門をくぐりしばらく進んだ先で声をかけられた。
「
曹操が屋根の上にいた。周りの建物から構成員が姿を現していく...
側には八坂の姫もいた。
「母上!九重です!お目覚めくだされ!!」
九重がかけよって声をかけるが、八坂の姫は微動だにしない...
「無駄ですよ、我々の実験に協力していただくのですから」
曹操がそう言って槍の石突きで地面を叩くと
八坂の姫が悲鳴をあげながら巨大化していく...
最後にはフェンリルほどの大きさの九尾の狐へと変化した。
「君達はいったい何をするつもりなんだい?」
木場の問いかけに曹操は答える。
「この京都を模した特殊な空間と九尾の狐の力を利用して、この空間にグレートレッドを呼び出すのさ。それから事は...まぁ後で考えるよ。かの龍はいまだ生態すら不明だからね。調査するだけでも大きな収穫になるだろう。「
そう語る曹操を尻目に、ゼノヴィアが剣を曹操に向ける。
鞘がスライドしていき変形した。
刀身を聖のオーラが包み込み、刃が巨大化したように見える。
「貴様たちの目的はいまいち理解が及ばんが、その思想は私達の周囲にに危険を及ぼす物だ。ここで屠ってやろう」
ゼノヴィアの言葉に皆が臨戦態勢に入る。
俺も再び
匙も身体中に黒い蛇を纏わせて、黒い炎を噴出させる。
「ヴリトラ、力を貸してくれ。兵藤がフォローしてくれるから今日は暴れられそうだぞ?」
『我が分身よ。獲物はどれだ?どれでもよいなぁ...我は久方ぶりの現世で心地よいのだよ。どうせなら眼前の者共全て焼き尽くしてくれようか...』
ヴリトラが物騒な事を語っている間にゼノヴィアが聖のオーラを解放する。
十メートル以上あるかというオーラの刀身を振り抜いた!
「初手だ。食らっておけ!」
どこぞのセイバーかというくらいのビーム攻撃に眼前の建物は見事に消滅していた。
「ふー、気持ちいい」
ゼノヴィアは少し息を荒げて、汗を拭っていた。
「いいぞ!ゼノヴィア!もっとデカいのかましてやれ!!」
「あぁ!昼の戦いでのイッセーの攻撃は見応えがあった...あれくらい派手な物をかましたかったのだ!」
ゼノヴィアがにっこりしている。
「イッセー君...ゼノヴィアは騎士なんだ。テクニックを覚えるべきなんだ。これ以上パワーのごり押しだけさせたくはないんだよ...今から変えていかないといけない時期なんだ...あまり刺激しないでくれ。それに君も君だよ?パワーばかりでテクニックにあまり進歩が見られないじゃないか...」
木場に怒られた。
すっげぇ思うところがあるみたいですね...
「すみません...」
ゼノヴィアは木場の方には目もくれず
「エクス・デュランダル。そう名付けよう...」
などと顔を恍惚とさせながら呟いていた。
しかし、地面から英雄派の構成員達は這い上がってくる。
薄い霧が体にかかっているので、多分
「キミ達、もうトップクラスの上級悪魔の眷属と比べても遜色がないね。魔王の妹君はいい眷属を持った。レーティングゲームに本格参戦すれば十年くらいでトップランカーに入っちゃうんじゃないか?末恐ろしいよ...シャルバ・ベルゼブブはこんな連中を良くバカにできたもんだ。本当にアホだったみたいだな」
「古い尊厳にこだわりすぎて、目がどうしようもなく曇っていたんでしょ。さて、どうするの?僕、今の食らってテンションがおかしくなってるんだけど?」
「そうだな...とりあえず実験はスタートしよう。ゲオルグ!!」
「了解」
ゲオルグが手を突き出すと大量の魔方陣が生み出された
「....ざっと見ただけでも、北欧式、悪魔式、堕天使式、白黒魔術、聖霊魔術...なかなか豊富な術式が使えるようですね...うぷ」
ロスヴァイセさん!ようやくまともに動き出した!!
でもやっぱり気持ち悪そうだ!
九尾の下に巨大な魔方陣が展開され、九尾は絶叫をあげる。苦しそうだな...
「グレートレッドを呼ぶ魔方陣と贄の配置は良好。後はグレートレッドがこの都市のパワーに惹かれるかどうかだな...曹操、俺はこの魔方陣から離れられない、そっちは頼むぞ」
「了解っと。さてどうしようか。魔獣造のレオナルドは外の連合軍とやりあってるし、彼らがどれくらい時間を稼げるかな...グレゴリの総督に魔王レヴィアタン、セラフのメンバーも来るらしいしね...よし、ジャンヌ、ヘラクレス」
金髪で細い刀剣を持った女とデカい男が前に出てきた。
「さて、皆で誰が誰とやるか決めようか」
ジークフリートは木場とゼノヴィアに剣を向ける。
「じゃあ私は天使ちゃんにしよ。可愛いし」
「なら俺は銀髪のねぇちゃんだな!随分気分が悪そうだけどよ」
「なら、俺は赤龍帝っと。そっちのヴリトラ君はどうするの?」
曹操が尋ねる。
「匙、お前は怪獣大決戦をしてくれ。お前なら九尾を解放できると思うんだ」
「無茶言うぜ兵藤。ま、やってやるけどよ!」
「
黒炎が燃え上がり、黒く巨大なドラゴンが生まれた。
九尾と黒炎の龍が火を吹き噛みつき襲いあっていた。
よし...俺は曹操となんとかしないと...
「アーシア、頼む」「はい!許可します!」
黄金のオーラが立ち上る。
「いいね赤龍帝。ちょっとは本気でやったほうがいいかもなぁ」
曹操はニヤリと笑う。
「
黄金のオーラが噴出する。
「
『Change burst meteor booster!!』
俺の肩は黄金に輝き、ブースターを爆発させる。
『Transfer!!』
一瞬で曹操の元に移動して、そのまま突撃する。
「ぐっっっっっ!!このスピードはっ!わかっていても避けられないな...!!」
そんな事をいいつつきちんと槍を盾にして防御してやがる...
一旦槍を消して、再び呼び出し、俺を攻撃しようとしてるがさせるわけねぇ!!
「なめてんなよ!!!」
『Transfer!!』
そのまま急降下で地面に激突してやる。
槍を防御に使ったようだが、どのみち俺と地面のサンドイッチで大ダメージだろ!!!
「がはっっっっ!!!」
曹操が少し血を吐き出す。
「
『Change burst impact booster!!』
即座に換装して、両腕が黄金の極太籠手に切り替わった。
『Transfer!!』
しかし、拳の攻撃に曹操の
吹き飛んだ俺は一旦下がって、体勢を立て直す。
ぐっ....聖属性のダメージが...
鎧の赤い部分がボロボロになってしまった...
アーシアのオーラが飛んで来た。
...回復した。いける!
「ぐっ...実際に食らうとまた違うものだな...恐ろしいもんだ」
曹操は立ち上がる。曹操から感じるオーラがより一層強くなった。
曹操が神速でこちらに突撃してきて、槍を突き刺そうとする。
俺は籠手で防いだ。
バキリとヒビが入る。
すぐに逆の腕で攻撃する。
『Transfer!!』
曹操は槍を俺の攻撃に再び合わせてオーラを爆発させた。
「ぐぅぅぅ!!」
今度は最初に殴った方の腕で防御体勢をとっていたのでそこまでダメージにはならなかった。
痛いけど...
「恐ろしいな...まともには受けられそうにないよ。上手く逸らそうにも速度が速すぎてタイミングを合わせるのが難しい...オーラを放つ広範囲攻撃で相討ちにするしか術がないとはね...でも、その激突の衝撃波だって、生身の俺にはダメージになるし...ちょっとこのままじゃまずいかな?」
「言う割にしっかり大ダメージは避けてんじゃねぇか!くそっ!この装甲にヒビ入れたのお前が初めてなんだぞ!!」
「それは光栄だ。次は完璧に砕いてみせよう」
「やってみやがれ!
『Change burst meteor booster!!』
『Transfer!!』
背中のブースターを再び爆発させて、今度はすぐには突撃せず、地面に激突したりもしながら周囲を全力で数度飛び回って一瞬の隙を窺う...
ここだ!!
『Transfer!!』
ブースターが爆発し神速で突撃するが、ギリギリ反応された...!
けど、曹操からは肩しか狙えないはず!
そのままぶつかってやる!!
曹操は槍をこちらに構えてオーラを解放した。
無視してそのまま衝突してやる...!!
ばごぉぉぉぉぉぉん!という破壊音と共に土煙が舞い上がった...
「ぐっっっっ!!」
肩の装甲を貫いて、少しだけ槍が刺さったようだ...
まじでやりやがった...あいつ!!
「アーシア!!」
アーシアの回復のオーラが投げられて、傷が再生する...とはいえ、聖槍の傷なので治りは非常に遅い...
「......おいおい、なんとか反応できたから、本気で突いてやったつもりなんだけどな...ぐっ...ほとんどの力を装甲の破壊に持っていかれたのか...」
吹っ飛ばした曹操は血を出してボロボロといった雰囲気で立っている。
もう一発!!
『Transfer!!』
俺は曹操に突撃する。
「ぐぅぅぅ!!!」
曹操は堪えきれずに浮き上がった。
今...!
「アスカロン!!」
『Blade!!』
ヴァーリの時と同じようにアスカロンを籠手から出して、曹操の腹に突き刺す。
「がっっ!!」
そのまま再び地面に激突してやった。
同じように防御された。
「ぐはっっっっっっ!!おのれっ!!」
曹操が槍のオーラを大放出して俺を吹き飛ばす。
「ぐぅぅぅううう!!」
かなり吹き飛ばされてしまった...
まずい...意識が...聖属性のダメージで...
「イッセーさん!」
アーシアがかけよって治癒してくれる。
聖属性のダメージなので治りは遅いが、直接の回復なので着実に治っていく...
「ぐっ...ありがとうアーシア...」
アーシア達を戦闘に巻き込む訳にはいかないので、急いで飛び出そうとしたところでアーシアの叫び声が聞こえた。
横を見ると、ジャンヌが血まみれのイリナを抱えていた。ヘラクレスは血塗れのロスヴァイセさんを、ジークフリートが血まみれの木場とゼノヴィアを抱えていた。もう全員やられたのか...!!
「おいおい曹操!ボロボロじゃねぇか!かーっ!俺が赤龍帝とやればよかったぜ!」
ヘラクレスがそう言う。
曹操はフェニックスの涙を使っていた。
「それなりに本気でやってたつもりだったんだけどね...やっぱり
そうやってしゃべっている間に、敵が皆をこちらに投げ捨てる。
アーシアが駆け寄って必死でみんなを治癒している。
皆血を垂れ流してボロボロだ...それを...雑巾みたいに投げ捨てやがった...
....今までこんなにも皆がボロボロにやられる事がなかったから知らなかったけど...こんなに怒りが沸くもんなんだな...
「てめぇら....」
身体中から紅蓮のオーラが立ち込める...
『Change Dragonic Funnel Blaster!!』
「殺してやる...!!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』
6つの砲門が射出され、敵を向き、バジリバジリと赤いプラズマを発する。
『Transfer!!』
ファンネルが赤く輝く...
「消し飛べぇぇぇぇぇぇ!!!!」
六条の黄金と紅蓮の砲撃が放たれる。自分でも驚くくらいの規模のビームが放たれた!
「まずい...!!」
『槍よ、神を射抜く真なる聖槍よ。我が内に眠る覇王の理想を吸い上げ、祝福と滅びの間を抉れ。汝よ、遺志を語りて、輝きと化せ!』
『
恐ろしいほどの輝きを周囲を包み込むと、俺の砲撃は消失してしまった。
更に俺の体から鮮血が噴き出す...!
「なっ...!げほっっっ...」
込めれるだけの力を込めた全力の一撃が消え去った...
俺は通常の
「おい、曹操...
「あぁ...あれは正直まずかったぞ...俺達がまともに受ければ消し飛びかねなかったし、あれを相殺するような規模の攻撃はこの空間が耐えられない。避けてもどの道この空間が崩壊していた...それほどの一撃だったよ。消えてくれなかったら計画がおじゃんだったかもしれない」
「まじかよ...でも赤龍帝はもうダメっぽいな」
「当たり前だ。あんなバカみたいな火力を出して、それでもなおピュンピュン動かれたら困るよ」
くっそ...!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!!!
ふざけんな!!なんだよあれ!!
こんな事が許されるのか...!!!
「残念だったな、赤龍帝。君達じゃ俺達には届かなかったようだ。楽しかったよ、まさか
「...あの子、治癒の力を持ってるみたいだけどどうする?ほっといたらまた立ってくるかもよ?」
「そうだな...まぁ無視してもいいんだが、再起した者に再び邪魔されても面倒だ。今のうちに潰しておくか...?」
....なんて言いやがったあいつ...!
ふざけるな...!!動け...動け...!動け!!!
ジークフリートがおもむろに魔剣を一振する。
「ああああああああ!!!!!!」
俺は背中のブースターや羽、手、足、使えるもの全て使ってアーシアの前に飛び出す。
「んぎぎぎぎぎぎぎ!!!!がぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
残りカスの力を使って、両手を黄金に輝かせる。
オーラを受け止める...
「ぐぅぅぅぅぅ!!!づっ...!がはっ!!」
手の装甲を破壊されて、胸から腹にかけて袈裟斬りにされる...
血が大量に噴き出す。
けど...アーシアは守れた...
鎧が解除される。
ダメだ...!まだ倒れるな...!死んでもアーシアを守れ...!!肉片ひとつでも残ってる間はアーシアを守りきれ!!!
「イッセーさん!!」
アーシアが俺に抱きついて、支えながら治癒の力を使ってくれる...
絶対にアーシアは傷つけさせない...!
何があっても護りきってみせる!!!
「はぁぁぁぁ.....!ゲホッ....!あ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁ....!」
『....!相棒!!オーラが急速に回復しているぞ...!』
「は...?どういう事だよ...」
『教祖様...!教祖様!聞こえますか!!?』
「リーダー?なんだよ急に!!?ってか表層で喋れたのか...」
『その急速に高まっていくオーラは、アーシニウムエネルギーが新たな段階へと昇華した結果なのです!!』
「........どういうことだ...?」
『愛とは本来与え、与えられる物...!今までの力はいわば与える側だけの物だったのです!!しかし歴代最強の二人の置き土産!二人がより強固な契りを交わした事により、貴方は山吹の聖女の献身を...愛を...大いなる力へと変換できるようになったのです!!』
「つまり...アーシアの治癒を受けるとオーラが回復するって事か...?」
そういえば、今日はさっきのビショップでの全力の一撃を含めて明らかに俺のエネルギー総量以上の力を使っていた...
アーシアの治癒でオーラが回復していたのか...
『はい!聖女の無垢なる愛を一身に受ける事で、貴方は何度でも立ち上がることが可能なのです!!』
なんだそれは...でも...そうか...
そりゃそうだ。
俺がアーシアを愛するように、アーシアも俺を愛してくれてるんだ...
ならば、その愛を受けて俺が立ち上がることができるのは道理だな...
「アーシア...ありがとう。俺はアーシアを護れる存在になりたいって言ってるのに、なんだかアーシアに守られてばかりだな」
アーシアの頭を撫でる。
「いえ!私だって何度もイッセーさんに守って貰いました!それに...私達は恋人ですから...ずっと支えあって、寄り添って生きていくんです!」
アーシアは少し頬を赤く染めながら答えてくれる。
「そうだな...当たり前の事だった。俺がアーシアを守って、アーシアは俺を支えてくれる。そうやって生きていくんだ...それがパートナーってもんだよな...」
『相棒...お前はほんとに...ハァ...もういいや。...これでまだ戦える!いくぞ相棒!』
「おう!まだまだやってやる!!」
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!』
赤き鎧の龍は再び立ち上がった。