アーシアしか勝たん   作:min-can

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第53話。 入ります、裏京都!

 夕食から時間がたって、そろそろ風呂に皆入り終えたかなといった時間帯にアザゼル先生から連絡があった。

 

 セラフォルー様にお呼び出しされたのだ。

 料亭に居るらしい。

 ホテルから皆で抜け出すと、料亭に入ってアザゼル先生の先導の元、セラフォルー様のいる部屋へと歩いていく。

 

「ハーロー!リアスちゃんの眷属の皆、ひさしぶりー☆」

 

 着物着て、雰囲気はいい感じなのになお薄れてしまう威厳...和服なのが相まってなおキツいな...

 着物似合ってるのに漂うこのキツさの正体はなんなんだ...

 

 あーアーシアが和服着てくれないかな...絶対似合うのになぁ...和服のアーシアと京デートしたい...

 

 匙含め会長眷属の二年生も集合して、料亭料理を楽しむ。アーシアも流石にこういう所ではあーんしてくれない...悲しい...まぁ美味しいからいいや。

 ってか今日1日何食してるんだ俺は...

 結局アーシア謹製おにぎりを食った後も、皆との昼飯普通に食ったし...5食か...まぁいいや。天狗とか相手に動いたしセーフ。

 

 それからしばらく、セラフォルー様が京都に来た理由を語りだした。

 京都の妖怪と協力体制を敷くために来たのだそうだ。そして、九尾の御大将が行方不明な件も語られた。

 アーシアがはっとした顔をする。

 そういう事なんだよな...

 

「ここのドンである妖怪が拐われたってこった。関与したのは...まぁまず間違いなく禍の団(カオス・ブリゲード)だろうさ」

 

 アザゼル先生が言った。

 

 大正解。曹操...戦いたくねぇ...

 黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)の持ち主...やばいぞ!能力あんまり覚えてないな...

 確か、禁手(バランス・ブレイカー)が亜種で、七種類の球体があって...破壊力あるのと、攻撃を別の敵に受け流すのと、女の能力を封じるのと...やべ...後4つ忘れた...

 後は覇輝(トゥルース・イデア)とかいって、聖書の神の意思によって曹操に都合のいい効果が現れるんだよな...

 能力多すぎるんだよ...しかも聖属性だから俺達悪魔はダメージでかいし。

 くっそ...最低でも足止めは出来ないとといけないんだぞ...?

 

「まぁ、お前らにとっちゃ貴重な修学旅行だ。俺達大人がなるべくどうにかするから、今は京都を楽しめよ」

 

 考え事してたら話が進んでいて、アザゼル先生がそう言ってくれていた。

 そうだな...今はとりあえずその時が来るまで素直に旅行を楽しむしかないだろう。

 アーシアと京都で旅行できる機会なんて次にいつあるかわからないしな...

 

 ────────────────────────

 

 昨晩はアーシアが居なくて、とても寂しかったがなんとか寝ることができた。

 そして翌日の朝、俺はアーシアとホテルの屋上に来ている。

 いつもの如くトレーニングだ。アーシアはマネージャーしてくれる。ありがたい...とはいえ、筋トレはそこそこで今は魔力で物を操作する感覚の育成に重点を置いている。

 ファンネルを突撃させて、ゼロ距離でビーム発射とかしたいからな...

 ドライグの為にも早く操作の魔力を物にしないと。

 

 俺の魔力の使い道として選ばれた操作は今のところ、対象に触れて魔力のマーキングをすることで操作できるようになる代物だ。ただし大きい衝撃を受けると解除されてしまう。またマーキングの耐久度に関しては操作する物の耐久性によってマーキングの強度が変わる...といった感じだ。俺のオーラで出来ている物ならそのまま操作できるけど、他の物質は一回触らないといけないのがめんどくさい。

 今は四つのボールを操作している。

 俺の体の回りをクルクル高速移動させる。

 今の所自分に近ければ近いほど操作力が上昇して、最大射程が15m程度だ...

 まぁ譲渡して強化すれば使い物になるかもしれない...

 後、一つ操作するのに、腕一本動かすのと同じくらい思考に負荷がかかるので、戦闘中に使おうと思ったら最大腕8本同時に動かすくらいの集中力が必要だ...

 まぁ全部同じ動きさせたらもっとマシになるから一概には言えないけど...

 多分今の感じだと、自分も全力で動きながらだと2パターンまでが操作の限界だな...

 

「イッセーさん、そろそろ休憩しますか?」

 

「ん?あーそうだな...体力はいいけど、ちょっと頭使いすぎて疲れたかも...」

 

「じゃあ...はい、どうぞ!」

 

 アーシアが女の子座りして手招きする。

 

「それは...膝枕という事でしょうか...?」

 

「はい...その...昨日はイッセーさんと眠れませんでしたから...」

 

 俺とイチャイチャしたいという事でしょうか!?

 なんだそれ最高かよ可愛すぎかよ興奮してきた!!

 

「じゃあ...失礼しまーす...」

 

「はい、どうぞ」

 

 アーシアの柔らかい太ももに頭を乗せる...

 あぁ...天国...

 

「寝心地いかがですか?」

 

「最高...好き...」

 

 俺は体を反転させてアーシアのお腹に抱きつく。

 あ──...アーシアの匂いが...体温が...俺を包む...

 

「きゃっ...もう、イッセーさんは甘えん坊さんですね」

 

 そう言いながら俺の頭を撫でてくれる。好き...

 

「これは邪魔しちゃったかな?」

 

 声が聞こえたのでそちらを向くと、木場とゼノヴィアがいた。

 

「おぉ、木場、ゼノヴィア。おはよう」

 

「おはようございます」

 

 俺はアーシアに抱きついたまま挨拶をする。

 離れられない...重力場が形成されてる...

 んおぉ...アーシアが立ち上がろうとするから離れるしかなくなった...

 

「そうだ、ゼノヴィア。有事の時はこれを使うといいよ」

 

 そういって木場はゼノヴィアに短剣を渡した。

 

「ふむ、これなら鞄に隠せるな。ありがとう」

 

「イッセー君やアーシアさんもいるかい?」

 

「俺はいいや。自分の体があるし」

 

「私も、イッセーさんが守ってくれますから」

 

「アーシア!絶対指一本触れさせないからな!」

 

「はい!」

 

「ハハ...この二人は平常運転で安心できるね」

 

 木場が苦笑いしていた。

 

「あー、ここに来たって事は朝トレ?」

 

「うん。そうだ、イッセー君。軽く模擬戦しようよ」

 

「いいけど、俺ちょっと操作の実戦練習もしたいから中途半端になるかもだぞ?」

 

「構わないよ。どのみちここじゃあ全力は出せないからね」

 

「うし、じゃあやるかぁ」

 

「私も参加していいかな?」

 

 ゼノヴィアが木刀を振り回す。

 

「おっゼノヴィアも来るか?...じゃあさ!三つ巴で戦おうぜ。俺は動きながらボール操作するから、それが当たったやつは負け。お前らは剣で攻撃して当たった奴は負け。どうだ?」

 

「うん、いいよ」「問題ない」

 

「よし、じゃあアーシア、スタートの合図よろしく」

 

「はい!じゃあ...よーい...どん!」

 

 アーシアの合図と共に俺達は動き出す。

 俺は二人から離れながらボールを操作して二人の体を狙うが見事に剣で切り払われる。

 

「ふっ!」

 

 あぁ!全部切り落とされた!速すぎる!!

 

「これでイッセー君は丸腰だね」

 

「まずは一人やっておくか」

 

「おいおい!寄って集ってひどいぞ!俺はお前らの戦いにボールで茶々を入れようと...」

 

「問答無用!」

 

 ゼノヴィアが斬りかかって来る。

 ただまぁ手加減してるの込みでゼノヴィアの振りはかなり大きいので良く見ればギリギリ避けれる。

 デュランダルだったらこうはいかないけど、ただの木刀だからな...

 

「ふっ!ほっ!とっ!」

 

 俺は三連撃を避けきってゼノヴィアの足元を転がりながら通過する。

 切り払われたボールにタッチ!

 すぐさま体勢を整えて二人から離れる。

 

「くっそ...やっぱりなかなか上手くいかないな...接近して使わないと操作が覚束ない...」

 

 木場がゼノヴィアに斬りかかる。

 やっぱりこの二人で戦うと木場が有利なんだな。

 まぁあくまで同じレベルの剣で戦うならって話だが...

 

 俺も二人の方に駆け出す。

 二人の後ろを通して、こちらからもボールを操作して挟み撃ちの形にする。

 二人とも対応するが...

 よっしゃ!ゼノヴィアには当たった!

 まぁ今のは木場が上手かったな...

 俺のボールを切り払うついでにゼノヴィアに攻撃をいれてたからゼノヴィアの防御が崩れた。

 

「くっ...油断した...」

 

「...これで君と一対一だね」

 

「あぁ...行くぞ!」

 

 一瞬で一発入れられました。

 木場が強すぎる...まじこいつ禁手化(バランス・ブレイク)前提の強さだわ...

 

「僕の勝ちだね。うん、そろそろいい時間だしお開きにしようか」

 

「そうだな...行こうぜアーシア、ゼノヴィア」

 

「あぁ...」「はい」

 

 運動した後の飯は格別に美味しかったです。

 バイキングだったので、ついついいっぱい取ってしまった...でもアーシアがあーんしてくれたのがとても幸せだった...

 

 ────────────────────────

 

 現在清水寺に向かっている。

 道中の坂道で桐生が

 

「この坂は三年坂って言って、転んだら三年以内に死ぬらしいわよ?」

 

 などと言ったせいでアーシアが大層怖がってしまった。俺に抱きついてくれたのでグッジョブだ...

 最悪アーシアが転けそうになったら俺が転けてでもアーシアは転けさせないぜ...

 俺はアーシアをぎゅうっと抱き寄せて歩く...

 ゼノヴィアも怖がってイリナに引っ付いていた。

 

 清水寺の舞台に行った後、境内にある小さな社に向かった。

 

「兵藤、アーシアと恋愛くじやってみたら?」

 

「えぇ...俺おみくじとかはあんまりなんだが...」

 

「なに?アーシアとの相性が悪いかもしれないってビビってんの?」

 

「ビビってないが!?相性抜群なんだが!?よし、アーシア!目に物見せてやるぞ!!」

 

「はい!」

 

 一緒にくじを引いた。

 

「ほらなー!大吉!将来安泰!永遠のパートナーですだとよ!当たり前だろ!アーシアと俺だぞ?なぁアーシア!」

 

「はい!ずっと一緒です!」

 

 俺達は抱き合う。

 

「流石は学園最大のバカップル...」

 

「...こういうバカップルって結構すぐ別れたりするんだけど、この二人がそうなるビジョンが全く見えないわね...はいはい御馳走様です」

 

 桐生が呆れていた...お前が焚き付けたんやろがい...

 

「兵藤がアーシアさんと別れるか死にますように...!!」

 

 松田が祈っていた。この野郎...

 

「うるせぇ松田!アーシアと別れるくらいなら死んでやるわ!」

 

「じゃあ死ね!!」

 

「なんだとこの野郎!」

 

 俺は松田とポカポカ殴り合った。

 非常に無為な時間であった...

 

 ────────────────────────

 

 清水寺の後は銀閣寺に向かった。

 ゼノヴィアは銀閣寺が銀色に輝いていない事に大層ショックを受けていた。何も知らないと初見はこうなるよね。

 逆に金閣寺が金ピカなのを見て大興奮していた。

 そういう所は年相応でいいと思います。

 

 今は近くのお茶屋で休憩している。

 あー...お茶うめぇ...

 

 横で教会三姉妹が記念お祈りしてる。

 記念祈りってなんだ...?

 

 俺は特にやることもないので、だらだらとお茶とお菓子を飲み食いする...

 あー...こうやってだらーっと永遠に過ごしたい...

 

 そう思っていると松田達チーム一般人が眠っていた。

 ありゃ?

 

 気がつくと、周囲が獣耳の人まみれになっていた。

 ゼノヴィア達が臨戦体勢に入る。

 しまったな...ちょっと気が緩みすぎだ...

 神器の起動すらしてないぞ俺...

 

 といったところでロスヴァイセさんがやってきた。妖怪達と和解したので、向こうが謝罪したいとの事だ...

 

 狐の妖怪の女性が俺達を案内してくれるらしい。

 

 ...........

 

 裏京都にやってきた。

 古い家の扉や窓から、あるいは通りを歩いている様々な妖怪がこちらを見ている。

 物珍しいのだろう。俺らも妖怪なんて物珍しいしな...

 

 しばらく歩いた所で大きな屋敷が現れた。

 洋風の豪邸には慣れたが、和風の豪邸の耐性はついてないらしい...圧倒されちゃうわ。

 玄関にアザゼル先生とセラフォルー様がいた。

 

「九重様、皆様をお連れしました」

 

 そう言って案内の女性は消えてしまった。

 

「私は表と裏の京都に住む妖怪達を束ねる者、八坂の娘、九重と申す。先日は申し訳なかった。お主達の事情を知らずに襲ってしまった。どうか許してほしい」

 

 そう言って九重が謝罪してきた。

 

「あー、まぁ俺も一人で対処したから結構天狗さんとかに荒く攻撃しちゃったし、お互い様って事でいいか?アーシアもそれでいいよな?」

 

「はい!平和が一番です」

 

 間違いねぇ...早く平和になってくれ。

 

「私達は特に被害を受けていないしな...」

 

「そうね。誤解が解けてくれたならそれでいいと思うわ!」

 

「...ってなわけで、そちらからこうして正式に謝罪もして貰えた訳だし、皆も怒ってないから大丈夫だぞ?むしろ俺が殴った人達は大丈夫なのか?」

 

「そうか...そう言って貰えると助かるのじゃ...奴らはもう回復しておる。気にせんで良いのじゃ」

 

 そういって、少しほっとしたような顔をした後、再び辛そうな顔でこう叫んだ。

 

「その...咎のある身で悪いのじゃが...どうか!母上を助ける為に力を貸して欲しいのじゃ!」

 

 そこからアザゼル先生による解説が始まった。

 

 九尾の狐である八坂が帝釈天から使われた使者と会談をする為に屋敷を出た後に行方不明となってしまったらしい。護衛は一人死にかけで帰って来たが、まもなく死亡。事態は全くよろしくない。

 

「ただまぁ、不幸中の幸いに八坂の姫と誘拐犯はまだ京都を出ていない。九尾の狐が京都を離れれば、京都の気が乱れて異変が起こるはずだからな...そんで、こんな大事件起こす奴らの心当たりはって言ったらもうわかるだろ。禍の団(カオス・ブリゲード)、英雄派だ」

 

「私の方でも人員をある程度動員してるけど、まだ成果が出てないのよ」

 

 セラフォルー様が普通に喋ってる...これこれ、こういうのですよ。キラッ☆とか要らないんすよ、あぁでもなくなったらセラフォルー様じゃなくなる...?うぅん...まぁいいや魔王は変人ということで諦めよう...

 

「お前達にも動いてもらうことになるかもしれん。今は圧倒的に人員不足だ。特に、対英雄派の際には協力を頼むかもしれんからな。悪いが心の準備をしていてくれ。まぁとはいえこれは大人の事情だ。基本的にこれまで通り、動きがあるまでは観光を楽しんでいいからな」

 

「「「「はい!」」」」

 

「どうかお願いじゃ...母上を助ける為に協力してくれ...」

 

 九重が涙を流して懇願する。

 

「あぁ...きっとお母さんは大丈夫だ。俺達も出来ることがあったら全力で頑張るよ。だから、気をしっかり持つんだぞ?」

 

「ありがとう...そうじゃな...母上はきっと大丈夫じゃ...」

 

 九重はようやっと、少しだけ笑ってくれた。

 

 英雄派...曹操...

 いよいよ戦いの時も近いな...

 禁手化(バランス・ブレイカー)覇輝(トゥルース・イデア)は使われないだろうが、槍と技術だけで絶対強いもんなぁ...

 まぁやるしかないが。

 アーシアは絶対に傷つけさせない。俺が守るんだ...!!

 

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