アーシアしか勝たん   作:min-can

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第56話。 現れます、最強の歴代!

 現在グレモリー眷属、シトリー眷属、イリナ、アザゼル先生、セラフォルー様の面子で俺の部屋に集まっている。

 めちゃくちゃ部屋が狭いのでアーシアには俺の膝の上に座ってもらっている。アーシアの太ももの感触が気持ちいい...好き...

 ロスヴァイセさんは酔い醒ましの薬を自分で調合して飲んでいるみたいだが、速効性はなさそうだ...

 これだけ技術が発達してるのに酔い醒ましは発達していないのか...

 

「じゃあ作戦を伝えるぞ。現在、堕天使、悪魔、妖怪の関係者を総動員して二条城を中心に警戒体制を敷いている。未だ英雄派は動きを見せないが、京都の各地から不穏な気の流れが二条城を中心に広がっているのを計測している」

 

 アザゼル先生の言葉に皆がうなずく。

 

「そこでだ、まずシトリー眷属は京都駅付近で待機だ。このホテルを守るのも仕事だからな。次にグレモリー眷属とイリナ。お前達には英雄派と戦って貰う。とはいえ殲滅しなきゃいけないわけじゃない。最優先は八坂の姫の救出だ。それさえできればとんずらで構わん。外の指揮はセラフォルーに任せている。お前らは安心して目の前の敵と戦うことだけ考えてろ」

 

「先生、もう少し人が欲しいです。昼の戦いもルフェイの割り込みがなかったら危なかったんですよ?」

 

「そこは安心しろ。テロリスト相手のプロフェッショナルを呼んでおいた。それが加われば救出はかなり現実的な物になると思うぞ」

 

 初代孫悟空と五大龍王の一角、玉龍(ウーロン)か...

 さっさと来て欲しいもんだ...

 

「そしてこれは悪い報せだが、フェニックスの涙は3つしか支給されなかった。世界各地で禍の団のテロが発生していて需要が高まっているんだよ...」

 

 無駄遣いは一切できないというわけですね...

 

「フェニックスの涙の不足に付属する話なんだが...これは機密事項なんだけどよ、現在各勢力が血眼で聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)所有者を捜してる。確かにレアだがアーシア以外の所有者が世界に何人かいることはわかってるからな。スカウトの目的は回復系の神器(セイクリッド・ギア)の需要が高まっている事も勿論あるが、何よりテロリストに回復要員を押さえられない為だ。何が言いたいかわかるか?イッセー」

 

「はい、絶対にアーシアは俺が守り抜いてみせます。テロリストどもには指一本触れさせません」

 

「ま、言うまでもなかったかな。そうだイッセー、お前の力は全てそこに起因している。絶対にアーシアは守り抜けよ?俺達三勢力の長の前で誓ったんだからな」

 

 アザゼル先生がニヤリとこちらを窺う。

 

「はい!」

 

 アーシアをぎゅっと抱きしめる。

 

「あと匙!お前はグレモリー眷属の方に着いていけ。龍王形態がきっと必要になる。イッセー、しっかり匙の意識を繋ぎ止めろよ?天龍なんだから龍王の一匹や二匹制御してみせろ」

 

「頑張ります...」

 

「まぁ俺からの作戦は以上だ。まぁ大した事は言えてねぇが、臨機応変に対応してくれ。修学旅行は帰るまでが修学旅行だ、絶対死ぬんじゃねぇぞ!」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

 ────────────────────────

 

 俺は特に準備することもないので、集合場所のロビーで座っていた。

 

『相棒、歴代に呼ばれているぞ』

 

「また?...今はあんまり行きたくないんだが...」

 

『そう言ってやるな。俺だってあんなの見たくないが、あれでもお前の事を考えてくれてるんだ』

 

「......ドライグの言うとおりだな。最初は怨念だったんだもんな...それが今やアーシア教の信徒か...おっさんが周りに合わせてアーシアたんバンザイしてる所は見たくなかったけど...うし、行ってくる」

 

『では行くぞ...』

 

 意識を神器(セイクリッド・ギア)へと沈めていく...

 

 ............

 

「教祖様!大変お久しぶりでございます!!そしておめでとうございます!!」

 

 いつものリーダーが声をかけてきた。

 パンパンとクラッカーが鳴る。どっから用意したんだ...

 空間の上の方に、「祝、卒業」とかかれた横断幕が貼ってある...余計なお世話だわ...

 そういえばここしばらく潜ってなかったな...

 卒業してから初めてか。

 

「お久しぶりです...それで、今日はどんな用で?」

 

「はい!最強の二人をここにお連れすることができたのです!あっ!勿論洗脳はしておりません!」

 

 洗脳って認めやがったなこいつ...

 あそこにいるのが歴代最強の二人か...

 

「こんにちわ...あなたがこの惨状の元凶である現赤龍帝ね?私はエルシャ。横にいる彼はベルザード」

 

 ベルザードさんがコクりと頷く...

 

『...ベルザードと共にもう出てこないと思っていたが...いや、出ざるを得なかったのか...』

 

「そうよ全く...本当にひどい事になっているわ。神器(セイクリッド・ギア)だってちょっとまずい状態だったのよ?イタズラしちゃいけない場所をずけずけと改造しまくって...それでなぜかきちんと動いている所が心底怖いのだけれどね」

 

「それはあいつらが...いえ、俺のせいです!すみませんでした!!」

 

 そんな事になっていたのか...恐ろしすぎる。

 

「まぁ安心なさい、私達二人でグチャグチャに拗れながらも稼働していた部分をなんとか整理してきたから...にしてもアーシニウムエネルギーでしたっけ?本当に便利ね...修復できたのは例の力を使わせて貰ったお陰なの。まぁ修復作業で力をほとんど使ったから私達はもう消えかけなんだけれどね」

 

 エルシャさんの顔が呆れで陰る...

 それでアーシニウムエネルギーがここ最近どんどん強くなっていったのか!

 流れがスムーズになっていたんだな...

 

「ありがとうございます!!そしてすみませんでした!!」

 

 俺はもう謝る事しかできない。

 

「まぁいいのよ。これでも一応貴方には期待してるの。貴方なら全く新しい赤龍帝になれるって...既に怨念を吹き飛ばしてしまっているようだしね...並大抵の事じゃないわ。その原動力が好きな子の為ってのも...まぁ嫌いじゃないしね」

 

 エルシャさんはようやく少しだけ笑った。

 

「貴方の可能性の扉は既に開かれ、覇の理を捨てた新たな境地にたどり着こうとしているわ。今はまだ到達しきっていないようだけれど、本当にもうすぐだと思う。きっと貴方ならそこにたどり着いて...更に突拍子もない成長をするんじゃないの?そのあたりはあんまり考えたくないわね...」

 

 エルシャさんが再びため息をつく。なんでや!好きな子の為に頑張ってるだけだもん!

 

「でも、貴方にはドライグと、仲間と、ライバル、ここにいる信徒の皆...何よりも愛する人がついている。だからきっと大丈夫。私達はもう消えることにしたの...これ以上アーシア教になんか付き合いきれないもの。本当に大変だったんだから...」

 

「うぐぐ...誠に申し訳ありません」

 

「いいわよ。形はどうあれこんなに理解不能な物を見る経験、なかなかできないもの。冥土の土産としてなんだかんだ楽しかったわ。さ、本当にもう時間がないからベルザード、最後に何か彼に言ってあげたら?」

 

「.....護れ。それが君だ」

 

 良かった...アーシアたんバイザイって絶対言うと思ってたから!!まともだ!!嬉しい!!!

 そして護れか...うん、アザゼル先生も言ってたな。それが俺の根源だ...

 

「ありがとうございます!!!」

 

 エルシャさんが俺に黄金のオーラを放つ緑の宝玉を渡してきた...

 

「...これは私達の最後の置き土産よ。アーシニウムエネルギーを次の次元へと引き上げる為の鍵。あなたと彼女がより深く繋がった事でこの鍵は生まれたの。まぁ上手く使いなさい。じゃあね?現赤龍帝、ドライグ」

 

 エルシャさんが手を振る。

 

『あぁ、さようならだ』

 

「何から何までありがとうございました!!!」

 

 俺は頭を下げる。深く下げる...

 顔をあげた頃には二人は居なくなっていた...

 どんだけ俺のために色々やってくれてたんだ...

 ほんと...歴代には頭が上がらないな...

 

『あぁ、皆俺の大事な元相棒達だ...今は見る影もないが...』

 

「そうだな...よし!じゃあ最後の置き土産、使ってみるか...!」

 

 宝玉が光輝き、気がつくと消えてしまった。

 

『....あぁ、確かに神器(セイクリッド・ギア)内の何かが変質した。だが...何がかはわからないな。まぁいずれ分かる事だ。今は戦いの事を考えないとな』

 

「わかった...よし、皆!改めて今までありがとう!そして...これからもよろしく頼むよ!!」

 

 なんとなく、歴代の皆に感謝したい気持ちだった...

 

「いえ!我々これからも獅子奮迅、全力で信仰を捧げます!!」

 

「「「「アーシア様バンザイ!!」」」」

 

「「「アーシアたん可愛い!!!」」」

 

「あれ?何人か可愛いって言ってなかったか...?」

 

「はっ!それが...聖女アーシア様を純粋に尊いと信仰する者と、聖女アーシア様を推している者とで若干の教義の違いによるいざこざがありまして...今はお互いに不干渉で信仰だけはきちんと送り続けようという話になっているのです...」

 

 宗教戦争が起こっていたのか...

 

「あーっと、俺はどっちの気持ちも大いに理解できるので...皆仲良くお願いします...教徒云々以前に皆さんは同じ人を思う同志なのですから!」

 

「「「「「ありがたきお言葉!!!」」」」」

 

『....こいつらは本当に俺の元所有者なのか?』

 

 ドライグ...俺もちょっとさっきの若干感動した気分が台無しになってるから。一緒に何も見なかったことにしよう...

 もうとっくに俺達の手には負えないってわかってただろ?

 

『そうだな...俺達は何も見なかった』

 

「「「「「いってらっしゃいませ!!!」」」」」

 

 俺は無言で手を振って意識を浮上させる...

 ごめんなさいエルシャさん、ベルザードさん...これ絶対めちゃくちゃ迷惑かけてましたね...

 

 ────────────────────────

 

「.....イッセーさん?」

 

 目を開くとアーシアの顔が近くにあった。可愛い。

 

「アーシア...どうかしたか?」

 

「いえ、少し辛そうなお顔をしていらっしゃったので...何か嫌な夢でも見たんですか?」

 

「いや...何も見なかったよ。集合まで後どれくらい?」

 

「後15分くらいですよ?」

 

「そっか...そろそろ起きないとな」

 

 俺はロビーのソファーから立ち上がる。

 既に大体のメンバーが揃っているようだ...

 後はロスヴァイセさんか...

 これはゲロ吐いてるな?

 

 ロスヴァイセさんが帰って来て、いざ出発といった所で、匙が仲間に激励を受けていた。

 モテモテだね、匙君。

 

 ふとゼノヴィアを見ると魔術文字が記された布に包まれた得物を持っていた。

 

「デュランダルか?」

 

「あぁ、先ほどようやく届いてね。まぁぶっつけ本番というのも私達らしいだろう」

 

「間違いないな。調整された力、楽しみにしてるぜ」

 

「あぁ、しかと見せてやろう」

 

 匙が帰って来て、いよいよ出発だ。

 京都駅からバスで二条城に向かう。

 アーシアと手を繋いで待っていたところ後ろから声をかけられた。

 

「赤龍帝!私も連れていってくれ!」

 

「九重?なんでここに」

 

「私も母上を救いたい!頼む!連れていってくれ!!」

 

 九重の切実な願いに、どう対応すればいいか困惑する...

 正直、アーシアも九重もって守れる自信は全くないのでお帰り願いたいが、この子がどれだけの思いで裏京都を抜け出して直談判しに来たかはわからないでもない...うーん...

 

 などと考えていると足元に霧が立ち込めてきた...

 

「まずい!!皆くっつけ!!」

 

 俺が叫ぶが遅かった...

 アーシアには抱きついたが後はわからない...

 

 気がつけば駅のホームだった...

 アーシアは横にいる。...けど、九重が側にいない。

 参ったな...

 

 俺は電話をかける

 

「もしもしゼノヴィア?お前今どこにいる?お前らも無事か?あぁ...そっちに九重は居るか?良かった!...あぁ、あぁ、アーシアはこっちにいる。よし...そうだな。ここはそれほど二条城と離れていないし、現地集合にしよう。奴らが転移させたんだから、刺客とかわんさかいるかもしれない。気を付けろよ?」

 

 電話を切ってすぐに木場に連絡する。

 イリナ、ゼノヴィア、九重以外の面子は木場の方に居るらしい。良かった...

 木場にも二条城集合の連絡を伝えて携帯を切った。

 

「皆さん一旦無事だったみたいで良かったです...」

 

「そうだな、けど何が襲ってくるかわからない。俺から離れるなよ」

 

「はい...」

 

 俺は禁手化(バランス・ブレイク)を行っておいた。

 前方から敵意を感じる。刺客か...たった一人みたいだけど。

 

「アーシア、俺の後ろに...」

 

「はい!」

 

 敵はゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

「こんばんわ。赤龍帝殿。俺の事は覚えてくれているかな?」

 

「わからない...すまん」

 

「まぁそうだろうな。あんたにとっちゃ俺なんか雑魚の一匹だろうさ。けどな、あの時得た力で俺はあんたと戦えるようになった」

 

 男は足元から影をうねらせて身に纏っていく...

 あっ思い出した...そこそこ強い影使いのやられ役か...

 なんか申し訳ないけど、弱点知ってるし、あんまり時間ないからさっさとやるか...

 

 俺は腹の中で魔力の火を起こして蓄積する。

 譲渡で火力を底上げしてブレスを吹き出す...

 

「ぐぉおおおおお!!!熱い!!くそぉぉぉぉ!!!」

 

「悪い!やらせてもらうぞ!!」

 

 男がもがいている内に近づいて、影が薄まっている腹辺りを殴り飛ばす。

 

「がはっっっっっ!!!」

 

 男は倒れた。ごめんよ...結構悲惨な過去持ってたはずだけど。

 余裕があるならもうちょっとまともに戦っても良かったんだが...

 アーシアを護るためなら卑怯も厭わないのが俺の流儀...

 アーシアもちょっと引いてる...

 ごめんよアーシア。

 

 その後もアンチモンスターに襲われたりはしながらも無事に進んでいった。

 地下鉄から出ると、既に他のメンバーは集まっていた。

 

 ロスヴァイセさんは電柱でゲロ吐いてる...

 ロスヴァイセさん...いったいどこまで堕ちるつもりなんだ...俺は少し悲しいよ

 

 アーシアが怪我してる面子に回復をかけていた。

 俺は無傷なので問題なし。

 

 全員揃っていざ行こうといった所で巨大な門がひとりでに開きだした。

 

「あちらもお待ちのようだよ。演出が行き届いているね」

 

「要望通り返り討ちにしてやろうぜ...」

 

 俺達は門をくぐって決戦の舞台へと歩を進めた。

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