「行くぜ、全機発進だ!!」
ラクリーマは甲板を踏み込み前に飛び出し、その直後ログハートから連なるまるで悪魔の翼のような後ろの突起物、ブースターから青白い粒子を放出しついに満を喫しラクリーマは発進。しかし肉眼で捕らえたのはスタートの一瞬でそれ以降はまるで消えたような錯覚に襲われる。
そのスピードはなんと音速(マッハ)に遥かに超えるという破格な速度を叩き出していた。
その後に続いて、アマリ―リスの戦闘ユニット『スレイヴ』、戦闘機『ツェディック』も発進、彼の後を必死に追いかける。がこの二機のブースターをもってしても、その異常の速さについてこれない。
『リーダー、前方距離2000ギャロから連邦の戦闘ユニット部隊と思われる多数の反応確認、数は520機!』
超高速の中、オペレーターから敵の位置に関する通信が入った。彼の前方から『スレイブ』と同サイズの人型の機械の巨人、それよりさらには10メートル以上大きく、さらに分厚い装甲、両肩部、両手首に搭載された砲身等、多装備した巨人……連邦の戦闘ユニットの大群がこちらに向かって来ている。
「きやがったな、まずはお手並み拝見といこうか!」
右拳に全神経と力が結集して、殴りかかるような姿勢をとった。
「サイサリス、お前が宇宙最強の兵器開発の天才ってことを奴らに証明させてやるぜェ!!」
そして両者が激突まであとわずかにせまった。ラクリーマは前方の一機に狙いをつけた。
彼とその機体のサイズ差はまさに虫と人のようであまりにも彼が不利な状況であったが臆するはなくついに!!
「く ら え ェ ェ ェ っ っ ! !」
ラクリーマの放った全力の右パンチがその機体の腹部に直撃した。その機体は拳の接着した腹部からやがて機体全ての装甲がまるで空き缶のように一瞬で潰れ、そしてちぎれとんだのであった。無論、コックピットも完全に潰れてパイロットはもはや生きていないだろう。
ラクリーマはその威力に一瞬、驚愕したがすぐに快楽な笑みへと変わった。
「こりゃ面白れぇや……ヒヒッ」
アマリ―リスにとってはさい先の良いスタートであった。
……連邦側のこの部隊はやられた見るも無惨な機体の姿に、動きが止まり、焦り、恐怖などが全員に広がった。
『一機やられただとォ!!』
『バカな!!誰にやられてたんだ?攻撃を受けたように見えなかっ――』
刹那、周りの機体は全て、さっきの機体と同じように潰れて、粉々になってゆく……そして、アマリ―リスの戦闘ユニット達も駆けつけ、その光景に歓喜と高揚の声を上げた。
『ヒュ~~。スゲーやラクリーマさん!!俺らも後に続けェェっ!!』
『おうっ!!』
そしてアマリーリスの戦闘ユニットも介入し、その宙域は激戦と化した。
『スレイブ』の両肩部から突き出した二装の長砲身から放たれる蒼白の光線、同サイズである連邦の中型戦闘ユニット『クイスト』が携行している大型ライフルからのビームが無数に飛び交い、その周辺を色鮮やかに染めて、両者の装甲を抉っていく――。
『連邦野郎、覚悟しやがれ!!』
『この極悪党共め、今こそ一網打尽にしてやる!』
互いにスラスターを駆使し、真空の宇宙空間360度を器用に小刻みに飛び回りながら攻撃を繰り出す。どうやらスレイヴの方が性能が上でありクイストは今一歩劣っている。
しかし、連邦にはもう一つの機体が侮れなかった。連邦が誇る量産型大型戦闘ユニット『ゼウシウス』である。
ダルマのような姿をしたこの機体はその二機より約二倍近い全長を持ち、さらに多武装を施された機体だ。さらにそれに加えて全身に張りめぐされた追加装甲が、こちらの攻撃を一切遮断するように思える。
『くそっ、硬てえぜこいつ!!』
案の定、スレイヴがまともに攻撃してもその装甲の前には歯が立たない。
そんな中、ゼウシウスは装備している手首に固定された砲身を天に掲げた。
その丸い砲門から10メートル程、光線を直線に放出しまるで剣のように発振。それを前方で自分に一瞬背を向けて他機の相手をしていた一機のスレイヴに向けて……、
『後ろ来るぞっっ!!』
『何ぃっ!?』
その光の刀身が降り下ろされてその機体の脳天から完全に叩き割った。
完全に二つに分断されて爆発はしていないがコックピットさえも見事に直撃、焼ききれ溶けた金属が全てを物語っていた。
『応答しろ!!応答しろ……くそっやられたぁ!!』
通信をかけたが全くの無反応。さっきの一閃で乗ってた戦闘員は完全に蒸発していた。
『くそっ、オペレーター、前方のダルマみたいな機体のデータ分析してくれ!!あいつの弱点を知りたい!!』
『了解!!』
分析している間、戦闘員達はゼウシウスの攻撃を避けるのに精一杯であった。各両肩、両手首、両腰に装備された計6門のNPビーム砲による多角方向の砲撃近づくものなら、並の攻撃全てを受け付けない重装甲、先ほどの斬撃の前には歯が立たない。
後方にいる『ツェディック』が光子ミサイルで支援しようにも敵どころか味方機にまで巻き添えを受けてしまう。
奴の欠点で今のところ判明したのは、その全身に張り巡らせた多装備のお陰で旋回力、制動力……つまり機動力を犠牲にしていることだ。
『分かりました、この機体は強固な装甲で覆われていて並大抵の武装では効き目がありません。
しかし、背中部には動力炉と思われるジェネレーターボックスが存在します。そこをスレイヴの高出力のエネルギーソードで貫けば、エネルギーが暴走し内部から誘爆します。そこだけは特殊装甲で守られておらず、剥き出しになっているのでなんとか貫通可能です!!』
『わかった、俺がやる!!お前らは俺を援護してくれ!!』
『レクシー、頼んだぜ!!』
レクシーは卓越した操縦能力でゼウシウスの攻撃範囲を回避し、見事後ろへ周り込んだ。オペレーターの言っていた通り、背中には剥き出した真四角の箱型の出っ張りを見つけた。
右手首部の砲口からゼウシウスのような5メートル程の蒼白の光輝く剣を発振、右腕を引き、狙いを定めた。
《おんどりゃァァっ!!》
刀身はその出っ張りを軽々と貫通、深々と突き刺した。
瞬間、『バチバチっ』とスパークが機体全体にほどばしり、その機体のガチガチと小刻みに挙動した。レクシーと他の戦闘員はすぐにその場から退避した。
予想通り、エネルギーが暴走し内部からNPエネルギーと思われる蒼白光が漏れ始め、次第に機体さえも呑み込んだ。
『うわああああっ――!!』
ついに機体が暴走したエネルギーに耐えきれずに崩壊、爆散。戦闘員はこれに勝どきを上げた。
『よっしゃーっ!あいつの弱点は装備し過ぎによるノロマなのと背中だ!!お前ら、このまま流れに乗って一気にここの集団をブッ潰すぞ!!』
『おうよ!!』
戦闘員達の士気はさらに上がり、そして、エクセレクターでも、
《対艦レーザー砲、光子ミサイル、全砲門発射用意……》
ユノンのまるで人形のように感情のこもってない声がオペレーションセンター内に響いた。
『全機、副リーダーが一斉砲撃を行います。射線上にいる各機は速やかに退避せよ』
その射線方向で交戦している戦闘員達はすぐにその場から退避した。
60門の発射管から巨大な光子ミサイルに加えて、エクセレクターの両舷にある人間の手の形をした部位の指全てから一直線の極太の光線が発射され、射線軌道上に取り残された連邦の部隊に直撃、これを一瞬で殲滅。
しかし多数の光子ミサイルはその部隊だけにとどまらずに前方方向に無差別に降り注ぎ、辺り一面を破滅の光と光で埋め尽くす地獄の宙域と化した。この一撃でこちらに到着、交戦していた連邦のユニット部隊の大半を粉砕、消滅せり。
「先ほどの敵艦の集中砲撃で、第2、5、18、4、…………の多数の戦闘ユニット小隊が一瞬で壊滅…………」
「く………っ」
それをモニターで見ていたカーマインはさらなる苦渋の表情を浮かべる……。
「グラナティキ級、ヴァールダイト級艦、主砲準備。前方のアマリ―リスの戦闘ユニットがいる宙域に集中砲撃!!」
「はいっ!各艦長に告ぐ。これより前方5800ギャロ、XX88方向へ一斉に主砲を発射する。直ちに発射準備にかかれ!」
――そしてラクリーマはというと。
「だありゃあああっ!!」
ただ一人、別の敵部隊でその猛威を奮っていた。一撃の殴打だけで機体ごと粉々に潰している。
ログハートに搭載された新技術『ニュートロン・ディカプラー』。
それは触れた物体の分子結合を一瞬で無効化にするという恐るべきモノである。これにより戦闘ユニットとのサイズ差どころか完全に圧倒、覆す事態が発生した。
『うわぁ!!どこから攻撃してるんだぁぁ!!』
『まるで……透明人間と闘っているよう……ぐわああっ!!……』
戦闘ユニットから見れば小虫程度の生身の身体、そしてログハートのスラスターを駆使したあまりの速さにラクリーマの姿を捕らえきれない連邦隊員達は次々に撃破されていく。
連邦のレーダーに反応されていないのはステルス機能が取り入れており、攻撃される側からしたらこれ以上の恐怖はない。
「花火をばらまいてやらあ!」
ラクリーマはその場に急停止、上着を強引に引き破き、あのアーマーを完全に露出。両腕を顔の高さまで上げてクロスした。
「くらえ!ミサイル全弾発射ぁ!!」
アーマーに無数の穴が出現。彼の叫び声を合図にそれから一斉に爆炎が上がり、無数の小型ミサイルが全方向にむけて放たれた。
ミサイルが彼を中心に広範囲に拡散、そして着弾した。辺りは眩しいほどの光と衝撃、熱を放ち全くその周辺が見えない。
『くっ、ミサイル攻撃か!!』
『しかし機体自体は全くと言ってほど損傷していない……牽制か……?しかし、どこからこんなに放たれたんだ……?』
戦闘ユニットのモニターはその爆発による光により視界不能であった。が、
『なあっっ!!?』
その機体のモニターには光の中から突然、高笑いしている若い男の顔がモニター一面に映し出されその刹那、モニターが割れ、コックピット内がバチバチと放電し、内部の温度が急激に上昇……。
『にっ、人間だとぉぉぉっっーー!?』
『……さっきの無差別攻撃も……無数のミサイル攻撃も……まさか…………っ』
……爆発の光が弱まり周りがやっと見え始めた時、歯を剥き出していて笑っているラクリーマが背にした機体全ては一気に粉砕、または爆散するというあまりにも異常な光景であった。
『どうだ、新型NP炉心と新技術を搭載したログハートの使い心地は?』
突然、サイサリスから通信で評価を聞かれる。
「サイサリス、お前は天才だよ。こんな楽しい遊びができるオモチャを作れるなんて……これでまだリミッター解除してねえんだろ?凄まじすぎて評価のしようがねえぜ!!」
『クククッ……、まだそれにあたしの『とっておき』が結構あるんだ……ん?多角方向約2500ギャロ距離から敵部隊の群れが来るぜ。その数、戦闘機含めて5000機以上だとよ?』
「次から次へと……さすがは数でモノを言わせる連邦か……さすがにさっきみたいに暴れるとくたびれそうだ」
『そうか。なら取っておきの一つを使えや。ログハートの左側面にグリップがあるだろ?それを左手で握って右手を前に突きだしな!!』
彼女の言われた通り、右腕の横に突き出た『グリップ』を左手で握り敵部隊の来る方向へ、右手を向けると手首部から、ブラティストームの小型ビーム砲のような四つのギミックが出現。
しかし、その形状は銃口のように円筒ではなく、ドリルのように尖っていた。
『まだ遠い。あたしの合図があるまで敵を引き付けろ!!』
向ける先には、先ほどのクイスト、ゼウシウスに加えて全体銀色の雀(スズメ)、翼を大きく開いた鷹に似た戦闘機も無数に混じり、混合した怒涛の大軍団がひしめき合い、ラクリーマを囲むように移動、配置に追い詰めるように向かってきていた。そして、その全体が徐々に近づいた時、
『今だ、グッと握れ!!そうすれば放てる!』
グッと握り込んだ瞬間、ドリル状のギミックが時計回りに高速回転、先に青い光が収束した。
……それは地球上における重兵器『機関砲』のようであった。目にも見えぬ高速に回転している四つの尖ったギミック先に収束した光が巨大な光弾となって一斉に発射。
数十、数百の数えきれないほどの光弾が無差別に前方に飛来、そしてそれらがその近づいた大軍団に直撃した。
その爆発、球状に膨張する輝く太陽のような丸い光、直撃した機体をその光に次々に消滅させるその威力……そう、あの兵器であった。
「すげぇ……光子ミサイルを連射するのかよ……」
『だろ?弾数無制限でかつ敵に当たるまで永遠に追尾してくれるオマケつきだぁ!!』
「サイサリス、やっぱオメェの武器開発の技術は全宇宙最強だぜ!!」
なんという武装であろう……最低でも戦術核兵器級の威力を持つ光子ミサイルを連射する機構なんて……例えるなら『核弾頭のガトリング砲』であった。
「よっしゃあ!!これは天下無敵やぞォーーっっ!!」
ラクリーマは連射しながら自分もコマのようにグルングルン回り始めた。
――それは連邦のその部隊からすれば悪夢同然である。一分間に1000発前後の光子ミサイルが中央の一点から一気に全方向へばらまかれたのだから。しかもサイサリスの言う通り、その光弾が意思を持っているかのように機体が光弾の軌道から回避しても、自ら旋回、狙った獲物を当たるまで追尾した。
そして直撃し、その機体は消滅、しかし膨張した光は近くにいた機体や戦闘機を巻き添えにして粉砕。戦艦級が装備しているクラスの威力であり、『大量破壊兵器』の名にふさわしい代物であった。
しかし、大量に撃ちまくっているにも関わらず彼が何の被害もないのは、サイサリスがそれを考慮して、ログハートから発しているNPエネルギーが膜を作り、常にラクリーマの身体中を包む防護障壁『NPバリア・フィールドシステム』を組み込んでいるためであった。
さらに宇宙空間であるにも関わらず普通に通信会話ができるのもこのバリアのおかげである。
この攻撃でその大軍団が一分たらずで全て宇宙のチリと化したのであった。ラクリーマはその素晴らしさを前に満足げに大きく息を吐いた。
「サイサリス、お前が敵だったらこれほど恐ろしいことはないぜ……」
『照れるじゃねえか。まあ……ありがとよ!!』
「よっしゃーっ!!次行くかぁーっ!!」
もはやまるでいいオモチャを与えられて楽しく遊んでいる子供のように見える彼の姿をサイサリスは彼が映るモニターを眺め、声を出さず、笑っていた。
(ラクリーマ、あたしは最高にして最強の殺戮武器を作るのが仕事だ。だがな、そのポテンシャルをフルに引き出すのは使う奴の仕事だ。
お前のために作ったあの子は今、最高に喜んでいるぜ!いけえっっ、ラクリーマ!あたしをもっと興奮させろ、もっと感じさせやがれぇ!)
一方、ヴァルミリオンでは、
「第9、10、11戦闘ユニット小隊が一瞬で消滅……なんで……?」
「レーダーには何も反応無し……モニターにも映らないところから突然の攻撃……」
その不可解な現象を前に、たじろいでいた。その原因、正体が先ほどモニター越しで余裕をかましていた男だとは未だに気づいていない。
「全艦、いつでも主砲を撃てる体勢へ移行しました」
「よし、射線上の部隊全員に退避させて初砲、右艦隊から主砲発射用意!!」
「了解、各部隊に告ぐ!!これよりヴァルミリオンより右側の艦隊から攻撃を開始する。速やかに射程範囲から退避せよ!!」
――アマリ―リスと交戦していた連邦部隊が突然、戦闘をやめて一斉にその宙域から離れていった。戦闘員達は辺りをキョロキョロ見渡し、呆然としていた。
『どうしたんだあいつら……いきなり戦闘をやめて……』
『もしかして俺達の力の前にビビって……なんてな』
『なんか嫌な予感がするぜ……』
そんな中、オペレーターから各員に通信が入った。その内容は……。
『各員、敵艦隊の位置から膨大なエネルギー反応を多数確認。それぞれ、B級大12、A級大5……これは敵艦隊の主砲です!』
『な、なんだとお!!』
その内容は戦闘員全員の心を一気に凍りつかせた。
「右側全艦、主砲放てぇーーっっ!!」
カーマインのかけ声を合図にヴァルミリオンの右側の艦全隻の前部に展開された巨大な砲門から想像を絶するエネルギー量のエネルギー粒子が同一方向へ向けて、一斉に放たれた。
そのあまりにも膨大なエネルギーの余波で周辺の空間が歪んでいるほどであった。
グラナティキ級の主砲はNPエネルギーではなく第五世代エネルギーであるプラズマエネルギーの源、プラズマ反応炉から発生するエネルギー……つまり旧式の反応システムからのエネルギーであるため、NPエネルギーを使用するヴァルミリオン、ヴァールダイトの主砲より威力は劣るがそれでも戦闘ユニット相手なら余りある破壊力を持っている(なお、地球産の原子力エネルギーは第三世代エネルギーに相当する)。
――多数の膨大なエネルギーを拡散した嵐が空間を喰らいながら急接近し、戦闘員に焦りと動揺が。
『うわああああっ!!避けきれねえよっ!!』
『エクセレクターの後ろへ回るんだ!!』
『無理だ、距離が離れすぎてもう間に合わん!!』
気付いたのが遅く、もはや逃げ切れない状況へ追い込まれた。全員がもうだめかと目を瞑り、覚悟を決めた――。
「全員、俺の後ろへ下がりな!!」
『リーダーっっ!!?』
彼等の目の前にラクリーマが現れた。焦りの表情は見られないどころか、明らかに楽しそうに笑っている……。
『ラクリーマさん!!来るのは敵艦隊の主砲ですぜ!!どうする気ですかい!?』
「決まってんじゃねえか!!俺が全部受け止めてやるぜ!!」
『いくらなんでも無茶だぁ!!俺ら戦闘ユニットでも一撃ですぜ!?ましてや生身のラクリーマさんが……』
こんな状況にも関わらず彼は全くビビっていない。寧ろ、出来て当たり前のようにも感じさせている。
「まあ見てな!!防げなければ俺らの負けだ……だが防げたら俺らはチャンスだ。俺に賭けろ!!」
『リーダー……』
心配しつつも、彼の言う通りに後ろへ退避する戦闘員達。
「サイサリス、言った通りでいいんだな!」
『おうよ、ログハートに搭載されてる『シンクロシステム』はお前の気合いの込め具合で炉心の出力が左右されるが出せば出すほどその限界点はない。それはこの『NPフィールド・リアクター』にも比例するぜ!!』
「よっしゃああっ!!うおおおっ!!」
彼の凄まじい気合いがログハートの機能するシステムをフル稼働させて、右腕を前に突き出した。すると、ラクリーマを中心に薄透明の青を含んだ球状のエネルギーの力場が発生し、最初はラクリーマを包むぐらいの大きさがたった1秒で一気に膨張、そして味方の全戦闘ユニットを包み込むほどに膨張!!
《来いやァァァァーー!!》
ついに各主砲攻撃がラクリーマが展開したバリアに直撃。超エネルギー同士の衝突の余波が周辺の空間をグニャリと歪めるほどであった。しかし、ラクリーマの高ぶる感情が爆発、それが拍車を掛けて、炉心に組み込まれたシステムも活性化、さらにバリアの範囲を増大させた!!
《グ オ オ オ オ ォ ァ ァ ァ っ っ っ ! ! !》
その時の彼は完全に野獣そのもの。顔中の血管がおぞましいほどに浮き出て、その鋭い牙を剥き出しに自分の持つ原始的本能を全面に押し出ていた――。その時、ヴァルミリオンの中央デッキでは……。
「全主砲……到達地点で突然、膨大なエネルギーから発生した力場と衝突、相殺されました!!」
「何だとぉっ!?その地点をモニターに出せ!!」
問題の地点を確認する。そこにはアマリ―リスの戦闘ユニット全機が何の損傷もなく密集している以外は特に変わったことは確認できない。しかし、よく見ると何やらそれらの前方に豆粒ほどであるが小さい何かが映っていた。
「オペレーター、拡大しろ!!何かいる!!」
モニターの倍率を上げて、カーマイン含む、その場にいる全員が目を凝らした。 そこに映り込んだのは……。
「こっ…これはぁ……」
「アマリ―リスの……あの男なのか……」
見た者全てはその光景に驚愕し、そして畏怖した。 アマリ―リスのリーダーと名乗ったあの若い男、ラクリーマが右手を突きだして立っていたのであった。
生身で宇宙空間に存在し、さらにその右腕、左腕はあまりにも人間のものとはかけ離れた異質であった。ほぼ全員から見た男の第一印象はこれである。
「生身で宇宙に……しかもあの禍々しい両腕は……まるで……」
「ばっ……『化け物』じゃないか……っ」
幾多の戦闘経験を積んだカーマインでさえ、その姿に寒気を漂わせるほどであり、他の者からすれば精神的恐怖であった――。
一方、アマリ―リスでも戦闘員達も彼の異常すぎる現象に目の当たりにし、呆れて開いた口がふさがらなかった。
『すごいっ……スゴすぎる……ああっ……』
『戦艦級の……しかも多数の主砲を全部消し飛ばしやがった……』
驚いて操縦レバーを動かすことが出来なかった。その時、ラクリーマは彼らの方へ向き、こう言った。
「いっただろ?受け止めてやるって。このまま一気に押し上げるぜ、今は俺達の方が優勢だ、ついてきやがれ!」
彼の宣言に彼等はブルブル震えて歓喜した。
『……いける。これはイケるぜぇ!!!』
『何だか負ける気がしねえっ!!リーダーがいるからか!』
『全員、ラクリーマさんに負けねえよう、今以上に奮闘しよう、そしてエクセレクターを何としても突破させるんだぁ!!』
『う お お っ ! !』
彼らの気合いのかけ声がこの宇宙空間に響き渡った。そしてラクリーマは味方の戦闘ユニット、そしてエクセレクターを背にして連邦に対して啖呵を切った。
「きやがれ!!てめえらなんぞにエクセレクターにひとつたりとも触れさせねえぜ!!」