アーシアしか勝たん   作:min-can

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4巻、ヴァーリとの戦いの後の話です。


第48話。 始まります、地獄のテニス!

 俺達は生徒会室に行った部長を待って休憩中だ。

 今はソファーに寝転んでアーシアに背中をマッサージして貰っている...

 気持ちいい...

 アーシアの手ってすべすべふわふわで最高なんだよなぁ...はぁ好き...

 腰に伝わるお尻の感触が俺を狂わせる...

 

「イッセーさん気持ちいいですか?」

 

「あぁ...最高だよ...アーシアもこの後マッサージしようか?」

 

「えと...じゃあお願いします...」

 

「よし、任せとけ!」

 

「イッセー君、アーシアちゃん、お茶いかが?」

 

「ありがとうございます朱乃さん」

 

「ありがとうございます!!」

 

 マッサージは中断してお茶の時間だな...

 朱乃さんは将棋してる木場とゼノヴィアにも段ボールにうずくまるギャスパーにもお茶を配っていく...

 

 ギャスパーは手だけ段ボールから出して、器用に中に取り込んでいった...

 なんだあの新種の奇生物は...

 

「ただいま。今帰ったわ」

 

 部長が帰ってきたので部活再開だ。

 

 ────────────────────────

 

「部の活動報告書を提出しないといけないのよ」

 

「あれ?さっき提出しに行きませんでしたか?」

 

 アーシアが尋ねる。

 

「表向きのオカルト研究部としての活動報告書はね。問題は悪魔としての方なのよ。最近色々と事件が起こるものだからすっかり期限を失念していたわ」

 

 木場が付け加えてくれる。

 

「本当なら純血種たる部長は冥界にある上級悪魔が通う学校に行かなければならないんだ。そこを特待生枠で日本に留学してるんだ。本来取得しなきゃいけない悪魔の学校の単位を駒王学園で取っておかないと強制帰国させられてしまうんだ」

 

 朱乃さんも補足してくれる。

 

「単位の取得は、部長の場合は人間との契約の他に、日本における魔物、妖怪の類いを研究することで得ていたのです。実は私達眷属もそれに協力することで活動の自由をある程度許されているのですわ」

 

 そうなのか...そうやって考えたら俺とアーシアがこうやって自由に交際できているのも部長のお陰なわけだ...頭が上がらないな...

 

 部長を拝んだら頭痛が起こるので、普通に頭を下げた。

 

「?」

 

 部長はよくわかっていなさそうだ。

 

「そういうわけで、今から冥界に提出する活動報告書を作成するわ。この町に住む魔物や妖怪の近況を知りたいわね。まずは町外れの沼に棲む物知り河童に話を聞きに行きましょうか」

 

「部長、あの河童は故郷に帰りましたよ。実家のキュウリ栽培を継ぐと言っていました」

 

「...そう、実家に戻ったのね。ここでラッパーを目指すよりは堅実だわ」

 

 聞き捨てならない単語が出てきたな...

 

「河童のラッパーってなんだよ...」

 

 俺がそうこぼすと、

 

「キュウリ農家を継ぐのが嫌で家を飛び出した河童がこの町に住み着いていたんだよ。ラップを嗜んでいてね、よく彼の曲、尻子玉ラプソディーを聞いたものだ」

 

「....皿が乾くような都会に光、伝えきれない俺の怒り、おまえの尻子玉抜いてみたり」

 

 小猫ちゃんが突然歌いだした。

 

「小猫ちゃんは彼のファンだったんだ」

 

「そ...そうだったのか...」

 

 混乱が止まらない...

 

「でも、お父さんが皿縮小病にかかって、故郷に戻ったそうなんだ。彼のおうちは今時でも珍しい昔ながらの妖怪式農法でキュウリを育てていてね、まぁこれで伝統が保たれるよ」

 

 ...?全くついていけないな...

 アーシアもよくわからなくて首をかしげている...

 

「では、四丁目の噂好きのデュラハンね」

 

「デュラハン?」

 

「首なしの鎧騎士の事だ。巨驅の馬に乗っていて手に自分の首をぶら下げているんだ。死を予言する魔物で主にヨーロッパにいる。私も何度か倒した」

 

 ゼノヴィアが教えてくれる。

 

「倒したのか...流石ヴァチカンの元エージェント...」

 

 すると木場が分厚い本を置いてくれた。

 

「これは魔物大図鑑と言ってね、見たい魔物の名前を言うと、自動でページが開くんだ」

 

「はえぇ...すっごい。ハイテクなのかローテクなのか微妙だけど」

 

 木場が試しにデュラハンと言うと、ページがバラバラと開かれて、とあるページでぴたりと止まった。

 悪魔文字か、一切覚えてないんだよなぁ...

 そろそろ覚えないとだよな...アーシアと勉強しよ。

 あぁアーシアに漢字教えるの楽しかったなぁ...一生懸命で可愛くてさ、もうアーシアが勉強している様をすぐ側で見られるだけで幸せだわ。

 でもアーシアに勉強教えられるのも最高なんだろうなぁ...そろそろ教科によってはアーシアの方が賢くなりそうだし、その機会も生まれそうだ。アーシアまじめで記憶力もあるし、普通に優秀だよな。

 アーシアが悪魔文字習得してから教えて貰おうかな...

 いやでも一緒に勉強していくのも捨てがたい...

 

「あのデュラハンは先日、重度の頚椎ヘルニアになって専門の病院に入院していますわ」

 

 朱乃さんが言う...

 頚椎ヘルニアに突っ込みたいんだが、情報元にしてる妖怪が居なくなりすぎだろ...

 もうちょっと留まれないのかこの町に...

 

「わかったわ...他の手段を採りましょう」

 

「他の手段?」

 

「この学園には魔物の知識が豊富な人間が居るのよ」

 

 そういえばそんな存在いたなぁ...ぶっちゃけ全然覚えてないけど...

 

 ────────────────────────

 

 俺達は今、テニス場に来ている。

 待ち合わせより早めに来たそうなので、俺達はベンチに座って待機だ...

 今はアーシアにお礼のマッサージをしている...

 

 アーシアは華奢なので、撫でるように繊細なタッチで肩や首回りをゆっくりほぐしていく...

 慎重に...丁寧に感謝を込めてマッサージするのだ...

 

「ん.....ふ.....んん.....はふぅ...」

 

 アーシアから艶かしい声が漏れ出る...

 うぅ...ちょっと変な気分になりそうだ...

 

「イッセーさんありがとうございます...」

 

 アーシアが気の抜けた声で言ってくれる。

 

「気持ち良かったか?」

 

「はい!すっきりしました」

 

「なら良かった」

 

 アーシアのマッサージを終えたので、アーシアを膝の上に乗せて座っていると、パカパカと蹄の音がした。

 

「オッホッホッホ!ごきげんよう、リアスさん!あなたがここに来るなんて珍しいわね!歓迎するわよ!」

 

 馬にまたがっていたのは典型的としか言い様のないお嬢様だった。

 縦ロールがすごい...

 維持めんどくさそうだな。

 

 お嬢様の後ろには首なしの騎士が座っており、よく見れば馬も眼光がすごくてかなりヤバそうな馬だ...

 

 アーシアが怖がって俺の胸に顔を埋める。

 怖いよな...大丈夫だアーシア...俺が守るよ!

 

「ウフフ、いい馬でしょう?先日デュラハンのスミス氏のお首が入院したので、その間預かる事になりましたの。こちらはスミス氏の胴体くんですわ」

 

 胴体君はスイカを片手にペコリと上半身を下げる。

 スイカて...首の代わりだってか?

 

「安倍さん。魔物を学校に連れ込むのは校則違反よ」

 

 部長が至極当然の事をいう。ただの馬でもアウトだろ...

 

「お首が入院中、胴体君は単独行動できないでしょう?だから私の所で馬ごと預かっているの。だけどタダ飯はよくないと思いましたので、テニス部のマスコット、デュラハンの「ノーヘッド本田君」という役割を与えましたの!」

 

 こいつ頭おかしいのか...?

 

「マスコットなら仕方ないわね」

 

 部長もおかしかった。

 

「会長も認めて下さいましたわ」

 

 会長もおかしかった。

 

「キャー!本田君!西洋的な甲冑が興味光ってるぅ!」

 

「首がないなんて斬新なマスコットだよね!かわい~」

 

 テニス女子から黄色い歓声が聞こえる。

 そうだった、おかしいのはこの学園だった。

 

 この学園に比べればノーヘッド本田なんてただのマスコットなわけないだろ!!どう考えてもおかしいじゃん!!俺も危うくこの異常に飲まれる所だったわ!!

 

 部長が安倍先輩に研究の協力を要請するが、悪魔と安易に契約は結びたくないと断固拒否する。

 めんどくせぇやつだな...俺はアーシアと早く部室に戻って今度はアーシアの背中を重点的にマッサージしたいんだが...

 

 すると安倍先輩が突然

 

「私いいことを思いつきましたわ。私の使役している魔物とリアスさんとオカ研のメンバーでテニス勝負をするの。勝ったほうが言うことをタダでなんでも聞くというのは?」

 

「あら、おもしろそうね。私もテニスならできるわ。私達が勝ったら活動報告書作成の為に、あなたにはインタビューに協力してもらうという事でいいかしら?それで、あなたが勝ったら何を望むの?」

 

 そういうと安倍先輩は俺の方を向く。

 

「....もしかして、あなた、今業界で噂の赤龍帝?」

 

「はぁ...違いますけど」

 

 嫌な予感がするので嘘をついた。

 

「いいえ、この子は赤龍帝よ。イッセー嘘つかないで」

 

「ちょっと部長!!俺嫌な予感しかしないんですけど!!」

 

「決めましたわ!!私が勝ったらしばらく彼を貸してくださる?レアなドラゴンなんて最高ですわ!!」

 

「駄目です!!!」

 

 アーシアが俺に抱きつく...

 アーシア...!ありがとう...!

 

「いいわよ。ただし、その場合この子も連れていってあげてくれる?この子赤龍帝とカップルなの。ほら、彼女としては見知らぬ先輩に彼氏が連れていかれるなんて心配でしょう?」

 

「あー...いいですわよ。私もそういうつもりは微塵もありませんし。ただ珍獣を飼ってみたいだけですから、飼育員の一人や二人受け入れますわ!!」

 

「アーシア...ごめんなさい、そういう事だから許してくれる?」

 

「私も一緒でいいなら...大丈夫です!」

 

「俺の許可は!?俺に選択権はないんですか!?」

 

「もちろんないわよ珍獣さん?」

 

「部長!!あんた見損なったぞ!!これでも眷属としてそこそこ尊敬してたのに!!うわぁぁあん!!珍獣だなんて酷い!!」

 

「イッセーさん、大丈夫ですよ?イッセーさんは珍獣じゃありません...」

 

 アーシアが俺を慰めて頭よしよししてくれる...

 ちゅき...

 

 そうして決戦の日を迎える...

 

 ────────────────────────

 

「ウフフ。逃げずに来たことは褒めて差し上げてよ」

 

 安倍先輩とさまざまな怪物が俺達を迎え入れる。

 ノーヘッド本田はこちらに手を振ってくれる。

 アーシアと俺は振り返す。

 

「試合形式はシングル2戦、ダブルス1戦の3試合。2勝した方の勝ちですわ。私とリアスさんは選手として確定ですから、残りはくじ引きで決めましょう」

 

 俺は今日禁手化(バランス・ブレイク)をしてでも勝つつもりだ...!

 目の前の化物どもを見てより決心がついた!

 

 くじの結果、朱乃さんとゼノヴィアがシングル。

 俺と部長がダブルスになった。

 よっしゃ...珍獣とか言ったこと後悔させてやるぜ安倍先輩...

 

 一回戦、朱乃さんVSハーピィの女の子の試合が始まった...

 試合はあっという間に朱乃さんが勝利。流石お姉さま。お姉さまが履修してそうな事は大体できるのだ!

 

 二回戦、ゼノヴィアVSラミア族の女の子の試合は、ゼノヴィアも奮闘するも、僅差で負けてしまった。

 アーシアも一生懸命応援してたから残念そうだ...

 

「私のパートナーは雪女ですわ。おいでなさい、私の可愛い雪女ちゃん!」

 

 俺はその瞬間そこはかとない嫌な予感を感じた。

 そう...例えるならウンディーネを見ていた時のような...

 そう...例えるならミルたんを見ている時のような...そんな予感なのだ...

 

「ホキョオオオオオオオオオオッッッ!!!」

 

 俺の目の前で巨大なゴリラが咆哮を上げる。

 ドラミングもし始めた。

 え?普通に威圧感やべぇ...

 

「紹介しますわ。雪女こと、イエティのメスのクリスティよ」

 

「イッセー...雪女の冷凍ビームは強烈よ...食らえばたちまち氷像と化すわ!!」

 

「テニスするんじゃなかったんですか!!?あぁもう!!俺は知りませんから!!ドライグ!!」

 

『本気でこんな茶番の為に禁手化(バランス・ブレイク)するのか...?』

 

「するに決まってるだろ!!俺はまだ死にたくない!!」

 

『わかった...』

 

『Count Down!3 Minutes!!』

 

「イッセーさん、応援します!クリスティちゃんに負けないで!」

 

「アーシア!!!あんなゴリラ一捻りにしてやるぜ!!!」

 

「ウホホ(笑)」

 

「お前なめやがって...!絶対腹にテニスボールぶちこんでやる...!!」

 

「よく言ったわイッセー!それでこそ私自慢の珍獣よ!!」

 

「珍獣言うな!!!」

 

 試合が始まった...!!

 

 ────────────────────────

 

 部長サーブで試合が始まる。部長と安倍先輩のラリーが続き、俺とクリスティは何もせずひたすら殺意をぶつけ合う...何してるんだろ俺...

 

「クリスティ!そちらに行きましたわ!蹴散らしなさい!!」

 

「ウホッ!!」

 

 ゴリラがボールを打ち返すと信じられない速度でボールが飛んで来た...

 でも反応はできる!!

 

 俺が全力をもってラケットで打ち返そうとすると

 

 バゴォォォォォン!!!とボールと俺のラケットが炸裂した...!!

 

「何ィィィィッ!!」

 

「イッセー!道具は大事に使いなさい!!」

 

「あんなバカみたいな球食らって大事にも糞もあるか!!」

 

 ふざけるのも大概にしろ!!

 

「木場!!ラケットの聖魔剣を作ってくれ!!」

 

「そんな便利道具扱いしないでくれよ...できるけど」

 

 できるんかい...

 そこからは怒涛の展開だった...!!

 

 俺の聖魔剣ラケットがクリスティからの豪速球を叩き返しては壊れたり、クリスティのブレスで俺の鎧がガチガチに氷ついて、その隙にクリスティの豪速球を腹に叩き込まれてちょっと血を吐いたり...

 

 その度にアーシアに癒しを求めた...アーシアのオーラは効くなぁ!

 そして最後の一球...!!

 クリスティのサーブだ...!

 

「イッセー!ここで決めたら私達の勝利が確定するわ!!」

 

「はい!!」

 

 俺は聖魔剣ラケットを盾のようにして、防御姿勢を取る。

 クリスティのサーブに身体ごと当たりに行って相手コートに弾き返す。

 対クリスティ戦ではこれが最適解だと気付いたのだ...

 代わりに俺の体は衝撃をモロ受ける...痛いよ...

 安倍先輩の甘い返しを部長が冷静にスマッシュで返して...無事試合は終了した...

 

「私達の負けですわ。仕方ないですわね、インタビューにお答えします」

 

 安倍さんはそう言った。

 アーシアが俺に駆け寄って治療を施してくれる...

 

「イッセーさんお疲れ様です!」

 

「...ありがとうアーシア...まさかテニスで怪我する事になるとは思わなかったよ...」

 

 クリスティならライザーくらいは倒せるんじゃないだろうか...

 衝撃的な強さだったんだが...

 鎧はもう解除した。

 

 クリスティが俺の方に寄ってくる。

 何だ...?

 クリスティが俺に握手を求めた。

 

「お前...!」

 

 そうだな...戦いが終われば俺達はもう友達だ...!

 右手を差し出すと握り潰された。

 

「イデデデデデデデデ!!ギャアアアア!!!」

 

「ウホホホ(笑)」

 

 なんて奴だ!!普通あそこで攻撃するかよ!!

 俺はクリスティを絶対に許さない事を心に誓った...!!

 次会ったら覚悟しやがれ!!

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