最後の残虐   作:ぴえろー

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最後の残虐第30話です。そろそろ物語の方も終盤に差し掛かってきました。拙い文章ではありますが、どうか最後まで見ていってください。

あらすじ
 激闘の末、ついに残虐超人陣営の一人、ウォーズマンを下した正義超人たち。しかし、もう一人の刺客で彼の友人でもあるブロッケンマンが突如、紫色の光を纏いだすのだが、キン肉マンにはそのオーラに見覚えがあるようで…?果たしてブロッケンマンが纏いだしたオーラの正体とは?


第二十九話「屍を超えたクソ力」

スタジアム 場内

 

「俺は…負けねぇ」

「ウォーズマンが作ってくれた機会(チャンス)…絶対に逃すものかっ!!」

 

そう決意するとともに紫色のオーラに包まれるブロッケンマン。

その様子を正義超人たちは驚いた様子で見ていた。

 

「お、おい…ロビン」

「まさかあれって…」

 

「…まちがいない。“火事場のクソ力”だ」

「色こそ違うものの、キン肉マン。お前が前に王位争奪戦で発動した時と似ている」

 

「や…やっぱりそうなのか!?」

「じゃがどうしてアイツにあの力が…」

 

動揺するキン肉マンに答えるようにして、ロビンは今の状況を冷静に分析し始めた。

 

「火事場のクソ力というのは自分が危機に瀕した時、そして」

「誰かを想う気持ちが…友を想う気持ちが限界に達した時に起こるものだ」

 

「じ…じゃあブロッケンマンはウォーズマンを想う気持ちが強くなったから火事場のクソ力が発動したというのか!?」

 

「…というより、もともと築いていたお互いの信頼関係に加えてさらに自身が危機的な状況になったのが作用して発生したというのが正しい解釈だろう」

 

つまり、今のロビンの分析をまとめるとブロッケンマンはウォーズマンの戦線離脱、それに加えて自身の危機的状況という条件がうまく重なったことで友情パワーを源とした火事場のクソ力が発生したのだと考えられる。

自身の強大な力に加えてさらに大きな力を彼は獲得したのだ。

しかし、この中で最も友情を嫌っていた彼が、友情に自分の身を助けられるとは何とも皮肉な話である。

そのことに彼は、気づいているのだろうか。

 

「…だが、今回の場合は何かが違う」

 

ロビンは顎に手を当て、険しい表情をした。

 

「違う?いったい何が違うんじゃ?」

 

「力が発動している状態だ」

「本来ならあの力は目に見えない形で発動し、それが技となって見えてくるもののはずだ」

「まるでオーラのような形で表出することはない」

 

「…それだけ、アイツがウォーズマンを想う気持ちが強かったってことなのか?」

 

「…多分、そうだろうな」

「ウォーズマンも幸せ者だ。あれだけ自分のことを信じてくれる超人がいるんだ」

 

「ああ、俺たちの中でもあれだけ結束が固い奴はそうはいねぇ」

「うらやましい限りだぜ」

 

頷きながら口々に敵を称賛するロビンとテリー。

しかし、キン肉マンの方は動揺を隠せないようで、2人の間に割って入った。

 

「そんなことを言っておる場合ではないぞ!ブロッケンマンのやつ、火事場のクソ力が発動したんだ!」

「今までが今までだったし、一体どんな方法で向かってくるかわからんぞ!」

 

「…そうだな。いったいどうなるか」

 

そんな彼らの危惧をよそに、リングの上では異様な光景が広がっていた。

クソ力を身にまとい、強烈な威圧感を放っているブロッケンマンとそれを静かに見つめているブロッケン。

ブロッケンマンの方はどうやら、自分の置かれている状況に少しだけ酔いしれているようだった。

 

「うおおお…!なんだかわからねぇが、力がみなぎってくるぜ!!」

「まだ戦える!俺たちが生き残るために、まだ戦えるんだッ!!」

 

今の自身が置かれている状況を見てうれしい叫びをあげるブロッケンマン。

 

「…親父」

 

しかし、ある程度状況を確認するとすぐに息子の方へ向き直り、落ち着いた表情で

 

「…息子よ、どうやら俺はまだ、戦わなきゃいかんらしい」

「お前らを、倒すためにな…」

 

そういい放った。

それを受け、息子はあきれたような、まるでそのことがわかっていたかのような口ぶりで

 

「…そうかよ、そこまでして勝ちてぇかよ」

「実は俺も、そうなんだよな…!」

 

彼の方へと向かっていった。

 

(ガシィッ!!)

 

リング上で組み合う2人。その際に発生した熱気がリング全体を包み込む。

 

「俺だって勝ちてぇ。…アンタを超えるためにな!!」

 

「…フン」

 

「!!2人が組み合ったぞ!」

 

「なめた口をききやがるぜ。その減らず口、いったい誰に似やがった?」

 

「……」

 

そういうとブロッケンマンはわざと力を抜き、ブロッケンを前に押し出させた。

 

「!!」

 

突然のことに不意を打たれるブロッケン。しかし、気づいたころにはもうブロッケンマンは次の行動に出ていた。

彼は息子の胴体をつかみ、ジャーマンスープレックスを放っていたのである。

勢いよく地面にたたきつけられる彼の上半身。ブロッケンは一瞬だけ目の前が真っ暗になった。

 

「ああっ!ブロッケン!!」

 

叩きつけられた衝撃でまごつくブロッケン。

そして、その隙をつき、彼から少し離れたところでブロッケンマンは臨戦態勢を取った。

 

(…ウォーズマン、俺に力を貸してくれッ!!)

 

「うおおおおーっ!!!」

 

そう決意し、ブロッケンの方へと向かっていくブロッケンマン。

 

(ドドドドッ!!)

(ギュルルルルーッ!!)

 

その時、正義超人に衝撃が走った。

 

「あれは…!ウォーズマンの“スクリュードライバー”!?」

 

彼はなぜかウォーズマンの必殺技である「スクリュードライバー」を放っていた。

突然のことに訳が分からなくなる正義超人たち。キン肉マンがロビンたちに動揺しながら疑問をぶつける。

 

「ちょっと待て!なんでウォーズマンの技をブロッケンマンが使えるんじゃ!?」

 

「…わからない。いったいなぜ」

 

テリー達も今の状況が理解できず、動揺しているところにキン肉マンがブロッケンマンの背中を見て驚きの声を上げた。

 

「ああっ!」

「見ろっ、ブロッケンマンの背中!!」

 

(ブウン…)

 

「ウォーズマンだ…!ブロッケンマンの背中にウォーズマンが…!」

 

「…ブロッケンマンの背中に、ウォーズマンの顔が…浮かび上がった」

「…まさか」

「ブロッケンマンの体にウォーズマンの魂が乗り移ったとでも言うのか…?」

 

今の状況を驚きながらもロビンは冷静に分析しようとしていた。

しかし、それを覆すように息子の方も驚くべき行動を取った。

 

「…へっ、おもしれぇ」

「ウォーズマンの真似事か?なら俺も…!」

 

(ブウン…)

 

「!!ブロッケンも何かを纏いだしたぞっ!?」

 

「行くぜ親父ッ!!」

 

「レッグラリア―トーっ!!」

 

(ギィンッ!!)

 

「ブ…ブロッケンもじゃと!?」

 

技の発動と共に勢いよくぶつかる両者の技。

吹き出た火花が威力の大きさを物語っている。

 

「うわ…」

 

「うお…」

 

両者、お互いの攻撃に耐え切れなかったのか2人同時に倒れた。

 

「も、ものすごい攻防…!さっきまでの拮抗した状況が嘘みたいだ!!」

 

「じ、じゃが一体何が起こっておるんじゃ!?2人がいきなり相棒の技を使うなんて…」

 

「わからない…」

「だが、もしかしたらあの2人の火事場のクソ力はお前のと少し勝手が違うのかもしれん」

 

「えっ…?」

 

「種類が違うということだぜ、キン肉マン。お前の場合は追い込まれた際に超人パワーを急激に高め、押し切る形での発動だが」

「ブロッケン達の場合は味方の技をコピーすることで相手に攻撃を仕掛けるもの、ということだ」

「どういった経緯でそうなるのかは…わからんがな」

 

「なんじゃと…!それじゃあの2人は」

「思い浮かべた友人の技をコピーすることができるということなのか!?」

「じゃとしたら…ちょっとうらやましいのう」

 

そういって彼らをうらやましそうに眺めるキン肉マン。

彼らの火事場のクソ力…それはどうやらキン肉マンがいつも使っているものではなかったようである。

彼らの場合は強大な力による技の押し返しという形ではなく、仲間の技をコピーすることで強大な敵に立ち向かうといった、今までとは全く違うタイプのものらしい。

その力をブロッケン一族が有していたのである。

 

そんな彼をよそに、ブロッケン親子は熾烈な戦いを行っていた。

お互いに友人の能力を得た2人はその力を余すところなく発揮し、それを自身の技と絡め合わせ、相手に仕掛ける。

友の魂を背負い戦うその姿、まさに今の2人は屍を超えた鬼神そのものであった。

しかし、やはり2人の力が拮抗しているのか、なかなか勝負がつかない。

 

「くそ…!」

 

なかなかつかない勝負に息を切らす2人。

しびれを切らしたのかブロッケンの方が先に彼の方へ向かっていった。

 

「やっぱ…」

「これしかねえかっ!!」

 

「あっ!今度は2人の背中にハーケンクロイツの紋章が!!」

 

驚くテリーを尻目に、2人はお互いの得意技を相手に放つ。

息子は両腕を重ねて威力を倍加させた手刀を袈裟懸けの形で父親に、父親は振り下ろす際の遠心力を利用したクロスの手刀を息子に放った。

 

(ギィィィィ!!!)

 

「うわーっ!!ものすごい音じゃ!!」

 

2人の刃が交わったその瞬間、スタジアム内ではまるで2台のチェンソーが交わったかのような金属音とその際に発生した熱からか白煙が発生していた。

 

(ギィン!!)

 

しかし、大きな衝撃とは裏腹に勝負はあっさりと付いた。

ブロッケンマンの放った手刀が息子の手刀を押しつぶし、威力を殺したのである。

その際、ブロッケンの両の手刀は地面にめり込み、リング上に大きなひび割れを作っていた。

 

(ドゴオッ!!)

 

「うがあっ…!」

 

重い衝撃と同時に発生した鋭い痛みで悶絶するブロッケンジュニア。

しかし、一瞬でも隙を見せてはならないと急いで腕を引き上げたが…時すでに遅し。

 

(ボド…ボド…)

 

彼の両腕からは大量の血が流れ出ていた。

出血の仕方から察するに、恐らく骨が砕けているのだろう。…ブロッケンは苦悶の表情を浮かべていた。

 

(ニヤリ…)

 

それとは対称的にニヤついた表情を浮かべるブロッケンマン。

 

「へへ…刃は、死んだな」

「これで…終わりだ!!」

 

そう言って彼の背中に手刀を浴びせようとした。

その時…

 

(キィンッ!!)

 

父の手刀を何かが防いだ。

 

「な、なんだと…?」

 

突然のことに戸惑うブロッケンマン。彼が戸惑うのも無理はなかった。

なぜなら。

 

「…ああっ!!」

「ブロッケンのやつ、折れた腕で手刀を防ぎやがったーっ!!」

 

自身の折れた両腕で手刀を防ぐブロッケン。おそらく痛みもあるのか苦悶の表情を浮かべていた。

 

「うおおお…!」

 

そしてそのまま彼は起き上がり、間髪入れずに手刀を放つ。

 

「ッ!?」

 

不意を打たれ、思わずブロッケンマンは後ろにのけぞってしまった。

それを契機と見たのかブロッケン、光の速さで父の方へと向かっていく。

 

「まだだ…!」

 

「俺の…」

「俺の刃は…まだ死んじゃいねぇーっ!!」

 

そう言って勢いよく父親の懐へと飛び込んだブロッケン。

そして両足を彼の脇腹へひっかけ、両の腕を大きく振りかぶった。

その姿…くしくも父親が放った“あの技”と似ていた。

 

「これで…終わりだーっ!!!」

 

「ベルリンの…赤い雨―ッ!!!」

 

                ―続く―

 

 

 

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