大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦   作:はならむ

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Part.3 発端

その翌日の午前中、空は快晴で相変わらずの炎天下の中のび太は憂鬱そうな顔で空き地に向かっていた。それはジャイアンとスネ夫に呼ばれたからだった。

 

「はあっ……どうせ写真撮ってきたかどうか聞かれるんだろうなぁ……」

 

そうぶつぶつ言いながら歩いていると、道端の電柱の真下にふと目を通した。

 

「んっ?こんなところに花が……」

 

よく見ると、大部分がアスファルトに覆われている地面のそこに、一輪の花が咲いていた。

しかし連日に続く猛暑の影響で、しかもあまり人には目立たない場所に生えているためかろくに水分をとっていないのだろう、その花は萎え始めており今にも枯れてしまいそうだった。

 

「…………」

 

のび太はその花を少し眺めた後、何を思いたったのか二人がいる所とは反対の方向へ走っていった。

……数分後、のび太はまた同じ所に戻り、家から持ってきた小さなスコップを使って、運よくアスファルトに侵されてなく素の土が剥き出しているあの花がある地面を掘り出した。

 

のび太は花を傷付けないように慎重に地面を削っていき、ついには無傷な状態で花を取り出した。

 

それをすぐさま自分の家の庭の片隅に持っていき、それを植えた。

水を上げると、花の葉から雫が一滴、二滴、地面から落ちる。

それを見たのび太は優しい笑みをこぼした。

 

「……これで元気になるといいね」

 

純粋なのかお人好しなのか、この一連の行動は彼の良い部分の性格を表したとも言えるだろう。

 

すると、

 

「おーいのび太ぁ~!!」

 

塀の外からジャイアンの声が聞こえる。

 

「そっそういえば二人に呼ばれてたんだっ!急がなきゃ!」

 

すぐに玄関に向かうとそこにスネ夫とジャイアン、しずかが待っていた。

 

「あれっ?しずかちゃんまでどうしたの?」

 

するとスネ夫が腰を低くした状態でのび太に近寄った。

 

「あのう……のび太、昨日は僕が悪かった、謝るよ。実は折入って頼みがあるんだ……」

 

「え?」

 

◆ ◆ ◆

 

「ええっ?どこでもドアで宇宙へ連れてけって!?」

 

ドラえもんは昨日ののび太が言ったのと同じ頼みごとをされて、すっかり呆れかえっていた。

 

「昨日のび太君に話したけど、どこでもドアは10光年の範囲でしか使えないのっ!!」

 

「じゃあ、その10光年先に連れていってよ。それならいいでしょ?どっかの惑星に降り立ってみたいし。」

 

彼らの頼みこみにドラえもんはため息をついた。

 

「……10光年範囲には大した珍しい星なんかないけど……いいの?」

 

その言葉にコクッと頷くのび太達。ドラえもんはやれやれと言わんばかりに重い腰を起こしてのっそり立ち上がった。

 

「……たくぅ」

 

早速全員は裏山へ向かう。ドラえもん達は人口的に作られたと思われる森の広場に移動し、四次元ポケットから『どこでもドア』を取り出した。そこはとりあえず何が起こっても大丈夫とは言えないが家で開けるよりは幾分安全だったからだ。

 

「いい?すぐ戻ってくるんだよ。何が起こるか分からないから。その前に……」

 

ドラえもんは四次元ポケットを探り、あるものを取り出した。

それはピストルのような形状をした秘密道具だった。

 

「『テキオー灯』、これをかけておかないと向こうは地球とはワケが違うからね」

 

ドラえもんはのび太達にテキオー灯の光を照らす。この光によってどんな環境、状況下においても影響を一切受け付けないのが凄みである。その効能は24時間有効である。

 

「じゃあいこうか!」

 

のび太は興奮しているのか、震える手でどこでもドアのドアノブを握り、グッと開いた――が。

 

「「「「「…………」」」」」

 

ドアの向こうは地球とは違う異様な景色だった。空は暗く、地面は鉄のような金属質に覆われ果てしなく広がる世界だった。

のび太達はドアの向こうに赴いてみる。

何もない。それだけの世界が地平線の如く拡がっているのみであった。

 

「こんなとこじゃ寂し過ぎて面白くなぁ~い!」

 

地球に戻り、ドアを閉める。

 

「のび太じゃダメだ!俺にやらせろっ!!」

 

今度はジャイアンがのび太をはねのけて、ドアノブを握って開いた。

 

「「「「「!?」」」」」

 

そこはさっきよりはかなり明るくなったが、ドアの向こうから不気味な色をしたガスが充満し、こちらに流れこんでくる。

ジャイアンは危険を察してすぐにドアを閉めた。そのガスに間違いなく有害性があると。テキオー灯を浴びた身体なら影響はないが、そんな所にいっていたら頭が狂いそうだ。

 

「ほらね?10光年内の惑星には何の面白みもないだろ?」

 

結果が見えていたドラえもんが諦めさせようと促すが、それが逆効果だった。

 

「僕にもやらせてよぉ!」

 

「いいやっ!!僕だよ!」

 

「お前らには役不足だ!もう一度俺に!」

 

のび太ら男三人がドアの主導権について取り合いしていた。それを見たドラえもんはいっそう情けなく感じたことか、深くため息をついた。

 

「もう三人とも、やめましょうよっ!」

 

見かねたしずかは三人に叱咤した。が、いっこうに治まる気配はない。三人はドアノブをガチャガチャ回し、開けては閉め、開けては閉めを頻繁に繰り返した。

すると、ドアの枠から『バチバチっ!』という音と共にスパークのようなものがほどばしり始める。

 

「うわあ、それ以上乱暴にやるとドアが壊れる!三人ともやめろぉ!!」

 

ドラえもんは慌てて三人の所に駆け寄り止めようとするが三人はさらにヒートアップし、その拍子にドアを強引に引き開けた。

だが次の瞬間『ゴオオオオオッ!!』とドアの中からまるで掃除機のような、いやブラックホールのような超重量による引力が発生し、辺り一面の物を強力な吸引力でドアの中へ飲み込もうとする。

 

 

 

「「「「「うわあああああっ!!!(きゃああああっ!!!)」」」」」

 

 

5人は吸い込まれそうになり、地面に這いつくばるがあまりにも吸引力が強すぎて少しずつ、少しずつドアに近づいていく。

 

「ううっ……早くドアを閉めないと全員飲み込まれてしまう……っ」

 

ドラえもんはやっとの思いでドアに近づいて締めようとするが、力が入らずなかなか閉めることができない。

ここで力を緩めればたちまち吸い込まれてしまう。そうなればどこに飛ばされるかわかったものではない。しかし、ついに……。

 

「きゃああああっ!!」

 

しずかは力つきてしまい、手を離してしまった。宙を舞い、強力な吸引力になすすべもなくドアに向かって吸い込まれた。

 

「しずかちゃんっ!!」

 

のび太はしずかを助けようとして自分も手を離して共にドアへ吸い込まれてしまう。

 

「のび太君っ!!しずかちゃんっ!!」

 

「のび太!!」

 

「しずかちゃんっ!!」

 

三人が叫ぶが時すでに遅し、虚しくのび太としずかはドアの向こうへ吸い込まれてしまった……。

ドラえもんが必死で頑張ったかいもあり、やっとドアが大きな音を立ててが閉まり、瞬間に吸引が停止した。

が、ドアから何やら焦げ臭い匂いがし、よく見るとプスプスと煙があちこちに立ち上っていた。

 

「ヤバい爆発するっ!!みんな離れろぉっ!!」

 

三人は急いでドアから離れよう走り出した。次の瞬間、『ドワァ!!!』と言う強烈な閃光が辺りを包み、同時に衝撃と爆炎が周囲を襲った。幸い誰もいなく、周囲にはあまり物がなかったお陰で地面が少し焦土と化しただけだった。

 

「ううっ……ドラえもんの道具はホントに役に立たねえなぁ…っ」

 

爆心地から少し離れた場所にいたジャイアンが顔を上げ、辺りを見回した。すると左の方向に丸いシッポが突き出ていて、もぞもぞ動いていた。

 

「ドラえもんっ!」

 

ジャイアンはソレに近づいた。どうやらドラえもんらしきモノの首が地面に埋まっているようだ。

 

「抜いて……早く抜いてっ……」

 

その声を聞いたジャイアンはすぐに体をしっかり掴み、力任せで上に引っ張った。すると、ボコッという音と共に真ん丸なドラえもんの顔が飛び出した。

 

 

「ぺぺぺっ、ふう……」

 

酷い目にあったドラえもんは起きあがるなり、ジャイアンを見るとぐっと睨み付けガミガミと怒りをぶつける。

 

「たくうっ、乱暴にいじっちゃって!いいかい、僕の道具はデリケートなんだ。強引に使用したら壊れるに決まってるじゃん!どうしてくれるの!?もうどこでもドアが使えないじゃないか!」

 

それを言われてさすがにシュンと縮こまるジャイアン。

 

「ドラえもん、なんであんなことになっちまったんだ?」

 

ドラえもんは腕組みをして頭を傾げた。

 

「う~ん、多分強引にいじりすぎたせいで空間と空間を繋ぐ装置が狂って暴走したかあるいは……」

 

すると、

 

「ドラえも~んっ!!ジャイア~ンっ!!こっちにきて~っ!!」

 

山の頂上付近から二人を呼ぶスネ夫の声が聞こえる。二人は急いでスネ夫の所まで駆けつけた。

 

そこには、三人は驚愕した。裏山を象徴する『千年杉』と呼ばれる大きな木の付近はに多くの木が薙ぎ倒されて、のび太の家の二階ほどある巨大な金属物体が地面に突き刺さっていた。

しかもこの金属は地球では見たことのない材質だ。

しかし形状はいくつかの相違点があるにせよ、地球における軍戦闘機に酷似していた。

 

「なっ……なんだこれは……っ」

 

三人とも、開いた口が塞がらずその場で硬直していた。一体これは何なのか、いつにどこからやって来たものなのか想像出来なかった。

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