最後の残虐   作:ぴえろー

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最後の残虐第3話です。ブロッケンマンが生きていたという事実に動揺を隠せない正義超人たち。その事実を確かめるべく調査に乗り出す一方で「彼ら」もまた動き出そうとしていた。果たしてブロッケンは父親とどのような形で再開するのだろうか?


第三話「明と暗」

~キン肉マンの家~

 

「おいブロッケン、いったいどういことなんじゃ!ぜんぜん犯人なんていなかったじゃんか!」

 

キン肉マンは怒りながらブロッケンに言った。

 

キン肉マン達はあの後、結局ブロッケンマンを見つけられず、いったん田園調布にあるキン肉マンの家に集合していた。

 

「す…すまん」

 

ブロッケンは落ち込んでいるようだった。

 

「まあまあ、ブロッケンもわざとじゃないんだし、いいじゃないか」

 

テリーマンはキン肉マンを諫めた。

 

「だが…なぜあそこに犯人がいると思ったんだ?」テリーが聞く。

 

「…傷口だ]

 

ブロッケンは噛みしめながらそう答えた。

 

「えっ?」

 

「俺…さっきバッファローマンの包帯を外していたんだ、その時に…」

 

「その時に、親父とそっくりの技を使ったと思われる、傷跡があったんだ…」

 

ブロッケンはうなだれながら以前、謎の男がラーメンマンを襲った場所に言った理由を説明した。

 

当てが外れた、というのもあってかブロッケンの表情は暗い。

 

「そうか…それでお前は…」

 

「ブロッケンマンの偽物があのスタジアムにいると思って、私たちをそこへと誘導したんじゃな」

 

「ああ…そうだ」

 

ブロッケンはうなだれるようにそう言った。

 

「そうか…怒鳴ってすまんかった、ブロッケン」

 

キン肉マンは怒鳴ったことを詫びた。

 

それに答えるように、ブロッケンも軽く頭を下げた。

 

「それにしても、ひどいことをするものだな、実の親になりすますとは」

 

ロビンは自分の腕を組み直した。

 

「ああ、度が過ぎる冗談だぜ…!親父を、まるで生きているように見せかけやがって…!」

 

「見つけたら必ず、俺が始末してやるッ…!」

 

ブロッケンはわなわなと震えていた。

 

 

「…まてブロッケン」

 

ラーメンマンは静かに、ブロッケンを静止した。

 

「お前がさっき言ったこと、それは冗談ではないようだぞ」

 

「えっ?」

 

「ブロッケンマン、もといお前の親父は…生きている」

 

「なにっ!?」一同はどよめいた。

 

「おいラーメンマン!それは本当なのか!?」

 

ブロッケンJrは、のどが裂けんばかりと大声を張り上げて彼に問う。

 

「ああ…確かにその男は言っていた」

 

「"ブロッケンマン"は生きている、と」

 

ラーメンマンは冷静に答える。

 

「その男?」

 

どういうことだとウォーズマンは首をかしげる。

 

「さっきスタジアムに行ったときに、偶然出会ったんだ」

 

「そいつは、ブロッケンマンに最も近い男らしい…」

 

「そいつが、「生きている」と言っていたんだ」

 

「誰なんじゃ?その…最も近い男というのは」

 

「…私にもわからない、出会ったときは、暗闇で見えなかったものでな」

 

「そうか…なら仕方ないのう」

 

「でも、親父が…まさか…」

 

ブロッケンは信じられないといった表情で、ラーメンマンのほうを見る。

 

「しかし、にわかには信じがたい話だ」

 

ロビンはもう一度、腕を組み直しながら言う。

 

どうにも落ち着かない様子である。

 

「死んだ超人が、そうやすやすと生き返るものなのか?」

 

ロビンはキン肉マンに対して質問した。

 

「…そうじゃのう、死んだ超人が生き返るのは、しょっちゅう起こることではないからのう」

 

 

「フェイスフラッシュの影響を受けたんじゃないか?」テリーが返す。

 

「いや、あの時生き返らせることができたのは、王位争奪戦でやられた奴らだけだ」

 

「第一、私の能力はあくまで超人墓場に行く必要のない奴らのみが生き返る仕組みになっている。基本、悪行を犯した超人は生き返らせることはできないんだ」

 

「そ…そうだったのか」

 

首をかしげながらキン肉マンは訝しげにテリーマンが問うた質問に返して答えた。

 

しかし、今までの話の中で割と超人達が生き返ることはよくある話のような気がするのだが…

 

筆者である私の気のせいなのだろうか?

 

「じゃ、じゃあどうやってブロッケンマンは生き返ったというんだ?」

 

ウォーズマンが続けて聞く。

 

「…おそらく、超人墓場で生き返ったというのが妥当だろう、それしか考えられん」

 

ロビンは動揺を隠すようにそう答えた。

 

「だとすると、そいつの言ったことは…」

 

「…手がかりがない以上、信じるしかないだろうな。それに」

 

「奴らは様々な場所を荒らしまわっている、厳重に警戒すべきだろう」

 

「すでにバッファローマンが襲われ、つい先ほどウルフマンも襲われたという情報が入ったんだからな…」

 

一同は再び、どよめいた。

 

「な…なにぃ、ウルフマンが!?」

 

「バカな!アイツはアイドル超人の一人だぞ!そう簡単にやられるはずは…」

 

「バッファローマンが瞬殺、これでわかるだろ?」

 

「…確かに」

 

このロビンの一言は、皆を黙らせるのには十分だった。

 

一同が納得するのも無理はない。バッファローマンは、今回こそいち早くやられてしまったが、本当はキン肉マンをはじめとした正義超人を、一番最初に窮地に陥れた超人"悪魔超人"の一人であり、彼はその中でも別格の存在なのである。

 

1000万パワーを誇る彼の強靭な肉体から放たれる技の数々は、どんな敵をも凌駕する。

 

「とにかくだ。超人が2人もやられている以上、もうブロッケンの話だけでは済まなくなっている」

 

「今回こそ逃がしたが、次こそは必ず仕留めて見せる」

 

「…だがロビン、親父はいったいどこを根城にしているんだ?さっき親父を見失ったスタジアムか?」

 

ブロッケンが問う。

 

「うむ、そうだったのかもしれない」

 

「だった?」ブロッケンとロビンの言葉に割って入るようにして、テリーマンが聞く。

 

「日本人のことわざに"犯人は現場に戻ってくる"という言葉があるそうだ。つまり、よからぬことを起こした奴というのは、証拠隠滅や状況確認のために、元の場所へ戻ってくるということだな」

 

「だから、"だった"ってどういうことなんだ」

 

テリーは食い気味に聞いた。

 

「根城を変えたということさ。奴らは場所を転々として、我々の行動を随時観察しているのだ」

 

「ひえ~、おっとろしいのう」

 

「…ということは、探しようがないということか…」

 

ウォーズマンが頭を抱えると

 

「いや、方法はある」

 

ロビンは腕を崩し、立ち上がった。

 

会話を切るたびに腕を組んだり組みなおしたりするのは、彼の癖なのだろうか。

 

ロビンは少し考えた後、ブロッケンマンを見つけるために自分が提案した、2つの役割分担について説明し始めた。

 

「まず、ブロッケンマンが戦ったスタジアムに何人かの超人を配備し、見張りに当たらせる」

 

「こうすることによって、ヤツが来るのを待つんだ」

 

「そしてもう一つ。スタジアムの周辺をはじめとした、様々な場所を見回る係だ。これに関しては、比較的実力のあるものが行くことにしよう」

 

「わかった。で、配備はどうする」

 

「うむ、じゃあまず、ここにいる者たちだけで配分しよう」

 

「まず、見張りに"ラーメンマン・ブロッケンJr"の二人」

 

「…そして、"キン肉マン・テリーマン・ウォーズマン"そして私の4人が見回りに行く」

 

「…ずいぶんと見張りが少ないが」

 

テリーマンは不安そうな顔つきでロビンに言った。

 

「大丈夫だ。見張りには、ここにいるもの以外の超人たちにも協力してもらう」

 

「面識がなくとも、みな正義超人だ。きっと力を貸してくれるはずさ」

 

「…わかった。お前がそういうなら」

 

テリーは納得したようにそう答えると、どこからか取り出したメモに計画の内容を書き込み始めた。

 

それが皮切りとなったのか、他の正義超人たちもロビンの打ち出した計画に向けて準備を進めようとしていた。

 

こうして彼らはそれぞれの役割分担を決め、各自がやるべきことに奔走していったのだった。

 

ちなみに、この分担が完全に決まるまで、仲間内でひと悶着あったのだが…それは後で語ることにしよう。

 

~とある路地~

 

とある路地…日本の都会にある、典型的な路地を想像してくれればいいだろうか

そこを一歩離れると、電光掲示板が女優の顔を大きく映し出し、様々なお店の電飾が夜の街並みを飛び交う。まさに「明と暗」、表裏一体の形相を成していた。

 

…そこにいた男たちが原因だったのかもしれないが。

 

「…おい」

 

男の顔は曇っていた。

 

「なぜ俺を、息子と戦わせてくれないんだ…」

 

ブロッケンマンだ。バッファローマンを圧倒し、ウルフマンまで倒した、猛者だ。

 

「……」

 

聞かれた男は黙っていた。

 

どうやら、二人は少しばかり言い争いをしているようだ。

 

「聞いているのか?なぜ俺を息子と戦わせてくれないんだ、と聞いているんだ」

 

「場所を転々としてまで、俺はお前の行動に付き合っているんだ。理由の一つくらい聞かねえと、納得がいかねえ」

 

ブロッケンマンが訴えるようにそう言うと

「…お前にはまだ、やることがある」

 

謎の男はそう口火を切った。

 

「なに?」

 

「お前はまだ、息子を倒すには早すぎる」

 

「何を言っているんだ、俺はあのバッファローマンという牛野郎を倒し、張り手が強烈だった、ウルフマンとかいうスモウ野郎も倒したじゃねえか」

 

「どちらも息子の仲間だ。十分アイツを揺さぶるきっかけには、なったんじゃねえのか?」

 

「…まだだ、まだ足りない」男は首を振り、そう言った。

 

「どうにも、お前の言うことはわからねえな。俺はもう十分だと思うがよ」

 

「いいや、十分じゃない。なぜなら」

 

すると男は指をさし、声高に

 

「お前はまだ、超えなければならない奴がいるからだ!」

 

と、ブロッケンマンに対して言い放った。

 

その声は以前、スタジアムで聞いた声よりも低く、圧があった。

 

「…!!」

 

ブロッケンマンは目を見開いた。

 

謎の男はさらにブロッケンマンに対して発破をかける。

 

「お前は超人墓場から生き返り、さらにそこで身に着けた実力を宿したまま、年老いた体から偶然若返ることが出来たんだ。…アイツを倒したいとは思わないか?」

 

「…ラーメンマン、か」

 

「そうだ。ヤツは今、メキメキと実力をつけ、"秒の殺し屋"とまで言われている」

 

「へえ、"秒の殺し屋"ねえ」ブロッケンマンはニヤリと笑った。

 

「面白そうじゃねえか、んじゃ、息子に会うにはまず、ラーメンの野郎と戦わなくちゃいけないってわけだ」

 

「その通り。そのためにはまず、ラーメンマン以上の実力を持つものと、戦わなくてはいけない」

 

「なるほど…武者修行、もとい"超人狩り"ってわけだ」

 

ブロッケンマンは再びニヤリと笑った。好戦的な性格であろう彼の眼は、さながら|獣のように鋭かった》

 

「違いない。より強くなるため、そしてラーメンマンを倒すために"超人狩り"に行こうじゃないか」

 

二人は不敵に笑っていた…。

 

こうして徐々に、二人の意見はまとまりかけようとしていた…。

 

そのときである。

 

不意に、背後の方から声が聞こえてきた。

 

「おい、そこの二人」

 

2人は声のする方角へと目を向けた。

 

するとそこには巨大な影が2人の前に立ちはだかっていた。ネオンの明かりで背後が照らされているせいか全貌は見えないものの、ある程度シルエットは把握することが出来る。

 

「そこで何をしている?」

 

巨大な体、青い肌、そして鍛え抜かれた6本の腕…

 

悪と、そして正義が入り混じったオーラを暗闇に放ちながら

 

真剣勝負(シューティング)マシーン」が、彼らに近づこうとしていた…

 

               ~続く~

 

 

 

 

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