ディオドラとの戦いが決まってから数日経ったある日の夜。
後は寝るだけという時間になのでいつものようにアーシアを俺の部屋に招き入れる。
最近はずっと一緒に眠っている。
部屋に入って少しした所から動かないので、心配して近づくとアーシアは無言で俺に抱きついてきた。
「ア...アーシア?」
「イッセーさん...イッセーさんは私の事、絶対に守ってくれますよね?ずっと一緒にいてくれますよね?」
「当たり前だろ?俺はアーシアの...その、彼氏なんだから!」
ちょっとどもってしまった...
「ありがとうございます...でも、私...少しだけ不安なんです...イッセーさんになにかあったらどうしようって...」
「バカ!あんな奴に俺がやられるわけないだろ?絶対倒して、二度とアーシアに近づくなって言ってやるよ!」
「はい...わかってるんです...でも、どうしても不安が拭えなくて...だから、イッセーさん...私を...私に、イッセーさんの物だって証を下さい...」
アーシアが少し涙を湛えて、顔を赤らめてこちらを見つめる。
「ア...アーシア...?それってどういう....」
アーシアが俺の事を強く押した。俺は抵抗できずにベッドの上に倒れこんでしまう。
「イッセーさん...」
アーシアが俺の上に跨がった。
....え?ちょっと待って??え?
まさか...そういう事ですか!!?
え?え?え?...でもアーシアは婚前交渉ダメって...
あっ...アーシアの顔が近づいてくる...
「ん...ふ...ちゅ...じゅ...ちゅく...」
アーシアが俺の舌を貪る。
やばい...急な事で頭が回らん...!
俺の貞操はここで奪われてしまうのか...!?
アーシアの指が胸から下腹部へと少しづつ降りていく...
ぬおぉ!抗えないけど!今のアーシアはちょっとおかしい!!こんなのは...ダメだ!!
俺はアーシアを逆に押し倒して体勢を入れ換えた。
「アーシア...ハァ...急にどうしたんだ...?」
「イッセーさん...私を抱いて...欲しいんです...怖いんです...大丈夫ってわかってても!変な人に目をつけられて...変なこと言われて...だから...だから...証拠が欲しいんです...私をイッセーさんだけの物にして下さい...!」
アーシアは不安でいっぱいといった様子だった。
急に変な奴が出て来て、不安になってしまって、俺と肉体関係を結べば安心できるんじゃないかとすがってしまったのだろう...
そんな状態のアーシアは抱けないよなぁ...
やっぱりするなら最高に幸せな時がいいや。
俺はアーシアを抱きしめる。
「アーシア...心配しなくていい。絶対に、何があったって守ってみせるし、ずっと一緒だ...だから、そんな不安そうな顔をしないでくれよ。そんな事しなくたって、俺とアーシアはしっかり繋がってるだろ?」
「イッセーさん...グスッ...私...」
「ほら、今日は朝までこうしてるから、安心していいぞ?」
俺はアーシアにしっかりと存在を伝えるように、強く抱き締めて頭を撫でる。
「イッセーさん...はい...」
アーシアも抱き返してくれる。
アーシアは、やがて安心したのか眠ってしまった。
なんとか落ち着いたかな?
それにしてもびっくりしたな...急にあんなこと言い出すんだもん...
にしても、内心かなり不安だったみたいだな。
そりゃそうか...ストーカーに付きまとわれて、変な贈り物だの、ラブレターだの、冷静でいれる女の子なんてほとんどいないだろうな。
おまけに相手がディオドラとか...
俺がしっかりしないだ...
ちゃんとアーシアを安心させてあげないと...
『相棒、忙しそうな所悪いんだが、歴代がお前を出せとうるさいんだ...入ってやってくれないか?』
えぇ...?こんな時になんなんだ...
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「教祖様だ!」「教祖様が現れたぞ...!!」
「おぉ!」「教祖様──!!」
な ん だ こ れ は ?
「き...教祖って俺の事?」
「当然です!我々に道を示してくれたのは貴方ではないですか!!」
「そう...ですか?そ...それで、何の用でしょうか...」
俺の知らないうちに、歴代達は壮絶な何かを繰り広げていたようだ...なんかすっごい散らかってる...
しかもチーム怨念がもう少数派じゃないか...
隅の方で固まってるじゃん...
なんか可哀想に見えてきた...
「教祖様!なぜ抱かなかったのです!!あそこは絶対に抱くべきでしょう!!体を重ねて安心させてやるのも男の甲斐性でしょうが!!」
「いいや!あそこはあれでいいんだ!!大体教祖様に意見しようなんざ100年早いんだよ!!」
「死んでるんだから100年も糞もないだろ!」
なんで喧嘩してるの...?
もうやだ...怖いよ...
ドライグ...なんなのこれ?
『知らん。知りたくもない。しーらない』
ドライグが拗ねた...
「教祖様!なぜあのような選択をなされたのですか!!」
「え?あー...アーシアはあの時冷静じゃなかったし、やっぱりそういう事はお互いの合意の元やるべきでしょう?冷静じゃないアーシアとそういう事をして、後でアーシアが後悔したら...」
「ほらな──!!教祖様はアーシア様を何よりも寵愛なさってるんだ!わかったか!!」
「ぐっ....しかしあそこまでされて手を出さんのは正直男として...」
「グハッ!」
突然俺にクリーンヒットした...!
「安心して下さい!教祖様、我々はついに全勢力の70%を掌握しました!我々、先の失態を反省しまして、急速に勢力を拡大させたのです!これで教祖様がよっぽどの憎しみや怒りを抱かない限り、
『なんだと!待て!変なことをするな!!最悪俺が機能停止するぞ!!』
「ハハハ、一応気を付けておりますとも!」
「一応!?ちょっと待ってくれ!まじで、次の戦いはアーシアの命かかってるから!変なことしないで!!?」
「ハハハ、しかし上手くいけば我々の力は新たなステージへと向かうことができます!!」
「笑ってる場合じゃねぇ!止めてきてくれよ!!」
「申し訳ありません...深部に侵入できるメンバーは限られておりまして、現在全員出払っております!」
「連絡係とか用意しろよ!!え?待って?怖いんだけど??」
『ぬわぁぁぁん!!お前のせいだぞ相棒!!!お前が悪いんだ!!なんだこの大惨事は!!挙げ句
「うるさい!ドライグ!!お前の歴代の宿主だろ!!お前が集めたメンバーだろうが!!お前の責任もゼロじゃないはずだが!!?」
『違うわ!!!お前が変な宗教を始めたのが悪いんだろうが!!大体俺は自分の宿主選べないし──!!!悪くないし──!!!』
「ハハハ!お任せください!あそこの隅で固まっている愚か者どもも、すぐにアーシア様の素晴らしさを理解してくれるはずです!!おい!お前ら!!今日の分始めろ!!」
そう言われた信者達は、隅にいるメンバーにぶつぶつと何かを語りかけ始めた...
多分アーシアの事を語ってるんだろう...
怖い...これもうあいつらが呪詛なんじゃないの?
正気の歴代達が震えてるじゃないか...!
可哀想に...
まさか俺が覇龍に飲まれそうになった時もああやって恐喝してたのか...?
「と...とにかく!変なことはよしてくれよ!!」
「わかりました!きちんと新たな力を目覚めさせてみせます!!」
全然わかってねぇ!!
「ちょっとおっさん!助けてくれよ!!」
「....私はただお前とお前の想い人を見守るのみ...」
「目見て言って!?目逸らさないで!??自分でもやばいことになってると思ってるんでしょ?助けてよおっさん!!」
「........無理だ」
「そんな...おっさん...」
『ぬわぁぁぁん!んおぉぉおおおおん!!!』
ドライグの泣き声だけが響いた...
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気がついたら朝になっていた。
「嫌な夢だったな...」
『相棒、現実を見ろ。目をそらすな』
ドライグ...やっぱり現実なのか?
『あぁ...残念な事にな...ちなみにちょっとまずいかもしれん』
なんだよ...
『
こわ...でもお前の力が解放されるのは結構嬉しいんだが?
『まぁな。それだけならいいが...副作用が本当に未知数だ...』
まじか...なんとか頑張ります。何を頑張れと?
『わからん...もう奴らは無理だ。止まらん。諦めて運命に全てを委ねよう』
えぇちょっと...怖すぎんよ...
けど強化チャンスではあるんだよな...
アジュカ様の駒の改変は期待できないし、新しい力って意味ではうってつけかもしれない。
ここからまじで怒涛のインフレだからな。今のままじゃすぐに追い付かれる。
「...イッセーさん?」
アーシアが起きたみたいだ。
「アーシアおはよう」
俺はアーシアを抱きしめる。
「あっ、あの!き...昨日の事は!その...」
「大丈夫、わかってるから」
「は...はぃ...」
「アーシア、俺がいつまでも守ってみせるから。だからアーシアも俺から離れないでくれよ?」
「...はい!ずっとイッセーさんのお側にいます!」
アーシアが笑ってくれた。
やっぱりアーシアにはいつも、笑顔でいて欲しいな。
その為にも頑張らないとだ...
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次の日の放課後、眷属皆で他の若手悪魔の試合記録の視聴を始めた。
「ライバルの試合なんだ、しっかり見ておくんだぞ?こいつらがこれからのお前らの相手だ」
アザゼル先生が俺達にそう言った。
「まずはサイラオーグとグラシャラボラス家の試合よ」
部長が映像を再生する。
その試合はとにかく圧倒的だった。
眷属同士の戦いも終わり、いよいよ王同士の戦いとなる。
グラシャラボラス家..ゼファードルの魔法の悉くが拳によって弾き返される。最後にはゼファードルの防御結界ごと拳でぶち破ってサイラオーグさんが勝利した。
サイラオーグさんの攻撃は外れても、押し出された空気でフィールドを破壊するのだ。それほどの威力...
今の俺では多分、例の新技でも押し負けるだろうな...
......強い。それしか言葉が出ない。
ゼファードルは完全に心を折られていた。
「リアスもサイラオーグも、王なのにタイマン張りすぎだ。駒に戦わせりゃいいのによぉ、バアル家の血筋は脳筋なのか?」
アザゼル先生が苦言を呈した。
「お前らも気を付けておけよ?あいつは本気で魔王になろうとしてる。つけいる隙なんてないと思えよ?」
「そうは言ってもまずは目先の試合ね。アスタロトもシークヴァイラ・アガレスを倒したという話だもの」
そういって部長が映像を再生しようとした時だった。
転移用の魔方陣が輝きだす。
「アスタロトの紋様...」
朱乃さんがそう呟いた瞬間に俺はアーシアを守るように前に出た。
「ごきげんよう、ディオドラ・アスタロトです。ご挨拶に来ました」
ぬけぬけとそう語った。こちらを見る。
なんだよ...文句あるなら聞いてやるぞ...
にこりと笑顔になって、こちらから目を逸らした。
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部長とディオドラ、ついでにアザゼル先生が座って話を始めた。
俺達は部屋の隅で待機だ。
アーシアの前に俺とゼノヴィア、木場とで立って完全にアーシアを隠す。
「リアスさん。単刀直入に言います、僧侶のトレードをお願いしたいのです」
そういってディオドラが自分の僧侶のデータを部長に渡そうとしたが...
「ごめんなさいね、トレードは一切受け付けないわ。あなたの僧侶が釣り合わないとかそういう事ではなく、私は眷属をだれ一人手放すつもりはないの。それに、アーシアの事は何がどうなろうとあなたには任せられないわね」
部長がきっぱりと断る。
「...わかりました。今日はこれで帰ります。けれど僕は諦めませんので」
ディオドラがこちらに近づいてくる。
俺は奴を睨む。
「ねぇ赤龍帝、次のゲーム、僕が君に勝ったらアーシアを譲ってくれないかな?」
「は?死にたいのかお前...?」
「はは、薄汚い龍の分際でなめたこと言ってくれるじゃないか。次のゲーム、覚えているといい。必ず君に後悔させてあげるよ」
「言ってろクズ野郎。速攻でぶち殺してやるよ...」
ディオドラは帰っていった。
「イッセーさん...」
「大丈夫。絶対にアーシアには指一本触れさせない」
幸い俺は奴らの計画を知ってる。
出鼻から挫いてディオドラをぶち殺す。
後はシャルバがどう動くかだな...
俺らの前に立ちはだかるなら、どちらにせよやってやるよ...!