「では俺はこれで。魔王主催のパーティーには俺も出席する。また会おう兵藤一誠、ドライグ」
タンニーンさんはそういって飛び去っていった。
タンニーンさんはパーティーに俺達を背にのせて連れていってくれるらしい。優しい龍だ...たった数週間だったけど尊敬できる方だった。
「やあ、イッセー君」
木場が現れた。木場もかなり鍛えたようで見違えるようだ。
「イッセー君、かなり鍛えたようだね」
「お前もな。見違えたよ」
「はは、自分で言うのもなんだけど、結構頑張ったよ」
「お、イッセーと木場か」
そう声をかけたのはミイラ女...ゼノヴィアだったわ。包帯巻きすぎたらしい。
怪我しすぎでは?人のこと言えねぇけど...
「ゼノヴィア久しぶり。どうしたんだそれ?」
「いやぁ、怪我をして包帯を巻いてを繰り返していたらこうなってしまった」
「後でアーシアに治して貰えよ...アーシア...アーシアに会いたい...もうすぐ...」
「はは、かなり堪えたみたいだね。アーシアさんとはずっと一緒だったもんね」
「限界間近だったぜまじで...」
そわそわしながら待つこと数分...
「イッセーさん、皆さん!」
この声は...!!!
「アーシア──ー!!!!会いたかった!!!」
「私もです!イッセーさん!!」
俺達は抱擁を交わそうとしたが...
しまった!今の俺、ボロボロドロドロでまともに風呂にも入れてないしくっせぇ!ダメだ!
「アーシアストップ!!」
「イッセーさん?」
「それ以上近付いちゃ駄目だ...今の俺滅茶苦茶汚いし、臭いし...」
って言ったのに構わず抱きついてきた!!
「全然気にしません!それよりずっとイッセーさんと...こうして、触れあいたかったんです...」
「アーシアぁぁぁぁぁ!!俺も会いたかった!!!すっごく会いたかった!!!でも頑張ったんだ!!!アーシアも頑張ったか!!?」
「はい!頑張りました...!イッセーさんも...すごく筋肉がカチカチですね...」
「あぁ...!地獄のような日々だったんだ...」
「!イッセーさん!いっぱい怪我も火傷もしてるじゃないですか!!」
アーシアが
あ──アーシアのオーラあったけぇ...
心が癒される....!
「ありがとうアーシア。
「はい!いっぱい頑張りましたから...」
「...!偉いぞアーシア!そうだ!お弁当ありがとうな!!貰える度にすっっっっごく嬉しかったし、何より元気が沸いてきた!!!」
「ほんとですか...?一生懸命、イッセーさんの事を思って作ったので、嬉しいです!」
あぁアーシア...!なんて可愛い事を!そしてなんて可愛いんだ!
これだよ!歴代の皆様!こんなに可愛いアーシアを見てまだ復讐だのなんだの言うんですか!こんなに世界は幸せで満ちているのに!!!
俺とアーシアは離れた時間を埋めるかのように抱き締め合った...
「やたらと外がうるさいと思えば外出組は皆帰ってきたようね。」
「部長...」
「さて、皆シャワーを浴びたら報告会よ」
俺は久しぶりに暖かいお湯を浴びた。
嘘ついた。水の中に逃げて、熱湯にされてたわ。
あれはまじで死ぬかと思ったな...
あそこからだったんだよな...隠れるんじゃなくて、動いて逃げる方が生存率が高いと気付いたのは。
あぁ~汚れが落ちていく...!
────────────────────────
皆で報告会をしたが、明らかに俺だけ内容がおかしかった。俺だけが文化的な生活を送れていなかった。
アザゼル先生には
「まぁいいじゃねぇか。無事、ドラゴンに近付けたって事でよ!野生化したんだよお前は!」
って言われた。
アーシアに頑張ったんですね!って頭なでなでされた。
あぁ~アーシアぁ...好き...もっと撫でて...甘えさせて...
「ま、今回の修行で一番成果を持って帰って来たのもお前で間違いない。すげぇ経験したんだぜ?誇っていいよお前は。」
とか言われたので、照れるしかなかった。
「しかし、欠陥品だが龍王の鱗をも破壊する新技か...末恐ろしいな」
「まぁなんとか実戦に持っていけるように頑張ります...」
────────────────────────
その日の夜
俺とアーシアはもうずっと引っ付いていた。
あぁ...失ったアーシア分が補給されるぅ...
「アーシア...好き...撫でて...」
「はい...ふふ、今日のイッセーさんは甘えんぼですね。」
聖女の微笑みで俺の頭を撫でてくれる...
あぁ好き。
俺はアーシアに甘えるという事を覚えてしまった。
これはまずい!底無し沼のようだ...
アーシアのバブみが予想外に高いのだ。
あぁ~でももういいや、今はアーシアの優しさに浸かりきりたい...
「甘えんぼのイッセーさんもいいですけど...私もイッセーさんに甘えたいです。イッセーさんほどじゃないですけど...私も頑張ったんです!だから、ご褒美が欲しいです...」
アーシアが俺に身を寄せて、そんな事を言いながら上目遣いでこちらを見つめる...
ぐっ...可愛すぎる...!
でもご褒美ってなんだ!!?
何をすればいいんだ!!?
とりあえず俺はアーシアを抱き締めて、頭を撫でる...
「よ~しよし...アーシア偉いぞぉ...オーラを広げて遠距離で回復できるようにもなったんだよなぁ...ほんとすごいよ。もうアーシアは俺が守るだけの存在じゃないな...これからもいっぱい頼るよ。よろしくなアーシア」
「....イッセーさん...!ぐすっ...私嬉しいです...戦いの時、いつも...私は後ろで皆さんが傷つくのを見ることしかできなくて...この前も気がついたらイッセーさんが死んじゃうんじゃないかってくらい傷ついてて...ぐすっ...イッセーさん...私、これで戦いでもお役にたてますか...?」
「あぁ...間違いなく頼りになるよ...。俺なんか特に、いっつもケガばっかりだからさ...アーシアの回復をいつでも受けられるなら、こんなに頼りになることはないよ!」
「イッセーさん...!」
アーシアが泣き止むまでずっと抱きしめてあげた。
アーシアは泣き止むと、決意を新たにしていた。
俺も頑張らないとな!
────────────────────────
「こんにちわ!ってあれ?何人か居なくなってる?」
「......君の想い人に浄化された...アーシアたんバンザイ...だそうだ...」
「は?まじで言ってます?おかしくなってません?」
「.....事実だ。奴らも呪詛を吐き出しきれば、やがてここに戻り、お前を...お前と想い人を見守るだろう...」
『....嘘は言っていない。お前が久しぶりにあの娘と再会したその喜び、感動に感化され、お前に毎日のようにあの娘の素晴らしさを聞かされていた者達の一部が真にその心を理解して屈したのだ。俺は何を言ってるんだ...?なぁ相棒、俺は今何を言った?うぉぉぉん...意味がわからんぞ...!!誰か説明してくれぇ!!』
「「「「アーシアたんバンザイ。アーシアたんバンザイ」」」」
あっ消えた人達が帰ってきた...
まじじゃん...怖...カルト宗教かよ...でもわかるよ...
俺も参加しよ。
「「「「「アーシアたんバンザイ!アーシアたんバンザイ!」」」」」
『んおぉぉぉぉん!お前達...!それでいいのか!!本当にいいのか!!?』
「「「「「アーシアたんバンザイ!!アーシアたんバンザイ!!」」」」」
『んおぉぉぉぉぉぉぉぉん!!もういやだぁぁぁ!!!結局こうなるんじゃないかぁぁあああ!!!』
────────────────────────
....ひどい事になってたな...
アーシア...君の魅力はやがて、全てを包み込むのだろう...俺!頑張って布教するよ!アーシア!!!
歴代皆をアーシアで浄化した時初めて、俺の...俺だけの道が開く...確信した!!
待ってろよ...!全員!アーシア教に落としてやるぜ!!
「....イッセーさん?」
アーシアを起こしてしまったようだ。
「アーシア...アーシアの魅力は縦軸でも横軸でもグローバルだったよ」
「....??」
全然意味わかってなさそう。俺もわからない。
誰も意味がわからない。
ただひとつの事実は
アーシアたんバンザイ!アーシア可愛い!
これだけだ。
────────────────────────
次の日、魔王主催のパーティーに行くための準備が始まった。
このパーティーで子猫ちゃんが黒歌に連れていかれそうになるんだよな...
助けにいかない手はないんだが...
アーシアを置いていくのは心配だ!
後もうしばらくずっと一緒に居たい!
でも、アーシアをあんな危険地帯に連れていくわけにも...
うん、どうしようもないな...アーシアにはきつく言い聞かせて、ゼノヴィア、木場、朱乃さん、ギャスパーに警護させればなんとかなるか...
俺は無理を言ってタキシードを着せて貰った。
アーシアがドレスで着飾るなら最低限俺もそれに合うような服にしたい!
あんまり似合ってない気もするけど、アーシアが側に来てくれればアーシアの華やかさでなんとかなるだろ。
「兵藤か?」
「ん?匙?どうしてここに?」
「いや、会長がリアス先輩と一緒に会場入りするってんでついてきたんだけど、やることもないから屋敷をぶらぶらしてたんだよ。にしてもお前タキシード着るのか、気合い入ってんな。」
「あぁ、アーシアがドレス着るって言ってたから、俺も最低限横に立っても恥ずかしくない格好したいなって思ってよ。」
「なるほどなぁ...そんなこと考えてもなかったぜ」
「もうすぐゲームだな」
「あぁ...」
「俺、会長の作った学校で兵士の先生になるのが夢なんだ...お袋もさ、先生になりたいっつったら、泣いちまってよ...でも、なんかよかったわ。お袋の安心した顔ってのも。」
「そっか...俺も。俺の夢はな、アーシアをこの世界のどんな脅威からでも守れるくらい強い男になることなんだ...そんで、何百年でも、何千年でも...最後の瞬間までずっと一緒に居ることなんだ。もういっぱいライバルや目標ができちまった。あっお前も俺のライバルだからな!油断なんか絶対してやらないぜ?お前は厄介な奴だからな。いい意味で戦いたくない。」
「....なんだよそれ」
匙がちょっと顔を赤くしていた。
「だから、絶対に勝つ。...お前にも、他の奴にも」
「バカいうな!俺達も負けるわけにはいかねぇよ!」
お互いに好戦的な笑みを浮かべる。
「イッセーさん!タキシードすごくかっこいいです!!」
「アーシア!!なんだそれ!!どこのお姫様だよ!!!可憐すぎないか!?大丈夫か?誰かに狙われたりしないか!?」
「....もしそうなっても、イッセーさんが守ってくれますから...大丈夫です」
「~~っ!!アーシアぁぁぁ!!絶対どんな奴からも!どんな変態からだって守ってやるからなぁ!!」
「はい!」
俺はアーシアと抱き合う。
「おいおいお熱いなお前ら...くっそぉぉぉ俺も会長とっ...!!」
「私が何ですか?」
「かっっかかか会長!!?」
匙が飛び上がっていた。
────────────────────────
俺達は今、タンニーンさんとその眷属の背中に乗せて貰っている。
俺はアーシアと一緒に、タンニーンさんの頭...特等席だ!
なんか...アーシアがドレス着てるのも相まって、ファンタジー世界の王子とお姫様みたいな気分になってくる...あぁいいなぁこういうの...
アーシアは俺の腕に引っ付いて景色を楽しんでいる。
怖がらない子で良かった。楽しそう...
ドライグも久しぶりに、龍の飛ぶ景色が見れて感慨深そうにしていた。
タンニーンさんは確か、ある植物を餌にしていたが、その植物が絶滅しかけて、種が消えそうになっていたドラゴンを助けるために悪魔になったんだよなぁ。まぁ戦いも理由の一つらしいけど。本当にタンニーンさんは素晴らしいドラゴンだ。この人に修行をつけて貰えて良かった。心底そう思う...なんだかんだ死にはしなかったし!死にかけたけど!
会場にたどり着くと、すごく豪華なフロア一杯に悪魔と食事が広がっていた。
うへぇ...挨拶めんどくさそう...
一応俺は伝説のドラゴンらしいので、部長の挨拶にそこそこ付き合わされた...めんどくさかった...
挨拶が終われば、俺はすぐにアーシアの元に駆け寄った。
俺は今会場のはじっこでアーシアと食事をとっている。
「はい、イッセーさん!あーん」
「あーん!うまい!アーシアが食べさせてくれるから美味しさ100倍だ!」
「本当ですか...?あの...イッセーさん...私にも、食べさせて下さい...」
「おう!アーシア...あーん!」
「あーん...」
「お前達、そんなに仲良かったか?いや、前からそうといえばそうなんだが、前にもましてというか...」
「ばか野郎ゼノヴィア!俺がどれだけアーシアに会いたいと願っていたか知らないわけじゃないだろう!!」
「私もイッセーさんにずっと会いたかったです...」
「これからはずっと一緒だ!!」
「はい!」
俺はアーシアとぎゅっと抱きしめあった...
幸せだ...
するとどこかから視線を感じた。
女の子がこっちを睨んでいる。あぁレイヴェルか...
「お、お久しぶりですわね、赤龍帝」
「お久しぶりですね、ライザーの僧侶さん」
「レイヴェル・フェニックスです!全く、これだから下級悪魔は頭が悪くて嫌になりますわ」
ぷんすこ怒っているが、俺はお前に自己紹介されたことがないんだからどうしようもないのでは?
アーシアもちょっとムッとしている。
ごめんよアーシア。折角の二人の時間が...
「悪かったな。そういえば、お兄さん元気?」
「....あなたのお陰で塞ぎ込んでしまいましたわ。よほど敗北がショックだったようです。ま、才能に頼って調子に乗っていた所もありましたから、良い勉強ですわ」
「そうだったのか...まぁ早く立ち直れるといいな」
「そうですわね」
「それで?何か用事でもあったのか?」
「...あぁと、いえ!見知った顔が居たから声をかけただけですわ」
「そっか、じゃあまたな」
「えぇ、ごきげんよう...」
レイヴェルは少し寂しそうな背中を見せて去っていった。
すまんな、俺にはアーシアが居るのだよ。
ふと視線を動かすと、小猫ちゃんが切羽詰まった表情で会場から出ようとしていた。
まずい、そろそろ行かないと...
あぁでも...アーシアと離れたくない...でもアーシアを危ない場所に連れていけない...うぅ...って迷ってる暇はまじでないぞ...行くしかねぇ!すまんアーシア
「イッセーさん?何かあったんですか?」
「ん?いや、なんでもないよ。それより俺、ちょっとだけ用事があるからさ、ここで皆と待っててくれないか?あっ!変な奴に付いていくなよ?皆もアーシアの事頼むからな!!」
「はい...?」
アーシアが不思議そうにしていた。
「それじゃ!」
俺は急いで小猫ちゃんを追いかける...
俺がエレベーターに乗って、地上階を押した所で、アーシアが部長と一緒にエレベーターに入ってきた。
「アーシア!部長!なんでここに...」
「イッセーさんが会場から出るときに、部長さんも同じように急いで出ていらっしゃったので、何かあったのかなと思って付いてきちゃいました...」
「私は小猫の様子がおかしかったから...イッセー貴方も?」
「えぇはい...」
エレベーターもう降り始めちゃった...
アーシア連れていくしかないか?もう...
でももしかしたらアーシアの
「あの...イッセーさん。私、大丈夫です!いっぱい頑張って修行しました...役に立ってみせます!」
「アーシア...あぁ、任せた!」
「はい!」
俺はアーシアを撫でる。
アーシアは修行によって、強くなったようだ。心も、身体も。
俺がアーシアを連れていくか迷ってる所まで、読まれてしまった...
ダメだな、頼りにするっていいながら避けようとして...
地上階についたら、外に出て部長が使い魔を飛ばした。見つけたようだ。
森の中を行くが、アーシアは初めてのドレスで慣れていないようだったので、お姫様だっこで連れていってあげた。
「アーシア、しっかり俺につかまってろよ。」
「はい!...あの、イッセーさん、重くないですか...?」
「アーシアが重いわけないだろ!羽のように軽いよ!というか最高だ!」
お姫様だっこってこんなに密着するのか...
ドレスで着飾っていつもと雰囲気の違うアーシアなのもあってドキドキしてしまう...
あっ...アーシアが俺の首に掴まって、頭を俺の肩に持ってきた...密着感がより増した!!これはすごいな...!首にアーシアの息がかかる...!
うぉぉぉぉ!!!
俺は元気いっぱい小猫ちゃんのいる方へと走り出すのだった...