、母を守る『防衛本能』も兼ね備えているようだ。

 

子供達で構成された壁は、さらに厚みを増し、まさに鉄壁と化していた。それはまさに『最強の矛と盾』のようであった。

 

「アンノウン密集地帯に激突するまで、あと200……このまま突貫する」

 

両者激突まであとわずか、それぞれエネルギーと壁を厚みを

増加させた。

 

「突撃する。全員、対衝撃態勢をとれ」

 

そして――ついに激突。瞬間に子供達はエクセレクターの突撃により、粉々にされていく。それは土を掘り進むようにドリルのようだ。

 

あまりの強引さの前に、さすがのアンノウンも驚いたのか、さらに子は前に出すが、勢いに乗ったエクセレクターには歯が立たなかった。

 

「よっしゃ、ここからは俺の出番だ!!」

 

奥に潜んでいた本体の姿が表した。エクセレクターはそのまま突っ切り本体を豪快に前に吹き飛ばしすーーやっとついにお待ちかね、あの男の出番が回ってきた。

 

《エクセレクタァァァチェェェェンジっっ!!タイプ、ワァン!》

 

アンノウンどころかその宙域全土を震撼させるその声(ボイス)はまさしく、ラクリーマ・ベイバルグのものだった!!

 

「コンマ0.1も狂いなし、いいタイミングだ!」

 

もはや説明不要。元の陣形に戻りガツンっと高速合体し、初期の形態へ移行、すぐさまリバエス砲を発射へ移行ーー。

 

「グワハハハッ、死ねぇぇっ!!」

 

放たれた超高密度のNPエネルギー粒子がついに本体と残りの子供を包み、分子レベルまで分解し始めた。段々姿、形が無くなっていく……。

 

『かけら一つ残さず、根絶やしにする。我々の邪魔をする者はどんな相手でもーー!』

 

「アンノウン……、完全に消滅しました。各個体も全てボロボロに崩れていきます」

 

「よっしゃあ!!」

 

アンノウン撃破に成功し、艦内の者は全員歓喜した。

 

「しかしまあ、ちょっとヤバかったな今回……っ」

 

『あたいはいけると思ってたよ。なぜなら、リーダーと副リーダーが一緒なら負ける気がしニャいから。それにしても、リーダーの叫び声にあたい、ホント惚れ惚れするよ♪』

 

「ありがとよジュネ。なあユノン、よかったろ?」

 

『…………』

 

しかし相変わらずユノンは無反応でモニターを見ても、そっぽ向いている。

 

「けっ……、ホントに乗らねえ女だぜ……」

 

だがよく見るとラクリーマが苦しそうに胸を押さえている……戦闘訓練のケガが響いているのだろうかーー。

 

『リーダー、なんか顔色悪いですぜ。大丈夫ですかい?』

 

 

「ああっ…、ちいと叫びすぎて胸がキツくなっただけだ。なあに心配すんな」

 

「……………っ」

 

ラクリーマはそう言うが全員が心配そうに見ているのに対してユノンだけはあいかわずな態度をしている。相当ご立腹のようである。

 

◆ ◆ ◆

 

一方、のび太としずかは……。

 

「「き、気持ちわるい~~っ!」」

 

のび太はプラントルーム、しずかは自室で目を回しながら倒れていた。

あんなガッタガタに艦内が動き回れば誰でもキツいのはわかっているのだが、分離、合体、変形すること自体、知らない二人に衝撃体勢など、できるワケがなかったのだった。




次回は久々にドラえもん側の話です。
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