では、あらすじをどうぞ。
あらすじ
ブロッケンマンの死を自分のせいだと思い込んでいたウォーズマンは、大雨が降る中、小さな公園の建物で雨宿りをすることになった。亡くなった親友のことを考えていると、大雨をかいくぐって公園にブロッケンJrが入ってきた。世間話をするブロッケンに対し、そっけない態度を取るウォーズマンであったが、ある一言を皮切りに状況は一変する。
”俺は、お前に報復する…”
その言葉と同時に、ブロッケンはウォーズマンに対して攻撃を仕掛けてきた。果たして勝敗の行方は?そして、ウォーズマンは親友の死の真意を知ることが出来るのか?
「こういう…ことだぜーっ!!!」
(グウン…)
「なっ…こ、こいつは…!!」
ウォーズマンのパロ・スペシャルを、ブロッケンがいとも簡単に抜け出した。
いきなりだった。ブロッケンが父親の技である軍隊式解体術を使ったのだ。不意を打たれたウォーズマンは一瞬、たじろいでしまう。
(ザッ!)
それがいけなかった。ブロッケンはその隙を突いてウォーズマンの後ろに回り込む。
「し、しまっ…!」
「今だッ!!」
そして大きく腕を振りかぶり、ウォーズマンの背中めがけて手刀を振り下ろした。
切っ先は一文字、横腹を狙うつもりか?
(ジャキィン!!)
「うわ…」
しかし、彼は何とか間一髪で手刀を躱す。背中に傷を負ったが浅かったため、支障はないようだ。
そして、この一瞬をファイティングマシーンは見逃さなかった。
「くらえっ!!」
(シュッ!!)
今度はブロッケンが浴びせようとした手刀をウォーズマンが放つ。
そしてブロッケンの横っ腹に彼の手刀が突き刺さった。
「ぐあああああっ!!」
(ガシャァァン!!)
あまりの威力にブロッケンは吹き飛んでしまい、公園の建物に激突してしまう。
「……」
砂塵が舞う中、現れたブロッケンの姿。
彼の姿はボロボロで、すぐには起き上がってこれそうもない。
「……」
倒れるブロッケンの前で静かにたたずむウォーズマン。
それを見たブロッケンは口から流れた血を腕で拭き、顔を上げた。
「へへ…とどめ、刺さねぇのかよ」
「俺はお前に…報復、しに来たんだぜ…」
かすれ声でウォーズマンに問うブロッケン。
それを見た彼は顔を下に向け、重々しい声で話始める。
「…お前はさっき、俺の背中に手刀を浴びせた」
「けど、手刀の軌道に迷いがあった。もし報復しに来たんなら、俺をあの場面で始末していたはずだ」
「“残虐超人”なら、そうしていた…」
ウォーズマンの言葉を受けてブロッケンは一瞬黙っていたが、すぐにニヤリと笑い、帽子を前に倒した。
「……」
「…へへ、敵わねぇな」
「せっかくこの短期間で、親父の技…習得したってのによぉ」
「ブロッケン、一体どうして…」
疑問を投げかけるウォーズマンに対し、ブロッケンは一瞬沈黙したのち、帽子からできた暗闇の中でまっすぐな視線を彼に向けた。
虚空を睨みつけるような視線のまま、彼に対して口を開く。
「ウォーズマン…」
「…?」
「お前…まだ親父のことを親友だと思ってるか?」
素朴な質問だった。ブロッケンはウォーズマンに、簡単にそう問うた。
しかし…それはあまりにも、視線の厳しさから出た問いにしては簡単だった。なぜなら、その問いの答えは決まっていたからだ。
「あ、当たり前だ!俺とブロは一番の親友だっ!!」
「どうしてそんなこと…」
当然だと言わんばかりに彼の問いに答えるウォーズマン。
親友であるからこそ、彼はブロッケンマンの死に思い悩んでいたのだ。
「だったら…」
「だったら!!親父が死んだからって落ち込んでんじゃねぇっ!!」
彼の言葉を遮り、ウォーズマンに対して叫ぶブロッケン。
突然の遮蔽だった。
「ッ!?」
「親父はな…お前のために、自分の身を犠牲にして超人墓場へ行ったんだ!!」
「超人閻魔に頼んで、お前だけを生き返らせるよう頼んだんだッ!」
「お前が現世で活躍できるよう願ってな!!」
「…えっ?」
驚くウォーズマンをよそに、ブロッケンは半ば感情的になって言葉を続ける。
「なのに、生きてるお前が親父のことで悲しんでるなんて…こんなの」
ブロッケンは大きく息を吸い込む。
「こんなの…」
「親父の死が無駄だったって、言ってるようなもんじゃねぇかーっ!!」
降りしきる雨の中、ブロッケンは吐き出すようにして、ウォーズマンに向かって叫んだ。
「……」
「ブロッケン…」
叫んだ疲れか、息を切らしているブロッケンに向かって声を掛けようとするウォーズマン。
しばらくの間、沈黙が流れる。
(ぜえ…ぜえ…)
「…悪かった」
跪き、首を垂れたまま静かに口を開いたブロッケン。
帽子を深くかぶっていたためか、彼の表情はわからない。
「…えっ?」
驚くウォーズマンを傍目に、ブロッケンは言葉を続ける。
「襲って悪かった。…喧嘩ふっかけちまってよ」
「あ、ああ…」
「……」
ブロッケンは帽子を深くかぶったまま、言葉を続ける。
「親父は…親父は“本当に死ぬことができた”んだ」
「…えっ?」
「今までの親父は、ラーメンマンに卑劣な戦略を仕掛けて、負けちまった糞野郎として死んじまってた…けど」
「親父は、あの戦いを通して…お前の親友として、最後の純粋な残虐超人として死んでいくことが出来た」
その時、ブロッケンは立ち上がり、視線をまっすぐにウォーズマンの方へと向けた。
「あの戦いで、親父は変わることが出来た」
「みんなの親父に対する見方も、変わったんだ」
そう言うと彼は顔を下げたまま後ろを向き、ウォーズマンに背中を見せる形となった。
それは自分の行った行為に対する後ろめたさなのか、単なる照れ隠しなのか…
「…ありがとよ。親父を蘇らせてくれて」
「親友に…なってくれて」
(コッ…コッ…コッ…)
彼はまだ頭の整理がついていないウォーズマンを横目にゆっくりとその場を後にした。
「……」
何も言わず、静かに佇んでいるウォーズマン。
「ブロッケン…」
「…そう、だったのか」
彼の声から少しずつ哀しさが消えていく。
「ブロ…」
「ブロ、アンタは…俺のために…」
その時、彼の頬を一筋の涙が伝った。
ウォーズマンは少しの動揺と、心の中にあった陰りが払拭されるような気持ちになっていた。
長く振り続けた雨はもう、幾分か小雨になっていたようだ。
階段ピラミッドリング 第7ステップ
幾数日の時が流れ、正義超人と残虐超人との戦いが行われて久しい頃…
ウォーズマンはとある大きな戦いに身を投じていた。
相手は完璧超人が一人、「ポーラマン」。
超人強度7200万を誇る桁違いのパワーを持つ彼の前に、ウォーズマンは苦戦を強いられていた。
「……」
彼は倒れていた。目も虚ろで、生きているかどうかすらも怪しい状態だ。
「戦闘継続は不可能!もはや万事休すかーっ!?」
何度か立ち上がってきたが、ポーラマンの猛攻を受け、立つことすら難しい状況のウォーズマン。
実況の悲痛な叫びが彼の悲惨さを物語っていた。
もうだめなのか…と、誰もが考えていたその時…
「オモイヤリ+ヤサシサ+アイジョウ+シンジルココロ」
(ピピピピピ…)
ウォーズマンの戦闘プログラムに謎の数式が刻み込まれる。
そして、彼の体が大きく動き出した。
「ぐ…ぐぐっ…!!」
「ああーっと!ウォーズマン立ち上がったーっ!!」
実況の叫びと同時に歓声が上がる。
4度目になる彼の復活を観客たちは心から祝福していた。
(みんな…)
彼はボロボロになった自分のベアクローを見る。
彼の脳裏には多くの超人の姿が次々と浮かび上がっていた。
そして最後に…かつて共に戦った、ある親友の姿があった。
(ブロ…!!)
奮起と同時に、彼の体は動いていた。
ウォーズマンは体全体を使ってポーラマンの巨体を拘束していた。
パロ・スペシャルの体勢である。
「おおおおおおっ!!」
(バキボキベキィ!!)
(グワキィッ!!)
背骨の折れる音が全体に響き渡った。
しかし、これでは終わらない。
「パロスペシャル・ジ・エンドーッ!!」
(ダァァァン!!)
ウォーズマンは前のめりになったポーラマンの体をさらに地面へと叩きつける。
「パギャァァ~~~~~ッ!!」
決まった。彼の決め技であるパロ・スペシャルが華麗に決まった。
しかも、今までよりさらに進化した
(ドサァ!)
技の威力に耐え切れず、ポーラマンは倒れてしまった。
ウォーズマンの体を大きく上回る彼の巨体が、真っ白なリングの上に覆いかぶさる。
「あーっと!!最後の大一番はウォーズマンが決めたーっ!!」
(カン、カン、カン…)
「ワァァァァーっ!!!」
鳴り響くゴングと共に歓声を上げる観客たち。
(やった…やったよ、みんな)
(……やったよ、ブロッケンマン)
彼の眼には一筋の涙が溢れていた。
当初は最も友情から遠い存在であった彼が、衰えることのない友情パワーによって見事、完璧超人を打倒したのである。
天高くこぶしを突き上げ、勝利を噛みしめるウォーズマン。
その姿に、かつての弱気なオーラはもうなかった。
多くの友と、一人の親友の想いを引っ提げ、彼は戦い続ける。
ファイティング・コンピュータの戦いはまだまだ続くのであった…
-終わり-
後日譚
彼はこの戦いの後、ブロッケンマンの墓参りに行ったそうです。詳細なことはわかりませんが、彼とよく超人墓場の居酒屋で飲んでいたお酒をお供えしていたようです。