大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦   作:はならむ

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Part.6 宇宙へ

――時と場所は遡り、数時間前の地球では。

 

「あっアマリーリスだって……?」

 

「のっのび太達はそんなヤバい連中の所にいるのか!?」

 

エミリアとミルフィから全てを聞いた。アマリーリスのことも、そのラクリーマのことも。

ドラえもん達は驚きと恐怖で開いた口が塞がらない。

エミリアは眉間にシワを寄せて、震えるような声でこう言った。

 

「あなた達の友達がアマリーリスにいるなんて本当に危険すぎるわ。もしかしたら殺されるかもしれない……っ」

 

「なんだってえ!?」

 

それを聞いた三人はびっくりして飛び上がる。

 

 

「ドラえもん、お前のせいだぞ!のび太達に何かあったらどうすんだよ!?」

 

「ジャイアン達こそ、どこでもドアをあんな乱暴に扱うからだっ!!どうしてくれんのぉ!!」

 

ジャイアンはドラえもんの首輪に掴み、二人は激しくもめあう。

 

「二人ともやめなよ、それよりどうしたら二人を助けられるか考えなきゃあ!」

 

「「元はと言えばスネ夫のせいだろ!!」」

 

「ひいっ!?」

 

仲介するつもりが逆に責められてしまうスネ夫。一方、エミリアは自分の宇宙船の方へ向き、ミルフィにこう言った。

 

「ミルフィ、ヴァルミリオンに戻るわよ!奴らを発見したと報告しなきゃっ!」

 

するとミルフィは困った顔をして顔を横に振った。

 

「ちょっ……ちょっと待ってヨ、よく考えたらあたしたち『アレ』にひっかかってないかしらっ?帰還してもしバレたりでもしたら……っ」

 

「……今はそれどころじゃないっ!さっきのタイムテレビってモノを見た限りアマリーリスは近くにいるっ!これほどチャンスの時はないわ!」

 

「そもそも偵察機があんな姿になってちゃんと起動するの?直せるの?でないとあたしら帰還できないよ!?」

 

「あ……」

 

それを聞いて、やるせなくなりその場でへたりこむエミリア。

 

「ああっ……せめて地球に専用ドッグ、いやメカニックマンがいればなぁ……救難信号を出せば必ず来てくれるけど……完全に違犯で裁判かけられるなぁ……そうなったらあたしたち……っ」

 

絶望に明け暮れるエミリアとミルフィ。それを見かねたのか、ついさっき揉め事から立ち直ったドラえもん達はエミリアの傍に向かう。そしてドラえもんはあの偵察機を見て、何か決意したのコクッと頷いた。

 

「よし、あの宇宙船を直そう!!」

 

それを聞いたエミリア達は顔を上げ、ドラえもんに注目した。

 

「えっ……?直せるの……っ?」

 

「いっいくらなんでもムリだヨ!!」

 

二人は諦めじみた発言をするがドラえもんはニコッて笑ってポケットに手を入れた。

 

「まあまあっ、見ててください。まずは……あの宇宙船を引き揚げなきゃ……『かるがる手袋』!」

 

ドラえもんはポケットから青い手袋を計3双取り出すとそれをスネ夫とジャイアンに渡した。

 

「二人とも手伝って。まずはあれを地中から引き揚げるんだ!」

 

二人はコクッと頷く。さらにドラえもんから『タケコプター』を渡されると下からドラえもん、ジャイアン、スネ夫の順で宇宙船の胴体に配置した。

 

「いくよっ!僕の合図で一気に上げるんだ、せ~のっ!」

 

ドラえもんの掛け声と共に三人は一気に力を入れた。

なんということか。土が盛り上がり、地中に隠していた残りの胴体が現れてくる。スネ夫達はその手袋の凄さに驚き、興奮していた。

 

「こりゃあスゴいや~っ!!」

 

「こんなデカイ物がまるで空の段ボールみたいに軽いぜっ!」

 

一方、その作業を見ていたエミリアとミルフィも『驚愕』という表情を隠せなかった。

 

「な……なんてことっ……あんな巨大なモノがいとも簡単に……」

 

「みっ未来の道具はスゴいなぁ……あたしも何か欲しいカモっ……」

 

流石に宇宙規模を誇る銀河連邦もこんな摩訶不思議の道具は本隊にないどころか見たこともなかった。エミリア達が驚くのも無理がなかった。

 

「ストップストップ、今度は胴体をまっすぐ横にして地面に着陸させるよ!」

 

やっとコックピットのある前部が現れた。泥まみれになっている以外はへこみなど、気になる傷はない。

 

少しずつ、少しずつ下へおろし、ついに宇宙船と思われるモノの全体が姿を見せた。

 

「すっすげえっ!こんなデザイン見たことないぜ!」

 

「ぼっ……僕にも操縦できるかなぁ……っ」

 

二人が初めて見る宇宙船に眼を輝かせてはしゃぎ回っている中、ドラえもんはエミリアの方へ向かう。

 

「エミリアさんっ、故障した部位はどこですか?」

 

「ミルフィ、案内してあげて」

 

「アイアイサー、あたしがそこに案内するわ、ついてきて♪」

 

エミリアの指示を受け、ミルフィがウサギのようにピョンピョン跳ねながらドラえもんを損傷部位に誘導する。

 

全長、幅は主翼、尾翼含め、のび太の家二階以上はある大きさだ。こんなものがここに不時着して、よく爆発を起こさなかったものだ。

 

ドラえもんはそう思いながらミルフィについていくて、彼女は後部にある推進スラスターの場所に止まった。

 

「あちゃあっ……これはひどいわぁ……っ」

 

二人はその変わり果てた姿に唖然とした。左右ある内の片方はちゃんとした形を保っていたが、もう片方はそれは何か巨大な物体にぶつかったのか金属が深くへこみ、引きちぎられてボロボロに朽ち果てていて、スラスターとは全く言えない醜い物と化していた。

 

「……隕石の衝突でスラスターがやられて、ついでにエンジンにも支障があったから、アナタ達でも流石に直せるかどうか……」

 

しかしドラえもんはまるで直せると確信しているのか、笑顔でまたポケットに手を探り当てた。

 

「『復原光線』、ミルフィちゃん、見ててよぉ」

 

「?」

 

なにやら懐中電灯に模した物を取り出し、その壊れた部位に向ける。ボタンを押すとレンズから蒼白の淡い光が損傷部を被いはじめる。すると、

 

「ひゃああっ!!スゴいスゴいヨぉ!!」

 

なんということだろう。あのボロボロになっていたスラスターが段々、削れてなくなったミクロ単位の金属部分が増殖し始め、そして連結、へこみも汚れもなくなり間もなく隕石に衝突する前の……いわゆる壊れる前の状態に戻ったのだった。

 

「うひゃあああっ、エミリア、見てみて!!」

 

ミルフィは馬鹿にはしゃぎながらエミリアの元へ去っていった。その声にエミリアも駆けつけて、その直った姿を見に行くと。

 

「スゴい……スゴすぎるっ……」

 

エミリアももはや、いい意味で呆れかえっていた。二人はすぐに入り口に移動する。エミリアは扉に手を当てると、まるで金属がまるで流れる滝になったのようにサラッと液体と化し、下へ流れて内部の道が開かれた。

 

「入り口がこうなってたんだ、スゴいやぁ!」

 

「ドラえもん、やっぱりあれは宇宙船なのか?」

 

「……うん。しかもとんでもなく進んだ文明の産物だよ」

 

いかに未来からきたドラえもんにしてもその技術の前に驚かざるおえなかった。

 

一方、エミリア達はコックピットでボタンやレバーを押して動かしていた。

反応はしているが、全く起動をしようとしない。モニターで損傷部位を見ると後部の中央付近に赤い光が点滅している。

 

「やっぱり、エンジンがイカれてる……」

 

「ドラちゃんに直してもらおうヨ!」

 

いいタイミングで三人もコックピットに入ってきた。

 

「マンガで見たのと同じだぁ……」

 

「地球には見たことのない機械でいっぱい……」

 

「エミリアさんどうしたんですか?」

 

二人は何か頼みごとをしたそうな顔でドラえもんを見つめている。それを強烈に感じ、苦笑いする。

 

「ドラえもんさん、お願いがあります。あなたの不思議な道具でエンジンを直してほしいのっ!」

 

「どうか……お願いできないでしょうか?」

 

ドラえもんは顔を赤くして丸い頭を撫でた。

 

「わっ……わかりました、そこに案内してください。スネ夫達はここで待ってて」

 

そうゆうとドラえもんとエミリア達はそのエンジンルームへ向かった。

 

細い通路、装置がたくさん詰まった部屋の奥に設置してあるエンジンに明かり一つも見当たらない。傷は見たところなさそうだ。

 

「多分、中の動力炉が破損したんだと思うわ」

 

それを聞いたドラえもんは何かひらめいたかのように手を叩いた。

 

「待てよ、前に確かこんな出来事あったような……確かこれは……『タイムふろしき』!!」

 

「なっなにこれ?」

 

ドラえもんはポケットから時計の絵が描かれたふろしきを取り出し、エンジンにかぶせた。

 

「これをかけたモノは時間を遡ることができるんです。だから壊れる前の時間に遡れば……」

 

ドラえもんが分かりやすく二人に説明する。すると描かれた時計の針がグルグル回り始め、「ギュオオオオっ!」と起動音と共にエンジンが動き出し、周りの証明とランプがライトアップ。それを見た二人は満面な笑顔になった。

 

「やったわっ!これでこの子を動かせるわ!」

 

「よかった、よかったヨっ!!」

 

無事に宇宙船が直り、エミリアとミルフィは三人に深くお辞儀をして感謝を述べた。

 

「どうも本当にありがとうございました。これであたし達は帰ることができます」

 

「アナタ達、地球人は本当に素晴らしいヨ。なんとお礼を言ったらよいか……」

 

その言葉に三人はデレデレして頭をかいている。特にエミリアみたいな美しい女性にお礼を言われて嬉しくないワケがなかった。

 

「いやぁ~それほどでも!」

 

「てっ照れるなぁ!!」

 

するとエミリアは何か思いついたように手を叩いた。

 

「そうだ、あなた達に何かお礼をしなくちゃね」

 

「そうだヨね、命の恩人だもの!」

 

それを聞いたドラえもん達は三人で顔を見合ってコクっと頷いた。そう、三人の考えは一致していた。三人はゆっくり深呼吸して声を合わせてこう言った。

 

「「「エミリアさん達と共にのび太達を助けに行きたいですっ!!」」」

 

「「!?」」

 

笑顔だったエミリア達の表情は一転して顔がいっそう険しくなった。

 

「……ダメよ。アマリーリスに挑むつもり?危険すぎるわ!」

 

「……」

 

それを聞いた三人、とりわけスネ夫とジャイアンは納得できるハズがなかった。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ!?さっきお礼をするって言ってたじゃないかよ!」

 

「そうだそうだ!!」

 

文句を言うジャイアンとスネ夫にエミリアは、

 

「ふ、ふざけないで!!あなた達にアマリーリスは何なのか教えなかったかしら……?奴らは……人を殺す、強奪などの暴虐に何のためらいも持たない極悪人の集団なのよ!

あたし達、銀河連邦でも手こずってる相手なのにあなた達に何ができるっていうの!?」

 

それ聞いたドラえもんも負けじと反論する。

 

「僕たちはのび太君としずかちゃんを助けたいんだ。僕の持ってるひみつ道具は使えるものを全部持っていく!絶対あなた達の役にたつはずだ!」

 

エミリアは黙り込む。確かにこの偵察機をいとも簡単に直したドラえもんの道具は目に見張るものがある。これらを上手く活用すればもしかしたらアマリーリスを……。

しかしエミリア達は警察官であり軍人、ドラえもん達、特にジャイアンとスネ夫の二人は地球という保護区域惑星の一般人で子供。

そんなワケで一般人を巻き込むのは銀河連邦にとってはもってのほかであった。

 

「気持ちは非常にありがたいケド……あなた達地球人はあたし達銀河連邦に保護される立場なの。しかも、あなた達に助けてもらったからにはあなた達をなおさら危険な目に遭わせたくない……」

 

するとジャイアンが前に出て、エミリア達の目の前で頭を深く下げた。

 

「お願いだっ!二人は……二人は友達なんだっ!友達が危険な目に遭ってるってのに自分達は何もできないなんて俺は嫌だっ!!」

 

さすがジャイアン、友達のこととなると今までの乱暴者と違って友情を大切にする頼もしい少年だ。それに感化されて二人もその場で深く頭を下げる。

 

「お願いします!!どうかっ、僕たちもお供させて下さい!!」

 

「のび太君達を助けるためならあなた達の役に立てるように必死に頑張ります。どうか!!」

 

明らかに半端な気持ちで言っていない、その気迫に圧倒されるエミリア達。

 

「えっ……エミリア……どうする?」

 

エミリアは腕を組んで目を瞑る。数十秒間悩んだ末、エミリアは三人の前に立って手を差し伸べた。

 

「あなた達の根気に負けたわ。あなた達がそこまで友達を助けたいならわかった。ついてきなさい!」

 

「エミリア……っ!」

 

それを聞いた三人は顔を上げて満面な笑みをして飛び上がった。

 

「「「やったあああっ!!」」」

 

するとエミリアはまた腕組みをして三人に対して真剣な表情をした。

 

「しっかり聞いてね、これは遊びじゃない。生死をかけた救出だってことを忘れないでね?しかもあなた達のその友達は最悪の場合、もう殺されているかもしれないわ。その時は覚悟なさい?」

 

真面目な話に三人の顔は真剣な表情と化し、コクっと頷いた。

 

「母ちゃんのところに行ってちょっと旅行に行くって言ってくる!」

 

「あっ僕も!!」

 

「そうだね。エミリアさん、僕たちはちょっと親に数日離れるって言ってきます。待ってて下さい」

 

そう言うと三人は山から降りて行った。それをただ無言で見つめるエミリアとミルフィ。

 

「エミリアっ……本当にいいの?」

 

「ふふっ……あの子達、その友達はよほど大事なのね。大丈夫、全責任はあたしがとるわ」

 

「けど……提督やみんながなんて言うか……」

 

「……何とか説得してみせる、だから心配しないで」

 

そして、裏山の頂上に集結する三人。様々な思いを込めて、エミリアの宇宙船に乗り込む。

 

「ちゃんとベルトで固定して。一気に宇宙に飛び出すわよ!!ミルフィ、エネルギーゲージ、各機能を確認!!」

 

「アイアイサーっ、各機能オールグリーン!いつでもいけるヨ!」

 

エミリアが操縦幹をぐっと引くと同時に宇宙船も瞬間に飛翔。向きは大空に向かって進路をとった。

 

「最大出力でいくわよっ!歯をくいしばっててね!」

 

ペダルを踏み、左出前のレバーを一気に前に押し込んだ。

 

 

「「「ムギィィァっっ!!」」」

 

急発進と共に超高速のスピードでぐんぐん上昇する。しかしコックピット内では、エミリアとミルフィの二人を除いた三人の顔は酷く歪んでいた。それを見て、エミリアとミルフィは「ついやりすぎた」と苦笑い。

 

「アナタ達には少々キツかったかしら……」

 

「……ちょっとやり過ぎたわね……っ、少しスピードを落としましょっ」

 

少しスピードを緩める頃には、もう地上がかなり小さくなり、日本列島全体が見えていた。

 

「うわぁあっ……もう地球の丸い部分が見えてるぜっ!」

 

「ある意味最高の旅行かも♪」

 

「まったく……緊張感ないんだからもう……」

 

成層圏を飛び出し、エミリアは全員にこう言った。

 

「今からワープで一気に銀河系の外まで出るわよ!数十分間ワープホール空間の中を超高速で通るから酔うかもしれないけど何とか頑張ってね!」

 

「「「はいっ!!」」」

 

三人は身を引き締めベルトを握り締めた。

 

「ミルフィ、NP(ニュープラトン)エネルギーを収束して目標の座標にワープホールを形成して!」

 

ミルフィは前にある端末機を高速で打ち始める。可愛らしい姿とは裏腹に恐ろしい速打ちだ。さすがは銀河連邦所属の隊員である。

宇宙船の前方にまるで渦巻きのような超空間の穴、ワープホールが発生した。

 

「行くわよ!!」

 

エミリアの掛け声と共に宇宙船はワープホールへと突入していった。その瞬間、ワープホールはすぐに消えてなくなった。

 

……今頃、のび太達は酷い目にあっていると思い込んでいる三人。真相を知らずに果たしてドラえもん達はのび太達と合流することができるのだろうか……?

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