アーシアしか勝たん   作:min-can

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第31話。 出会います、強敵!

 俺達は今日、若手悪魔の顔合わせに向かっている。

 

 行きに使った列車を使って魔王領にはいる。更に長距離ジャンプ用の魔方陣も何度か潜り抜けて列車は進んだ。

 どんだけ遠いんじゃ...

 

 列車に乗ること30分、都会っぽい所に出た俺達は地下鉄に乗り換えて会場に向かうらしい。

 ホームを降りてすぐ部長を呼ぶ大歓声が聞こえた。

 アーシアがあわあわしている。可愛い。手を握ってあげた。

 ギャスパーもびびってたけどギャー助は知らん。頑張れ。

 

 朱乃さん曰く、部長は魔王の妹かつ美人故にさまざまな悪魔から憧れの的らしい。

 そらそうやね。

 おーい!!うちのアーシアも見てあげてー!!!

 部長より可愛いぞー!!!

 

 ひえっ部長に睨まれた...心を読まないで...

 

 ────────────────────────

 

「もう一度確認するわ。何が起こっても平常心でいること。何をいわれても手を出さない事。上に居るのは将来のライバルよ、無様な姿は見せられないわ」

 

 部長、ディオドラ見たらヤバイかもです。

 あいつほんっと、一瞬でもアーシアに触れたら許さねぇ!アーシアが穢れる...見るのも極力許さん...

 

「....不服そうねイッセー、何かあるのかしら?」

 

「いえ、すみません。何もないです。問題を起こす気も一切ないです!本当です!だから術式は勘弁を...」

 

「頼むわよ?」

 

 エレベーターを降りるとあの人がいた...

 サイラオーグさん!会いたかった...!!

 この人も俺が打倒したい相手の一人だ...

 原作でも最高に熱かった。

 

 姿を見るだけで体が武者震いするようだ...

 かっこいいな...俺もあんたのようになりたいぜ。

 

「久しぶりだな、リアス。」

 

 部長と握手していた。

 

「ええ、変わりないようで何よりよ。彼はサイラオーグ。私の母方の従兄弟でもあるの。」

 

「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ。」

 

 それからサイラオーグさんが、喧嘩が始まったから出てきたと語った。

 非常につまらなさそうだった。

 そらそうだ、あの中に今サイラオーグさんを倒せる奴はいない。

 だからこそ、俺が同じ所まで登ってみせる...

 それに最近は引き分けたり、負けてばっかりだ...

 いい加減勝利のイメージを付けたい...

 サイラオーグさんくらい、立派で強い男に勝ちたい...

 なんか最近戦闘狂みたいになってきたな...

 でも、アーシアをこの世界で守り抜くってのはそういう事だろう...!

 

「ん?どうした、リアスの眷属君。随分楽しそうじゃないか...」

 

 俺はびくりとしてしまった。やべ!!

 

「すみません!なんでもないです!」

 

「はは、闘志が漏れてたぜ?うん...いいな、君。今はまだまだ未熟なようだが、心地いい闘志だ。強くなれよ?楽しみにしておいてやろう」

 

「....!ありがとうございます!いつかきっとあなたに恥じない強さを手に入れてみせます!」

 

「イッセー、平常心と言ったでしょう?」

 

「はは、いいじゃないか元気があって。君に会えただけでも収穫だったかな?君、名前は?」

 

「兵藤一誠です!リアス・グレモリー様の兵士、赤龍帝です!」

 

「...!君が噂の悪魔になったという赤龍帝か...ますます楽しみになってきたな」

 

 ククと少し楽しそうにしてくれる。俺はそれが嬉しかった。

 なんかこう、胸が熱くなってくる...!

 

「では、掃除ついでに君に俺の力を少しだけ見せてあげよう」

 

 そういうと、サイラオーグさんは広場で喧嘩する二人の間に割って入った。

 

「アガレス家の姫シークヴァイラ、グラシャラボラス家の凶児ゼファードル。互いに矛を収めろ。...これは最後通告だ。次の言動次第で問答無用に行かせてもらう」

 

 恐ろしいほどのプレッシャーが広がる。

 すげぇ!!これが一端とはいえ、サイラオーグさんの力...!

 

「バアル家の無能がっ!」

 

 恐ろしいほど鈍い打撃音と共にゼファードルは壁にめり込んだ。

 

 ゾクゾクと背中に何かが迸る...

 怖い...すごい...かっこいい...強い...勝ちたい...!

 サイラオーグさんがチラリとこちらを見てくれる。

 

 サイラオーグさんはゼファードルの眷属に介抱を指示すると、スタッフに広間の掃除も指示した。

 

「赤龍帝、俺とやり合いたいなら、これくらいはできるようになってくれよ?」

 

「...!はい!ありがとうございます!!」

 

 俺は直角に頭を下げる。...こんなに弱い俺にも真摯に相手してくれる...!やっぱり凄い人だ...!!

 

 後で部長にしばかれた。ごめんなさい。

 

 ────────────────────────

 

 大広間は無事に修復され、若手悪魔の皆で挨拶が始まった。

 

「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さんよろしく」

 

 ディオドラ...ムカつくけど、さっきやらかしたばかりなので今回はきちんと抑える...

 優しげなイケメンって感じだ...

 これが鬼畜趣味なんだから世の中ほんとわからねぇな。アーシアに手を出そうとしたら殺すけど。

 

 準備が整ったようで、使用人のアナウンスで俺達全員は会場に案内された。

 俺達よりかなり高い位置に三段ほどの舞台があり、一番上の段に魔王様四人がいた。

 セラフォルー様は今日は流石にレヴィアたんではなかった。良かった、まだ威厳あるよこれなら。

 

「よく、集まってくれた。これは次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認し、見定める会合である。」

 

「早速やってくれたようだがね...」

 

 苦言、といった感じでお髭の悪魔が語る。

 

 その後あーだこーだと話が進んでいった。

 最後にそれぞれの今後の目標が語られる事になった。

 

 サイラオーグさんは魔王になること。この人は並々ならぬ意思でこれを叶えようとしている。

 

 部長はグレモリー次期当主として生き、レーティングゲームの各大会で優勝する事と語った。

 

 会長は冥界にレーティングゲームの学校、それも下級や転生悪魔が通える学校を作るというものだった。

 頭のお堅い悪魔様達はそれについて嘲笑したり、うだうだ言っていた。匙がそれにキレる。気持ちはわかるしよくやったと言いたいけど、それは主の評価を下げる...

 しかし止められる位置にいないし、俺が止めに入るのでは更に会長の評価が下がるだろう。

 静観する。

 会長が自ら匙を沈めると、セラフォルー様がソーナちゃんをいじめないでとぷんすこと怒っていた。威厳ねぇ...でも発言力はピカ1だな!

 

 などと思っているとサーゼクス様が

 

「ちょうどいい。では、若手同士のゲームをしようじゃないか」

 

 などと言い出した。まぁ予定調和なんだろうけど。

 アザゼル先生が集めた各勢力のレーティングゲームファンが観戦する若手の試合、そして俺達の修行の総仕上げでもある戦いの相手として選ばれたのが会長だという事だ...

 部長、会長の二人はバチバチに燃えている。親友兼ライバルだもんね。

 

 ────────────────────────

 

「シトリー家と対決とはな...しかも対戦までは20日程度か...」

 

 アザゼル先生がそう呟く。

 明日の朝から修行が始まるらしい。

 ヴァーリ、サイラオーグさん...既にこれだけのライバル...まぁ今は勝負になってないが、あえて、ライバルと呼ぼう...ライバルが出来たんだ!

 奴らに勝つためにも、この修行のうちに俺だけの新しい可能性に行き着きたい!

 

 といった所にグレイフィアさんから温泉の用意ができたと連絡があった。

 

 アザゼル先生は鼻歌を歌いながら温泉に浸かっている。俺もすっげぇ気持ちいいからゆったりだ...

 

 ギャスパーが入り口でうろうろしていたので、俺は引っ張ってくる事にした。

 

 ギャーギャーうるさかったが、浴室に入れてやれば黙った。湯船にも入らず浴室の隅でいじいじしてるが...まぁ中なら温かいだろうしもうなんでもいいや。

 吸血鬼は流水が苦手とかあった気がするし。

 

「ところで、イッセー。もうアーシアとはヤったのか?」

 

「ぶっ!急に何言うんですか!!」

 

「あん?ただの雑談だろが。で?やったのか?」

 

「まだですよ...そもそもアーシアは敬虔な信者なんです。婚前交渉はしないと二人で決めました!」

 

「まじかよお前...よくやるなぁ...じゃあこのままずっと結婚するまでお手つき無しか?我慢できるのかよ...」

 

「それはっ!....難しいかもですけど」

 

「けっ、まぁ頑張るんだな。あぁアーシアがどれくらい真剣に考えてるかによるが、寛容になってくれるってんなら前戯くらいなら許してくれるんじゃないのか?」

 

「ぐっ...アザゼル先生!下世話な話はやめてください...向こうに聞こえてしまいます!」

 

「あ?んなもん聞かせてなんぼだろ。おいアーシアー!」

 

「やめてくださいって!!あーあーあーあー!!!」

 

「ったくお前はつまんねぇ奴だなぁ。俺達の前で大口叩いた野郎とは思えねぇぜ」

 

「今日サイラオーグ様にも大口叩いたよね」

 

「木場ぁ!あれは違うんだよ...!憧れっていうか、いつか倒したいっていうか!」

 

「あれにも何か言ってきたのか...お前は度胸が有るんだか無いんだかよくわからん奴だな。ま、頑張れよ。強くなるんだろ?」

 

「はい...頑張ります!」

 

「お前には特別厳しい修行つけてやるよ」

 

「ばっちこいっす!」

 

「言ったな...ククっ、実際に見たときどんな反応するか楽しみだぜ」

 

 ────────────────────────

 

 次の日の朝、グレモリー家の庭に集合した。

 データらしき物を持ってるアザゼル先生が俺達に語りかける。

 

「今回のトレーニングメニューは将来も見据えている。すぐに効果が出るものもいれば、長期的に見なければならない者もいる。ただ、お前達は成長中の若手だ。方向性を間違えなきゃグングン成長してくはずだぜ」

 

「はい!」

 

「まずはリアス、お前は才能、身体能力、魔力、すべて高スペックだ。普通に暮らしても大人になる頃には最上級悪魔候補だろう。だから、基礎だけで力を高められる。トレーニングはこれだけでいいから、レーティングゲームについてもっと知ることに集中しろ。王としての判断力、それを生み出す為の知識を増やせ」

 

「次に朱乃。お前は自分の血を受け入れろ。お前が雷光を、堕天使の力を使えばフェニックス家の女王なんざ敵じゃなかったはずだ」

 

「私はあんな力に頼らずとも!」

 

「最後に頼れるのは自分の体だけだぞ?自分を全て受け入れられてようやくスタートラインだ。それが出来ないならば今後お前は戦闘で邪魔になる。わかったか?」

 

「..........」

 

 朱乃さんは答えない。

 

「はぁ...次に木場。まずは禁手(バランス・ブレイク)を一日持たせてみろ。それになれたら実戦形式の中でも一日持たせるんだ。後はお前も才能溢れる悪魔だ。基礎トレーニングで事足りる。剣術は自分の師匠に習うんだったな?」

 

「はい、1から指導してもらうつもりです」

 

「次、ゼノヴィア。お前はデュランダルを使いこなせるようにしろ。後はもう一本の聖剣にも慣れてもらう。もう一本については後で説明してやる」

 

「わかった」

 

「次にギャスパー。お前はまず人前に慣れろ。心身さえ鍛えれば才能もあるし、いくらでも強くなれる」

 

「ひぃぃぃぃ!頑張りますぅぅぅぅ!!!」

 

「次にアーシア。お前も基礎トレーニングで体と魔力を鍛えろ。そしてメインは神器(セイクリッド・ギア)強化だ。オーラを拡大したり、オーラを飛ばしたりして回復できるように修行してもらう」

 

「はい!」

 

「お前の神器(セイクリッド・ギア)はこのチームの要だ。だからこそ体力トレーニングもしっかりこなすんだぞ?お前の体力がそのままチームの生命力だ」

 

「頑張ります!」

 

 アーシアはペコリと頭を下げる。可愛い。

 

「次に小猫。お前も他の連中同様、基礎の向上をしておけ。後はお前も朱乃と同じだ。自分を受け入れろ、話はそれからだ」

 

「........」

 

「最後はイッセー、お前は...」

 

 と言ったところでデカイ影が現れた。

 大質量が着地し、地面が揺れる。

 

 俺はあまりのデカさ、そして暴力的なまでのオーラに開いた口が塞がらない。

 

「こいつはタンニーン、魔龍聖(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)。最上級悪魔、かつかつての龍王だ」

 

「久しいなドライグ。聞こえるのだろう?」

 

『あぁ、懐かしいなタンニーン』

 

 ドライグが喋り出す。

 

「タンニーン、このガキにドラゴンの力の使い方を1から教えてやってほしいんだ」

 

「わかった。ドラゴンの修行といえば元来から実戦方式。俺にこの少年を苛め抜けということだな?」

 

『手加減してくれよタンニーン。こいつはあまり強くないんだ』

 

「死ななければ問題あるまい?」

 

 恐ろしい会話が繰り広げられる...

 でも...この地獄を乗り越えて、俺は強くなるんだ!!

 

「期限は20日ほど。基本的にはタンニーンに追いかけまわされながら生きる事が修行になるが、お前には一日一回、禁手化(バランス・ブレイク)して攻勢に出てもらうぞ。その際必ず魔力を限界まで使いきれ。後はまぁ死なない程度に気張れや」

 

「ぐっ....はい!!」

 

 俺は弱音を飲み込んで返事した。

 まずい、早くアーシアとお別れの挨拶をしないと、多分俺は拉致されてしまう...嫌な予感がするもん...

 

 俺はアーシアの方に駆け寄って抱きしめた。

 

「アーシア!俺、頑張るから!死ぬかもだけどなんとか生きてみせるから!アーシアも頑張れよ!一緒に強くなろう!」

 

「はい!」

 

「アーシア!死ぬほど寂しいけど俺、頑張るから!」

 

「はい!私も寂しいですけど、頑張ります!」

 

「アーシア!!!」

 

「もういいか赤龍帝の少年」

 

「あぅ...すみません。もう大丈夫です」

 

「イッセーさん!」

 

 俺はアーシアに呼ばれ振り返ると、キスされた。

 一瞬だけのキス...

 

「行ってらっしゃいのチューです...」

 

 アーシアが恥ずかしそうに顔を赤らめ、口を手で隠しながらそう言った。

 最高かよ...やる気1000倍だぁぁぁ!!!

 

「アーシアありがとう。俺、強くなるからぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 喋ってる途中でタンニーンさんに握られた。

 無慈悲。

 

「リアス嬢。あそこに見える山を借りるぞ」

 

「えぇ、存分に...限界まで鍛えてちょうだい?」

 

「任せろ」

 

「アーシアァァァァ!!!!」

 

 俺は拉致された。

 地獄が...俺が未だかつて見たことのない地獄の特訓が始まったのだった...

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