第37話。 転入します、天使!
俺は身体中から血を流し、体が全く動かない...
アーシアが俺の目の前で闇に包まれる...
最後の瞬間、アーシアは泣いていた。
闇が収まるとそこにはもう何もない。俺の目の前から全てが消え去ってしまった...
アーシアはもう...どこにもいない...
殺す...殺す...!アーシアを殺した奴を許さない!!
破壊してやる...復讐してやる...消滅させてやる...!!
「アーシア...アーシア...!アーシア!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
我、目覚めるは
覇の理を神より奪いし二天龍なり
無限を嗤い、夢幻を憂う
我、赤き龍の覇王となりて...
突如体が温かい光に包まれる...
アーシアたんばんざい!!アーシアたんばんざい!!
アーシアたんばんざい!!アーシアたんばんざい!!
『相棒...相棒...!相棒...!!』
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「ぐっ...あっ...ん...夢...?」
「イッセーさん!!大丈夫ですか!!?突然苦しみだして!!私、一生懸命治療したんですけど...」
身体中に温かいアーシアのオーラが満ちている...
「アーシア...あぁ、もう大丈夫だ...ありがとう。」
「イッセーさん!」
アーシアが俺に抱きついてくれる。
それだけで心が暖かくなる。
『相棒...お前は今、
ドライグ...!!無理をするな...!!言わなくていい!!
でもそうか...ありがとう...
お前の声も聞こえてたよドライグ、助かった。
『そうか...まぁ相棒は赤龍帝として特異な存在だ。こんな事で失うのは勿体ないからな...ただ、気を付けろよ?いよいよ怨念側も切羽つまって来ている...例の宗教が予想以上に恐ろしいスピードで歴代を染め上げているんだ...既に半数を越えてしまった...お前の少しの負の感情でも引き摺り込もうとするだろう...』
そう言ってドライグは意識を沈めた。
そんな事になっていたのか!
確かに最近入信のペースが早いと思っていたんだが...
っと、今はアーシアにも感謝しないとな。
「アーシア、ありがとう。俺結構危ない状況みたいだった...でもアーシアが俺の事を温かいオーラで包んでくれたから、助かったんだ!」
「そうなんですか...?えへへ、イッセーさんのお役にたてたみたいで良かったです!」
アーシアが俺に抱きつきながらそんな可愛い事を言ってくれる。
ああああ可愛すぎる!!
というかなんなんだあの夢は...
冷静に考えて頭おかしすぎるだろ。
俺はアーシアと抱き合って再び眠った。
次はアーシアとお花畑をデートする夢を見ました。
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ディオドラとの一件からはや数週間。
あいつは俺の家に手紙や商品券、映画のチケットなどを送って来ている。
アーシアは日に日に申し訳なさそうにし始めている。
残してもしょうがないし、俺は使いたくないので、今のところ全部オカ研に持っていって寄付している。
主に小猫ちゃんが使用してるらしい。小猫ちゃんのそういう逞しい所結構好きだよ。
ラブレターはギャスパーが裏をメモ用紙に使っていた。チラシの裏かよ...
まぁ物は悪くないものね。悪いのはディオドラだ...
しかしまぁ、顔は見せていないし、この前の件についても問題にはなっていないらしいし、今のところは俺も落ち着いてきた。
次会ったらわからんけど...
かくして2学期が始まった。
現在は9月のイベントである、体育祭の準備に入っている。
「おぉい!イッセー!元浜!情報を得てきたぞ!」
「興味ないっつの」
「このっ!お前はアーシアちゃんがいるからって!!どうせヤりまくりなんだろこのクズが!!」
「バカ言うな!!アーシアは婚前交渉無しなんだよ!!だから俺はまだ...童貞なんだ!!」
「まじか...でもアーシアちゃんならそうかもしれんな...大変だな、イッセー。初めてちょっと同情したわ。普段あんなにイチャイチャしてるのに、ヤれないとか」
「バカ言うな!!!俺のアーシアへの愛はそんな劣情よりもでかいんだよ!!!結婚するまでちゃんと我慢してみせるわ!!!」
「童貞の戯れ言はどうでもいい!そんな事より吉田だ!!あいつ決めたらしいぞ!!!しかも三年のお姉さま!!!」
「くそったれ!!リア充が!!!....やっぱイッセーもムカつくわ!!!あんなに可愛い天使が彼女なだけで既に誰よりもリア充じゃねぇか!!死ね!!!」
俺は元浜と松田に暴力を振るわれる。
でも気にしない。まじで痛くないからノーダメだ...
「あー童貞臭...」
俺達を嘲笑いながら桐生がやって来た。
「俺達を笑いに来たのか!!」
「どうせあんたらの事だから意味のない夏を過ごしたんでしょ?」
「うるせぇ!!」
お前らがうるせぇ...
なんて言っていると、
「おい!大変だぁ!!!」
クラスの男子が叫びながら教室に飛び込んで来た。
「このクラスに転校生が来る!!女子だ!!!」
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「えー、このような時期に珍しいですが、転校生の紹介です。どうぞ、入ってきて下さい」
入室してきた子に男子は色めき立つ。
栗毛ツインテール美少女だもん。普通は興奮する。
俺はアーシアがいるのでそうはならんが!
アーシアやゼノヴィアは滅茶苦茶びっくりしているみたいだった。
びっくりアーシア可愛い。
「紫藤イリナです。皆さんよろしくお願いします!」
元言いっぱいに挨拶していた。
........
一通り、クラスメイトの質問責めを受け流すと、なんでここに来たのだろうとひそひそしゃべっていた俺達の方へ歩いてきた。
「イッセーくん、ゼノヴィア、アーシアさん、久しぶり~!」
イリナがゼノヴィアに抱きつく。
「立場上複雑だけど、素直に会えて嬉しいわ!元気そうでなによりよ!」
「ああ、久しぶりだねイリナ。その、胸の十字架がチクチク痛いので離れてくれないか?...それで、どうしてここに?」
ゼノヴィアが質問する。
「ミカエル様の命で使いとしてここに転校してきたの!詳しくは放課後に旧校舎でね!」
と言われた。
松田と元浜にまたお前は美少女と知り合いなのかぁぁ!!!とキレられた。
知らん。なんでこんなに美少女ばっかやねん...
こっちが聞きたいわ。あっメタ的なの無しで!
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「あなたを歓迎するわ。紫藤イリナさん。」
部長が挨拶をする。
「はい!初めましてとそうでない方が居ますが、よろしくおねがいします!紫藤イリナです!天使様の使者としてこの学園に来ました!」
パチパチと皆で拍手する。
「ここに来たって事は、聖書の神の死は知ってるんだよな」
アザゼル先生が尋ねる。
「勿論です。あの時の話は全て認識しています」
「意外にタフだね。てっきりショックを受けるものと思っていたよ」
ゼノヴィアがそう話すと
「ショックに決まってるでしょぉぉぉ!!」
と号泣を始めてしまった。
アーシアとゼノヴィアがわかるわかると抱き合う。
教会三人娘がここに誕生した。
俺、アーシアと話す機会更に減るかも...
女の子同士の話って割り込むのムズいんだよな...
大体俺がそわそわしてる所をアーシアに招き入れて貰うのだ。ごめんよアーシア不甲斐ない彼氏で...
アザゼル先生がイリナにここに派遣された理由を聞いている。なんでも現地スタッフが派遣したかったらしい。
イリナは祈りのポーズをとると、背中から天使の翼を生やした。
「お前、天使に転生したのか!確かに理論上は可能だと言われてきていたが...」
「はい。ミカエル様の祝福を受け転生天使となりました。
「ほぉ、面白いことを考えたもんだな、トランプって事はジョーカーも居そうじゃねぇか...ククク」
アザゼル先生は面白そうにしていた。
いずれは天使と悪魔でレーティングゲームのような物も行うらしい。
天使さん全員俺達に特効の力持ってますけど大丈夫ですか?それ...
なんだかんだと話は進み、イリナの歓迎会が始まった。
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イリナが転校してきてから数日、一瞬でクラスに溶け込んでいた。まぁ明るい奴だしな。
今は体育祭の競技決めだ。
結局教会三人組が仲良くなると、まるで結界でも張られているのかというくらいには話しかけづらくなってしまった。
家ではたくさん喋るけど、外でアーシアと関わる機会が大いに減ってしまったのだ...
辛い...でもあの三人組に割り込む勇気はない...
それによってバカ3で喋る機会が増えてしまったので、倦怠期なのではなどという噂がクラスに蔓延り始めた...ふざけんな!
元浜と松田にも、そろそろ別れるか?別れろ!そして俺達の元に帰ってこい!!
などと言われる始末...
俺は悲しい!
なんかアーシアに話しかけるのに躊躇いを覚えている事実が悲しすぎる...
ちくしょう...ちくしょう...
「兵藤!」
「はい!」
考え事をしていた俺は突然呼ばれた事にびっくりしてしまった。
「あらー元気な返事ねー。じゃあ兵藤っと。」
桐生は俺の字を黒板に書いていた。
二人三脚の欄だった。
勝手に書くんかい...
「じゃあ相方はアーシアね!」
アーシアの方を見るとおずおずと手をあげていた。
まぁどの競技に出たいかと言われればアーシアと二人三脚か、何かしらのリレーでアーシアにかっこいい所見せたいなくらいしか考えてなかったので、問題ないんだが...
アーシアがこっちを見て微笑んでいた。
アーシアが嬉しそうなので問題なしです。
よっしゃ頑張るぜ!!
............
体育祭の練習の時間、グラウンドではゼノヴィアとイリナが競争してた。
早すぎ...人間に合わせてあげて?
「....しかしあれだけ高速で動かれると、おっぱい動きが把握しずらいな...これじゃあ興奮できん」
「その点俺はロリコンだから、そんな状況でも興奮できるけどな」
バカがバカな話をしている。
なんかどの作品が、とかどの女優がとかの話なら乗れるんだが、クラスメイトが云々となると話に入れないし入りたくないのでこいつらと一緒にいるのは害悪でしかない。なんで一緒にいるんだろ...
「おっ兵藤」
匙が声をかけてきた。
戦いの後、俺は少々匙に対して気後れしていたんだが、匙本人が
「俺は全力で戦った、そして負けた。それだけだ!お前が気にしてんじゃねぇよ!同情なんかいらねぇ!」
と言いながら小突いてくれたので、普段通り接する事ができている。
匙...いい奴だ...正直大好きだぜ、友達として。
と、匙の腕に包帯が巻かれていた。
「怪我したのか?アーシア呼ぼうか?」
と言ったら
「あぁこれはな、」
と匙が包帯を外してくれた。黒い蛇みたいなアザがびっしりと小さな宝玉のようなものがあった。
「お前の血を吸ったから、赤龍帝の力に影響されたみたいだ。」
「まじか...なんかすまんな。治るのか?」
「さぁ?まぁ体に別状はないらしいから、問題はないかな?」
などと喋っていると、匙は会長に呼ばれてスタこらさっさと走っていった。
頑張れ匙、お前の恋が報われるまで...
「アーシア!夏休みでちょっとおっぱい成長したんじゃな~い?揉まれたの?揉まれちゃった~?」
「桐生さ...!やめてください!」
ふと後ろを見るとアーシアが桐生にセクハラされていた。
てめぇ!俺ですらほとんど揉んだことないのに!!
「こら桐生!アーシアにセクハラしてんじゃねーよ!!」
「兵藤~。ちゃんとアーシアの事可愛がってあげてるの?夏休みで関係進むかと思ってたのにさー。全然じゃーん...甲斐性ないんじゃないの?」
「ぐっ...!!」
俺は言い返せない。心に深いダメージを負ってしまった...!
「あちゃ~こりゃダメだわ。アーシア~...アーシアが引っ張ってあげないといつまで経っても進まないよ~?」
「はうぅ...が...頑張ります...!」
アーシアがやる気を出していた。
ごめんよアーシア、甲斐性無しで...
「アーシア...そろそろ練習しよう。」
「は...はい!」
俺はアーシアと足を紐で結んで体をぴったりとくっつける。お互いに腰に手を回して準備万端だ。
「最初はゆっくり行こうな、それいっち、に、いっち、に」
「いっち、に...いっち、に...」
アーシアが頑張っている。頑張りアーシア可愛い。
「アーシア、ペースとか歩幅大丈夫か?多分俺がアーシアに合わせた方が速いと思うから、アーシアがやりやすいようになんでも言ってくれよ?」
「大丈夫です!頑張ります!」
アーシアは気合いを入れていた。
「よし、じゃあ行くぞ!いっち、に、いっち!!」
「キャッ!」
アーシアとタイミングがずれてアーシアが倒れそうだ...!
まずい!助けないと!
俺はアーシアの下に潜りこんで、アーシアの下敷きになった。
「あぅ!」
「ぬっ!」
無事、受け止められた。紐を緩くしていて良かった。きつくしてたら俺の足をえぐい角度で捻って下に入るしかなかったぞ...足首壊れるわ。
アーシアを抱き締めて、完全に衝撃から守りきった。
「アーシア、大丈夫か?」
「は...はい...」
アーシアが恥ずかしそうにしている。
「ヒューヒュー、お熱いねー!」
「死ねー!兵藤!!」
外野がうるさい...
「と、悪いなアーシア、外野がうるさいな。俺注意してくるわ。」
「いえ!大丈夫です!」
アーシアが笑みを浮かべる。
「そうなのか?まぁアーシアがいいならいいんだが...」
いつもは外野にとやかく言われるのを恥ずかしそうにしているんだが...
まぁアーシアにも何かしら心境の変化があったのかもしれん。
俺達は何度かどやされたり、転倒しながら練習を重ねていった。
俺の背中どろどろだな...とはいえアーシアを守った故の汚れと思えばとても誇らしい。
桐生にアーシアに抱きつきたいからわざとこかしてるんじゃないかと言われたときは憤慨したが...
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放課後、部長やその他メンバーが不穏な雰囲気を出していた。
「イッセー、アーシア、ゼノヴィア。次のゲームの相手が決まったわ。...ディオドラ・アスタロトよ」
まぁそうだよな...わかっていても俺はついつい眉間に皺がいってしまう。
というか、ディオドラは多分普通に倒せるんだが、問題はシャルバだ...
オーフィスの蛇ありきで旧魔王レベルの力らしいが...俺はもし戦いになったら勝てるだろうか...
いやまぁ、勝つんだが...!!勝たないとアーシアをやられる可能性がある。
というかなんでアーシアが狙われなきゃならんのだ...
くそっ!ムカムカする...!
でも、この感情は戦いのその時まで溜めるべきなんだろう...
アーシアが心配そうに俺の手を握ってくれる。
「...ありがとうアーシア。大丈夫だぞ」
「はい...」
「アーシアこそ大丈夫か?」
「....どうでしょうか...私、あの人を助けた事は後悔してません。でも、急に目の前に現れて...運命だとかよくわからない事を言われて...正直困惑してます...でも、イッセーさんとずっと一緒にいたい...それだけは変わりありません。だから...あの人とはもう...関わりたくないです。」
「アーシア...あぁ、絶対に離したりなんかするもんか。絶対ずっと一緒だ」
俺はアーシアを抱き寄せた。
正直ちょっとびっくりした。アーシアが思ったよりも強めの否定の言葉を発してくれたからだ。
でも、嬉しい。そして改めて決意が固まった。
アーシアは絶対に守りきってみせる。
俺からアーシアを奪おうだなんて考えたこと、絶対に後悔させてやる...!!