大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦   作:はならむ

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Part.37 開戦②

一方でエクセレクターの開発エリアではラクリーマは例の麻酔薬『BE-58』を右胸部に打ち込んでいた。

 

「くくっ……っ」

 

上半身裸で右胸部に太い針を直接打ち込んでいるので、彼にかなりの激痛が走る。見るほうもかなり痛々しく感じさせる。

 

「どうだ、効いたか?」

 

「……ああっ。今までの痛みが嘘みてぇに感じなくなった。あとアーマーはどこだ?」

 

「持ってきたぜ。ホラよ!」

 

現れたサイサリスは彼に袖のない鎧のような装着物を渡す。銀色の金属質であるが彼女が持てることは相当軽いことが伺える。すぐにそれを上半身に装着し、体に合わせてフィットさせる。

 

「こい、『セルグラード』はもう少し調整させてからあとで部下の誰かに届けさせる。それまでは『ログハート』で頑張ってくれ」

 

彼女についていくと、巨大なガラスに閉じ込められたあの禍々しいほど爪と熊のように巨大で禍々しい装甲と出くわした。

 

彼女はその真下にあるパネルキーを叩くと、張っていたガラスが上に向かって開放する。

 

「ラクリーマ、右腕を出せ。『ログハート』を装着させる」

 

彼女の言う通りに右腕をログハート近づけた。するとそれは虫のようにガサガサ動き出し、ラクリーマの右腕に方向を指したその時、彼の右腕に飛びかかった。装甲が平らに展開し、右腕に噛みつくように合体した。

 

「グっっ……右腕が熱くなるような感覚だ……」

 

「今、ログハートの全回路がお前の神経を蝕んで同調している。じきに済むから安心しな」

 

「だが……なんて重さだ!!?」

 

あまりの重みでラクリーマの右腕が下に傾いている。

 

「実はコイツが完成していない理由がまだ軽量化していないんだ。まあ外に出れば無重力でそれもなくなるだろうがな」

 

あまりの重さに顔を歪めている。力をグッと入れてバランスを平行にするが、彼の力でさえやっとである。

 

……その姿は左腕が機械的で無機質を感じさせる義手『ブラティストーム』、右腕がまるで悪魔のように鋭く鈍い光を放つ爪と拳、熊のような巨大な剛腕『ログハート』。

 

肩から横へ突き出る無数の翼のような突起物も禍々しい。

金属であるが有機物を思わせる右腕の左右非対称だ。まるで彼が神話に登場する邪神かなにかの姿に酷似していた。

 

「よく聞け、初起動ってこともあるが、お前の身体を考えてリミッターをかけてある。もしいけそうなら私が遠隔操作で解除する。各内蔵武器、機能は……ん?」

 

よく見るとラクリーマの身体が震えている。

 

「どうしたラクリーマ!?震えているがまさか痙攣か……」

 

「はあ?何いってんだよ。なんかよぉ、こんなヤベぇ時になってるのにも関わらずワクワクしてんだよ」

 

「何だと?」

 

「身体中にマグマが暴れて煮えくりまわるようでな。全然負ける気がしねぇ……クックック……」

 

「…………」

 

 

彼は笑っている。それも気味悪いほどに静かだが止まろうとせずに。

ソワソワして落ち着きがなくなってきているが、まさか……。

 

 

「落ち着けよ。いつもみたいに、いきなり敵の密集地に突っ込むような無茶なことだけはするな?」

 

「わかってるわかってる。よし、いってくるぜ!!」

 

やはり重いのか、ヨロヨロふらつきながら彼女から離れていく。しかし、数メートル歩いた地点で彼は立ち止まる。

 

「そういえばサイサリス、前に言ってたよな?サンプルが欲しいからこれで破壊した、殺した奴、機械を持ってこいと」

 

「あっ……ああっ」

 

振り向きサイサリスに向けて……こういった。

 

「とってきてやんよォ。何がいい?機械なら装甲か回路か?人間なら脳ミソでも内臓でもちぎりとってこようか……キヒっ!」

 

その時の彼の顔と発言は狂ったサイコ同然であった。まともではない。 さすがのサイサリスもこれには背筋がゾッと寒くなったのであった。

 

「なんてな。なら行ってくる。早くセルグラードの調整を終わらせてくれよ!」

 

彼は去っていった。しかし、サイサリスはまるで恐怖感とも思える感情を抱いていた。

 

「あいつ、なんかヤバいぞ。一体これから何が起こるんだ……?」

 

……彼はすぐにブリッジに戻ってきた。彼の異様な右腕にその場にいる全ての者が唖然となった。

 

「これが……サイサリスさんの開発した例の……」

 

「そうだ。ユノンもついに発動完了したみたいだな。

こりゃあ面白くなってきやがったぜ……一世一代の大勝負か!!」

 

自分達が生きるか死ぬかの瀬戸際で面白いなどというが、一体どうしたらそんな楽観的な発言ができるのか。

 

「オペレーター、艦内の全員に通信を繋げろ。作戦内容の確認と話がある」

 

「はいっ!!」

 

中央モニターにはエリアの員、格納庫の各機体に乗っている戦闘員の顔が一斉に映り込み、その者たちも各モニターで本人を真剣な眼差しで見ていた。

 

そしてブリッジにいるユノン以外の者全員が起立し、ラクリーマを注目した。

 

「……ついにきちまったな。ここで全員に謝りたい。 こんなことになっちまったのも俺の責任だ。俺の意思でのび太達を助けて、こいつらを地球へ送ると約束し、行動した結果、銀河連邦とかち合ってしまった。

絶対に戦死者は出る。いや、アマリ―リス存亡に関わることだ……。俺に恨み事がある奴は今ここで言え!!

俺はそれを受け入れる、そして……お前たち全てを俺が背負ってやる!!お前たちが生き残れるように俺が命をかけて戦う!」

 

彼の熱演は全員に響き渡った。さらに彼は話を止めず。左拳を握りしめて全員に見えるように掲げた。

 

「頼む。全員の力を貸してくれ!!こんな絶望的な状況になっても生きたいと思う奴、あんな奴らに捕まりたくない奴、まだ悪さをしたい奴、そして……のび太達を無事地球に送れることを願う奴は……俺についてこい!その気持ちを敵にぶつけたいやつは武器をとれ!!」

 

その力強い発言を言い切ったその時、モニターに映るレクシーが笑いはじめ……。

 

『クククッ……リーダー、何カッコよく決めちゃってんですか?俺らは全てアマリーリスの、リーダーの為に働いてんですから!!』

 

『レクシーのいう通りだ!!あいつらに一筋縄ではいかないってことを教えてやりやしょう!!』

 

戦闘員や各員も次第に彼を持ち上げる発言をしはじめ、

 

『てめえら、のび太としずかが無事に地球に帰れるように命をかけて、そして力を合わせようぜ!いいな!』

 

《ウ オ オ ッ ッ ー ー ! !》

 

一気に艦内が盛り上がり、鼓膜が破れるくらいの歓声と気合いが響き渡った。

 

「みんな!」

 

「のび太さん……ここの人たち……最高ねっ」

 

のび太としずかはこれを聞いて嬉しくないワケがなかった。ラクリーマもブルブルと震えて拳をあげてギュッと握りしめた。

 

《よっしゃあああっ!!天下の連邦野郎に俺らの底力を見せてやろうじゃねえか!!》

 

……そして、戦闘員とラクリーマは素早く作戦内容を確認を開始した。

 

「作戦の最終確認だ。連邦はモニターで見る限り、各艦と無数の戦闘ユニットで総攻撃を仕掛けてくると思われる。だが、俺らのやることはエクセレクターをワープホール空間を形成し、逃げ込む為の強行突破させることだ。

全機を相手にするな、前方、左右から向かってくる敵だけを迎い撃て!

そして段々前方へ押し上げ、エクセレクターの突破口を作るだけでいい!なお、各機は絶対孤立するな。その瞬間、死ぬと思え!」

 

全戦闘員が一斉に頷いた。

 

「俺の合図で全機発進せよ!いつも通り俺が先頭に出る、俺の後に続け!!いいな」

 

『了解!』

 

ラクリーマは上を見上げてユノンを見た。もはや無表情で何も言わぬ彼女は既に戦闘に集中している証拠だ。

 

「ユノン、俺を外に出してくれ。それじゃあ全員、健闘を祈る!」

 

彼の真下に光輝く円陣が発生、一瞬でラクリーマの姿が消えた。オペレーターはすぐに、モニターに宇宙空間の前部甲板を映し出した。そこには彼が巨大な甲板上に仁王立ちしている。

 

「リーダー、宇宙空間へ移動しました」

 

のび太達もそのモニターに注目した。

 

「ラクリーマが宇宙空間に……て………」

 

「「え え っ っ ー ー ! ! ?」」

 

なんとラクリーマが生身で宇宙空間に出ているのである。

宇宙服や何もつけずに、真空状態下の中でも窒息している様子も見られず、平然としていた。

無重力にも関わらず、自分の力場を保持し、浮いているワケでもなくちゃんと甲板に足をついて立っていたのであった。

 

「ど、どうしてラクリーマさんは宇宙服も何もつけてないのに宇宙空間へ出られるの!?」

 

全く理解できない二人にジュネがこう説いた。

 

「驚いた?これもリーダーの特徴でね。宇宙空間でも生身で維持できる特殊体質で実際にあの人、無呼吸でも生きていけるんだよ。リーダーはある意味では生物の概念を超越した存在なんだニャ」

 

彼の戦闘力といい、今の光景といい、もはや唖然である。

 

「そういえばあんた達地球人はヒューマン……つまり人類なのよね?」

 

「はっ、はい。けどそれが何か……」

 

するとジュネは何かを考察しているように沈黙した後、口を開いた。

 

「……もしかしたらあんた達、地球人類の行き着く未来のひとつなのかもね」

 

「えっ?」

 

――ラクリーマは立ったまま見つめる遥か先の無数に蠢く光……20隻の巨大な銀河連邦艦隊を背に数万、いや20万という圧倒的数の連邦製戦闘ユニットと戦闘機が既に一斉に出撃。

まわりに配置され、ついに幕をあける超決戦の開始を『ゴング』が鳴るのを待ちわびていた。

そんな中、彼は歯を剥き出しにして、笑っていた。あたかもこの時を待ち望んでいたかのように……。

 

「いくぞ!!銀河連邦艦隊の包囲網を突破し、エクセレクターの突破口を開く!!」

 

《ガシャァッ!!》

 

前に突き出したログハートが装着した時よりもさらに肥大化し、その狂気な笑みと共に高らかに名乗りを上げた!!

 

「俺 た ち は ! !」

 

 

 

 

《5 0 0 0 0 0 0 光 年 よ り こ の 宇 宙 へ や っ て き た ア マ リ ー リ ス だ ! !》

 

 

 

 

 

《ラクリーマ・ベイバルグ率いるアマリ―リス、アマリ―リス撲滅編成銀河連邦艦隊と激突す!!》

 

 

 

 

 

 

 

『第 一 部 完 』




というのは嘘ですね笑。

まだまだ続きます。
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