膝枕の後。数時間で目を覚ました俺は、シャワーを浴びた。浴室から出るとアーシアはメイド服を脱いでいたので少しさみしい...でも、精神的な疲労は全回復した...
結局その後もベッドで寝て。起きた頃には夕方だった...アーシアも一緒に寝てたらしい...
俺が寝た後に潜り込んで来るの、すげぇ嬉しいけどちょっと恥ずかしいんだよな...
学校は休んだ。行ってられるか!あんな重労働させられて...
その後夜までアーシアと適当に過ごして、部室に向かおうとしたが、部長から今日の部活は中止だと連絡が来てしまった...1日使い魔に捜索させて見つかっていないから、本格的に探すのだろう。
俺にはここまでの大事になるとは思わなかったから厳しいトレーニングを与えてしまった。今はなるべく体を休めていつでも動けるようにしなさいと言われてしまった...
確かにタイミングが悪い...多分今日辺りだよな?とはいえアーシアの
柔軟も済んで、体の調子を整えていた所で、部屋に魔方陣が開いた。
「イッセー!アーシアは居る!?」
部長に問いかけられる。
部長が抱いているのは傷だらけのイリナだった。
俺はすぐにアーシアを呼んで治療してもらう。
その間に部長から説明がなされた。
なんでも部長の住む家の近くに、
うぉぉ...俺が家にいる間に凄く色々な話が進んでるな...
「二人とも、学園へ向かうわよ!」
「「はい!」」
イリナはアーシアの部屋に寝かせておいた。
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「学園を大きな結界で覆っています。これで余程の事がない限りは外に被害は出ません...」
匙が現状報告をしてくれる。
駒王学園近くの公園でグレモリー、及びシトリー眷属が集結していた。木場は居ないけれど...
今はゼノヴィアと行動してるはずだ...無事で居てくれよ?
会長から、コカビエルが力を解放しつつあること、それはこの町全域に影響があるレベルであること。自分達は結界を全力で維持するから、グレモリー眷属で中の事態に対処してほしいことが挙げられた。
朱乃さんがサーゼクス様を呼んでいたようで来るのは一時間後だそうだ。もっとはよ来れないものか...
まぁ魔王だし、これよりやばい案件とかも抱えてるのかもしれないな...
所詮は人間界のとある国のとある町の事件...ということか?でもリーアたんの危機ゾ?やっぱ急いでなおそれだけかかるのだろう...
『クックック、相手はコカビエルか...いいじゃないか...目にもの見せてやろう、相棒。』
珍しくドライグもやる気だ...
最近ちょっと元気無さそうだったしよかったね。
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正面から入ったと同時に、俺は女王にプロモーションする。プロモーションってゲームより野良の戦いの方が圧倒的に使い勝手いいよな...どうでもいいですねはい。
校庭には四本の剣が光を発しながら宙に浮いており、それを中心に怪しい魔方陣が校庭全体に描かれていた...
「これはいったい...」
部長が呟く
「四本のエクスカリバーを一つにするのだよ」
バルパーが答えてくれた。
「バルパー、後どれくらいで統合できる?」
空中にいたコカビエルから声が聞こえた...
やっぱりやべぇ...まじで桁違いだ...
見るだけでわかる...強えぇ。
「5分もかからんとも、コカビエル」
バルパーの声が聞こえた。
「そうか。では頼むぞ。それで?一人くらいは魔王も来るのか?」
「お兄様とレヴィアタンさまの代わりに私たちが...」
部長がそう言った瞬間爆音と爆風が撒き散らされた。
爆風が落ち着くと、体育館が消し炭になっていた...
「つまらん...」
コカビエルが光の槍を放ったらしい。
心底体が震える...これがグレゴリ幹部の力...
「さて、では暇潰しに俺のペットと遊んで貰おうか」
虚空に開いた穴から三首の十メートルはある巨体の化け物が現れた。
「ケルベロス...」
「やるしかないわ!消し飛ばすわよ、皆!」
部長が叫ぶ。
「イッセー、貴女はサポートに徹して。譲渡の力で仲間をサポートしなさい。」
「はい!ブーステッド・ギア!」
『Boost!』
「ところでイッセー、譲渡は何回使用可能かしら?」
「限界まで高めた物を5回までです。」
「そう、少しは余裕があるのね。時間があればだけど...」
部長はそう言うと朱乃さんと共に空を舞った。
部活の女子メンバーで連携して攻撃するが倒しきれていない...
結構ダメージ入ってそうなのにタフすぎん?
などと考えていると後ろから恐ろしい気配を感じる。
もう一匹のケルベロスが現れたのだ。
咆哮を上げて俺とアーシアの所に駆け出した。
俺は即座にアーシアを抱いて翼を生やす。
飛んで逃げようとしたところで...
ケルベロスの首が一つ切り落とされた。
「加勢に来たぞ」
そう呟いたのはゼノヴィアだった。
言うや否やケルベロスの胴体を聖剣の力で斬り飛ばす。止めとばかりにもう一度胴体に深々と突き刺して、ケルベロスは塵芥と化した。
聖剣が魔に属するものに特効を持っているとはいえ、恐ろしい力だな...
俺に刺さったらと思うと恐怖でいっぱいだ...
『相棒、そろそろケルベロス程度なら充分だと思うが?』
「そうなのか...」
自分の倍化はともかく、他人への譲渡はどれくらいが適量がわかりづらいから助かった...
「部長!もう充分です!」
「イッセー、あなたの譲渡は複数に対しても有効なのよね?」
「はい!可能です!」
「なら私と朱乃に渡しなさい!!」
「了解です!アーシア、ここで待っててくれ。」
俺は飛んで二人に力を譲渡した。
二人の魔力が迸る...
朱乃さんが雷撃を食らわせようとすると、ケルベロスが回避しようとした。
しかし、ケルベロスの体を複数の剣が貫く。
「逃がさないよ」
「木場ぁ!」
木場が来てくれたのだ。
一方部長は巨大な消滅の魔力を迸らせて、コカビエルに向かって発射する。
しかし、コカビエルはその一撃を片手で防いでしまった。
「なるほど?赤龍帝の力があればここまで力が跳ね上がるのか...」
などと、コカビエルが楽しそうに笑っている時に
「完成だ!」
バルパーの声が聞こえた。
圧倒的な光量によって校庭全体が見えなくなる。
「クックック...エクスカリバーが一本なったことで下の術式も完成した。後20分もせずにこの町は崩壊するだろう。解除するにはコカビエルを倒すしかないぞ?」
は...?
町が崩壊する...?
そんなこと...
でも、確かに術式からは信じられないほどの力を感じる...
町が壊されるだと...?
つまり...こいつらは...
駒王町の人々を殺してやるとそう言ってるのか...?
ドクンと
それにその術式の起動地点はここだ...
それはつまり、ここにいるメンバーがそれだけの破壊に中心として巻き込まれるって事だろう...?
誰が生き残れる...?
それってアーシアが死ぬって事じゃないのか...?
アーシアが...死ぬ...?
「イッセーさん...?」
隣からアーシアがこっちを心配そうに見ている。
愛しのアーシア。俺の大切な人。
アーシアの命が脅かされているんだぞ...?
ヴァーリに任せるだと...?原作では助かっただと...?
ヴァーリが絶対に来る保証がどこにある?
大体原作がどうした...今までだって俺のちょっとのミスや行動で周りの行動は変化してきただろうが...!!!!
なのになんで俺は今回は皆に任せれば大丈夫などと安心していた...?
そんな事ない...常に...いくらでも脅威はある...
そういう世界だろうが...知ってるだろうが!!
内心思ってた...原作の兵藤一誠よりも、少しは強いって...だからちょっとは余裕があるって...
調子に乗ってたんだ...
バカか俺は...!!!
自分で余裕がないなんて言いながら!
内心は大丈夫だって考えてたんだろ...
自分は未来を知ってるって...賢者にでもなったつもりで...
原作にある程度沿っていれば大丈夫だって...!!
俺は今まで本当の強者と対面したことがなかった...
だから今までわかってなかったんだ...!
奪われる恐怖を...!
勝てない恐怖を...!
俺はバカだから...本当の死の恐怖を知らなかったんだ...
クソ!!コカビエルなんか倒せるわけが...!!
「イッセーさん!!!」
「!!」
アーシアが抱きつく...
「イッセーさん...大丈夫です...私がずっと一緒にいます...だから...そんな顔しないで下さい...」
「アーシア...」
さっきまで、怒りや恐怖でぐちゃぐちゃになっていた心に暖かい物が流れ込んでくる。
いつもそうだった...どんなに怒ってたって、怖くたって、悲しくたって...
アーシアの一言で...アーシアの体温で...アーシアの存在で救われてきた...
この世界に来てから...急に怖くなった夜はアーシアに出会える事を夢見て、不安を掻き消した。辛い事も、アーシアを守れる力を付ける為だと我慢した。
兵藤一誠を消してしまった罪の意識もアーシアに救ってもらった...今も...
「アーシア...大丈夫...ありがとう...」
「イッセーさん?」
俺を生かしてくれたのはアーシアだ。なら俺の全てはアーシアの為にある。アーシアの為にならなんだってできる。アーシア為なら何にだってなってやる...
「ドライグ...いけるな?」
『........あぁ...後はきっかけだけだ。』
「そうか...」
俺はアーシアに向き合う。
「......なぁ、アーシア...キスしてもいいか?」
「.......へ?」
俺はアーシアの肩を掴む。
「あ...あのイッセーさん...?」
アーシアの顔がどんどん赤くなっていく。
「と...突然なんで...?えっと...あぅあぅ...イッセーさん...?」
「アーシア...愛してる...」
「あっ....イッセー...さん.....んむ」
俺の唇とアーシアの唇が触れあう。
脳ミソにスパークが走る...
これが...これがキス...
やわらかい...
唇を当てるだけの軽いキスだ...
それでも胸と唇の先がどうしようもなく熱い...
それだけの事がどうしようもなく嬉しい...
数秒の後、俺は唇を離した...
「あっ...」
アーシアが上目遣いでこっちを見ている。
耳まで真っ赤にして、しっとりと涙で目尻が濡れている。
「ありがとうアーシア...これで、俺は飛べる...!!」
「イッセーしゃん...?」
『Count down!3 minutes!』
俺はアーシアを抱きしめる。
「アーシア...俺はいつもアーシアに助けられてきた。...だから、俺はアーシアを守れる男になりたい...アーシアを守れる力が欲しい...」
「イッセーさん...」
「だから...見ていて欲しいんだ。今の俺を...これからの俺を...俺はたった今アーシアを守るために生まれ変わった...俺という人間の全てはアーシア、君のためにある。愛してる...好きだ...アーシア...」
「はぅ...あの...私も...私もイッセーさんの事が大好きです...」
「ありがとう...これからも変わらず...あの日の約束を守っていく...ずっと一緒にいよう!」
「はい!」
俺はアーシアから少し離れて、コカビエルの方へと歩きだした。
残り時間数秒、俺は駆け出した。
「うぉおおおおおおおお!!!アーシアぁあああああ!!!愛してるぞぉおおおおおお!!!!」
そうだ...俺の中にある、大きな感情なんてアーシアへのこの愛以外に存在するはずがないのだ。
『Welsh Dragon over Booster!!!!』
俺の叫びは校舎全体に響き渡り、それと同時にブーステッド・ギアから赤い光の奔流が溢れ出る...
赤き龍のオーラが身体中を包み、龍の鎧を生み出す
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!』
「
『相棒!正式な
「文句は言ってられねぇ!!!俺の全部ぶつけるだけだぁぁあああ!!!」
俺は部長の元へと飛んでいった。
「部長!全ての魔力を注ぎ込んだ一撃を出して下さい!力を譲渡しますから!!!」
「イッセー!?なんなのそれは...!それに急に叫んで...」
「いいですから!!」
『Transfer!』
「んんもう!わかったわよ!やってやるわ!!ちょっと時間かかるわよ?」
「ありがとうございます!じゃあ俺行きます!!」
「コカビエルぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
「来るか赤龍帝!!いいぞ!!来い!!!」
俺は全速力で飛んでコカビエルに殴りかかる。
二撃、三撃と顔面を殴るが効いていない...
「この程度かぁぁあ?お前の力はぁぁぁぁ!!」
コカビエルに蹴られて、ものすごい速さでグラウンドに衝突した。
「がっっっっっは!!!!ぐぅぅぅぅうぅ!!!」
すぐに飛び立った。さっきいた場所にコカビエルの光の槍が降る。恐ろしいほどの破壊が撒き散らされる。
空高く飛び上がった俺はコカビエルに向かって突撃し
た。
「おらぁあああああああああ!!!!」
コカビエルは受け止めるつもりのようで構えを取った。
「なめんなぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
もの凄い勢いで衝突する。
「ぐぅぅぅぅう!!!やるではないか赤龍帝!!だが!まだ足りんわ!!!」
完全に勢いを殺されて、そのまま腹を蹴り飛ばされる。
「ごっっっっっぱ!!!」
大量の血を吹き出して上空に吹きとばされる。
腹部の鎧が完全に砕け散っている...
「そうら!避けろよ?死にたくないだろう?」
コカビエルが光の槍を何本も投げる。
俺は霞んだ目で辛うじて避けていく...
くっそ!!全然敵わねぇな...!!
「うぉおおおア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ージア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」
宝玉が光り輝く。
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』
肉体の限界を超えて倍化が行われる。
体はもうまともに動かない...
なら後はオーラと魔力を使うだけだ!!!
部長の極大の魔力が飛んできた。
これを絶対にコカビエルに当ててやる...!!!
俺は悪魔の羽を使って飛行する。
「コカビエルぅぅぅぅっぅっぅ!!!!!」
俺は持ってるもの全てを込めた一撃を譲渡で倍化する。
「くらえぇぇぇぇええええ!!!!」
コカビエルが俺の一撃に対応する。
難なく止められた。
しかし逆から部長の魔力が迫る...
両方を片手で受けられるか!!?コカビエル!!!
「ぐぅううう!!!!ぬぉおおおおお!!!!!!」
大爆発が発生する。
ざまぁみやがれ!!!!
俺は鎧が解除されて、そのまま墜落する。
墜落しながら見えた光景は、ボロボロになりながらも、健在であるコカビエルの姿であった。
「くっっっっっっっそ!ちくしょう!!」
もう飛ぶ力も残っていない。
後は墜ちていくだけだ...
「ぐえっ!!」
突然何かに抱き抱えられた。
そちらを見ると純白の鎧が視界いっぱいに広がった。
「白...龍...皇...?」
「それくらいはわかるようで安心したよ。俺の宿敵君?」