よろしくおねがいします。
第13話。来ました、ホームステイ!
現在4時、目を覚ました。
俺は結局トレーニングの時間を朝にした。
いや、夜って結構悪魔の仕事があって集中できないんだよな...
魔力に関しちゃ部長や朱乃さんに聞く方が効率良さそうだし...
それに朝運動するのは意外に爽快なのである。
朝走る人の気持ちが良くわかる。
ほとんど人はいないし、涼しくて空気が気持ちいい。
まぁ朝ランニングって心臓に悪いらしいですけどね。
現在俺は部長に頂いた、重りを着けてトレーニングをしている。
重りというよりは拘束具か。
魔力による偽装が行われているので一般人には認知されず、いい感じに動きにくい。
非常にありがたい...
部長曰く、
「眷属が強くなろうとしてくれるのは大歓迎よ?特にあなたの
だそうだ。今度重力室と精神と時の部屋をお願いしようかな...
下手したら作れそうなのが怖いよグレモリー家...
「ハァ...ハァ...ハァ...」
負荷がかかると一気に変わる物で、想定よりもあっという間に体力が底をついた...
休憩したら筋トレだな...
この拘束具、ボタンひとつで掌サイズに戻るのでまじで悪魔の技術力に感嘆せざるを得ないぜ...
「イッセーおはよう。精が出るわね。」
「イッセーさん、おはようございます!」
「アーシア!、部長、おはようございます」
はて?特に約束をした覚えはないんだが...?
「あっ、イッセーさん!お茶です!」
「えっ!ありがとう!!」
喉カラカラだったので、非常にありがたい。
更にアーシアが作ってきてくれたと言うのだからもはやこれは聖水に等しい。いや聖水なら死ぬけど...
「それで、二人はどうしてここに?」
「えぇ、あなたの家に用事があったのよ。そろそろ荷物が届いている頃だわ。」
あ...今日がアーシアホームステイの日なのか...
そっか...そっか!?
ちょっと待って、ちょっと待って...
それはまずいだろ...
全然部屋とか片付けてないし..
アーシアを家に迎え入れるならば、万全に万全の準備を重ねて、ようやっとだろうに!!
あー、でもアーシア俺の家を選んでくれたのか...嬉しいな...
これはひょっとしてひょっとするのか...?
わからぬ...わからぬ...
「さ、行くわよ?イッセー、アーシア」
「あっ.....」
俺に待ったをかける権利は存在しない。
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自宅に到着すると、玄関前に大量の段ボールが...
「さぁイッセー。この荷物を運んであげなさい?」
「なんの荷物ですか...?」
わかりきってるけど一応聞いておく。
「アーシアの荷物よ。今日からアーシアはあなたの家に住むの。」
「あの...よろしくおねがいします!」
アーシアがぴょこりと頭を下げる。可愛い。
「えっっと...よろし...く?」
なんと言えばいいかわからず、そんな答えになってしまった。
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「イッセーのお父様、お母様、初めまして。私、リアス・グレモリーと申します。イッセーの所属する部活の部長をやらせて頂いております。」
「初めまして!アーシア・アルジェントと申します!イッセーさんのお父様、お母様、よろしくおねがいします!」
「は...はぁ、よろしくおねがいします?」
困惑するお父さん。そらそうだ、突然息子の部活の仲間だと二人も外国人(美人)(日本語ペラペラ)(実は悪魔)が現れたら理解が及ばんだろう...
二人の共通属性だけで既に属性盛り盛りなんだが?
..........
「というわけで、このアーシア・アルジェントのホームステイをお許しいただけませんか?」
どういう訳だ。一応話聞いてたけど内容が入ってこない。
だって、緊張しているアーシアが可愛いから。
大丈夫だよ?アーシア。この二人に緊張する必要はないと思うよ?きっと後数分もすれば、俺よりも可愛がるようになるよ?
その後もいくらか問答があったが、アーシアによる純粋波動攻撃と部長の魔力による言葉の暴力で、二人は懐柔されてしまった。
部長の花嫁修業発言のせいで両親の中でアーシアが嫁になることが確定してそうだけどアーシア大丈夫?俺は大丈夫。
大丈夫じゃないわ。アーシアが嫁...嫁...妄想でもう限界...くはっ
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アーシアと一緒に登校するようになって、周りからの噂は拡大していった。
やれ「アーシアさんの弱みを握ってる」だの「アーシアさんの純粋さに付け入った」だの「アーシアさんが日本に慣れていないのを良いことにあんなことやこんなことをする最低のクズ」だの...
いや、いいよ?別に...気にしないけどさ...
こう...心にチクチク来るんだよな...
なんか、もしかしたら俺はアーシアにひどいことをしてるんじゃないか?って気になってきてしまうのだ...
同調圧力に屈する典型的な日本人の鏡...
とはいえ、当の本人が
「イッセーさんと一緒に暮らせて嬉しいです!」
ってな様子なのでそんな事を考えるだけ無駄だろうが...
アーシアが楽しいならオールオッケーです。
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その日の夜は、とうとうアーシアが初めて契約デビューをする日であった。
まぁ俺はアーシアに危険がないことはわかってるし?グレモリー家に変な契約が来ないのはわかってるし?依頼の中から更にアーシアの為に厳選してるの知ってるし?全然心配じゃないですけどね?
「もうイッセー...そんなにそわそわしないの...そんなにアーシアが心配なの?なら、あなたも着いていったらどう?」
部長が仕方ないわね...といった感じでそう仰った。
「いやでも...」
個人的には、大事なアーシアの初契約だしアーシアが一人でしっかりこなしてこその物だと思っている。
嘘です、滅茶苦茶心配です。でも、それはそれでアーシアを信用していないようで嫌だなとも考えるわけでして
「イッセーさん...あの、少しだけ不安なので、最初の一回だけでいいですから...着いてきてくれませんか...?」
「行きます!」
その間0.25秒。自分でもびっくりするくらいの即答だ...クイズ大会にでも出場するか?
「全く...それじゃあ二人とも、魔方陣に入って。はい、いくわよ?」
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アーシアは無事、契約を取ることに成功した。
問題なく初めての契約が取れたので、アーシアはルンルンだった。
アーシアが嬉しそうで俺も嬉しい。
アーシアは先にシャワーを浴びるそうだ。
アーシアがシャワーを浴びた後に入って俺は無事に生存することができるのだろうか...?
だってアーシアが入ったって後って事はアーシアが入った後って事だぞ!!?
そんなの耐えられそうにないんだが...?
アーシアは絶対そんな邪な事を考えない。
風呂に入る順番で興奮するような変態は俺ぐらいだろう...
それはないな男性の7割くらいは興奮しそう。
逆説的に俺は悪くないのでは...?
こんな下らない無駄な思考を既に百は行っている。
なぜなら我が家にアーシアが居るからだ。
俺は日々悶々とするこの気持ちを、頭を使うことで消費しているのだ。
あぁアーシア...こんな不純な気持ちを抱く俺をどうかお許し下さい...
「イッセーさん!上がりましたー!」
アーシアの声が聞こえた。
さてと...行きますか...(戦場へ向かう男の顔)
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シャワーを浴びるはいいものの、全く落ち着かなかった俺は急いで体を洗って退出した。
匂いを堪能しようという俺の邪心は、アーシアへの強烈な罪悪感で吹き飛んでしまった。
俺には...無理だ...!
これがチェリーの限界なのだろうか...
アーシアとくんずほぐれつは夢のまた夢か...
俺は一人涙を流した...
次の日の朝、というか毎朝アーシアは俺のトレーニングに着いてきてくれる。
俺的にはアーシアにはゆっくり好きなだけ眠ってほしいのだが、アーシアに
「イッセーさんが頑張ってるのに、私だけ何もしないなんて嫌です!せめてイッセーさんのお手伝いをさせて下さい!」
とまで言われてしまうと、俺も興奮してついその場でオッケーを出してしまったのだ...
ランニングが終わった後、アーシア謹製の聖水(※お茶)を飲み休憩している時だった。
「イッセーさんは、どうしてそんなに毎日一生懸命トレーニングなさってるんですか?」
ちょっと前までは、死にたくないから、アーシアとくんずほぐれつしたいから、だったけれど。
最近は変わってきていた。結構真面目な目標だ...
「あー、守りたい人を守れる力が欲しいから...かな?」
「守りたい人を...」
「うん、大事な人が居るから...その人を守りたいんだ。」
アーシア、君の事だよ。とは流石に言えないが。
というかここで言えるやつはちょっと真剣に尊敬するのでご指導下さい...
「その大事な人って...」
ドクン!と心臓が跳ねた。
その質問は...核心を突く物だ...
「ア...アーシア...?」
「.....っいえ!やっぱりなんでもないです!それじゃあそろそろ筋トレを始めましょうか!しっかり回数数えますから。今日は何回やりますか!?」
「あっ...と...100回づつで...」
「わかりました!」
誤魔化されてしまった...
いや、それでいいだろ。
俺自身だってなんの心の準備もできてないんだから...
アーシアの事は大好きだ。
でも、俺はアーシアにこの気持ちを伝えていいのか迷ってる...
だって俺は本当の兵藤一誠ではないのだから...
この迷いに決着をつけるまで、俺は前に進む事はできない。
だが、この気持ちには早く決着を着けなければならないだろう。
そんな迷いを抱えて生きられるほど、この世界は甘くない。
...俺は、この時密かに決意した。
ライザーとの戦いが終わるまでに、決着をつけよう...