俺は近くの自販機を蹴り壊して、飲み物を確保した。
「くそ...気持ち悪...」
戦闘不能というほどではないが、かなり血を抜かれた。
貧血の症状だ...気分が悪い...耳鳴りもするな。
少し休憩したい所だが、あまり悠長にしていると
「....イッセー先輩、大丈夫ですか?」
小猫ちゃんが少し心配そうにしてくれる。
「問題ないよ。そろそろいこうか...」
「......はい」
さっきのアナウンスでこちらの騎士が一人やられたと連絡があった。
多分ゼノヴィアだな。木場は最後まで残ってたと思うし...
「オフェンスの皆、聞こえる?私たちも本陣に向かって進軍を始めるわ」
部長からの連絡が聞こえた。
しばらく進むと、ショッピングモールの中央広場みたいな所に会長と僧侶二人がいた。
「ごきげんよう兵藤一誠君。搭城小猫さん。なるほど、これが直に見る
会長は結界に覆われていた。
確かこれはデコイで屋上に本体が居るんだったっけ?
....まぁなんでもいいや。今は気分が良くない...
会長はどうでもいい。用があるのは僧侶だけだ。
少しして、会長の女王が現れて、それを追うように木場が現れた。同時に部長達も到着する。
「中央に堂々と出てくるなんてね...」
「そういうあなたも王がここまでやってきてるじゃない」
「それにしても...私の予想とは随分違った結果になったのね...」
部長と会長が声を掛け合う。
『相棒、少し血を失いすぎだ。そんな体調ではあまり
「そうか...」
時間がないなら、アーシアへの攻撃だけは絶対に防がせもらう。どっちが反転かわからねぇから僧侶二人はここで潰す...ここでアーシアの回復が反転されたのが、ディオドラ戦でアーシアが捕まった理由のひとつでもあるんだからな...
『Boost!Boost!Boost!Boost!』
俺はブースターを使って急接近した。
僧侶の一人は慌てて俺の攻撃に対応しようとするが、遅い。
俺は腹を殴って戦闘不能にした。
どうせ会長はデコイだ。次の僧侶を攻撃しようとしたところで、女王が俺に襲い掛かってきた。俺は無視して僧侶にドラゴンショットをかます。
女王に斬られる。
装甲に阻まれたが、衝撃は結構来た...
俺は反転して女王の顔面に裏拳を繰り出す。
女王は刀で防ごうとするが刀ごと吹き飛ばした。
『ソーナ・シトリー様の僧侶、2名リタイア』
あぁくそ...気持ち悪い...
気分が悪いので寝転んだ。
アーシアが駆け寄ってくる。
「イッセーさん!大丈夫ですか!!?」
「アーシア...俺はもう動けないから回復なしでいいぞ」
「だめです!!!」
アーシアは俺を治療してくれる。
あったけぇ...
でも全然血は増えねぇ...
────────────────────────
「....え?」
突然の事態に困惑してしまう。
突然イッセー君が飛び出したと思ったら僧侶二人を倒して、真羅先輩を殴り飛ばした。
更に会長は消えてしまった...恐らく幻影か何かだったのだろうか?
僕達は突然の事にいまいち反応できなかった。
「えっと...」
部長も困惑している。
真羅さんもダメージを追っているようだ。
これは...倒していいのだろうか?
「ぐっ!!!」
無言で小猫ちゃんが女王に一撃をいれていた。
『ソーナ・シトリー様の女王、リタイア』
「後は....ソーナだけ...?」
いざ最終決戦と思っていたのに、イッセー君がほとんどやってしまった...
「.....屋上の方に会長さんの気配がします」
小猫ちゃんがそう言った。
「えぇと...じゃあ、向かいましょうか」
僕達は少し微妙な雰囲気で屋上へと登った。
────────────────────────
残りのメンバーで屋上に向かう。
部長、朱乃さん、小猫ちゃん、はほぼ無傷。僕も軽い怪我と体力の消費だけで特に支障はない...
イッセー君はさっきの場所で休憩だ。リタイアまではいかないようだが、今すぐまともに戦闘はできないとの事だ。アーシアさんはイッセー君を介抱している。
到着した。
「ソーナ、どうして屋上に?」
「最後まで王が生きる。それが王の役割でしょう?」
「それはそうね。じゃあ、決着を着けましょう。」
部長は1対1がご所望のようだ。
「危険を感じたら助けに入りますから。」
...........
『投了を確認。リアス・グレモリーさまの勝利です』
────────────────────────
試合が終了して、転移させられる。
今は皆で休憩中だ。アーシアはギャスパーやゼノヴィアの治療に向かった。
休憩することしばらく、アザゼル先生がやって来て俺達に総評を語った。
俺達は勝ったけど圧倒的と予想されていただけに、微妙に評価が下がってしまったようだ。
特に開始早々のギャスパーと、赤龍帝の俺がダウンしたのは良くなかったらしい。後、最後っぺで出したドラゴン・ショットの威力が若干高すぎたそうで、破壊が起きて失格ほどではないが俺の評価は更にダウンだそうだ。まぁ3.5人という大量奪取である程度帳消しにはなったらしいけど。
逆に匙は俺を一人でかなり追い込んだと評価アップだ。
まぁ評価はどうでもいいけど。ぶっちゃけ上級とか中級とかも特に興味ないしな...
アーシアと暮らせるならそれでいい。
しかし、折角ちょっとは強くなったと思ったのに前途多難だな...
まぁ今回は素直に匙の根性と会長の作戦が恐ろしかった。特に匙の気迫には目を見張る物があった。
しかし...いよいよ次の戦いはディオドラどもか。
一応今回はアーシアに反転を使わせなかったけど、多分作戦に変更はないんだろうな。
絶対ぶっ倒してやる...
アーシアに傷ひとつでも着けたら消し炭にする...
などと考えているとアーシア達も帰って来た。
「イッセーさん!もう大丈夫なんですか?」
「アーシア!まぁ只の貧血だからな。しっかり休めば大丈夫だ」
「そうですか...」
アーシアが俺の手を握ってくれる。
「私に血液も増やせるような力があれば良かったんですけど...」
アーシアが悔しそうな顔をする。
「気にすんなよ!匙との戦いで痛かった所とかはバッチリ治ったし!気持ち悪さも軽減された。それに、アーシアの回復は絶対に必要だ。だからそんな顔しなくてもいいよ」
「イッセーさん...」
「...すまん口下手で上手く言えないんだけど、でも!アーシアはグレモリー眷属のヒーラーとしても絶対に必要だ!気にすんな!黒歌との戦いでは大活躍だったろ?」
「...はい!」
ようやく笑ってくれた。
俺はアーシアの頭を撫でる。
休憩も終わって今からは反省会だ...
────────────────────────
夏休みも終盤、俺達はグレモリー本邸から人間界へ帰る事になった。
帰りの列車では宿題をやる羽目になった...
いや、本邸にいる間にアーシアとちょこちょこやってたんだけど、少し残ってしまったのだ。
まぁ後はこの数学の参考書を指定のページ数解くだけだ。
ちなみにアーシアは終わっていた。解せぬ...
見せてと言ったら
「イッセーさん!宿題は自分でしないといけませんよ!」
と言われてしまったので、一生懸命自分でやっている。
わからない所はアーシアに教わる...
おいおい俺は復習のはずなのになんでアーシアに教わっているんだ...
でも、アーシアに教わりながらの勉強は最高に楽しいのであっという間に終わってしまった。
────────────────────────
俺達は地下のホームについて無事に人間界へと帰還した。
アーシアと手を繋いで歩いていると、
「アーシア・アルジェント...やっと会えた」
後ろから声が聞こえた。
俺は後ろを振り返って、危うくキレそうになった。
ディオドラ・アスタロトだ...
まだ、ダメだ...こいつは決定的な事を為していない...殴れない...
「アーシアに何の用だ、ディオドラ・アスタロト」
俺はアーシアを守るように前に出て詰め寄る。
「僕はアーシアに話しているんだけどな...どいてくれないかな?赤龍帝君」
「俺を通せって言ってるんだが?何の用なんだよ!」
「.....アーシア、僕を覚えていないのかい?」
俺を無視して上の服をはだけさせた。見えたのは深い傷痕。
「....!その傷は...」
「そう!僕はあの時の悪魔だ!」
「──...!」
アーシアは言葉が出ないようだった。
「おい、いい加減にしろよ、なんの用かって聞いてるんだよ!!」
俺はディオドラの服を掴んで睨む。
「....離してくれないかい?汚れてしまうよ...」
「ちょっとイッセー!そんなでも一応魔王の血筋なのよ?問題になるわ...」
「部長!こいつ絶対ろくでもない事言いますよ!!言わせたくありません!!」
俺は部長に怒鳴る。
「アーシア!僕は君を迎えにきた!僕と君の出会いは運命だったんだと思う...」
こいつ!俺に捕まれたまましゃべり出しやがった!!
「アーシア!僕の妻.....」
俺はそこでディオドラの足を蹴り飛ばして地面に叩きつけた。
「お前今アーシアに何言おうとしやがった!!!ふざけてんのかお前!!!あぁもうむかつく事が多すぎてどれから言えばわからんわ!!!」
「...貴様...汚ならしい龍の分際でぇ!!」
ディオドラがキレてくる。
「うるせぇよ!アーシアがお前を治療した事でどれだけ辛い目にあったと思ってんだ!!突然出てきただけでもムカつくのに!!!挙げ句プロポーズだと!!?なめてんのかお前は!!!お前が本当にアーシアの事を愛してるってんなら!!!順番ってもんがあるだろうが!!!何すっとばしてんだよこのストーカー野郎!!!大体なぁ!アーシアへの初プロポーズは俺のもんだ!!ぽっと出野郎が勝手に奪おうとしてんじゃねぇよ!!!」
「~~~~~~~~!!!??!?!」
「二人ともいい加減にしなさい!!」
部長が俺達の間に割って入ってくる。
「イッセー、これ以上はあなたの不利になるわ。一旦落ち着きなさい。アスタロト、貴方もよ。いくらなんでも常識がなさすぎるわ。イッセーの言っていた事ももっともよ?少し調べたらわかる事だけれど、アーシアは今イッセーと交際してるの。私の眷属達がそういう関係になっていて、私はそれを大いに祝福しているわ?言いたいことわかるわよね...引きなさい。貴方が本当にアーシアを愛していると言うならね」
「.........わかりました。一旦引かせて頂きます」
「一旦じゃねぇよ!一生...」
「イッセー!!控えなさい」
「ぐっ....!!」
「じゃあね、アーシア。きっと君を迎えにきてみせるから」
「...あのっ!私はイッセーさんのものです...だから...だから!あなたの好意は受け取れません!」
アーシアが俺にしがみつきながらそう叫んだ。
「アーシア...」
「ふふっ...それでは失礼します。」
ディオドラ・アスタロトはそのまま去っていった。
不穏な影が俺達の生活へと伸び始めたのであった。