大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦   作:はならむ

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Part.46 破滅の閃光

◆ ◆ ◆

時間は遡り、開戦前。ラクリーマの要求を応じるか応じないか決断を迫られていた時のことである。

 

中央デッキでは、選択に迫られつつも疑問視されていることがあった。

 

「……これはどうもおかしい。彼らの友達があんなに元気だなんて……」

 

「しかも……表情を見る限り怯えているどころか恐怖のひとかけらさえ見受けられなかったようですが……」

 

 

怖がってなく、むしろあの表情は状況を全く理解していない様であった。そしてドラえもん達三人もそれについてコソコソ話をしている。

 

(ドラえもん、どう思う?)

 

(う~ん。エミリアさんの言うことが本当ならとても二人に何の危害が及んでいないとは考えられないけど……)

 

(あの男の話だと手を出していないっていってたよ。何か裏がありそうだね……)

 

一方、大人組も色々と考察している最中であった。

 

「もしかしたら……奴らはあの子達を殺す気ないんじゃ……」

 

「……ならなんでわざわざこちらに出向いてきたんだ。あの二人を人質として捕らえたんじゃないか?」

 

「そもそもアマリ―リスは何のためにここにきたのかが分からん。地球侵略などと予測したがそれはあくまで我々の予想の範囲だ。それに奴らも我々の存在を感知していただろう。なのになぜ危険を冒してまで……?」

 

「……ますますワケ分からない」

 

……憶測ばかりが飛び交うデッキ内。確かにこれは不自然で不気味である。

 

「全員、静まれ!」

 

またもやカーマインの一声で一蹴された。

 

「我々はそんなあてのない考察を追求する暇などない。考えることはアマリ―リスの要求を飲むか飲まないかだ」

 

またもや全員が沈黙する。判断が難しいトコだ。

 

『カーマイン殿、いかがなさいましたか?』

 

通信を通して別艦の艦長たちまでが現れる。彼らにその先ほどのやり取りを詳しく説明した。

 

『……奴らも考えましたな。人質を使うとは……』

 

『しかし最終的には決めなければならない。私自身はその地球人の子供達を見殺しにしたくない……』

 

『だが、奴らをみすみす見逃せばそれこそ大変なことになるぞ!』

 

他の艦長もここにいる隊員達と同じ意見を述べている。

 

「皆さん、落ち着いてください。時間があるわけですから全員で最良の選択を考えましょう」

 

……そんな中、意外にもスネ夫がこんなことを言い出した。

 

「……カーマイン提督、ふと思ったことがあるんですが……」

 

「……スネ夫君?どうしたのかね?」

 

「もしかしたらなんですが……あの悪の組織を捕まえることになるんだったら、のび太達はすぐ殺されると思いますか……?」

 

その意味深しげな発言に全員がスネ夫に注目した。

 

「どっ……どういうことかね?」

 

「つまりその……そうなったら奴らは焦って殺すどころじゃなくなるんじゃないかなぁ……って思いました。捕まりたくないって言ってたから……」

 

根拠のない発言である。ほとんどが『そんなこと、あるわけが……』と思いかけていた時、

 

「……いや、彼の言うとおりかもしれませんよ提督」

 

一人の女性隊員が彼に賛同する。ウサギのような長い耳が目立ち、赤い短髪のボーイッシュ。その赤い瞳からは鋭い眼光を放っている。

 

……彼女は本艦所属の第26実特科(実弾の砲兵器のみを扱う、光特科部隊と対をなす部隊)中隊長、メレウル少佐である。

 

「アマリーリスは我々、銀河連邦を恐れている。今まで遭遇しなかったのも我々と対峙したくなかったため……と私は思います。そしてついに対面してしまい、奴らも内心焦っていることでしょう」

 

彼女はさらに腕組をして、まるでほくそ笑むような表情をとった。

 

「だとすれば、彼らのその友達の殺害は後回しにして、我々の対処に最優先する可能性も十分考えられます。最も、仮の話ですが。まあ下手をすれば奴らの要求を拒否した瞬間、即抹殺されるかもしれませんがね……フフッ」

 

その場の全員が唖然となる。ドラえもん達がいるにも関わらず、不安めいた発言を繰り出す。現に本人達も落胆とも受け取れる複雑な表情をしていた。

 

「メレウル少佐、やめないか。この子達も聞いておるのだぞ!」

 

カーマインの注意に耳を貸さず、さらに話を続ける。

 

「私は要求を飲まない方に賛成です。情を優先して奴らを逃してしまっては元も子もありません。 ですが、賭けてみる価値はあります。最悪、アマリーリスを逮捕すればこちらの勝利ですから」

 

……まさに軍人の思考だ。

 

「助け出すのならまさに時間が勝負。作戦である通り、エミリア大尉、ミルフィ中尉、そしてこの子達がアマリーリス艦に突入成功し、いかに早く友達を発見できるかにかかってきます。そのために彼女らの突破口を開くために我々も精力せな、いけませんが」

 

彼女の意見は聞く者ほとんどを同感させた。

 

「ドラえもん、どうする?」

 

「確かにこの人の言うとおりかもしれない。奴らがスンナリのび太君達を返してくれるとは思えないし、戦闘になればどの道時間勝負になると思うから」

 

……次々に彼女を賛同する声が聞こえてくる。カーマインは回りの様子を確認し、うんと頷いた。

 

「……なら全員に聞く。アマリ―リスの要求を受け入れないことに賛成の者は賛同の拍手を叩いてくれ」

 

何百との手を叩く音が響き渡った。そしてカーマインは心を据えて、深く頷いた。

 

「よし。我々は奴らの要求に応じない選択で決定する。なお、戦闘への移行が必須であると思われる。あの男がまた現れる前に各部隊の隊長は各部下に連絡、準備をさせよ!!」

 

「了解!」

 

すぐに彼の命令に取りかかる各部隊長。エミリア達も作戦について何やら話をしている。

 

「私達は作戦開始次第、すぐに各装備品を携行した後、すぐにイクスウェスの格納庫に移動。指示があるまで待機よ」

 

「ドラえもん、今の内に『テキオー灯』をかけておこうよ」

 

「そうだね、忘れない内にと……」

 

ポケットから『テキオー灯』を取り出して、まずジャイアンとスネ夫にその光を浴びせ、次に自分に向けて光を浴びる。

 

「次にエミリアさんとミルフィちゃん、今からテキオー灯を浴びせます」

 

ドラえもんはそれを二人に向けるがエミリアは少しビクビクしてように見える。

 

「エミリアさん、大丈夫ですか……?」

 

「え、ええ、早くして!」

 

考えたら彼女は光に弱い、本能的に恐れるの当たり前か。

テキオー灯を放射し、明るい光が彼女らを包む。そして彼自身も光を浴びて、テキオー灯をポケットにしまった。

 

「エミリア!」

 

突然、あのメレウルから声をかけられ5人は彼女へ顔を向けた。

 

「メレウル少佐?」

 

「おや、いつもみたいに班長って呼ばないのか?」

 

「いや……今は任務中ですから……」

 

エミリアは少しタジタジしている。

――メレウルは艦内において彼女ら女性隊員の内務全般をまとめる班長も務めている。

 

「お前、この作戦がとても重要と自覚しているか?」

 

「はい……」

 

「班長として私はお前に選ばれて光栄に思っている。決して奴らに臆したら敗けだぞ、今から十分気合いを入れてけ、いいな!!」

 

「はい!」

 

「あとミルフィ、この子達含めて全員が要領よく行動できるように導くのはお前の仕事だ。集中してサポートしな!」

 

「了解です!!」

 

そんな彼女は突然エミリアの両頬を優しく掴み、顔を近づけ……。

 

「「「う……うわわあっ!!」」」

 

思わず、ドラえもん達は驚愕と羞恥の混ざった表情と、頬を赤くし、大きな声を上げた。

二人は女性同士であるにも関わらず、熱い口づけを交わしていたのだから……しかもねっとりと深く。

 

「むむっ!!」

 

エミリアは顔を真っ赤にしてジタバタし、ミルフィもその光景が恥ずかしいのか顔を真下に伏せている。

 

「エミリア、絶対に死ぬなよ。あたしはお前のことが『好き』なんだからな。お前がいなくなっちゃ寂しくて死んでしまうよ」

 

「…………」

 

「なんてな。なら私は行く。みんな準備を怠るなよ!」

 

そういうとメレウルは歩きながら去っていった。当然、5人は呆気に取られている。ただ言えることはドラえもんとジャイアン、スネ夫からすればとても刺激的な光景であった。

 

「な……なんだあの人は……」

 

「初めて見た……きっ……キスするとこなんて……しかも女の人同士が……」

 

一方、口づけをされた本人も我を振り返り顔をブンブン横に振った。

 

「……班長……考えたらあんな人だった……キャーーっ!!」

 

顔を頬を両手で押さえて恥ずかしそうに絶叫する。

 

「なあミルフィ……あの人って一体……」

 

ジャイアンの問いに彼女は恥ずかしそうにこう答えた。

 

「……メレウル少佐はね、ちょっと変わった趣味を持ってるの……」

 

……いわゆる彼女はレズビアンだ。特にエミリアを気に入ってるらしく、いつか二人で……と常に狙われていたりするのであった。

 

◆ ◆ ◆

 

――そして、エミリア達が発進する少し前。連邦艦隊から前方100キロメートル離れた宙域で駐留していた多数の機体。

 

中央に専用機と思われる戦闘ユニットの姿が――サイズは大型クラス、マッシブな体躯に両肩、両手首、両腰部に長方形のコンテナが装備されている。一見、ゼウシウスのようにも見えるが、どちらも砲門から丸い弾頭らしき物が見える……ミサイルだ。その左右全体に上下と前、後列に分かれたクイストが自機以上の全長、そして超口径という巨大な砲台を操作している。

 

その数なんと……6000機で砲台も合わせると12000機も及ぶ無数の機体が遥か前方宙域に目を見据えていた。

 

「前列、後列の順に後方支援攻撃を開始する。全機、前方XXYY方向、4500ギャロ、高度158に砲台を調整!!メイガニウム榴弾発射用意!!」

 

その大型戦闘ユニットから命令を下すはあのメレウル少佐であった。

 

――ここは銀河連邦艦隊、最終防衛ライン。第26実特科攻撃中隊が務める最後の砦であった。そして彼女の乗る機体、『エルファイスマンガリー』は上方へ移動、左右の肩から突き出た巨大なミサイルコンテナを同じ方向へ向け、ミサイル弾頭が前に浮き出てくる。

 

「今中隊はこれよりメイガニウム榴弾、グラストラ核広範囲殲滅ミサイルの順に発射する!!前方部隊は後退し敵を引き付けよ、そして発射同時に退避だ!!」

 

特殊なインカムを通じて一斉に通信、指定された前方の宙域にいる連邦ユニット達は再び一斉後退を始めた。

 

『また奴ら下がりはめたぞ!?』

 

『構わねえ!!今がチャンスだ!!』

 

逃がすまいと戦闘員達も追いかける。

連邦は後退しながら攻撃してくる。彼らは掻い潜り、どうにかして奴らに接近しようと必死だ。

 

 

……しかし、気づいていなかった。これが作戦であることを……それに気付いたのはエクセレクターのオペレーターであった。

 

『全機、今すぐ緊急退避!!奴らの後方には約3000機以上の巨大砲台がこちらを狙ってるぞ!』

 

『なにぃ!!?』

 

瞬間、スレイヴの動きはピタッと止まった。しかし、気づくのは遅かった。

 

「前列砲台、メイガニウム榴弾発射!!」

 

彼女の掛け声と共に角度調整されたその砲台からその数、発の巨大弾丸が目にも見えぬ速度で一斉に発射され、グングン彼らの宙域に向かっていった。

 

その瞬間、連邦ユニットも全力で離脱し戦闘員達だけが取り残され―――逃げる隙もなかった。その超高速で飛来したソレは彼の肉眼で捕らえきれなかったのである。

 

そして直撃。機体の大部分を削るほどに貫通または弾頭が破裂。内部にある特殊な液体火薬が爆発した衝撃で、外の包む装甲が無数の破片となって拡散。

 

『榴弾か!!』

 

周囲にいるスレイヴに容赦なく突き刺さった。しかし、これで終わりではなく後列の砲台も砲撃準備を整えて、待機していた。

 

『後列砲台、一斉発射!!』

 

メレウルの装置している特殊なゴーグルは遥かに前の敵機を完全に捕らえていた。

 

――二度目の砲撃。数十秒後に再び、彼らにその弾丸が休む間もなく襲いかかる。しかし今度は彼女の駆る機体の両肩のミサイルが起動していた。

 

『グラストラ核広範囲殲滅ミサイルを発射する。爆発範囲にいる機体は迅速で退避せよ!』

 

その二基の細長いミサイルはついに発射された。弾道速度はそこまで速くなく、一定速度で前方へ進んでいく。

 

一方、直撃した機体に大穴が空き、ズタズタに装甲を突き破る。そして破裂した金属の破片も深々と突き刺さり、次々に機体の不調、戦闘不能へ陥らせた。

 

『マズイ、奴らの策にハマったか!!』

 

『一旦、退避しよう』

 

動ける機体は動けないが無事の仲間を助けて撤退しようとするが、ここに一本の通信が。

 

『各機要注意。今度はミサイルがこちらへ接近中!!』

 

『ミサイルだと?』

 

モニターを拡大すると確かにこちらに向かってくる二つの何かを捕らえていた。

 

『榴弾よりは遅くてまるわかりじゃねえか。撃ち落としてくれる!!』

 

一機のスレイヴが両手をその『ミサイル』へ砲口を向け、狙いを定めて発射。しかしその瞬間、またオペレーターから通信が……。

 

『撃つな!!それは――』

 

『なに!?』

 

時すでに遅し、二本の光線はミサイルに見事に直撃したその時、惨劇がおきた。ミサイルからこの宙域全てを覆うほどの白銀の光が発生、そして瞬間、超高熱、超衝撃波が広範囲に渡って一気に襲った。

 

『ぐわああああっ――――!!!』

 

逃げるどころか、何もすることすらできず全てを光の中に飲み込み、跡形もなく焼きつくし、粉々に――。

それはまるで地球におけるあの最悪の兵器“核兵器”のようであった。その光景を見ていたオペレーターセンター内の全員は驚愕と唖然、そして息を飲んだ。

 

「そっ……その宙域にいた1850人の戦闘員の生体反応……一瞬で消えました……。」

 

「……その宙域周辺から高濃度の放射線を検出。連邦の戦略核兵器攻撃と思われます……」

 

彼らからすれば絶望的な報告である。

 

「キャアアアアッ!!」

 

「しずかちゃん!?」

 

しずかはその光によって真っ白に映るモニターを見て、悲鳴を上げていた。

 

「ひっ、ひどい……どうしてこんな……ううっ……」

 

悲しみにくれているしずかにジュネは手を差しのべた。

 

「やっぱり、あんたたちはあたいたちとは住む世界が違い過ぎるんだよ……」

 

「…………」

 

のび太はラクリーマの言っていたあの言葉がふと脳裏に浮ぶ。

 

 

『お前らと俺らは根本的に考えは違う、相容れない存在だ』

 

 

その意味が分かったような気がした――。

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