ドゴォォォォォォォォォン!!
「あっっっっっっぶねぇぇぇえ!!!死ぬぅぅぅ!!!」
「ほら小僧。もっと気張らないと灰になるだけだぞ?」
「嫌だぁぁぁぁあ!!!」
かれこれ数時間全速力で逃げ続けている。
倍化してもいいんだが、如何せん時間が短いし、全然余裕で着いてくるし、倍化がリセットされて急に減速した時に死にかけるしでいいことが少しもない。
めっっちゃ吹き飛ばされて身体中ボロボロになった...
倍化せずに避ける方が安全ってなんなんだ...
空を飛んだ時もあったが、如何せん空の覇者たる龍に勝負を挑むには未熟すぎた。あっという間に捕捉されて、軽く炙られた。
『相棒、
現状
『Count down! 2 minutes!』
カウントは2分に短縮されたが、関係ない...そんなことに喜ぶ余裕がない...!
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!』
「だぁぁぁぁああ!!!」
俺は一転攻勢、ブースターに火を吹かせて空に急上昇する。
「おらぁあああああ!!!!!!」
上からタンニーンさんの背中に向かって突撃する。
「ぐぅぅぅぅ!!!!」
翼で弾き飛ばされて、地面に叩きつけられる。
すぐに起き上がって、全力のドラゴンショットを2つお見舞いする。両方にマックスで譲渡している。
しかし余裕で相殺される!
「くっそ!」
俺は地面スレスレを飛び、腹へと攻撃しようとする。
「あっっっっっずぃぃ!!!!!ぎゃああああ!!!」
タンニーンさんは下に向かってブレスを吐く...
ブレスの勢いで吹き飛ばされる。
俺は、ブースターに譲渡する。
自分でも制御できないほどのスピードで突撃する!
唯一ヴァーリの鎧にダメージを負わせた攻撃だ!
ブレスを切り裂き、タンニーンさんの足へと突撃する。
バキィィィィン!と音を立てて俺の鎧が砕けた。
「がぁぁ!!!固ってぇぇぇぇ!!!!」
「ほら」
タンニーンさんが爪で俺を弾く。
「ぐわぁぁぁあああ!!!!」
それだけで何十メートルも吹き飛ばされる...
「ぐぅ...くっ...!」
なんとか立ち上がり、再びブースターを起動しようとするが...
『相棒、魔力切れだ』
「うっ...もうか...」
『もうかってあからさまに使いすぎだろう...特にブースター...あれは諸刃の剣だ』
「でも、現状あれが一番点での攻撃力が高いから...」
『それでもタンニーンの鱗には傷ひとつつかなかったがな...』
「わかってる!魔力がないなら、体力でカバーするんだよ!!」
俺は全力で駆ける。
「もう魔力切れか?全く...お前は魔力が低すぎるな...」
と言いながら俺の事をハンバーグの空気を抜くようにバシバシと左右に飛ばしながら叩く。
「がぁぁぁあ!!ぐぅぅぅ!!ぎゃぁぁぁ!!!」
最後に一発吹き飛ばされると、俺は鎧が保てなくなった...
「今日は終わりだな。後は基礎トレーニングをしておけよ...」
タンニーンさんは俺とタンニーンさんが過ごす住居エリアに戻っていった。
住居エリアを設けないと住む場所が無くなる...
既に山の大部分が焼け野原や溶岩地獄だ...
なんだこの修羅の山...
基礎トレーニングは2号を着けての筋トレだ。
走り込みはタンニーン鬼ごっこでいいらしい。助かった。助かってない。
「んぎぎぎぎぎぎ!!!!」
ただでさえ、身体中ボロボロなのに...更に筋トレで酷使させられる...
それでも...ヴァーリはとんでもない血筋を持っている。強敵との戦いに常に身を置き実力を高めている。
サイラオーグさんは狂気的なまでのトレーニングで信じられない次元まで肉体を高めている...
少しでも追い付かないと...!
「がぁ!はぁ!はぁ!はぁ!あぁ!!はぁ!!」
トレーニングも終わって、一応一日の修行はこれで終わりになる。
後は
────────────────────────
今日も今日とて、いつもの場所だ。
「こんにちわ、今日も来ましたー。」
「今日はあなたにしますね。えっと、この前はアーシアとの出会いからアーシアとのファーストキスまでの話をしましたよね。次はアーシアのとのデートの話をします。ふふふあれは...」
「...........龍に嬲られているのか」
「...!!」
俺が声をかけていたおっさんが声を発した。
「はい!龍に毎日ボロボロにされています!」
「..........憎くないのか。破壊してやりたくないか。殺してやりたくないか」
初めてのコンタクトだ!絶対にこの機会を逃さない!!
「憎くありません。破壊したくありません。殺したくありません。俺は
「.....殺せ、破壊し尽くせ、全てを壊せ、滅ぼせ、滅しろ、焼き尽くせ、消し飛ばせ、殴り殺せ...」
「どれもしません。どれも必要ありません。もう恨む必要はありません。あなたはもう解放されていいんです」
「...我、目覚めるは覇の理を神より奪いし二天龍なり」
『相棒!まずい、呑まれるぞ!!』
「いい加減にしろ!!!あんたはもう死んでるんだ!あんたの復讐はもう終わったはずだ!!生きてる次の赤龍帝を取り込もうとするな!!もう解放されていいんだ!!お前の戦いはとっくの昔に終わってるんだよ!!!」
「...無限を嗤い、夢幻を憂う」
「俺はアーシアとずっと一緒にいるって誓ったんだ!!お前の呪詛なんかに囚われてたまるかよ!!!俺はアーシアをずっと守るって誓ったんだ!!」
「....我、赤き龍の覇王となりて」
「あんたにも大切な人が居たんじゃないのか!!?守りたかったんじゃないのか!!?だからここに居るんじゃないのか!!?なぁ!!!俺は...絶対にお前らなんかに屈してやらない...俺は!!アーシアを守るんだ!この無駄に厳しい世界でアーシアと一緒に暮らすんだ!!!邪魔をするな!!!!」
「....汝を....紅蓮の.....」
声が止まった。
「..........君は...守れるのか...」
「守ってみせる!!絶対に!!!」
「........そうか。ならば私は行くとしよう...」
そういって、その男は立ち上がった。どこか彼方へ歩いていく...
『一人、行ったか...』
「....あぁ」
『奴は目の前で愛する者を失った事で覇龍となり、死に絶えた。きっとお前の声に影響されたのだろう』
「そっか....」
『だが、ここには信じられんほどの復讐心や殺意を持つ者もいる。これからも似たような方法で呪詛を否定できるとは思わん方がいいだろう...』
「そうだな...」
────────────────────────
「おい小僧大丈夫か?」
「タンニーンさん...?」
「突然龍の気が肥大化したから、よもや何かあったのかと思ったが...」
「いえ、なんとか大丈夫...です」
「そうか...まぁ今日はもう休め。食糧くらいは取ってきてやろう」
「...ありがとうございます」
滅茶苦茶疲れた....
多分寿命を削ってるとかそういうわけじゃないと思うけど...ほんの一瞬
『かなり危なかったぞ相棒』
やっぱり?まぁ...なんとかなったし...一旦寝る...
..............
『よもや、言葉だけで呪詛を一人分とは言え否定してしまうとは...クク...やはりこいつは面白い』
────────────────────────
次の日はあまり力が入らなかったので、タンニーンさんに魔力の扱いを習っていた。
ブレスも習った。できたけど...なんか人間を辞めた気がしてきた...悪魔だけど。
次の日は無事回復したので、ボロボロにされてしまった。
更に次の日、滅茶苦茶に追いかけられていると声が聞こえた...
「おーおー、やってんなぁ!」
アザゼル先生だった。
アーシアが作ってくれた弁当を持ってきてくれたらしい。
久しぶりのアーシアの味に、久しぶりの人間の食事に俺は感涙の涙を溢す...
「うっうっ...うまい...うまい...生きてる...うぅ...アーシアぁぁ...先生...アーシアに会ったら、俺が滅茶苦茶感謝してたって伝えて下さい...」
「泣きながら食うなよ...ったく、あぁ伝えといてやるよ。それにしても、まぁ体は元から悪くなかったからいいんだが、魔力もちったぁマシになってきたんじゃないか?」
「そうですね...毎日魔力を全部使い尽くすなんて経験したことないですし...全部実戦形式ですし...かなり成長できてる気はします」
「そうか...そういや龍の気が一瞬暴走したらしいな。一体何をしてるんだ?」
アザゼル先生が真剣な顔で俺に尋ねてくる。
「
「へぇ...随分危ない橋を渡ってるんだな。だがまぁ
「まぁはい。あんまりそっちの進捗は...ようやっと少しって感じですけど。」
「ま、頑張ってくれや。お前がヴァーリに勝ちたいってんなら、兎にも角にも体力も魔力もどこまでも上げるしかねぇんだからな」
「頑張ります!」
「よくいった小僧...では早速続きを始めようか」
「ひぃぃ!後少し!アーシアの弁当が完全に俺の胃のなかに入るまで待ってください!!そこまでいったら死んでも吐きませんから!!」
俺は再び死ぬほど追いかけられた。
────────────────────────
「こんにちわ!今日も来ました。」
俺が神器の中に入ると、消えたはずのおっさんが俺の近くに立っていた。
「!!なんでいるんですか!?もう消えたはずじゃ...」
「....君を...君と想い人を見守る事にした」
「そ...そうなんですか...ありがとうございます!」
「.........頑張りたまえ....」
「.....!はい!」
俺は他の人にアーシアを布教しようとしたが、今日も無視され続けました。でも、全く効果がない訳じゃない!根気よくだ...!
────────────────────────
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!』
その日は修行最終日だった。
俺はタンニーンさんと全力で戦う。
今の俺の現状は
自分で言うのもなんだが、かなり強くなったと思う。
「おらあああああ!!!!」
俺はタンニーンさんのブレスを譲渡したドラゴンショットで打ち消す。
ブースターから火を吹かせ接近。タンニーンさんの顎に突撃して殴る。更にドラゴンショットを譲渡してぶつける。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
俺は腹に潜りこんで更に攻撃しようとするが、
「ちょこざいな!」
タンニーンさんは倒立のような体勢になって、俺にブレスを放つ。
俺はブースターに譲渡して、タンニーンさんの口元までなんとかたどり着く。
身体中が焼き付く感覚があるがお構い無しだ!タンニーンさんの口の中でもう一度ドラゴンショットを放つ。即座にブレスと混ざって大爆発を起こす。
「ぐぅぅぅぅ!!!」
俺は黒煙を上げながら吹き飛ばされる。
「がはっ!!」
タンニーンさんも口から煙を吐いている...
「ったく...鬱陶しい事ばかり考えよって...」
「あんたの鱗が固すぎてまともにダメージ入らないからだろうが!」
「一発ぐらい、鱗の上からでも入れてみたらどうだ。なんなら動かずに受けてやろうか?」
タンニーンさんが挑発する...
俺はずっと考えていた。トリアイナではないが、それらしい事ならできるんじゃないかと...
ドライグに相談した結果、片腕だけなら
「ちょっと時間かけますけどいいですよね?挑発したのはそっちですからね!」
「あぁ構わんとも」
「頼む、ドライグ!!!」
『わかった。』
『Move Burst Impact Booster!』
鎧の装甲の一部が浮き出し、装甲が俺の左腕に集まっていく。背中のブースターも俺の肘に移動した。
更に装甲が生成され、俺の左腕は通常の何倍も分厚くなる。
紛い物の模造品。そう呼称するしかない代物だ。
身体中の装甲が薄くなり、左腕に集まる。
防御力が激減し、左腕にオーラが集約される。
スピードは落ち、バランスも悪い。
この状態への変形におよそ10秒。
欠陥品に等しい仕上がりだが...
ただし、その左腕の一撃には必殺の威力が宿る。
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』
「行くぞぉぉぉぉぉ!!!!!」
俺は肘のブースターを起動させ、タンニーンさんの元へ接近する。
タンニーンさんの足元に到着した後、ブースターに譲渡して過剰なパワーの供給によってブースターが炸裂する。
『Transfer!!』
バゴンとブースターが爆発し、神速で放たれた拳はタンニーンさんの鱗を砕く。
その衝撃の反動で俺も吹き飛んだ。
「ぐぅ!!」
タンニーンさんが苦悶の声をあげる。
増幅した俺の左腕は砕けて元の大きさに戻り、鎧も元の形に戻る。
ただし、今の一撃で俺の体力は殆ど持っていかれた。
「ぐぅ...なるほど。左腕に力を集中し、たった一撃に込めるのか...更にブースターを爆発させて威力を上げる...欠点はいくらでも挙げられるが、もしまともに食らえばと考えると少し恐ろしいな」
「まともに食らって、余裕そうですけど!??」
俺はつい叫ぶ。
「そうでもないぞ...鱗を砕きよって。しかしこれは驚異的な事だ。お前は誇っていい。数週間特訓をつけてやった俺に最大級のお礼というわけだ...いい物を見せて貰ったぞ兵藤一誠。その技は実戦ではすぐには使えんだろうが、可能性の一端というわけだ」
「まぁ...はい」
「よし、これにて最終試験も終了だ。よく頑張ったな兵藤一誠。見違えるようだよ。お前はもう立派なドラゴンの端くれだ」
「そうだと嬉しいです...その!ありがとうございました!!!」
俺は頭を思いっきり下げて感謝する。
俺の修行は大成功と言って過言じゃないと思う。
歴代との対話も可能性の一端を見せ、体力魔力も上昇し、最後には新技も開発できた。新技というかトリアイナの戦車の劣化版だが...
早くアーシアに会いたい...今すぐ会いたい...
あぁアーシア...アーシア...アーシアと触れあいたい...