「う……く……」
暴走したどこでもドアに吸い込まれたのび太は気を失っていたが今やっと目が覚めて起きあがる。辺りを見回すが辺りは真っ暗で何も見えない。
「ここは……どこっ……?」
のび太は寝ぼけているのか全く状況を把握していない。
とりあえず、右も左も分からない暗闇の中で這うように手探る。
「わっ!」
暗くてよく分からないが目の前に何かがあるのが分かる。さわさわと触ると何やら生暖かく柔らかい……よく触ると布のような感触がする。
「なにこれ……?」
何かふっくらしていて柔らかい、例えるならそれは発達中の女性の胸のようだ――が。
「がはっ!」
「バチィン!」とのび太は頬に平手打ちをかまされたような痛みと衝撃をくらい、顔が酷く歪んだ。
「もうっ!!エッチっ!!」
そこから声がする。それはのび太には聞き覚えのあるどころか毎日聞いている、というか先ほどまで自分のそばにいた女の子の声だった
「その声は……しずかちゃん!?」
「えっ!?のび太さん!?」
声の主はしずかだった。どうやら二人共、運よく同じ場所に飛ばされたらしい。二人は無事を祝ってエッチなのび太と手を繋いだ。
「ああっよかった!けどここは何処なんだ……?」
「そっそういえばドラちゃん、タケシさんにスネ夫さんは?あたしたち……どうなったのかしら……?」
二人はさっぱりワケが分からない。あの時、なぜあんなことが起こったのか、今何時でここは一体何処なのか?
二人は立ち上がり、のび太は手を前に出しながら一歩、一歩とゆっくり歩き始めた。しずかはのび太に寄り添っている。数メートル歩いた地点で突然、自動ドアが開き一気に光が射し込むと。どうやらここが出入口のようだ。
「なんだここは……っ!?」
「…………」
そこから出た二人は驚愕した。どうやら通路のようだが今まで見たことのない形は金属質で形成された壁に覆われ、たったひとつのライトで広範囲を照らせるほどの非常に明るく過ぎる照明。通路を見ると左右に別れていて、どちらも奥が見えない。
見る限り、何十メートル、数百メートル、いや何キロ程の果てしない距離がありそうだった。
「とりあえず歩いてみようか……」
「ええっ……」
二人は右側の通路を選び、一体ここがどこなのか、これから
先に何が待ち受けているのか分からない未知の領域に恐怖しながらも恐る恐る歩いていった。
◆ ◆ ◆
一方、ドラえもん達3人は例の金属物体を調べていた。
「これはスゴい……地球の金属や科学技術じゃ作れない『オーバーテクノロジー』だ」
ドラえもんは驚きを隠せない声を張り上げる。これが一体どこからきたのかわからないが、分かったことは『地球の物ではない』ことだった。
「ドラえもんっ、こっちに来てっ!!」
スネ夫の声にドラえもんとジャイアンは彼の元に向かった。
「これって扉じゃないかな!?」
スネ夫が指す先には謎の金属が立ちはだかる……装甲らしきフォルムの側面部に四角のラインがあり、そこだけ出っ張っていた。
「……よし、開けてみよう!」
ドラえもんはそこに近づき、立ってみた。
……………動かない。壊れているのか、そもそも扉ではないのか?
「こうなったら……『通り抜けフープ』!」
ドラえもんはポケットからフラフープのような物を取り出し、装甲に張り付ける。
すると装甲を通り抜けフープの中だけ金属がなくなり、大穴が出来上がった。
「僕が中に入って確かめてくる、二人は外で待ってて」
ドラえもんは穴の中に入っていった。
「…………」
内部は非常に広い。しかも地球では到底造れなさそうな装置や見たことのない金属で出来たオブジェがあちこちに配置されていた。
「んっ?奥に何かあるぞ」
地面に突き刺さっているため、内部の位置が上下になっているハズなのだがどんな技術でこうなっているのか内部は平面になってるような感覚だ。ドラえもんは奥にあるドアらしきモノの前に立ち止まった。するとガシュッと音を立てて、それが上に向かって開いた。
「あっ!」
その奥には沢山の精密機械と装置、操縦幹が設置されており、操縦室と思われる。
しかし、その床で淡いクリアブルー色のミディアムヘアーの女性らしき人物と体毛がピンク色のもこもこした丸っこい不思議な生物がぐったりと倒れていた……どうやら気絶しているらしい。
「たっ大変だ、早く救出しなきゃ!」
ドラえもんは急いで外に飛び出てジャイアンとスネ夫に助けを求めるのであった。
◆ ◆ ◆
そしてのび太達は果てしなく長い通路をひたすら歩いていた。
だが全く先の見えない通路を歩き疲れて二人は体力の限界に来ていた。
「いっ……いったいどこまで続いてるんだろう……」
「ちょっと休みましょう……」
二人はその場で立ち止まり座り込む。同時にため息をつき、額の汗を手で拭った。
「一体ここはどこなんだろう?」
「そもそもここは地球なのかしら?見たかぎりどこかの基地か何かの中にいるみたい……」
二人は正直、不安だらけだった。無理もない。
歩いても歩いても先が見えない通路、全くといっていいほど人のいる雰囲気が全くなく、ここは誰もいないのかと疑いたくなる。
しかしさっきの自動ドアにしても照明にしても、明らかに無人とは思えず、もし人がいたとしてもそれが地球人なのか……いや、そもそも味方なのか敵なのか全く予想がつかなかった。それでも人がいれば話せば分かってもらえるかもしれない。二人はそう考えていた。
「そろそろいこうか」
二人は立ち上がり、再び果てしない通路を歩き始める。そして数分後。
「んっ?」
先が見えない奥から何か緑色に光る物体が高速で近づいてくる。
二人は急に安心感を覚え、顔を向き合い頷いた。すぐにその光に向かって走りだすのび太達。それと同時に光る物体も高速でのび太の方へ近づいていく。しかしそれが全ての始まりだった。
「何者だキサマら!」
のび太達は目を疑った。宙に浮く円盤のような乗り物の上に立ち、まるで奇妙ともいえるペイントを施した赤色の全身タイツに身を包み、顔はまるでトカゲとも言える爬虫類のような鱗に覆われる顔をした男だった。しかし、言葉を流暢に扱う様を見ると非常に知性は高い。そう……地球人ではなく、異星人だ。
「ひいっ!!僕たちは決して怪しいものではぁ!」
「あわわわっ……」
のび太達は酷く動揺し慌てふためいている。
しかしこの行動がさらにこの男を逆撫でることとなる。
「侵入者だ!覚悟しろ!」
男はぐっと睨み付けて腰のガンホルダーから拳銃らしきものを抜き出しのび太達に向けた。
「ヤバい!しずかちゃん逃げよう!」
のび太達は即座に振り向いて走り出した。
男はトリガーを引くと銃口から赤色の光弾が発射し、のび太がいた場所の床に命中、火花が辺りに飛び散るとすぐに消えた。
そしてすぐに内部に大音量のサイレンが鳴り響く。その中でのび太達は必死で逃げていた。
「うわあああっ!!ドラえも~ん!!」
のび太は走りながらドラえもんの名を呼ぶが来てくれるワケもなく、サイレンの音にもみ消された――。
そしてのび太達のいた所からかなり離れた場所の一角の部屋には豪華そうなオフィスチェアに寛ぐように座る大男、そして隣に立つ一人の女性……中央の巨大3Dモニターに映る人の映像を見ている。
『ラクリーマさん、艦内の第25格納庫通路付近で侵入者を発見しました。相手はヒューマンタイプの子供二人、一人は男、一人は女です』
男はこれは面白いと言わんばかりにニィと笑んだ。
「そいつらを捕らえてブリッジに連行してこい。どうやって入ったかは知らねえが子供二人がこのエクセレクターに侵入したとは大した奴らだ。そいつらの顔を拝ませてもらうぜ!」
男は立ち上がり、隣にいた女性に視線を向ける。背が高くエメラルドグリーン色のロングヘアーで頭部には犬の耳のような突起物がある非常に美人の女性だった。しかしその女性の瞳から放たれる光は非常に冷たい氷のようだった。
「行くぜユノン!」
「…………」
ユノンと呼ばれる女性は何も喋らず、男についていく。二人はそのまま司令室に出ていった。
そしてのび太達は今も必死に走り逃げるが体力が持つはずもなくへとへとになっていた。特にのび太は……。
「もっ……もうらめっ……走れない……」
のび太はついにその場でへたりこんでしまう。しかししずかは疲れているが顔に出さず諦めまいとのび太を起こそうとする。
「頑張ってのび太さん!でないと私達一体何されるかわからないわよ!」
「へええっ……」
しかし、そこまでが運のツキだった。
「お前らをリーダーの元へ連行する。連れてけ」
ついに追い付かれてしまうのび太達。沢山の男達が集まり二人を囲む。男達を見ると種族が違うのか様々なタイプの顔と皮膚をした男達。しかし共通して言えるのが、全員いかつい顔をした悪人顔そのものだった。
「いやあっ!離してぇ!」
「……」
二人は円盤に乗せられて連行される。見知らぬ所に飛ばされ、見知らぬ男達に捕縛され、どこかも分からぬ所に連行されようとしているのび太達二人。
「あっ……あたし達どうなるのかしら……?」
「さっ……さあっ……?」
二人が不安と恐怖の声を漏らしていると、
「私語は慎め!」
「「ひいっ!」」
男のドスの利いた脅し口調の怒鳴り声が二人を萎縮させる。
円盤に乗りまるで迷宮のような複雑な構造をしている内部を移動していると、とある行き止まりにたどり着いた。
周りを見ると非常に広く3つの円盤型の装置が置かれている。それは数十人くらいなら容易に乗れそうな大きさだ。
二人と男達はその内の一番上にある装置に乗る。すると上空から、
『行き先を呼応してください。現在エリア10からエリア22は都合の為、移動することは出来ません。そちらへ移動する場合は――』
音声が入り、男の一人が大きな声をあげる。
「エリア5に移動する。急いでいるので迅速に頼む!」
『了解。ワープに移行するため、この範囲中から出ないで下さい』
すると、装置内に凄まじい光が全員を包み、飲み込まれる。目にも見えぬ速さで全員がその場から消え去った。
「「……」」
二人は驚きのあまり唖然とした。数秒間の出来事でさっきとは異なる場所に移動していた。
「ここ……もしかしたら宇宙船内か何かじゃないかしら……」
「どうしてわかるの?」
「だってあたし達が乗ってるお皿みたいな乗り物にしてもさっきの装置にしても……地球の科学力じゃ到底造れないくらいの進んだ科学力よ。あたしの勘だけど……ここ全体が移動してる感じがする……」
「えっ?」
そう二人がこそこそ話していると、横にいた男が持っていた拳銃をのび太の方へ向ける。
「喋るなと言わなかったか?これ以上喋るなら今ここで死んでみるか?」
「「ひいっっっ!?」」
二人はさらに萎縮する。この男達を怒らせると本当に発砲しかねない。二人は恐怖に怯え、沈黙し連行されていくと不意に円盤が停止。そこには……。
「「うわあああっっ…………」」
まるで快晴の日中のような明るさで非常に広い。広いってもんじゃない、小さな村一つは入りそうな空間で周りには膨大な数の精密機械が至る所に配備されてある。中央には巨大な司令搭が置かれている。
天井には巨大なウインドウが多数張り巡され、そとからは様々な惑星が写る宇宙が非常によく見える。
まさに壮大、圧巻としかいいようがない。そして、しずかが言ったことが的中した。ここは宇宙船内部である。
「リーダー、連れてきましたぜ!」
「「うわっ!(キャッ!)」」
男達に乗り物から蹴り落とされて地面に倒れ込んだ。
二人は上を見上げると、その高くそびえ立つ司令搭から先ほどの大男と女性が二人を見下ろしていた。すると男はそこからなんと飛び降り華麗に地面に着地、見下ろしながら二人の元へ歩いてくる。
「「…………」」
二人はその男を見て顔が恐怖でひきつっていた。黒いタイツで全身を纏う膨れ上がった筋肉の身体つき、ぼさついた銀髪で顔の至るところに無数の切り傷が目立つがそれさえなければ非常に端正な顔立ちで、まるで自分たち地球人のような顔である。
しかし、その瞳はまるで紅蓮のような赤い瞳で狂ったかのような螺旋状である。
そして男からは身体中が震え出すほどの威圧感と殺気を帯びるオーラを放っている。
「あなたは……一体誰……?」
しずかの問いに応えると思いきや、男は左手をしずかに向かって突きだした。左手をよく見ると人間の皮膚ではなく、鈍い銀色の金属で精巧に作られた手……義手であった。
「えっ……?」
それだけでも充分驚きだがのび太達は突然何をするのか不思議がっていると、『ガシャ!』と男の手首から4つの銃口のついたギミックが四方、しずかに向けて突きだした。
「なっ……なに?」
何をし出すか分からない男に対し、しずかは恐怖のあまり尻餅をついたまま後退りはじめた――が。
「キャアアアアッ!!」
「しっしずかちゃんっ!!?」
その銃口の一つから発射された青白い光線がしずかの右太ももを貫通し、鉛筆の幅ぐらいの穴と血管を突き破り、おびただしい量の出血。
「しずかちゃんっ!!しずかちゃん!!」
「いっ……いつ……」
のび太はなりふり構わずしずかを必死でゆするが、しずかは全身に大量の汗をかいて足を押さえてうずくまっている。このままでは大量出血でしずかの命が危ない。
「なんてことをするんだ!?女の子だぞ!?」
のび太は男にぐっと睨み付けるが、それを見もせず今度はしずかに近づき、
「いやあああっ!!」
なんと男はしずかの貫通した傷口を足でぐいぐい踏みにじる。彼女はあまりの激痛に大粒の涙を流してしまった。
「やめろぉぉぉぉっ!!」
のび太は踏んでいる男の足を抱き抱えて止めようとするが、男は即座にのび太の頬に強烈な裏拳をかまし、のび太は吹っ飛ばされて床に倒れ込む。すると今まで黙っていた男がついに口を開く。
「キサン誰にモノ言ってやがる?」
のび太は悶絶しながら頬を押さえる。そして男の方へ見ると男はのび太に尖った歯を剥き出しにした狂気の笑みを浮かべていた。
「お前たちはここをアマリーリスの母艦、エクセレクターだと知って侵入したのか?本来なら、見つかった時点で殺されても文句は言えんぜ」
それを聞いたのび太は不思議そうな顔をして立ち上がる。
「あっ……アマリ……リス……?エクセレ……クタ……?」
聞いたことのない名前である。男もあどけない彼の顔を見てきょとんとなった。
「なんだ、俺らの事知らねえのか?よほど辺境の宇宙から来たのか。お前らどこの惑星からやって来たんだ?」
その問いにのび太は間を空けた後、震える声でこう言った。
「ちっ……地球から……」
それを聞いた男は驚いたような表情を取った。
「地球だと?ならお前らは地球人か?」
のび太はコクッと頷いた。すると男は周りにはいた大勢の部下の方へ向いて高笑いしだした。
「わはははっ、お前ら聞いたか!こいつら地球人だとよ!」
それと同時に部下達も笑いはじめる。
「ギャハハハッ、こりゃあ奇遇だなぁ!!」
「なんて奇跡だよっ!?イヒハハハッ!!」
周りのざわめきを全く理解できないのび太。辺りを見てキョロキョロし出す。すると男は笑い涙を浮かべて、のび太にこう言った。
「実はちょうど今、地球に向かってる最中だったんだよな」
「え、何で地球に……なっ、なんで?」
のび太の問いに男の口からとんでもない返答が。
「当然、侵略するためにな!」
のび太は耳を疑った。【侵略】……ということはこいつらは悪の組織なのか。自分達の地球がこの謎の組織に狙われているという事実を知ってしまったのであった。
「し、侵略!?どうしてっ!?」
「別に星自体はいらねえが食糧とか色んなもんを片っ端から略奪するからに決まってんだろ?まあ、あと俺らは常に血と女に飢えてんだよ」
のび太は絶望する。侵略されたら自分たちどころか、両親、友達、いや地球人全員が殺されかねない。
それだけじゃない、そうなったら未来世界も改変され、残酷で劣悪な未来となりうるかもしれない。そう気づいたのであった。
「まあ運がなかったとしか言いようがねえな。安心しな、てめえらは死んでも親やダチは後で地獄で逢えるだろうぜ!わはははっ!」
男は豪快に笑いまくる。この男の人間性の感じられない残虐性、傍若無人さにのび太は絶望もあるが同時に激しい怒りも膨れ上がる。
だが、自分の力では何もできないのが現状であった。この男、見る限りただ者ではない感じがして、周りにも自分達より能力にしても装備にしても絶対的多数である。しずかも大怪我でその場から動けない、それらがのび太にあまりにも無力だということがイヤというほど思い知らされるのだった。
◆ ◆ ◆
のび太達が今大変な目にあっていることをいざ知らず、ドラえもん達はすぐに謎の二人組を外に運び、木陰の下にその場で看病をしていた。
「どっドラえもん……この人達……どこから来たんだろ?」
「さあっ……けど多分……宇宙人だと思う」
「けっけどさ……この女の人、かなり美人だよなっ……」
女性の方はロングコートと言うべきものか丈の長い、白、青、黄色などの基本色を基調とした、ビシッとした軍服らしき服装であった。
顔は地球人と酷似しており、しかも誰もが見とれてしまうほどの美人であった。
一方、不思議な生物はモコモコしたピンク色の毛が印象的で、ウサギのような耳と手と足がある。シッポは……なさそうだ。
「うっ……うん……」
その時、ついに女性が意識を取り戻したようだ。それを見て喜ぶ三人。女性は少しずつは目を開いていく。しかし、
「きゃあっ!!」
突然、女性は目を手で押さえてうずくまり始めた。
「だっ大丈夫ですかっ!?」
すると女性は震える声でこう言った。
「サン……グラスは……どこっ……?」
それを聞いたドラえもんは何か気づいたのか、手をポンと叩いた。
「もしかしてこれですかっ!?あの中に落ちてました」
ドラえもんは彼女のつけていたバイザーサングラスを取りだし、女性に渡してサングラスをつけるとゆっくりと起き上がった。
「た、助かったわ。ありがとう……あっ!」
すると女性は何か思い出したか、辺りをキョロキョロ見る。そして地面で寝ている生物に気づくととっさに生物を揺さぶった。
「ミルフィ大丈夫!?」
するとそれに応えるかのように生物の目を開き出した。
「えっ……エミリア……?」
その生物も起き上がる。寝ぼけているかボーッとしている。が、すぐにそんな状態が終わる時がきた。
「ああっ!?エミリア、ここはっ!?」
この生物の能力なのか、風船のように宙にふわふわ浮かんでくるくる回っている。
「ここは地球よ。どうやらあたし達はここに不時着したようなの……」
「なんですって!?」
「全く、あんたがあの時ちゃんとしていればこんなことにならなかったのよ!」
「エミリアだって人のこと言えないでしょ!」
三人をほっといて口論をおっ始める二人。
「あのぅ……話の途中に割り込んで悪いですけどいいでしょうか……?」
ドラえもんが恐る恐る声をかけてみると、二人はハッと気付き振り向いた。
「あっ……ごめんなさいっ!焦ってたもので……っ」
「エミリア、この人達は?」
「どうやらこの子達が私達を助けてくれたのよ」
「へえっ、いい子達なのね~っ。ありがとうございました~♪」
二人はドラえもん達に対して深くお辞儀をする。それに対し三人は急に照れくさくなった。
「いやいやっとんでもない!ところであなたたちは……?」
すると二人はドラえもん達の方へ行き、手を差し出した。どうやら握手のようだ。
「あたしはエミリア・シュナイダー、銀河連邦所属のこの銀河系及び、太陽系周辺の偵察と保護を担当する部隊の隊員よ。エミリアと呼んでくれたらいいわ」
「あたしはミルフィ。このエミリアのパートナーで銀河連邦所属のオペレーターヨ!よろしくね♪」
二人は自己紹介するが三人は初めて聞く言葉にポカーンとなっていた。
「ぎっ……銀河……連邦……?」
三人とも頭を傾げる姿を見たエミリアは苦笑いをした。
「わっ…わかったわ、分かりやすいように教えるわ……」
銀河連邦とは宇宙の平和と秩序を守る正義の連邦組織のことで、いわば宇宙規模を誇る軍隊警察である。
全宇宙から集まった多数の様々な先進種族で成り立ち、様々な部隊に分かれていて、エミリア達はドラえもん達のいるこの銀河系周辺と太陽系内の保護、偵察を担当する部隊に所属する。
「すっ……すっげぇっ!!カッコいいじゃん!!」
「ぼっ僕も入りたいなぁ!!」
歳相応の男の子らしくスネ夫とジャイアンは凄く関心を持っていた。
「ここでのび太もいたらさぞかし羨ましがるだろうな?」
「そうそう、のび太が……?」
ドラえもん達は約三秒くらい沈黙したあと、
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!思 い 出 し た あ ぁ ぁ ! !」
三人は突然、大声を上げて慌てふためきだした。それを見てびっくりする二人。
「忘れてたっ!!のび太としずかちゃんはどこに消えたんだ!?」
「ドラえもん、何とか探し出せないの!?」
「ちょっと待ってて、えっとあれでもないこれでもない!!」
ドラえもんは慌ててポケットから物を出すがワケの分からないものがたくさん出てくる。
「こんな時に焦んなっつうの!」
ジャイアンとスネ夫は情けなくなりひどく呆れている。
「あったぁっ、『タイムテレビ』っ!!」
手応えを掴んだドラえもんはポケットから多数のボタンがついた液晶テレビみたいな道具を取り出した。
「とりあえずどこでもドアよりは遥か先まで見渡せるけど……上手く映ってくれるかな?」
ドラえもんはタイムテレビを出して操作をする尻目にエミリア達はとても不思議がっていた。
「ねえっ、これはなに?」
「これはどの時代、どの場所でも入力した所を映し出してくれるドラえもんのひみつ道具だよ」
「どの時代って……あなた何者?」
「ドラえもんは22世紀、つまり今から100年後の未来からやって来たネコ型ロボットなのさ」
それを聞いた二人は驚きの表情を隠せなかった。
「100年後の……未来からですって……?」
「ひゃあ~っ、君はスゴいんだねぇ」
その間にドラえもんは必死で操作していると少しずつだが何かが映りこんできた。
「んっ?なんだ?」
「よく見せろよっ!!んっ?」
画面の砂嵐から徐々に視界が良くなってくる。しかし、その後にみた全員が目を疑うこととなる。
「なっ何なんだこれは……っ?」
「しずかちゃんが……倒れている!?」
「あと、こいつらは一体何者なんだ?」
画面に映ったのは、とても広大な場所に無数の装置と機械が置かれた場所でのび太としずかは謎の男達に囲まれていた。
しずかは倒れたまま全く動かず、すぐそこにもっこり黒タイツを着用した筋肉隆々の体躯の男が対峙しているのび太を追い込んでいた。
「こっこれは一体……?」
三人が驚くなか、突然エミリアがドラえもん達を割り込んで画面を覗いた。
「こっ……この男は……まさかっ!?」
エミリアの身体はぶるぶる震えだし、顔もだんだん険しくなってくる。まるでこの黒タイツの男に対して憎悪を剥き出しにしているかの如く。
「エミリア、もしかしてこいつらはっ!?」
ミルフィも画面を見て、顔色が変わった。どうやらこの二人はこの男達の素性を知っているようだ。
「……アマリーリス……あいつは……ラクリーマ……ラクリーマ・ベイバルグっ!!」
エミリアは震えながらそう言いはなった。そしてその声からは憤怒の感情もこもっていた。