大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦   作:はならむ

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Part.42 鬼神

一方、ラクリーマは相変わらず一人でドンパチやらかしていた。目の前に現れたクイストのコックピットの前に立ち。力ずくでハッチをバリバリ剥がし始め――。

 

「よう、ご機嫌ですかなァ?」

 

「ヒィィィィィっっ!!」

 

コックピットに侵入してパイロットとご対面。分厚い宇宙服とヘルメットを着用していてどんな顔をしているのか分からないが相手は混乱し、挙動不審となっている。

 

「挨拶してやんよ、ホレ」

 

……コックピット内は肉がグチャグチャに掻き回される生々しさ、骨がすりつぶされるような鈍い不協和音と共にパイロットの血液と思われる青い液体の海と化した。

それをまるで待ち望んでいたかのように歪んだ笑みを繰り出すラクリーマ。

 

かなりえげつない攻撃だが彼らしいやり方である。そのコックピットから飛び出し、通信機に手を当ててこう叫んだ。

 

「各機全員集合、フォーメーション攻撃を開始する!!」

 

『了解!!』

 

合図と共に、各機体は彼のいる方向へ一斉に集合。早急にスレイヴは全方向に向くように4機で輪を作り、腕部で組み合う。

その状態を一段、また一段と縦一列に重なり合っていく。

 

ツェディックはその最上、最下に移動し、こちらも全方向にむくように輪を形成していった。

 

「なっ……なんだこれは……」

 

その光景を目にした連邦のパイロット達は度肝を抜かれた。

アマリ―リスの機体が果てしなく縦一列に重なりあって……まるで巨大な塔を思わせるフォーメーションをとっていたのであった。そしてラクリーマはまるで彗星のように光の尾を引きながら最上部に到着、真上に立つとログハートの新型NP炉心と連結させたブラティストームを天に突き上げた。ビーム砲全てを展開し、四方に向けた。

 

これで準備が整った。その孕んだ狂気と熱さをもった笑みと共に!!

 

「行くぞ!!全機、全方位一斉発射ァァっ!!」

 

命令から1秒後にはこの宙域全土は蒼白光によって支配された。

 

全長数キロ以上はある縦一列、そして全方向に配置された全機体の全砲門、ログハートの炉心と連結したブラティストームの小型ビーム砲から放たれた光線がこの周辺の連邦ユニットへ無差別に襲いかかる。

 

「ウオォォォォオオ!!アアアアアアアアっっ!!」

 

感情が高ぶったラクリーマが叫びに叫ぶ。怒涛の勢い、そして……。

 

「……………」

 

ヴァルミリオンの中央デッキ内ではもはや言葉を発する者はいなく、誰もが唖然としている。奴らの戦法がやりたい放題過ぎて、こちらのペースが掻き回されているように見受けられた。

 

「くぅ……ユピテルス砲はまだか!」

 

「今95%です。もう少しでチャージ完了します!!」

 

「嫌な予感がする、その前に本作戦を実行しなければ……」

 

「提督?」

 

彼は感ずいていた。敵艦の主砲らしき攻撃がないし、まだ奴らは何か隠していると。その考えは的中していた。

 

「全機解散、また集団行動をとれ!!」

 

一斉攻撃が終わり、フォーメーションを解除。

あれだけの光線を無差別に放射したら、さすがに敵もただでは済んでいるワケがない。相当な被害を受けていた――。

 

 

そしてそこから約600キロメートル離れた位置に駐在していた部隊。大口径の大砲を携えているクイストが計1000機、その中央でクイストと異なるフォルムを有する機体。クイストと同サイズであるがそのマッシブな体格に頭に巨大な角、まるで日本のカブトムシを人型にしたようなフォルムだ。クイストの武装であるライフル銃を2丁、両腰にマウントされている。

 

『各機に告ぐ。これより第82光特科小隊は長距離砲撃を行う。直ちに砲撃体勢に移れ!!』

 

その機体に乗っているのはそう、クーリッジであった。

 

『クーリッジ専用中型戦闘ユニット『ルーベルジュ』。光学兵器だけを装備した光特科部隊を象徴する機体。可変機構を持つ』

 

その機体『ルーベルジュ』は突如、手足を折り畳み別形態へと変形。完成させたのはなんと巨大な口径、砲身を持った大砲『形態』であった。

 

『全機、一斉発射用意。目標、前方距離2000ギャロの敵部隊!』

 

砲口内から眩い程の緑色光の塊が集まり、今にも放たれようと砲門から出ようとしていた。

 

『撃てェ――っ!!』

 

合図と共にその機体群の砲兵器、そして変形したルーベルジュの『大砲』から、大多数の巨大な光弾が発射された凄まじい勢いで前方へ飛んでいく――。

そしてその射線上にいたスレイヴとツェディックの機体200機――。

 

『XX方位、距離2000ギャロから無数のエネルギー反応がこっちに向かってくる!?』

 

『全員今すぐ退避だ!!』

 

『速すぎる!!無理だ』

 

しかし彼らにはそんな余裕はなく、その『エネルギー反応』は一瞬でその場所に到達した。

 

……多数の機体を一撃で貫通し、光弾は弱まることなくそのまま遥か彼方へ伸びていった。

直撃を受けた多数の機体はコックピットや胴体に巨大な穴が発生し、戦闘不能、爆発した。

直撃こそしなかった機体も通り過ぎた多大なエネルギー弾の余波で内部の機械に異常が発生、混乱状態に陥っていた

――そしてルーベルジュ率いる光特科部隊はモニターでその敵部隊がほぼ戦闘不能に陥ったことを確認すると、休憩することなく次の砲撃に備えていた。

 

『よし、我々は次の砲撃準備だ。今の内に使用した砲の冷却及び、終わり次第エネルギーチャージを開始せよ!』

 

クーリッジは表情的に平常であったが。

 

(ちい、主砲はまだかよ……こちらもかなり被害をうけたってのに……このままじゃさらに増える。エミリア達だってまだ発進していないんだぞ、ヴァルミリオンは何をしているんだ?)

 

内心は穏やかではなかった。

 

◆ ◆ ◆

 

そしてついにラクリーマは満を喫してサイサリスに通信を取る。

 

「サイサリス!!いいぞ、リミッター解除だ!!」

 

『いいんだな本当に!』

 

「ああっ、これはもはや俺らのペースだ。さらに奴らを一網打尽にしてやらぁ!!」

 

『よし!なら頑張ってこい、行くぞ!!』

 

サイサリスは持っていた画面パネルを素早く動かして、真ん中を力強く拳を叩きつけた。

 

「リミッター解除!!行ってこいラクリーマァァ!!」

 

次の瞬間、ログハートの推進機である無数の突起物がグニャグニャに融けて全てが一つに融合、まるで光輪のような巨大なスラスターへ変形し膨大の蒼白いNPの粒子が吹き出して辺り一面を恒星の如く強烈に光を照らした。そして腕全体もさらに変化を遂げて巨大化、見た目もかなり生物的な物となり腕の内部の機械がさらに活性化した。

 

「行くぜ!!」

 

突然彼は消えた。そのままの意味でその場所から姿を消したのであった。一体彼はどこに……。

 

――ここから艦隊方向約280km離れた宙域にとどまっていた敵部隊。クイスト、ホルス、アルスタシア、ゼウシウスの混合部隊でその数は何と15000機。大隊クラスだと思われる。

 

『我々が何としてでもアマリーリスを、あの男を止めるんだ。全機、最大全速で突撃するぞ』

 

前方では仲間が圧されて今度は自分達の番であると感じ、移動開始の命令を待っていた。

だがその時、この部隊の中から複数の機体が爆発を起こし、全機が警戒態勢へ移るが、さらに何機、何十、何百機と一瞬で大破されていく。

 

『な、なんだ!?』

 

センサーには反応しない、姿が見えない。敵がいるとは思えないのに一秒一秒で機体が破壊されていくのだから、対処のしようがなかった。

 

「ん……!?これは!!」

 

この部隊の隊長がふとモニターを確認したら小さい何かが映っている。拡大すると……。

 

「ああっ!!いつの間にいたんだ!!全機、あの男がそこにいるぞ!!」

 

部隊全員がモニターを一斉に確認した。その部隊の中心部でラクリーマがいた。先ほどの右腕が完全に別物で異形の姿であった。

 

「全機、攻撃開始だ。なんとしてもここで食い止めよ!」

 

すぐにラクリーマへ狙い定めて攻撃を開始。周りを気にせず光線を彼一人だけに撃ち込んだ。

しかし、彼はまたその場から消えて多数は光線はすれ違って飛んでいき、その軌道上にいた機体に直撃する。

 

「なあ!?」

 

だがすぐ近くに姿を現し、右手刀を横に振り構えるーーその一秒後にはホルス、クイスト、ゼウシウスの計40機が数秒で胴体が縦と横に真っ二つとなり、右手の手刀を振り切っているラクリーマの姿が。

そこから彼はなんと遥か上方へ急発進し、普通の人間には……いや、あまりにもムチャクチャな機動力で宇宙を駆け巡り、隊員全員を目を奪った。

 

それはあの『UFO』を彷彿とさせる慣性の法則を無視した急制動、急旋回の幾科学的運動であった――。敵を翻弄、掻き回すが突然、ピタッと止まりログハートを後ろへグッと引き込んで殴り込む体勢へ持ち込んだその時、ログハートの内部に想像を絶するほどの膨大なエネルギーが集約され、

 

「ムオオっ!!」

 

右腕全体が紅く光った時全力で拳を部隊にいる方向を突きだした――。

 

 

《ズ ギ ャ オ オ ォ ォ ― ― ― !!!》

 

 

右拳から放たれた強大なエネルギーの衝撃波が前方全てを覆いつくす。

 

『ウワアアアッ!!』

 

10000機近くの大軍を直撃、一瞬で宇宙のチリに変えた。だがそれだけに留まらずさらに範囲を拡大し、射線上にある隕石、小惑星群全てを喰らい、無に還していく。そしてその先にあるのは左側に隣接していたグラナティキ級5番艦『オールドラディアン』、ヴァールダイト級4番艦『エスタルティア』。

 

「艦長、凄まじいエネルギーの波動がこちらに向かってきます!!質量は……『S』級!?」

 

「何だとォォーー!!艦内の総員を退避させよ!!」

 

「ま、間に合いませ……うぎゃああっ!!」

 

そのエネルギーの波動はついにグラナティキ級、ヴァールダイト級の2隻さえも覆い喰らいブリッジに直撃、全てを消し飛ばして艦内にいる何百万という数の乗務員が逃げることも出来ないどころか、それを察知すらしていない者もいたが、非情にも全部爆発に飲み込まれていく――。

 

装甲が原子レベルまで分解、艦自体が粉砕されて形がなくなっていき、そしてそのエネルギーと共に全てが消し飛ばされた――。

 

「グ……グラナティキ級5番艦、ヴァールダイト級4番艦……Y351方向、5500ギャロ方向から発生した強大なエネルギー波によって反応が消滅……しました……ランクS級のエネルギーを観測……」

 

その事実が矢のようにヴァルミリオン艦内に突き抜け、激震と絶望を与えさせた。

 

「いっ、今すぐそこのモニターを映せ!!」

 

焦り口調で命令、オペレーターも急いでモニター視点を変えた。そこにドヤ顔でガッツポーズを決めるラクリーマの姿があった。

 

「ああ……まさかあの男がぁ……」

 

見る者、知る者全てを震撼させた。しかしそれは連邦側であり、アマリ―リス側にしてみれば相当の吉報である

 

『おい、リーダーが戦闘艦2隻を破壊したとよ!!』

 

『なんて人だ!やっぱラクリーマさんには敵わねえや!』

 

グラナティキ級、ヴァールダイト級という日本列島サイズの超巨大な戦艦を、しかも2隻をたった一人の男によって、しかも一撃で消滅させられたという前人未到の事実が各組織に伝わった。

 

「う、嘘だろ……我らの誇る銀河連邦の戦艦がたった一人の人間に…………っ」

 

「わ、悪い夢でも見ているのか……………」

 

連邦からしてみればまさに絶望、アマリ―リスからしてみれば、希望であった。

 

『これ、もしかしたら突破どころか奴らに勝てるんじゃないか………?』

 

『あ、ああっ、いけるかもしれん!今のリーダーなら間違いなくランクS級艦すら撃沈できるかもな!』

 

『全員、リーダーに続けえ!!俺達の恐ろしさを奴らに刻みつけてやろうぜ!!』

 

《オ オ ッーー!!》

 

彼の士気は更に急上昇し、完全に圧制の波に乗った!

 

 

エクセレクターのオペレーションセンター内のモニターにはそのラクリーマの勇姿を追っており、のび太としずかは彼に寧ろ恐怖心さえ抱いていた。

 

「ラクリーマ……あんなに強いなんて……」

 

「宇宙にこんな人がいるなんて……なんて恐ろしいこと……」

 

近くにいたオペレーターの一人が二人の横に立ち、モニターを見上げながら腕を組んだ。

 

「二人とも、なんであの人がこのアマリ―リスのリーダーをしているか分かるか?」

 

という質問をし、二人を悩ませる。

 

「えっ……もの凄く強いからじゃないですか?」

 

「まあそれもあるな。だがな、ぶっちゃけそれぞれ個別の能力って面で言えばあの人より優れる奴は実は戦闘員の中でも結構いるぞ」

 

「えっ……なら生身で宇宙に出られることですか?」

 

「う~ん……それも間違っちゃいねえがな。それよりも大事なことがあるんだよ」

 

「大事なこと?」

 

「なっ……何ですか?」

 

モニターには暴れに暴れまくっているラクリーマの姿があった。

 

「あの人、自分で立てた作戦自体守らねえからな。とぉにかく一人で先陣に突っ込んで孤立するタイプだからよ。これはリーダーとして見れば完全に失格だよ。

だけどな、ラクリーマさんを見てて分かるんだよな、『負ける気がしねえ』てな」

 

確かに今はログハートを装着しているから強いからであって、装着していなければただのものすごく強い『人間』止まりである。

それで先ほどの宇宙戦闘に出ていれば間違いなく戦闘ユニットに握り潰されてしまうであろう。

 

それに敵を見つけるとすぐさま襲いかかる獣のような本能である。もし敵側に策士がいて、罠を仕掛けていたら絶対に引っ掛かるタイプであり、これは組織のボスとしてはあまりにも相応しくない。しかし彼にはそれを補えて余りあるのはまさにオペレーターの言ったことであった。

 

「銀河連邦という俺らより明らかに強い勢力を前にしても全く屈しない、臆しないその屈強な精神。圧倒的戦力差を力ずくでねじ伏せ覆すその勢い。だからどうにかなるってな。

あの人にはそういうモノを持ってる。俺ら頭の悪い奴らにとってのカリスマ的存在なんだよ」

 

「「…………」」

 

――もはや誰も彼を止めれる者はいなかった。目に見えた機体を片っ端から攻撃し、無惨に沈めている。しかし、彼の顔には人間性など全く感じられないほどに酷く歪んでいた。

 

「グアァァっ!!」

 

あの戦闘訓練に見せた凶暴さがさらに磨きを掛かったようである、阿修羅というか不動明王か。

これがラクリーマの真実の顔……即ち仮面を脱ぎ捨て本性を露にした『狂暴にして狂悪』であった。

 

 

《ケアァァーーーハハッハハハっっ!!!ギャアアアアアアッーー!!!》

 

 

叫ぶ、声が渇れるくらいに叫ぶ。食欲に餓えた野獣がさらに牙を向けて咆哮する。なんて本当に楽しそうだろうか……こんなラクリーマは戦闘員でさえみたことのない表情だーー。

 

「グウォォアアアーー!」

 

右手をグッと握り締めるとログハートの装甲が時計回りに高速回転、まさにドリルのようになるとラクリーマは急発進ーーその速度はなんと限りなく『亜光速』。そんなとんでもない速度で直進しながら進路上の敵機全てに次々に突撃、そして粉砕。

 

いきなりその場で急停止、更に拳を握り締めるとさらに腕が高速回転し『バチバチッ』とスパークがほどばしる。すると装甲からなにやら虹色を帯びた光を纏い始めーーそれが眩しいほどに輝くとそのまま別方向に向けて、

 

「吹き飛べェーーッッ!!」

 

なんと虹色の光を帯びた超巨大なエネルギーのトルネードが発射されて前方全てを呑み込んだーー。

 

『な、なんだこの竜巻はーーーー!!!』

 

『うぎゃアアアア!!!』

 

虹色のトルネードに呑み込まれた全ての機体は原子レベルで分解されていき消滅。それどころか通過した余波でさらに広範囲に渡ってエネルギーの衝撃波が拡散、トルネードの直撃を受けなかった機体も全て爆散。この攻撃で約40000機の連邦の機体が全て宇宙のチリと化したーー。

 

リミッターを解除して真の姿となってログハートは、シンクロシステムが彼の限界突破した気合いに呼応して出力を制限なく上がり続けてついにランクS級のエネルギーを身に纏い、限りなく亜光速に近い速度でUFOのような急制動、急発進、急旋回を繰り出しながらこの宙域を飛び回り、その拳を叩きつけて粉々にし、戦艦級のビーム、光子ミサイル、そして先ほどのエネルギー衝撃波、そしてトルネードで何もかも無に還していく。

 

 

それはもはや戦神を通り越して……『鬼神』であった。

 

 

そして開発エリアではセルグラードの調整を任せて必死で働く助手達を反対にただそのモニターを見て眺めたまま動かないサイサリスに痺れを切らした助手の一人が彼女の方へ向かった。

 

「サイサリスさん、少しはあなたも手伝ってくれませんか……ん?」

 

彼女は震えている。何か彼女の様子がおかしいことに気づき、もっと近づいてみると何か独り言を喋っていた。

 

「スゴい……これだよォ……あたしが求めてきたのは……。ラクリーマが持っている原始的な破壊、殺戮本能、身を凍りつかせるほどの孕んだ狂気……ああっ……見ただけでゾクゾクする……アソコがジュンジュンしてきたぜ……」

 

「うわあ…………」

 

見てはいけないものを見てしまった。アブない発言を繰り出しながら彼女は絶頂を迎えて完全に表情が昇天してしまっている。次第に右手の指を自分の股間に持っていき、偲ばせて『ジュクっ』と何やらイヤらしい音を立てている。

 

そして糸を引いた液のついた指を『ハァ、ハァ』と喘ぎに近い吐息し興奮しながらペロっとなめた――。。

それを目撃してしまった助手は寒気と同時に気持ち悪さを覚えてしまう。

 

『こ、こんな人なんだ……』

 

今、そう考えていた。

 

「ん?」

 

サイサリスは横にいる助手に気づくと、これでもかと言うくらい睨み付けて、

 

「オメエ、何サボってやがる!!一刻も早くセルグラードを調整しろゴラァアアア!!」

 

「ヒイイイイッ!!」

 

彼女はビビって逃げる彼を追いかけていく。一体こんなときに何をやっているのだろうか……。

 

そしてヴァルミリオン艦のエネルギーが最高潮に達した。

 

「エネルギーチャージ完了しました!!」

 

「……よし、直ちに主砲発射に移れ!!」

 

「了解!」

 

ヴァルミリオンのエネルギーチャージがついに完了。すぐさま主砲展開へ移行しはじめる。

艦首が上下に割れて、その内部から口径がエクセレクターのリバエス砲と同等の巨大な丸型の砲門が姿を顕した。

 

「目標、前方12000ギャロに位置するアマリーリス艦。射程範囲内にいる全部隊に退避命令!!」

 

「了解!『全部隊に命令する、これよりヴァルミリオンは主砲発射態勢へ移行する、射線及び影響範囲内にいる味方機は直ちに退避せよ、繰り出すーー』」

 

カーマインは耳に付けている通信機にスイッチを入れた。

 

「エミリア、聞こえるか!?」

 

『提督、はい!』

 

「これより主砲を発射する。お前たちも直ちに出撃準備にかかれ!」

 

『了解しました、直ちにイクスウェスの発進準備を!』

 

「頼んだぞ、全てがお前達にかかっている。健闘をいのる!」

 

彼女との通信を切る。息を飲んでモニターを静かに見守っていた。

 

(頼む、成功してくれ。もはや多大な被害を受けた私達の一番の賭けだ。エミリア、あの子達……頼んだぞ、そして友達を絶対に救ってやれ……)

 

彼、いや全隊員の望む考えは全て一致していた。これで戦況を覆してほしい、これで全てを終わらせるきっかけとなってくれればと。誰もがそう願っていた。

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