第59話。 準備します、学園祭!
「それじゃあ今日も作業開始よ」
部長の掛け声で今日も学園祭の準備が始まる。
オカルト研究部は皆の様々な意見を取り入れて、「オカルトの館」とかいう喫茶店だのお化け屋敷だの色々な物を旧校舎全体を使って開く事にしたのだ。
色々な作業で魔力を使えば簡単に済みそうな物だが、部長はできるだけ手作りでやりたいと言っていた。
まぁ言いたい事はわからんでもないけど、この作業量を時短無しでやれというのはなかなかに厳しい物があると思う...
まぁそんな無粋な事を言えるような雰囲気じゃないんだが。
今は黙々と木場と二人でトントンカンカン工作作業をしている。
まぁなんだかんだ単純作業は好きなんだよな...
「イッセー君、これ支えてくれるかい?」
「おう」
今は俺が木材を押さえている間に木場がノコギリでギコギコやってる所だ。
はぁ...そろそろサイラオーグさんとの戦いが近いんだよなぁ...
バイデントは
しかし、改めて考えると俺自身がパワー押しが好きだからって技が全体的にエネルギーを大量に消費しすぎなんだよなぁ...
サイラオーグさん相手にどれだけ通用するのやら...まぁこの前戦った感じでは、しっかり攻撃が当たればかなりの有効打にはなりそうなんだが...
新しいアーシアからのオーラ供給が生まれたからある程度は継戦能力も生まれたけど、それにしたってだよなぁ...
これによって更にアーシニウムエネルギーが貴重なエネルギーになってきたな。
黄金の装甲形成にオーラ回復による肉体への負荷の代替、ファンネルでのビーム攻撃とくれば使い道が多過ぎて間に合わない...
曹操との戦いも最後はただの
まぁ...本番までできるだけ鍛えて、自分の出せる全てを出すしかないな。
「どうしたんだい、イッセー君。浮かない顔だね」
「木場...いや、今度のゲームの事考えててさ。俺の技って全体的にかなり力押しで消耗が酷いから考えて動かないとなって」
「そうだね...イッセー君の超火力は間違いなく戦力なんだけど、だからこそカードを切る場所を間違えれば劣勢になってしまうだろうね」
「まぁ今回はサイラオーグさんっていう間違いなく切るべき場所があるんだが...それ以外の眷属にだって切らなきゃ勝てない可能性はあるからな」
「まぁ少しは僕達も頼ってよ。京都では不甲斐ない所を見せてしまったけれど、なるべくイッセー君の消費を押さえて、最高の状態でサイラオーグさんの前に立たせてみせるから」
「...おう、頼りにしてる!その代わりサイラオーグさんは絶対に倒してみせるぜ...!」
「うん、頼んだよ」
「よし...その為にも、少しでもトレーニングしないとな...」
「そうだね。僕も新しい力を考えていてね、是非君に協力してほしいんだ」
「それは勿論いいけど...」
「ありがとうじゃあ、早速今日のトレーニングからよろしく頼むよ」
木場はニッコリ笑う。
「おう、任せとけ!」
木場が俺に頼んできたのは、聖剣しか使わない状態の木場を全力で倒しにいくという事だった。
俺は水を得た魚のように木場に攻撃してやった。
普段当たらないから憂さ晴らしも込みだ。
まぁ木場も一切手加減は望んでないだろうし、多分死ぬくらいの危機を感じないと短期間で
それに、流石に聖剣だけの木場には後れを取れないからな...
とはいえ最初の方はボコボコにしすぎてアーシアに少しだけ怒られちゃった...
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数日後の夜、サイラオーグさん達と合同の記者会見があるとの事でグレモリー領にある高級ホテルに集合していた。
基本はサイラオーグさんと部長に質問が行くらしいが、他の面子にも来なくはないらしい...
とはいえ俺には何も来ないんだろうな...
人気ないだろうし...悲しい。
まぁ逆に言えば適当に座ってりゃいいんだけど...
もちろん今回も鎧着て下さいと言われた。
しかも今回に至っては一切喋らないでくださいだとよ。
メディアの皆さんは俺をなんだと思ってるんだ...赤龍帝ですね。
なんか、悪魔って言っても人間と大して感性が変わらんのよなぁ...
敵役なんてめちゃくちゃ人気になりそうなもんだが、普通にヒーローとかが人気になるからな...
これもうわかんねぇな...
アーシアはメイクさんにお化粧してもらってる。
すっぴんのアーシアでも既にありえないくらい可愛いから化粧しなくても大丈夫だよと言いたいけれど、まぁマナーとかそんな感じだろうな。
後、化粧で若干雰囲気の変わったアーシアもめちゃくちゃ可愛い。
化粧の途中で既に可愛いんだから完成したら最高に決まっている...
「イッセーさんは準備しなくていいんですか?」
化粧を終わらせたアーシアに声をかけられた。
「あぁ...俺は...鎧着けろって言われてるから」
「イッセーさん...」
アーシアがちょっと可哀想な子を見る顔になった...
やめて...そんな目で見ないで...!
「それよりアーシア!お化粧すっごくいい!!可愛い!!いつものアーシアとはまた雰囲気が変わってすごくいい!!こりゃあまたアーシアのファンが増えちゃうな...!」
「本当ですか?でも...こんな機会でもないとする事もあまりなかったでしょうから、イッセーさんに見て欲しくてしっかりお化粧してもらったんですよ...?」
アーシアが俺の腕にすりよってくる。
上目遣いでこちらを見つめる。
なんて破壊力なんだ!!
これ以上俺を惚れさせてどうするつもりなんだアーシア!!
「ぐはっ...!アーシア!!そんな嬉しいことを言ってくれるなんて!!あぁ!すっごく似合ってる!!俺の最高の彼女だ!!」
「ありがとうございます!」
アーシアの化粧や髪を崩さないように気を付けながら抱きしめる。
はぁ好き...
「はいはい、もうすぐ会見が始まるからイチャイチャはここまでにしなさい?」
部長が呆れながら注意してきた...
「すんません...」
「イッセー先輩とアーシア先輩のイチャイチャ見てたらちょっと落ち着いてきました...!」
「良かったなギャスパー」
「はいぃぃ...なんとか段ボールには入らずとも頑張れそうです...!」
そんなこんなしてる内にスタッフの方に呼ばれた。
『Welsh Dragon Balance Breaker!!』
俺以外のメンツは普通に制服を着ている。
これ、新手のいじめでは?
通路を進んでしばらく
「あ、リアス先輩に...なんで禁手化してんだ?兵藤...」
「スタッフの人に言われてるんだよ!!俺だって普通に写りたいのに!!キミはぁ...鎧着ててくれないとちょっとイメージが変わっちゃうからさぁ...とか言われるんだよ!!」
「そうだったのか...なんか...可哀想にな」
匙からも可哀想な子を見る目で見られた...
「うっ...もういいんだ...どうせ俺は悪逆非道の赤龍帝なんだ...」
「あれ、そうなのか...?雑誌では...」
「俺のファンはなぁ...ヴィラン好きとリョナ好きで構成されてるんだよ...!確かにお前らとの試合はちょっとあれだったけど...でも匙の作戦と根性にやられて、あんまり動けそうになかったから...最後に少しでも挽回しないとって...そうしたら、何の躊躇いもなく不意打ちで女性の腹部を殴り魔力弾で襲いかかる悪魔のような悪魔とか赤き凶龍とか言われてたんだよ...!客観的に見たら間違ってないけど!その節は申し訳ありませんでした!!」
匙の後ろにいる僧侶二人に謝罪する。
「いえ...勝負の世界ですし」
「油断してたのは私達ですから」
優しい!でも内心思うところめっちゃありそう!!ごめんなさい!!
「まぁ、気にすんなよ兵藤。ちゃんと皆はお前の事わかってるからさ!俺達は誰も気にしてないって!」
「うぅ...匙ぃ...ありがとう...」
「元ちゃん、行きましょう、そろそろ遅れちゃうわ。リアス先輩、それではごきげんよう」
「えぇごきげんよう。ソーナによろしくね」
生徒会メンバーは去っていった。
「イッセーさん...そんなに気にしてらっしゃったんですね」
「だって...なまじ事実しか述べられてないから否定できなくて...」
「イッセー、そんなに気にしなくていいわよ?ゲームなら別にあれくらい普通なんだから。確かにちょっと赤龍帝って事で偏見が混ざってるのは否定できないけど...あなたは私にとって自慢の眷属なのよ?それにね...」
「ありがとうございます部長!!!」
あら?何か言いかけた...?まぁいっか。
なんて優しいんだ部長は...!でもそれはそれとして家に帰ったらアーシアに慰めてもらおう...
歩くことしばらく、会場に到着した。
『お着きになられたようです。グレモリー眷属の皆さんの登場です』
拍手に迎えられながら、入場する。
入った瞬間から感じた。
サイラオーグさんからの闘気...すごい圧迫感だ...
でも...俺だって負けられない。
毅然として席に着席する。
記者会見が始まった。
まずは最初に、王二人に対して質問が飛んでいく...
二人は毅然と答えていく。
会見はつつがなく進み、各眷属の注目選手への質問へと移り変わっていく...
朱乃さんも木場も、落ち着いて丁寧に質問に答えている...
「次に、グレモリー眷属僧侶、アーシア・アルジェント選手に質問です」
おっ!アーシアに質問だ!頑張れ!!
「アーシア選手は、最近巷で噂になっている謎多きダークヒーロー、赤龍帝の兵藤一誠さんと交際関係にあるとの事ですが、普段はどのようにお過ごしなのでしょうか?」
「ど...どのように...ですか?」
は?なんだそれは?謎多きダークヒーロー!?
巷で噂...?まずい...自分の悪評は見たくないって冥界の雑誌とか一切見てないから全然わからねぇ...!
そんな事になってたのか...!?
「悪神ロキや曹操を撃退した事は冥界でも結構なニュースになっていてね、貴方の活躍も大々的に取り上げられて、ダークヒーローって感じになっていったのよ...地味に注目を集めているわ」
部長が小さい声で教えてくれる。
そ...そんな事になってたのか!
な...なんかむず痒いな...
「あぅ...あの...えっと...」
あぁ!アーシアがどんどん赤面していく!
大丈夫だアーシア!適当に流していいから!
頑張れアーシア!俺には発言権がないんだ...!
「赤龍帝とアーシアは非常に深く愛し合ってるんですよ?人間界の学校では、学園一のバカップルとして有名で毎日のように所構わずイチャイチャとしてるんです。さっきも控え室で抱きしめあっていたんですから...」
部長がアーシアに助け船を出したけど、それは逆効果では...!
うっ...部長から普段のお返しよみたいな視線を感じる...!
所構わずイチャイチャしてすみません...
「おぉ!では、アーシア選手に危害を加えようとした存在は一切の慈悲なく破壊されてしまうというのも事実なのでしょうか...!」
「事実です。アーシアを狙った者は悉く赤龍帝によって、二度と立ち上がれないほどに打ちのめされています」
「ちょっと部長!嘘言わないで下さい!!」
俺は小声で部長に訴えるが全然無視される...!
大体俺がボコボコにされてるんだから勘弁してくれ...!
「なるほど!では、アーシア選手が赤き龍の逆鱗であるとの噂は事実なんですね!」
「まさしくその通りです」
「ありがとうございます!では次の質問は...」
...........
会見後、俺は部長に文句を言いに行った。
「ちょっと部長!なんだったんですかあれ!?いやダークヒーロー云々からよくわからないんですけど...!」
「それに関してはね、お兄様の意向も少しあるのよ?折角かの赤龍帝が私の眷属となって一生懸命戦ってくれているのに、悪評がたっているのでは可哀想だという事でね、ちょっと印象操作をしようとしたらしいのだけど、どんどんダークヒーローって方向に流れていったらしくてね...もうその方向で貴方を持ち上げる事にしたのよ」
「そ...そんな経緯があったんですか...」
サーゼクス様...そんな事考えてくれてたんですね...
おみやげ結局皆に任せてしまったのが申し訳なくなってきた...いやまぁ意識失ってたからしょうがないんだが。
「それはわかりましたけど、逆鱗云々の方ですよ!嘘じゃないですかあれ!」
「そうかしら...?アーシアが狙われたらいつも激怒してるじゃない」
「それは...滅茶苦茶してますね...」
ぐぅの音も出ない。でも勝ってない方が多いんだよなぁ...
「それに、アーシアを守る意味でも悪くないアピールなのよ?赤龍帝の逆鱗って貴方が思ってるよりずっと触れたくないものだもの」
「そうですか...」
「そうなのよ。まぁ普段イチャイチャを毎日毎日見せられている報復も含まれていたけれどね」
「含んでるんじゃないですか!!」
知らぬ間に、大変な事になっていた...
これからは冥界の雑誌とかも読も...
────────────────────────
会見が終わった次の日、俺達は部室で集合していた。
「よし、今からミーティングを始める」
アザゼル先生が切り出した。
「とは言っても、まずミーティング前に今の情勢について話したい事がある。英雄派の奴らがな、英雄派に属していない一般人や悪魔の転生者の
「それって...」
「あぁ。
禁手した奴らの暴動か...
どう考えてもめんどくさいことこの上ない...
「...と、悪かったな。今日来たのはサイラオーグ戦のアドバイザーとしてだった」
そこから、部長の解説も混ぜ合わせながらサイラオーグ戦に向けた各選手の考察などがなされていった...
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その日の夜、俺は
戦闘とかに関して相談すると、リーダーが意外に親身に答えてくれるのだ。
「バイデントにもかなり慣れてきたし、そろそろ女王へのプロモーションも考えないとな...」
「そうですね...女王へのプロモーションはまさしく集大成となるでしょう。
「詠唱か...適当に唱えたらいいってもんじゃないんだろうな...うぅん...」
「まぁそう無理に考える事ではありません。詠唱は心の具現化、その時になれば自ずと浮かぶものなのです。覇龍であろうとなかろうと、詠唱とはそういう物ですから...」
「逆に言えばその時まではどうしようもないってことか...」
「そうなりますね...」
『今はとにかく、二種と一種のプロモーションの練度を上げることを考えるんだな。各駒の成長が女王の駒に影響しているのを感じる...』
「そっか...うし、今回は基礎を固めて行くことにするわ...」
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それからは淡々と日々が過ぎていった。
まぁトレーニング内容はかなり過酷なわけだが...
学園祭の準備とトレーニングと悪魔の仕事の両立は無駄にしんどかったが...
そしてついにゲーム当日となる。舞台はアガレス領にある空中都市、アグレアスだ!