グレモリー家から帰還した次の日の夜、いよいよ修学旅行前夜である。
俺はいつものようにアーシアとベッドで横になっていた。
「アーシア、ちゃんと荷物は確認したか?」
「はい!ばっちりです!イッセーさんも大丈夫ですか?」
「おう、二回確認したからな!まぁ何かなかったとしても最悪現地でどうにかできるとは思うけど...」
「楽しみですね...修学旅行!」
「そうだなー...京都かぁ...」
前世では沖縄だったからなぁ...
3泊4日も京都でやることがあるのか?と一瞬思ったけど、予定を立て始めたら案外足りないくらいとわかったんだよなぁ...流石は京の都。
「日本での旅行は初めてなので、すごく楽しみです...」
「そうだな!いろんな所回らないと!」
「はい!」
「明日の為にも今日はもう寝ないとな」
「そうですね...おやすみなさい...」
「ん、おやすみ...」
チュッと軽くキスをする。
そう、最近はおやすみのチューをしてから寝ているのだ。おはようのチューもする。そういう事もかなり自然にできるようになってきた。バカップルも板についてきたな...
アーシアといつも通り抱きあって眠る。
もちろん今日はしないけど、アーシアとベッドに入る際にエッチするという選択肢が存在するのが嬉しすぎる...
まずい...そろそろ落ち着かないとアーシアに嫌がられるかもしれんし、もうちょっと余裕を持たなければ...
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無事、朝を迎えて余裕をもって家を出た。
やっぱり旅行とかは余裕のある計画を立てるべきだよな!
人生の計画も余裕を持ちたいのですが、これから出てくる強敵の皆さん勝手に死んでくれませんかね...ダメ?ダメだよなぁ...はぁ...
バスとか使って、現在集合の東京駅の新幹線ホーム。
グレモリーメンバーはホームの隅の方に隠れるように集まっている。部長が京都の神聖な場所の悪魔用フリーパスを配布してくれるのだ。部長が居ることバレたらちょっとまずい。
なら前日に渡したらいいのにとは思うが、万が一忘れたり紛失したら、洒落にならないとのことだ。ごもっともすぎる。
そうなんだよな...アーシアと気軽に旅行って言っても下手な場所に行ったら問題が発生するってのが若干めんどくさいんだよな...
まぁ一番は行く暇がないって所なんだが...
といった所でアーシアの携帯が鳴った。
桐生から集合の連絡が来たらしい。
「じゃあ、いってらっしゃい皆」
部長が送り出してくれたので、皆で手を振って別れる。
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新幹線が動き出した。
俺は一番後ろの席で、前に松田や元浜。通路の向こう側にゼノヴィアとイリナがいる。
アーシアは桐生と一緒にゼノヴィア、イリナの前に座っておる。
あぁ...俺一人...悲しい...
まぁしょうがない。桐生とのアーシア争奪じゃんけんで負けてしまったのだ...なんでさ。
俺は一人寂しく睡眠の準備に入った。首にかけるタイプのクッションを持ってきているし、きっと快眠だ...というか寝ないと寂しくて死ぬ。
といった所で肩を叩かれた。
「ん?...おぉゼノヴィアか」
「あぁ、実は今、私はデュランタルを天界経由で錬金術師に調整してもらっていてね...丸腰なんだよ」
「そうなのか?」
「そうなんだ。それでだね...」
妙によそよそしいな。なんだ?
「...あぁ!有事の際にアスカロン貸して欲しいってこと?オッケーオッケー。そんなに気にしなくてもいくらでも貸すって、俺より使いこなせるだろ?」
「すまないな。いつもあの剣を借りてしまって」
「いいよいいよ。どうせ貰い物だし、ドラゴン相手でもなかったら俺が活用するタイミングねぇからな。ゼノヴィアが是非使ってやってくれ」
「そういってもらえると助かるよ。じゃあ」
そう言って去っていった。
いや、別に長居されても困るけどあまりにも友人としての世間話すらなくてちょっと悲しく...
まぁいいや寝よ...
いい感じに眠れそうになったその時、再び肩が叩かれた...なんだよ...寝たいってのに...
「隣いいかな?」
「ん...?木場?あぁ...大丈夫だけど」
「向こうに着いたときの行動を聞きたくてね。一応有事の際にどこにいるか知っておきたいんだ」
「なるほど。ほら、これが予定表。写メ取るか?」
「そうさせて貰うよ。一応僕の所のも取るかい?」
「そうだな、取らせてもらっとくわ」
パシャパシャと撮影する。
「うん...この予定だと3日目は渡月橋辺りで会えるかもね」
「そうだな、まぁ会えたら合流とかしてもいいかもなー」
「そうだね」
沈黙が流れる...
「そっ...そういえばさ!サイラオーグさんとの戦い、外野から見た感想とかってあるか?」
「そうだね...君の鎧をも容易く破壊する彼の攻撃力は正直脅威的の一言だね。スピードも、最後にみせたあれは相当な物だった。一対一でまともに戦える眷属は多分キミくらいのものだと思うよ...僕じゃ防御力があまりにも足りない...」
「...でも木場は全部避けるつもりで修行してるんだろ?防御は考えなくていいんじゃないか?」
「そうだね、理想を言えばそうだよ。ただまぁ道は長いけどね。そういう意味でも是非これからも僕と模擬戦をしてほしいな。君との戦いは毎回得るものが多いんだ」
「俺もだよ、今まで戦ってきた中で一番やりにくいのがお前だからな。ちょっとムカつくくらい攻撃当たらないし...」
「ハハ、これでもこちらはヒヤヒヤしてるんだよ?一発でも貰えば致命傷になりかねないからね...」
「アーシアがいるから大丈夫だ。遠慮なく殴られてくれ...」
「残念だけど、お断りさせてもらうよ。それじゃ、いい修学旅行にしようね?」
木場は困ったようにはにかんで、帰っていった。
.....寝るか...。
いい感じに話しかけてもらって寂しさも紛れた。
これで現地まで気持ち良く寝れるだろ...
.....
「んん...あぁ良く寝たな...今何時だろ...」
腕時計を確認しようとすると、腕が重かった。
「ア...アーシア!?」
アーシアが何故か俺の腕に捕まって寝ていた。
「んぅ...イッセーさん?...おはようございます...」
アーシアが目を擦って起き出す。
「お...おはよう...桐生の所じゃなかったか?」
「はい...そうなんですけど、こういう乗り物に乗る機会があまりなかったものですから、寝ようにもなかなか寝付けなくて...」
「それで俺の所に...?」
「はい、イッセーさんとならどこでも寝られそうです!」
なんだそれは...かわいすぎか...?
俺もアーシアとならどこででも寝られそうだ!!
「それで俺も快眠だったんだな。俺だって座りながらぐっすり寝れるわけじゃないぜ?」
「そうなんですか?...なら、良かったです」
そういって俺の腕をぎゅっと抱きしめてくれる。
はぁ可愛い。
「あっそうでした!これを渡しにも来たんです!」
アーシアが鞄から取り出したのは可愛らしいプラスチックの箱だった。
開けたらおにぎりが3つ入ってた...神かな?
「あの...イッセーさんもしかしたら食べるかなって思っておにぎり握って来たんです...」
「食べる!すっげぇ嬉しい!丁度小腹が空いてたんだよ!」
「ほんとですか?じゃあ...よいしょ...はい、あーん」
アーシアがラップを取って俺にあーんしてくれる。
アーシアも一緒になってあーんって口開けてるのが可愛すぎる...
「あーん...ん!...うまい!流石アーシアのおにぎり!塩加減も抜群!」
「まだありますから、いっぱい食べて下さいね?」
アーシアが微笑みながらそう言ってくれる...
幸せだぁ...こんな幸せがあっていいのでしょうか...
なんでもないことが幸せってこういうことなんだろうなぁ...
勿論全部食べた。ただ流石にちょっと腹が...まぁアーシアのおにぎりと自由行動での昼飯ならアーシアのおにぎりに一瞬で軍配が上がるので、全く問題ないけど。
ふと前を見ると松田と元浜から怨嗟の視線を感じた...
悪いな...いくら世界広しと言えど俺より幸せな人間はこの世に居ないのだよ。
なぜならアーシアは世界に一人で、その彼氏が俺だからな!アーシアと恋人であることよりも幸せな事を俺は知らない。
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アーシアとイチャイチャすることしばらく、無事京都駅に到着した。
教会三人組はとてもはしゃいでいる。
まぁでっかいもんなぁこの駅...ここらへんは前世の記憶とそう変わらないようで安心するようなしないような...
桐生が引率してホテルへと向かう。
こういう時まとめ役の女子ってすっごい頼りになるよね。
京都駅を出て歩くこと数分、早速ホテルに到着した。
「京都サーゼクスホテル...」
「すぐそこにあるのは京都セラフォルーホテル...」
そんなコンビニみたいな戦い方しなくても...
なんでコンビニってすぐ近くに二件立ったりするんですかね?
ホテルに入ると、バカ二人と桐生は驚いていた。
まぁすっげぇ豪華だもんな。
でも俺達はグレモリー本邸のせいで変に耐性付いちゃったよ...
ホテルのホールで先生からの注意事項を聞く。
ロスヴァイセさんが百均について熱弁する。
気持ちはわかるけど...案外百均の方が割高な物ってあったりするんだよなぁ...
そうでなくても脆かったり、まぁ場合によりけりなだ。
もちろん基本はお買い得だし、わりと俺も利用するけど。
その後皆が鍵を受け取っていく。皆は担任の先生から受け取ったのに、俺だけアザゼル先生からだった。
まぁ理由は知ってる。俺だけ謎の小さい和式部屋なのだ。
まぁいいよ、畳好きだし。旅行くらいしか布団で寝る機会ないし。
嘘です...一人寂しい...無理...
最近はずっとアーシアと寝てたから、アーシア無しで眠れるだろうか...
当たり前のように松田と元浜に弄られた。それはもう日頃の恨みを晴らすかのようにお部屋マウントを取られた...ぐぬぬ...
荷物を置いて落ち着くこと暫く、元浜に伏見稲荷に行こうと言われた。
本来予定にない行動はしてはいけないが先生の了承も取ったから行こうぜとの事だ。柔軟な対応だ...
..........
現在千本鳥居を潜りながら進んでいる。
元浜は死にかけだ...運動しろよ運動...
桐生がちらほらと豆知識を披露してくれる。こういう奴いると観光が楽しいよな...
皆でてっぺんまで歩ききった所で、どこかから強い害意を感じた。
他の皆も感じてるらしい。
「悪い!ちょっと俺行くところあるから!ここで待っててくれ」
「あっ...私も行きます!」
アーシアがついていてくれるらしい。アーシアが居ないとプロモーションできないしありがたい。
「それじゃ、ゼノヴィア、イリナ、頼むぞ」
「あぁそちらも気を付けてな」
流石に一般人も居るのに攻撃はしてこないだろう。
俺とアーシアだけ離れれば来るはずだ。
森の中に入って少々、声をかけられた。
「貴様、余所者だな...?かかれっ!」
獣耳のロリが叫ぶ。九重か...のじゃロリ...のじゃ口調だったっけ?やべぇ思い出せない。
天狗と狐のお面の神主が何人も襲いかかってくる。
「母上を返せ!!」
「なんの話だ!俺達は関係ないぞ!」
『Boost!』
俺はアーシアを背に、攻撃してくる敵を殴り飛ばす。
本当なら皆で戦いたかったんだが、桐生や松田、元浜がいる以上、最悪あいつらを守れる人材も必要だ...
俺とアーシアはプロモーションなどの関係でセットだし、実質動けるのが三人ならあいつらを守るのが優先だ。
余裕はないから少し乱暴になるけど、向こうから襲いかかってくるんだから知ったこっちゃない...
「不浄なる魔の者共め!神聖な場所を穢しよって!!」
一対一では敵わないと理解したのか、複数で連携攻撃をしてくる。
「ぐっ...すまんアーシア、きつくなってきた!」
「はっ...はい!イッセーさん、許可どうぞ!」
アーシアが俺にプロモーションの許可をする。
「おし、プロモーション、騎士!」
体に力が入り、動きやすくなる感覚がした。
俺は全力で動きまくって、タックルからパンチやらキックやらなんでもありで敵の数をどんどん減らした。
「....撤退じゃ。おのれ!邪悪なる存在め!母上は必ず返してもらうからな!!」
そういって、俺が気絶させた奴らを回収しながら逃げていった。
やっぱのじゃ口調で合ってたな。
「な...なんだったのでしょうか...?」
アーシアが困惑している。
「わからない。ただまぁ母親が拐われて、俺達が犯人と間違えられたって感じじゃないかな?」
「あの子大丈夫でしょうか...」
「俺達は襲われた側だぞ?アーシアは優しいな」
「いえ...でもあんなに焦っていらっしゃいましたし、少し心配です...」
「まぁ、ひとまず後で報告するとして、今は皆と合流しよっか」
「はい」
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合流した後は、ホテルに戻るまで何事もなく時間が過ぎていった。
現在晩飯を食い終わった所だ。美味しかったです。
オカ研メンバーで俺の部屋に集まったので、今回の事を話した。
アザゼル先生やロスヴァイセさんは困惑してた。
そりゃちゃんと向こうから了承貰った上での観光なのに襲われちゃあな...
とりあえずは様子見するという事で決定した。